人口減少する未来にテクノロジーが果たす役割について
10月12日(月)報道関係者向けオンラインセミナーを開催
AI(人工知能)テクノロジー企業のAppier(エイピア、共同創業者/CEO:チハン・ユー、以下Appier)は、世界規模で進む「人口減少社会」における、人工知能を含む最先端テクノロジーの役割について、10月12日(月)に報道関係者向けオンラインセミナーを開催し、チーフAIサイエンティストのミン・スンが解説いたしました。
1. 世界規模で進む人口減少が意味すること
今世紀、世界規模で人口減少が進むと言われています。ワシントン大学の調査によると、日本、タイ、イタリア、スペインなどの、23カ国で2100年までに人口が50%以上減少すると予想されています。また、世界人口は2064年に約97億人でピークに達し、2100年には約88億人に減少するとも予測しています。※人口減少によって、労働人口が減り、高齢者が増えていく状況の中で、課題の解決につながるテクノロジーに投資することが必要です。
出典:Fertility, mortality, migration, and population scenarios for 195 countries and territories from 2017 to 2100: a forecasting analysis for the Global Burden of Disease Study(https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)30677-2/fulltext)
2. 労働人口不足におけるAIの役割
工場・倉庫・店舗・バックオフィス、それぞれの領域において、今後ますますの自動化が求められます。その中でも導入が進むのは、工場とバックオフィスです。
工場においては、ロボットと人間の協業が重要です。日本の質の高いものづくりは世界的に有名ですが、職人の高齢化や後継者不足が課題となっています。ですが、職人の知識や経験をロボットに学習させることができれば、課題の解決につながるでしょう。ロボットの導入にあたっては、工場の中でロボットとの協業に際して社員に再教育を行なうことや、ロボットが問題を起こした際にきちんとした診断ができる環境であることが条件となります。
バックオフィスの自動化は、ロボティクス・プロセス・オートメーション(RPA)によって実現されています。ここで使われるロボットとは、ソフトウェアロボットのことです。全てデジタルで完了するタスクであれば、ソフトウェアロボットが人に代わって実行することができます。
日本においてバックオフィスのデジタル化の障壁となっているのは、はんこ文化とFAX文化でしょう。コロナ禍で在宅勤務が続く中、はんこやFAXが必須という文書管理プロセスは見直す必要があります。一方で、高度な自動化が進んでいる業界もあります。高度な自動化というのは、タスクの自動化だけではなく、課題に対して最適な方法で改善できるということです。例えば、デジタルマーケティングにおいては、多くの人に同じ情報を送る方法は効果がありません。AIを用いれば、適切な情報を適切なお客様に適切なタイミングで届けることが可能です。自動化だけではなく、パフォーマンスの最適化が可能になっています。
3. 高齢社会を支えるテクノロジーと未来の暮らし
高齢化が進む中で、新たな社会のデザインが必要となっています。例えば、コンパクトシティは高齢社会の課題解決につながる考え方です。生活に必要な諸機能が近接した地方都市にまとまって暮らすことで、高齢者の負担を減らすことができます。また、在宅勤務が今後も継続することを考えると、将来的に若者の地方都市への移住がトレンドになるかもしれません。
実際、20代の4分の1が地方都市への移住に向けて、政府の強力なバックアップを望んでいるという調査結果も出ています。※
※出典:国土交通省平成29年度国土交通白書より (https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo08_hh_000135.html)
テクノロジーを使って、高齢者と若者がともにコンパクトシティで暮らしていくための都市計画を立てる研究が進んでいます。様々な人の年齢やライフスタイルをデータとして収集して、AIや機械学習で分析することで、最適な組み合わせの都市をシミュレーションすることができるのです。住み良い都市を作ることができれば、出生率も向上し、高齢社会の解決にもつながっていくでしょう。
住宅が新たな介護の形になるという記事も出ています。多くの企業が生活環境を向上させる技術を開発しています。高齢者の見守りセンサーが一例です。しかし高額のものが多く、現在は富裕層向けのものとなっています。ですが、これから利用者が増えることでコストが下がり、近い将来にはより多くの人に使われるようになるでしょう。
高齢者は都市や住宅で暮らせることが望ましいですが、介護者の手助けが必要になる可能性もあります。介護施設においては、人材不足の解消のために二つのタイプのロボットの導入が進んでいます。一つ目がウェアラブルロボットで、介護者が身に着けることでロボットが高齢者を抱きかかえて移動させるといった動作の負担を軽減します。二つ目はアシスタントロボットで、配膳や道案内などをこなします。
4. 人口減少、高齢社会におけるAI活用
コロナ禍、そしてウイズコロナ、アフターコロナを通してAI活用は急速に進むと予想されます。データが様々な分野でより多く集められるようになることで、AIによるタスクの自動化やソリューションの最適化が可能になります。全てをデジタル化することが難しいタスクの場合は、知覚AIや高度なロボットと組み合わせることで、非常に利便性が高い状態で自動化が可能になります。日本でも実装が進むIoT (Internet of Things、インターネット経由でセンサーと通信機能を持ったモノを操作できる仕組み)は、今後「AI of Things」に進化し、AI経由でロボットが意思決定や予測を行う「インテリジェントロボット」などが登場するでしょう。
また、人口減少、高齢社会が進む中、世界の都市や住宅に新たな投資が起きています。コンパクトシティ構想もその一つです。加えて、新型コロナウイルスの影響で、高齢者は自宅で過ごす時間がこれまで以上に長くなり、学生、社会人のリモート学習、リモートワークが増えています。テクノロジーを用いて両方の世代にとって最適な都市づくり、生活環境づくりを進めることが必要と言えます。
AIの活用事例を増やしていくこと、政府や企業がそれぞれにとって必要な導入方法を特定することで、社会に貢献できる、革新的なソリューションを生み出すことができるはずです。
Appier について
Appier は、AI(人工知能)テクノロジー企業として、企業や組織の事業課題を解決するための AI プラットフォームを提供しています。詳細はhttps://www.appier.com/ja/をご覧ください。
※過去の発表はhttps://www.appier.com/ja/news/をご覧ください
ミン・スン プロフィール
2005年からGoogle Brainの共同設立者の一人であるAndrew Ng(アンドリュー・エン)氏、元Google CloudのチーフサイエンティストであるFei-fei Li(フェイフェイ・リー)氏などのプロジェクトに携わり、AAAI(アメリカ人工知能学会)をはじめ世界トップの人工知能学会で研究論文を発表。
2014年に国立清華大学の准教授に就任。2015年から2017年には、CVGIP(Computer Vision Graphics and Image Processing)Best Paper Awardsを3年連続で受賞。
専門分野は、コンピュータビジョン、自然言語処理、深層学習、強化学習。2018年には「研究者には肩書きよりもデータが必要」と感じ、AIテクノロジー企業AppierにチーフAIサイエンティストとして参画。新製品の開発、既存製品の機能改善のほか、記述的な課題解決を行う。
1. 世界規模で進む人口減少が意味すること
今世紀、世界規模で人口減少が進むと言われています。ワシントン大学の調査によると、日本、タイ、イタリア、スペインなどの、23カ国で2100年までに人口が50%以上減少すると予想されています。また、世界人口は2064年に約97億人でピークに達し、2100年には約88億人に減少するとも予測しています。※人口減少によって、労働人口が減り、高齢者が増えていく状況の中で、課題の解決につながるテクノロジーに投資することが必要です。
出典:Fertility, mortality, migration, and population scenarios for 195 countries and territories from 2017 to 2100: a forecasting analysis for the Global Burden of Disease Study(https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)30677-2/fulltext)
2. 労働人口不足におけるAIの役割
工場・倉庫・店舗・バックオフィス、それぞれの領域において、今後ますますの自動化が求められます。その中でも導入が進むのは、工場とバックオフィスです。
工場においては、ロボットと人間の協業が重要です。日本の質の高いものづくりは世界的に有名ですが、職人の高齢化や後継者不足が課題となっています。ですが、職人の知識や経験をロボットに学習させることができれば、課題の解決につながるでしょう。ロボットの導入にあたっては、工場の中でロボットとの協業に際して社員に再教育を行なうことや、ロボットが問題を起こした際にきちんとした診断ができる環境であることが条件となります。
バックオフィスの自動化は、ロボティクス・プロセス・オートメーション(RPA)によって実現されています。ここで使われるロボットとは、ソフトウェアロボットのことです。全てデジタルで完了するタスクであれば、ソフトウェアロボットが人に代わって実行することができます。
日本においてバックオフィスのデジタル化の障壁となっているのは、はんこ文化とFAX文化でしょう。コロナ禍で在宅勤務が続く中、はんこやFAXが必須という文書管理プロセスは見直す必要があります。一方で、高度な自動化が進んでいる業界もあります。高度な自動化というのは、タスクの自動化だけではなく、課題に対して最適な方法で改善できるということです。例えば、デジタルマーケティングにおいては、多くの人に同じ情報を送る方法は効果がありません。AIを用いれば、適切な情報を適切なお客様に適切なタイミングで届けることが可能です。自動化だけではなく、パフォーマンスの最適化が可能になっています。
3. 高齢社会を支えるテクノロジーと未来の暮らし
高齢化が進む中で、新たな社会のデザインが必要となっています。例えば、コンパクトシティは高齢社会の課題解決につながる考え方です。生活に必要な諸機能が近接した地方都市にまとまって暮らすことで、高齢者の負担を減らすことができます。また、在宅勤務が今後も継続することを考えると、将来的に若者の地方都市への移住がトレンドになるかもしれません。
実際、20代の4分の1が地方都市への移住に向けて、政府の強力なバックアップを望んでいるという調査結果も出ています。※
※出典:国土交通省平成29年度国土交通白書より (https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo08_hh_000135.html)
テクノロジーを使って、高齢者と若者がともにコンパクトシティで暮らしていくための都市計画を立てる研究が進んでいます。様々な人の年齢やライフスタイルをデータとして収集して、AIや機械学習で分析することで、最適な組み合わせの都市をシミュレーションすることができるのです。住み良い都市を作ることができれば、出生率も向上し、高齢社会の解決にもつながっていくでしょう。
住宅が新たな介護の形になるという記事も出ています。多くの企業が生活環境を向上させる技術を開発しています。高齢者の見守りセンサーが一例です。しかし高額のものが多く、現在は富裕層向けのものとなっています。ですが、これから利用者が増えることでコストが下がり、近い将来にはより多くの人に使われるようになるでしょう。
高齢者は都市や住宅で暮らせることが望ましいですが、介護者の手助けが必要になる可能性もあります。介護施設においては、人材不足の解消のために二つのタイプのロボットの導入が進んでいます。一つ目がウェアラブルロボットで、介護者が身に着けることでロボットが高齢者を抱きかかえて移動させるといった動作の負担を軽減します。二つ目はアシスタントロボットで、配膳や道案内などをこなします。
4. 人口減少、高齢社会におけるAI活用
コロナ禍、そしてウイズコロナ、アフターコロナを通してAI活用は急速に進むと予想されます。データが様々な分野でより多く集められるようになることで、AIによるタスクの自動化やソリューションの最適化が可能になります。全てをデジタル化することが難しいタスクの場合は、知覚AIや高度なロボットと組み合わせることで、非常に利便性が高い状態で自動化が可能になります。日本でも実装が進むIoT (Internet of Things、インターネット経由でセンサーと通信機能を持ったモノを操作できる仕組み)は、今後「AI of Things」に進化し、AI経由でロボットが意思決定や予測を行う「インテリジェントロボット」などが登場するでしょう。
また、人口減少、高齢社会が進む中、世界の都市や住宅に新たな投資が起きています。コンパクトシティ構想もその一つです。加えて、新型コロナウイルスの影響で、高齢者は自宅で過ごす時間がこれまで以上に長くなり、学生、社会人のリモート学習、リモートワークが増えています。テクノロジーを用いて両方の世代にとって最適な都市づくり、生活環境づくりを進めることが必要と言えます。
AIの活用事例を増やしていくこと、政府や企業がそれぞれにとって必要な導入方法を特定することで、社会に貢献できる、革新的なソリューションを生み出すことができるはずです。
Appier について
Appier は、AI(人工知能)テクノロジー企業として、企業や組織の事業課題を解決するための AI プラットフォームを提供しています。詳細はhttps://www.appier.com/ja/をご覧ください。
※過去の発表はhttps://www.appier.com/ja/news/をご覧ください
ミン・スン プロフィール
2005年からGoogle Brainの共同設立者の一人であるAndrew Ng(アンドリュー・エン)氏、元Google CloudのチーフサイエンティストであるFei-fei Li(フェイフェイ・リー)氏などのプロジェクトに携わり、AAAI(アメリカ人工知能学会)をはじめ世界トップの人工知能学会で研究論文を発表。
2014年に国立清華大学の准教授に就任。2015年から2017年には、CVGIP(Computer Vision Graphics and Image Processing)Best Paper Awardsを3年連続で受賞。
専門分野は、コンピュータビジョン、自然言語処理、深層学習、強化学習。2018年には「研究者には肩書きよりもデータが必要」と感じ、AIテクノロジー企業AppierにチーフAIサイエンティストとして参画。新製品の開発、既存製品の機能改善のほか、記述的な課題解決を行う。
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