【調査結果】生成AIやディープフェイクによるいじめなど、子どもの権利侵害のリスクが浮上!対応策は、規制と自己防衛の両輪で。
特定非営利活動法人チャイルド・ファンド・ジャパン(東京都杉並区、事務局長:武田勝彦)は、全国の15~79歳の男女を対象にした「生成AIと子どもの人権侵害」に関する国民意識調査を行いました。
調査結果から、生成AIにより子どもの人権侵害が起こると考えている人がほとんどであり、法令規制とともにAIリテラシーなどの自己防衛力の習得を求める声があることが分かりました。
生成AIやディープフェイクから子どもの権利を守る!アドボカシー活動は、子ども・若者視点で。
急速な進化と普及を遂げた生成AIにより、大量の画像が瞬時に作成・拡散されるようになった昨今、生成AIによる子どもの性虐待コンテンツ「Child Sexual Abuse Material / シーサム」(以下、CSAM)やディープフェイクの問題が広がりつつあり、法整備や社会の意識の向上が求められています。
チャイルド・ファンド・ジャパンでは、これまでに、子どもたちを性搾取から守るための取り組みとして、若者を対象としたグルーミングに関する調査や、子どもや若者にグルーミングの注意喚起をするため、アニメーション動画の作成を行ってきました。
また、2024年4月にシンポジウム「生成AIの子どもの権利への脅威」、12月に海外の先駆的な取組を学ぶオンラインセミナーを開催。さらに、専門家によるワーキンググループを発足し、生成AIによるCSAMを規制する新法づくりに向けた提言などを行っています。
チャイルド・ファンド・ジャパンはこの度、上記の取り組みの一環として、生成AIが子どもの人権侵害をする可能性や対応策に関する国民への意識調査を実施しました。
調査概要
調査期間 2025年1月26日(日)~2月8日(土)
調査対象 全国の15〜79才の男女
回答数 1,200名
調査方法 調査員による個別訪問留置調査(乗合方式)
調査実施機関 株式会社日本リサーチセンター
90%以上が子どもの人権侵害が起こると回答。法令規制は、「実在する・実在しないに関わらず、すべて禁止するべき」が多数
調査から明らかになった主な点は、以下のとおりです。
■調査結果分析概要
① 生成AIにより子どもへの人権侵害が起こると考えている人が多く、「発生しない」 (6.9%)と考える人は少ない。
② ディープフェイクなどの生成AIによるCSAM(児童性的虐待コンテンツ)被害者が身近に「いない」 (75.4%)と回答した人が大多数。「いる」 (0.3%)と回答したのはごくわずかだが、「わからない」 (23.3%)との回答が約4分の1あった。
③ 政府や企業に規制を期待する人が多く、「子ども自身がAIリテラシーを高めて自己防衛できる力をつけるべき」 (29.3%)もみられる。
④ 生成AIによるCSAMの法令規制については、「実在する・実在しないに関わらず、すべて禁止するべき」 (72.0%) 、「実在する児童を加工した場合も禁止するべき」(15.9%)、「実在する児童がいる場合のみ禁止するべき(現行法令どおり)」(10.8%)の順となっている。
⑤ 未成年へのSNS利用禁止に「賛成」「どちらかといえば賛成」 (80.8%)が大多数。「反対」「どちらかといえば反対」(11.8%)があり、15〜19才の男女では他の世代に比べてこの比率が高い。
■調査詳細(一部)
問 生成AIによって、どのような「子どもの人権侵害」が発生する可能性があると思いますか

「子ども同士でのいじめ、いやがらせ」(64.6%)が最も高く、「児童ポルノによる被害」(58.2%)、「子どものプライバシーの侵害」(54.2%)などの順となっている。「子どもの人権侵害は発生しない」との回答は6.9%にとどまる。
問 児童の性的表現の含まれるコンテンツ(画像、動画、音声等の素材)を法令で規制することについて、どのように思いますか

「実在する・実在しないに関わらず、すべて禁止するべき」(72.0%)が最も高く、「実在する児童を加工した場合も禁止するべき」(15.9%)、「実在する児童がいる場合のみ禁止するべき(現行法令どおり)」(10.8%)の順となっている。
本調査の結果を踏まえ、調査チームは、以下の5つを提言します。
■提言
生成AIにより子どもへの人権侵害が起こると考えている人が多く、法令規制を検討することを求める。
• 児童の性的表現の含まれるコンテンツは、「実在する・実在しないに関わらず、すべて禁止する」ことを検討し、 「実在する児童がいる場合のみ禁止するべき(現行法令どおり)」と考える層の意見も聞きながら、議論する。
• CSAMを子ども同士でのいじめ・いやがらせとも認識して規制を議論する。
• ディープフェイクなどの生成AIによるCSAM被害者が認識されない結果になっているが、「わからない」が顕著に多い15〜19才の男女についてはより丁寧に調査をすることが必要である。
• 政府と関連業界に規制を働きかけるとともに、子ども自身の自己防衛力についても子ども世代・親世代の意見を聞きながら議論する。
• 未成年のSNS利用禁止について、反対が多い15〜19才の男女の意見を聞きながら議論する。
チャイルド・ファンド・ジャパンでは、引き続き、子どもの権利を守るため、政策提言や子ども・若者へのさらなる調査などの活動を行ってまいります。
各質問の回答結果、分析、提言、調査票などは、以下で公開しています。
https://www.childfund.or.jp/blog/250305survey
■引用・転載の際のクレジット表記のお願い
調査結果を引用・転載される際は、「特定非営利活動法人チャイルド・ファンド・ジャパン調べ」と、クレジットの記載をお願いいたします。

~チャイルド・ファンド・ジャパンとは~
1975年より、アジアを中心に貧困の中で暮らす子どもの健やかな成長、家族と地域の自立を目指した活動を行う国際協力NGO。フィリピン、ネパール、スリランカを中心に、スポンサーシップ・プログラム(現地の子どもとの手紙のやりとりなどで成長を見守りながら支援するプログラム)などを通して、子どもたちを支援し続けている。また、11ヵ国のチャイルド・ファンドのメンバー団体で連携し、世界70ヵ国、2300万人の人々へ支援を届けている。
SDGsの目標1、3、4、5、16の達成につながる活動を行い、特に、目標16.2「子どもへの暴力をなくす」の達成に向けて、啓発・アドボカシー活動を通して「子どもの保護」の活動に力を入れている。
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