GEヘルスケア・ジャパンと大阪大学、がん治療の分野で共同研究を開始
- 先進アイソトープ診療研究および診療の包括的進展を目指して協働 -
高齢化が進む日本の患者さんに、より負担の少ないがん治療を
日本ではがんが40年以上にわたり死因の第1位となっており、年間36万人以上の国民、3人に1人ががんで死亡しています[1]。がんの予防対策と共に早期発見を可能にする精密な診断、進む超高齢化も視野に入れ、身体により負担の少ないがんの治療へのニーズが高まる中で、副作用や薬アレルギーが少ない標的アイソトープ治療(内用療法)が注目されています。
標的アイソトープ治療は、がん細胞に特異的に集まる放射性薬剤を体内に注射して、体の内側から放射線を直接照射してがんを治療する方法で、外部からの放射線照射のように照射の位置精度に関する懸念がない治療法です。そのため、周囲の正常組織に影響を及ぼしにくく、副作用を最小限に抑えられることが期待されています。また、難治性や転移性のがんに対する治療オプションを提供し、これまで難しいとされていたがんの制御に新たな希望をもたらします。標的アイソトープ治療はがん治療の進化に寄与し、より効果的な治療法を開発することが期待されます。新たなアイソトープの発見や画像診断との統合による高度なターゲティングなど、治療の精度と効果を向上させ、患者に最適な治療アプローチを提供できる可能性も高まっています。
標的アイソトープ治療の包括的な進展を目指す共同研究
大阪大学放射線科学基盤機構では、医学部、理学部、核物理センターの連携(医理核連携)による、標的アイソトープ治療薬剤の開発が盛んに行われており、特にアルファ線放出核種アスタチン-211に関しては、世界に先駆けて成果を生み出しています。また、同大学医学部附属病院核医学診療科では、2021年度より新規標的アイソトープ治療が開始されており、現在では同治療に関して西日本の中核的施設として標的アイソトープ治療に関する治験も続々と開始されています。現時点では治療薬開発に重心がおかれていることから、イメージングまでを含めたアイソトープ診療の包括的な研究活動の実施には至っていません。
現状を踏まえ、標的アイソトープ治療の総合的かつ更なる進展を目指していく中で、薬剤の開発のみならず、その治療効果の評価、薬剤の投与法の工夫、薬剤の動態評価、特に被ばくの評価などが必須となることから、イメージングが必須となります。そして、セラノスティクスに代表されるようなイメージングによる診断と標的薬剤による治療の両方を主眼においた研究・診療を行うプロジェクトの立ち上げが今後ますます求められるようになります。GEヘルスケア・ジャパンは、日本国内に研究部門を有し、核医学、CT、MR、超音波、データサイエンス/人工知能など多岐に渡る研究支援を行ってきた実績があり、PET-CTやSPECT-CTなどの提供に加え、画像診断法に必要な装置やソフトウェアの提供および解析の補助などを通じて、放射線科学基盤機構における基礎研究と医学部における腫瘍領域を含めた医用画像診断、治療の進展を目指し広く支援することが求められるようになります。
大阪大学の放射線統合医学講座放射線医学、富山憲幸教授は次のように述べています。「GEヘルスケア・ジャパンと共に包括共同研究契約の下で、これまで様々な共同研究を展開してきました。その中でも、標的アイソトープ治療のためのセラノスティクスは、臨床、研究開発の両面において、核医学診療科、放射線診断科では特に注力している重要な分野の一つです。放射線科学基盤機構は分野横断的な部門であり、様々な専門領域の研究者が共同してアイデアを集約した先進的薬剤研究開発を行ってきました。ここにGEヘルスケアの持つ高度な画像診断技術を融合させることで、さらにセラノスティクス研究が加速するものと期待しております。」
GEヘルスケア・ジャパン代表取締役社長兼CEOを務める若林正基は次のように述べています。「GEヘルスケア・ジャパンは、40年を超えて、日本の医療の課題解決に貢献するべく、『プレシジョン・ケア』の実現に取り組んで参りました。その中でがんの診察・治療の支援には早期より注力しており、高齢化が進む日本で求められる標的アイソトープ治療の包括的な進展を支援するべく、この度大阪大学様と共同研究を実施させていただけますこと嬉しく思っております。画像診断の分野において培ってきた高度な技術力を駆使することで、研究および臨床において新たな境地を開拓し、包括的な進展を支援でききるよう取り組んで参ります。」
[1] https://www.gankenshin50.mhlw.go.jp/campaign_26/outline/
■GEヘルスケア・ジャパンについて
GEヘルスケア・ジャパン株式会社は、GEヘルスケアの中核拠点の1つとして1982年に創設されました。予防から診断、治療、経過観察・予後管理までをカバーする「プレシジョン・ケア」の実現を目指し、インテリジェント機器やデータ分析、ソフトウェア、サービス等を提供しています。国内に研究・開発、製造から販売、サービス部門までを持ち、日本のお客様のニーズにお応えしつつ、日本が直面する医療課題の解決に取り組んでいます。日本における社員数は約1,500名、本社および60カ所の事業拠点があります。
詳細はホームページ https://www.gehealthcare.co.jp/ をご覧ください。
■大阪大学について
大阪大学大学院医学系研究科は、大阪医学専門学校が明治時代に設立後、大阪帝国大学の医学部として組み入れられ、昭和43年(1968年)に大阪大学医学部として独立し現在に至ります。大阪大学大学院医学系研究科は、大学院としての高度な医学研究を行い、次世代の医療専門家を育成し、医療の分野における革新的な研究と教育を提供し、地域社会や国際社会に貢献することを目指しています。
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