排出量と石炭需要がピークアウト:新型コロナウイルスの影響で2.5年分の排出量が削減され、エネルギー転換が加速

ブルームバーグNEF(BNEF)は調査リポート「長期エネルギー見通し(NEO):2020」において、2035年に総石油需要がピークアウトし、クリーンエネルギー技術が成長するが、世界の気温は2100年までに3.3度上昇すると発表
ロンドン・ニューヨーク、2020年10月27日 – ブルームバーグNEF(BNEF)は最新の調査リポート「長期エネルギー見通し(NEO):2020」で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)でエネルギー需要が激減したことにより、現在から2050年までの間にエネルギーセクターで2.5年分の排出量が削減されるとの見解を示した。

BNEF独自の経済移行シナリオを使用した、向こう30年におけるグローバル・エネルギー・システムの進展に関する最新予想では、燃料燃焼による排出量は2019年にピークアウトしたことを示している。新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、エネルギー起源の排出量は2020年には約10%減少し、経済回復とともに再び増加しても2019年の水準に戻ることはなく、2027年以降、2050年まで年率0.7%の割合で減少する見通しだ。

この予想は、競争が非常に激しい風力発電と太陽光発電のセクターでの大量の設備導入、電気自動車(EV)の普及、産業全体のエネルギー効率の向上が進むとの想定に基づくものだ。分析によると、風力と太陽光は、今世紀半ばまでに世界の発電量の56%を占め、蓄電池と合わせると今後30年における新しい電力容量への投資額15.1兆ドルの80%を占めるという。また、追加で14兆ドルが、2050年までに送配電網の投資に投下されることが予想されている。

石炭火力発電のピークアウトは中国で2027年、インドで2030年とみられ、2050年には石炭が世界の発電量に占める割合は12%にまで縮小するという。対照的に、ガスは見通しの全体で拡大が予想された唯一の化石燃料だ。全体では2050年まで年率0.5%で増加し、商業や民生セクターで33%、経済的な低炭素の代替物がほぼない産業セクターで23%の増加が予想されている。

しかし、エネルギー転換の進展と新型コロナによるエネルギー需要減にもかかわらず、BNEFではエネルギーセクターの排出量が、2100年までに世界の気温を摂氏3.3度上昇させるとみている。

BNEFのジョン・ムーア最高経営責任者(CEO)の見解:「今後10年は、エネルギー転換にとって極めて重要な時期となろう。注目すべき点が主に3つある。1つめは風力・太陽光発電の迅速な導入。2つめは電気自動車や小規模再生可能エネルギー、エコキュートなどの低炭素熱交換技術が消費者層へより迅速に普及すること。そして3つめは、より大規模なゼロカーボン燃料の開発と導入だ」

昨年NEOは中心テーマとして電力セクターを扱ったが、今年の調査リポートでは、産業、建設(商業、民生)、交通の各セクターについて詳細分析の章を設け、経済的観点で2050年までのエネルギー経済の見通しを網羅している。また、調査リポートに記載される「気候シナリオ」では、クリーンエネルギーと水素を使用して気温上昇幅を2度以下に抑えるというシナリオを調査している。

NEO2020の主要執筆者、BNEFのチーフエコノミストであるセブ・ヘンベストの見解:「電力システムに関する私たちの予想では、純粋にコストダイナミクスを前提として、再生可能エネルギーについて昨年よりもより強気に捉えている。今年の調査における注目点は、低炭素電力の分野で大きな機会がみられる点だ。これらが交通・運輸、建設、産業のそれぞれのセクターにおいて、電化とグリーン水素の双方を通じて脱炭素化を後押しするだろう」

NEO2020では、総石油需要が2035年にピークアウトし、それ以降、年率で0.7%減少し続け、2050年には2018年の水準に戻ると予想されている。電気自動車は、2020年代半ばまでの数年間で、内燃自動車との価格が同等となると予想されている。これを受け電気自動車の導入が加速すると、従来の航空、海運、石油化学の各セクターによる石油需要の伸びを相殺する見通しだ。

結論として、建設、産業、および航空・海運などの交通部門の特定分野でのエネルギー使用には、コスト競争力のある低炭素の代替エネルギーがほとんどないため、ガス・石油製品へ大きく依存する状況が続く見通しだ。

同調査リポートの共同執筆者、BNEFのシニア・アナリストマティアス・キンメルの見解:「世界の気温上昇を2度以下に抑えるには、排出量を今から毎年6%削減する必要があり、1.5度以下に抑制するには、排出量は年間10%削減する必要がある」

NEO2020気候シナリオ:
  • BNEFは、中核となる経済移行シナリオと並行して、「気候シナリオ」を作成した。今年は、クリーン電力と水素を使用して気温上昇を2度以下に抑えるシナリオを調査した。
  • このシナリオは、2050年までに100,000TWh(テラワット時)のクリーン電力を供給する、将来の低炭素エネルギー経済を描いている。これは、今日世界で発電される総電力の5倍に相当し、現在の総容量の6-8倍の電力システムが必要になる。このエネルギーの3分の2は、運輸、建設、産業のセクターにおける直接電力供給に使用され、残りの3分の1は水素製造に利用される。
  • グリーン水素の供給が最終エネルギーの4分の1未満となる場合、801MMT(100万トン)の燃料と36,000TWhの電力追加が必要になる。これは、現在世界で発電されている電力量を38%上回る。風力・太陽光発電を使用すれば最も割安になる可能性があるが、14テラワット(TW)の容量が必要となる。これは、350万平方キロをカバーする土地の面積であり、インドの国土とほぼ同じ大きさに相当する。
  • BNEFによると、このクリーン電力とグリーン水素のシナリオを実現するには、発電量と送配電網の拡大と、水素の製造、貯蔵、輸送のために現在から2050年までの間に78兆ドルから130兆ドルの新規投資が必要になるという。

 

図1:NEO経済移行シナリオにおけるセクター別排出量、および1.75度のカーボンバジェット
 

出所:ブルームバーグNEF出所:ブルームバーグNEF


BNEF「長期エネルギー見通し(NEO):2020」のエグゼクティブ・サマリーおよび詳細は、https://about.bnef.com/new-energy-outlook/をご参照ください。

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