【映画館でバレエを】ロイヤル・バレエが誇る至高の名作『白鳥の湖』5/16(金)公開!王子ジークフリート役をドラマティックに演じたマシュー・ボールが語る作品の魅力!【前編】
世界最高峰の英国ロイヤル・バレエの舞台が映画館で楽しめる「英国ロイヤル・オペラ・バレエ&オペラ in シネマ」。映画館の大スクリーンと迫力ある音響で最高峰の公演を堪能できる、至極の体験をお届けします。
去年好評につき、新たに特典映像の加わったアンコール上映が決定‼
ヤスミン・ナグディ×マシュー・ボールが魅せるクラシック・バレエ不朽の名作『白鳥の湖』
チャイコフスキーのあまりにも美しく心を揺さぶる旋律に乗せた、クラシック・バレエの不朽の名作『白鳥の湖』。2018年5月にロイヤル・バレエ団によって、31年ぶりに新演出によるプロダクションに一新されて熱狂を呼んだ本作は、昨年のリバイバル上演も大ヒットを記録し、インタビューやリハーサル場面など新たな特典映像も加わったアンコール上映作品としてスクリーンに帰ってきた。
ロイヤル・バレエが誇る至高の名作『白鳥の湖』シネマシーズンで王子ジークフリート役を演じたマシュー・ボール。愁いを秘めた美しくエレガントな貴公子をドラマティックに演じた彼に、この作品の魅力、振付を手掛けたリアム・スカーレットやオデット/オディールを演じたヤスミン・ナグディについて、そして彼にインスピレーションを与えるものや振付活動についても語っていただきました。【前編】

リアム・スカーレット版『白鳥の湖』は王子の物語、天才リアムが遺した不朽の名作。
ーリアム・スカーレット振付の『白鳥の湖』はとても美しいプロダクションで、とても深みがあってドラマティックです。またマシューさんの演技も情熱的でありながら、複雑な心理を表現しています。特に最初のパ・ド・ドゥは恋に落ちる様子が伝わってきて素晴らしく感動的でしたね。
マシュー 『白鳥の湖』は白鳥で有名な作品ですが、人々の想像力を刺激して振付にとっても、ダンサーにとっても詩的で美しい機会を提供しています。まず物語がこの作品の素晴らしさの秘訣だと思います。王子は1幕から登場しており、彼の物語であって、彼の人生の苦悩を伝えているもので、白鳥は自由のための手段であり象徴、現実からの逃避、夢のような世界や別の現実という側面があると思っています。始めからこの人物を伝えることがとても大切ですね。2幕と4幕は非常に美しいことは最初から決まっていますが、登場人物という基礎がしっかりしていないと、その美しさと同等のものが伝えられないからです。
このような大作ではたくさんのことを考えなければなりません。スタジオで一番重視しているのは、自分たちが最善を尽くして細かいディテールを作り上げていくことです。そこから最終的に出てくる全体図が、想像を超えた素晴らしいものになるように努力します。常に全部のことを留意しながら行うのは非常に難しいのですが。

―スカーレット版の『白鳥の湖』は特に王子の物語だと感じられます。このプロダクションについてどう考えられているのか、もう少しお聞かせいただけますか?
マシュー:実はロイヤル・バレエで『白鳥の湖』の王子役を踊ったのはスカーレット版が初めてだったのです。その時はオデット/オディールはナタリア・オシポワで、キャリアの初期に大きな役を世界的なスターである彼女と踊ることはとてもエキサイティングなことでした。リアムと一緒にスタジオに入り、彼が踊りを作り上げる匠の技を観ることは素晴らしい経験でした。僕は彼といくつかの作品で一緒にクリエーションに関わりましたが、彼の仕事の早さと音楽性の見事さ、彼から生まれるアイディアの量に圧倒されていました。彼の中には尽きることのないアイディアの泉があり、振付家としては本当にすぐれた才能を持っていました。
新しいバレエのプロダクションを作り上げることは、振付家として異なったスキルが必要だと僕は思っています。クラシックバレエでもっとも有名な作品である『白鳥の湖』というバレエを作り上げるために、リアムは原典に多くの敬意とオマージュを捧げ、たくさんの知識を持って人々を導いたと思います。『白鳥の湖』という作品に忠実でありながらも、彼は自分の個性をいくつかの群舞やディテール、ステップの中に込めました。
近年では、このバレエの歴史やチャイコフスキーのスコアについていろんなことが知られてきていますし、音楽についても、異なったバージョンがあり、さまざまな編曲をされてきました。例えば4幕は多くのプロダクションで異なった音楽の使い方をしています。リアムは音楽をどのように使うのかはっきりとした決断をして、とてもドラマティックで複雑な嵐の場面を作り上げました。王子とオデットの間に、ロットバルトや白鳥たちがクライマックスのためにやってくる前の最後の嘆き、エレジーとしてとてもロマンティックで表現力豊かな、少し現代的なパ・ド・ドゥを創作したのです。
この『白鳥の湖』はとてもパワフルな作品で、ジョン・マクファーレンのデザインも素晴らしいです。彼はそれまでにもリアムとは仕事をしてきましたし、ロイヤル・バレエでも『ジゼル』のような見事なプロダクションを作ってきました。彼は本物のアーティストで、彼のドローイングや衣裳のスケッチ、舞台デザインは非常に美しいです。彼のデザインには暗いところがあって、そのことによって想像力を刺激する余白を与えて、登場人物の深層心理の一部である陰影を見せています。そのことによって、複雑さも加わり、光と影があるこの作品にとても似合っていると思います。また彼はダンスをよく理解しているので、彼のデザインはバレエを邪魔するのではなくて、全体を引き立てています。

―本当に美しいプロダクションですよね。私が初めてこのスカーレット版『白鳥の湖』を映画館で観た時、古典の白鳥の湖にこんなにも感動したことがなかったのです。
マシュー:そう言っていただけて嬉しいです。『白鳥の湖』と言えば美しいバレリーナと32回転のグラン・フェッテだと思う人も多いのですが、この(スカーレット版の)作品は不朽の名作だと思っています。強い想いを持った作品だからです。
『白鳥の湖』の前奏曲を聴いたとたんに、僕は異世界につながり、王子の中に入り込む
―白鳥の王子を演じるにあたってどういうことを特に重視していますか?
マシュー:正直なことを言うと, 一幕は踊るところがあまりないので難しい、踊るのは本当に少しですが1幕の終わりにはソロがあって、ここで1幕から2幕への変遷があります。王子は心理的には苦しい立場です。父を失ったばかりで、まだ心の準備ができていないのにたくさんの責任を負っているし、楽な立場ではありません。それから自分とロットバルトの間にはあまり気持ちのよくない関係性があって、ロットバルトは王国を操っているのです。女王もあまり自分をサポートしてくれていなくて、「あなたはもう大人にならなくてはならないし、義務を負っているのよ」と言っています。踊りがあまりないのに物語がとても複雑なので、この世界の中にこの王子として存在しなければなりません。誕生日のお祝いの場面でみんなが祝ってくれていて楽しく明るく踊っているのですが、自分は憂鬱なので友達を見返すことだってつらいくらいで、笑顔を返すことはできないでいます。
リアムが非常に巧みなのは、王子の内的な世界を見せるソロを入れたことです。王子の人生の中には大きな空白がある、何かが欠けているのです。その穴は塞がれなくてはなりません。前奏曲を聴いたときに、その想いはテーマ曲となって響き、バレエの世界にいる誰もがバレエ人生と共に観てきた『白鳥の湖』の伝説の一部が聞こえてくるのです。今までも『白鳥の湖』はいろんなバージョンを観てきましたが、この音楽を聴いたとたんに、異世界につながります。この瞬間、僕は異世界への橋渡しの瞬間、王子のキャラクターの中に入り込む瞬間だと感じて楽しんでいます、これは王子にとって夢の中かもしれませんし、たとえ夢ではなくても、彼はその中に入り込まなければなりません。白鳥は想像の産物かもしれませんが、この白鳥は自分の想像力を捉えています。そのように考えると、王子のキャラクターを発展させることがよりたやすくなります。
そして、何回も共演を重ねてきたヤスミン・ナグディのような素晴らしいパートナーで、オデット役にぴったりのダンサーと踊ることによってさらに役に入りやすくなります。ヤスミンが腕を動物の翼のように動かし白鳥のような長い首を優雅に動かしている姿を見ると、彼女が演じるオデットを愛さずにはいられなくなります。本当に彼女は見事なので、あまり想像力を駆使しなくても、この関係性に入りこむことができます。
オデットについてはあまり深く考えてこなかったのですが、彼女もまた別の人生、希望を持つことができて人間に戻れることを切望していると思っています。王子が宮廷の世界から逃れようとしているのと同様に、今いる世界から抜け出したいと。
スカーレット版を踊った後で、香港バレエ団でのユーリ・ポソホフ振付の新作『白鳥の湖』のクリエーションに参加したのがとても興味深かったです。彼もまた、ジークフリート王子の心理にとても関心を持っていて、作品全体が彼の心理から構築されていました。それからマシュー・ボーン版の『白鳥の湖』では(男性の白鳥である)ザ・スワンを踊っていて、それもまた全く違った白鳥のイメージがある作品です。ポソホフの白鳥は、スカーレット版とも共通点があったし、オデット役を演じた女性ダンサーたちにも大きな影響を受けてきました。ボーン版はご存じの通りかなり違っていて、作品の中に怒りがあり力強いのですが,危険なまでの強さの一方で、腕の使い方の柔らかさや脆さといった対照的なところを僕はいつも意識しながら演じていました。ボーン版の経験もその後の僕の演技には生きていますし、この作品の物語もずっと語り継がれるべきもので、長年にわたってたくさんのお客様がこの作品を観たいと劇場に詰め掛けています。

<ロイヤル・バレエ『白鳥の湖』作品情報>
【STORY】
女王の顧問に化けた魔王ロットバルトが支配する宮廷。誕生日を迎えたジークフリート王子は、女王に明日の舞踏会で花嫁を選ぶようにと命令される。狩りに出たジークフリートは白鳥の群れに出会う。そのうちの一羽が美しい女性オデットに変身すると、たちまち王子は恋に落ちる。だがオデットは、魔王ロットバルトの呪いに囚われており、夜の間だけ人間の姿に戻ることができる。この呪いは、まだ誰も愛したことがなく、不滅の愛を彼女に誓った男性によってのみ破られる。
宮廷の舞踏会には、王子の花嫁候補である4人の姫君が各国から参列する。王子はオデットを愛しているため、この中から花嫁を選ぶことができない。オデットにそっくりなオディールが現れて王子はオデットだと思い込み魅せられる。ロットバルトは、王子をだましてオディールに愛を誓わせる。王子のオデットへの愛の誓いは破られてしまった。ロットバルトは宮廷を乗っ取り、だまされた王子は湖畔へと走る。打ちひしがれたオデットが彼を迎える。永遠に白鳥であり続ける運命を背負ったオデットには、人間の姿に戻るにはただ一つの方法、死しか残されていなかった…
《白鳥の湖》
振付:マリウス・プティパ / レフ・イワノフ
追加振付:リアム・スカーレット / フレデリック・アシュトン
演出:リアム・スカーレット
美術・衣装:ジョン・マクファーレン
作曲:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
照明デザイン:デヴィッド・フィン
ステージング:ギャリー・エイヴィス、ラウラ・モレーラ、サマンサ・レイン
スカーレット財団芸術監修:ラウラ・モレーラ
レペティトゥール:ディアドラ・チャプマン、ヘレン・クロフォード、シアン・マーフィー、サミラ・サルディ
プリンシパル指導:アレクサンダー・アガジャノフ、ダーシー・バッセル、オルガ・エヴェレイノフ、イザベル・マキーカン、エドワード・ワトソン、ゼナイダ・ヤノウスキー
指揮:マーティン・ゲオルギエフ
コンサートマスター:マグナス・ジョンストン
ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団
【キャスト】
オデット/オディール:ヤスミン・ナグディ、ジークフリート王子:マシュー・ボール、女王:クリスティーナ・アレスティス、ロットバルト:トーマス・ホワイトヘッド、ベンノ:ジョンヒュク・ジュン、ジークフリートの妹たち:レティシア・ディアス、アネット・ブヴォリ
1幕
ワルツとポロネーズ:ミカ・ブラッドベリ、桂千理、シャーロット・トンキンソン、ララ・タークアクリ瑠嘉、デヴィッド・ドネリー、テオ・デュブレイユ、ベンジャミン・エラ
2幕/4幕
小さな4羽の白鳥:ミカ・ブラッドベリ、アシュリー・ディーン、前田紗江、ユー・ハン/大きな2羽の白鳥:ハンナ・グレンネル、オリヴィア・カウリー
3幕
スペイン王女:ユー・ハン/ハンガリー王女:ミカ・ブラッドベリ/イタリア王女:前田紗江/ポーランド王女:桂千理
スペイン:ナディア・ムローヴァ=バーレー、デヴィッド・ドネリー、ベンジャミン・エラ、ハリソン・リー、エイダン・オブライエン
チャルダッシュ:カタリーナ・ニケルスキ、ケヴィン・エマートン、シエラ・グラシーン、ヴィオラ・パンテューソ、シャーロット・トンキンソン、マリアンナ・ツェンベンホイ、五十嵐大地、ジョシュア・ジュンカー、ジェームズ・ラージ、マルコ・マシャーリ
ナポリ:イザベラ・ガスパリーニ、レオ・ディクソン/マズルカ:ジュリア・ロスコ―、ジャコモ・ロヴェロ、オリヴィア・フィンドレー、マディソン・プリチャード、ルーカス・B・ブレンツロド、テオ・デュブレイユ
5/16(金)~5/22(木) TOHOシネマズ 日本橋 ほか1週間限定公開!
■公式サイト:http://tohotowa.co.jp/roh/
■配給:東宝東和
#RBOSwanLake

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像