肌の潤いを高め、飛躍的に継続する新手法を発見
京都大学との共同研究技術を応用、潤いを肌に入れることと蒸散させないことを両立
株式会社ナリス化粧品(代表者:村岡弘義 本社:大阪市福島区)は、10月21日から30日の期間に開催されている化粧品の国際学会、IFSCC Congress 2020において、肌の潤いを高め、飛躍的に継続する新手法を発表しました。IFSCC Congressは2年に1度開催される、化粧品技術者が最新研究結果を発表する最も権威ある国際学会です。例年は世界各国で開催されており、今大会は日本での開催を予定していましたが、新型コロナウィルスの影響により、初めてとなるオンライン発表となりました。
2020年10月26日
■研究の背景
当社と京都大学は、これまで、肌の水分量を正しく計測する研究を続けており、2016年、アメリカのフロリダで開催されたIFSCC Congress 2016で、肌の水分測定の新手法を発表しました。この研究を進展させる中で、今まで明らかにされていなかった、化粧品の水分を肌内部へ届けるメカニズムと、肌の潤いが蒸散しないメカニズムについて発見し、それらを叶える手法についても明らかにすることができました。
■研究結果
今まで明らかにされてこなかった、化粧品を構成する水分や油分が、肌に塗布した後にどのように形を変えて肌の中に浸透するか、また肌の上ではどのように留まるかが解明できました。これらの結果をもとに、肌内部に潤いを届ける方法と、肌表面で潤いの蒸散を防ぎ、長時間保持する方法を見いだしました。
化粧品の中でも乳液は、水分と油分を含み、潤いの供給と維持の両方の働きを期待して使用されます。しかし、一般的な乳液では、塗布すると油分が肌側、水分がその外側と二層に分かれてしまうことがわかりました。これは、肌が油分をひきつけやすい性質をもっているためで、油分の層にはじかれて水分が肌に届きづらくなっていると考えられます。
今回、乳液中の水分層に、高分子の粘土鉱物を配合し、水分に油分をしっかり抱え込ませることで、二層に分離してしまうのを防ぎ、塗布後でも水分と油分が混ざり合った状態を維持できることがわかりました。これにより、油分の層にはじかれずに、肌内部に水分を届けることが可能になりました。また、液状・ジェル状・固形状のオイルで肌表面での伸びと広がりを観察したところ、固形状のオイルが最も均一に肌表面を覆うことができることがわかりました。さらに、この固形状のオイルを大きな粒子として分散させることで、肌の上に長時間留め、潤いの保持を飛躍的に継続することができました。
化粧品開発は、粒子を小さくすることで肌に浸透させる研究が行われてきましたが、逆転の発想で、粒子を大きくすることにより、肌を覆う油の浸透を抑え、潤いを保持する方法を見つけ出したと言えます。この研究をもとに、スキンケアブランドの開発に応用し、より保湿力が高く、潤いを長時間保持する製品の開発に繋げます。
■発表タイトル
A Novel Clay Mineral-Thickened Maxi-Solid-Emulsion for Improved Stratum Corneum Hydration
和文:角層水分量向上のための新規粘土増粘大固形油エマルション
■発表者
発表者:株式会社ナリス化粧品 伊達正剛・髙田広之・森田美穂 / 京都大学 生物センシング工学研究室 小川雄一
研究者プロフィール
伊達 正剛(だて まさたか)
株式会社ナリス化粧品
研究開発部 開発課 処方開発グループ
― 略歴 ―
星薬科大学大学院 薬学研究科を修了後、株式会社ナリス化粧品に入社。
研究開発一筋で9年目を迎える。一貫してスキンケア製品の開発に従事し、基礎研究と、処方開発の両方を経験したキャリアから、効果をデータで裏付けることに信念を持って取り組んでいる。驚きのテクスチャーと感動の効果を見いだすため、日々新技術の開発に挑戦している。
趣味は珈琲焙煎。休日は手作りスパイスカレーと、自家焙煎珈琲で、食の楽しみを追求する日々を過している。
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