【JX通信社独自調査】五輪への見方、開会式で一変 Twitter上の「空気」でみる東京五輪
株式会社JX通信社(本社:東京都千代田区、代表取締役:米重克洋 以下「当社」)は、8月8日に閉幕した東京五輪の大会期間中、日本語による五輪関連ツイート(Twitter投稿) を全量収集及び分析を行いました。その分析結果について、お知らせいたします。
■ 調査結果概要
- 東京五輪に関連するツイートは大会期間中で少なくとも4000万件に達していた。
- 特に野球・ソフトボールや柔道、サッカーに注目が集まったが、新競技であるスケートボードも伝統的な競技に比肩する注目度があった
- 五輪中止を求めるハッシュタグの使用割合が23日の開会式を経て急激に減少するなど、開会式を経て五輪に対する空気が一変したことが裏付けられた
■ 詳細な結果
ツイートは累計4千万件超え
分析では、一部競技が先行して始まった7月21日から閉会式が行われた8月8日のツイートを対象としました。東京五輪に関連するツイートの数は4000万件を超えています。「五輪」「オリンピック」「Tokyo2020」など、キーワードベースでの収集を行っていたため、実際の五輪に対する言及はさらに多かった可能性があります。
大会期間の序盤と終盤でツイート量の大幅な増加が見られた一方、8月1日ごろなどの中盤にはツイート量が伸び悩んだ時期もあったようです。当社が提供するニュースアプリNewsDigest(ニュースダイジェスト) では、日本代表選手のメダル獲得をどこよりも早くお伝えしましたが、速報に対する反応率でも同様の変化が見られていました。
ただ、収集ワードを含まずに五輪についてツイートするユーザーも多かったと考えられます。
時間ごとのツイート量を見ると、以下のタイミングで特にツイートが増加していました。
- 卓球 混合ダブルス決勝(7月26日21:00〜)
- ソフトボール 決勝(7月27日20:00〜)
- サッカー 男子予選リーグ 日本xフランス(7月28日20:30〜)
- スケートボード 女子パーク決勝(8月4日12:30〜)
- 野球 準決勝(8月4日19:00〜)とレスリング 女子62キロ級決勝(8月4日21:15〜)
- 野球 決勝(8月7日19:00〜)
上掲のグラフには開会式や閉会式に関連したツイートは含まれていませんが、これらの時間帯にもツイート量は増加していました。演出を目にした印象だけでなく、開閉会式に関する週刊誌報道への反応も多数見られました。
あの新競技に、陸上競技並みの注目度
それでは、ツイッター上ではどんなトピックが注目を集めていたのでしょうか。
まず競技について分析したところ、以下の順番でツイート量が多く見られました。
特に上位3競技のツイート量は飛び抜けていて、10位以内に入った他競技の2〜3倍程度。お家芸でメダルラッシュだった柔道、プロリーグの人気も根強いサッカー、そして13年ぶりの復活となった野球・ソフトボールに対する関心はやはり高かったようです。
今回から新たに追加された「スケートボード」が上位に食い込んでいる点が注目に値します。若い世代がメダルを複数獲得したことで、今回から追加されたスケートボードに対する関心が高まったことがわかります。テレビ中継の解説における独特の語彙にも注目が集まりました。
ハッシュタグを分析すると、次のようなものが多く見られました。
特に上位4つのツイート量が多く、10位以内に入った他ハッシュタグの2〜10倍程度の量がつぶやかれています。
開会式が始まる23日までで見ると、五輪の中止を求めるハッシュタグがランキングの上位に入っている一方、競技が始まってからは競技に関連するハッシュタグが数で圧倒。競技が本格化するとアスリートの活躍に対する賞賛の声が多く集まったことがわかりました。
開会式で一変したTwitterの「空気」
開催前には反対の声が目立った東京五輪ですが、人々の感情はどのように変化したのでしょうか。五輪に関係するツイートをポジティブ・ネガティブに分類したのが以下のグラフです。
ハッシュタグの推移と同様、開会式が行われた23日以前はネガティブな声が目立っていました。しかし開会式を経て空気が一変。ポジティブの比率が増え、その流れが最終盤まで続きました。
五輪反対派の急先鋒だったのは、直前や大会中に大会中止を求めていた人々です。「#五輪やめて命まもれ」「#もううんざりだよ東京五輪」なども比較的多くのツイートが見られました。ただ、開会式を経て空気が一変したのと同様、これらの「五輪中止系」ハッシュタグが全体に占める割合も大きく減少していました。
開会式より前の段階では、五輪に関係するハッシュタグの10〜15%が「#五輪やめて命まもれ」などの五輪中止系ハッシュタグでした。しかし、開会式を挟んでその割合は急激に低下。5%を下回る水準になりました。
7/28と7/31には新型コロナの新規感染者数の増加に反応した割合増加が見られたものの、数日で減退し、大会最終盤にはハッシュタグ全体の1%未満まで減っています。
オリンピックについてツイートするユニークユーザーの数も、大会開始以降は大会前の5倍以上に増えており、多くの人の関心を集めたことがわかります。大会前に行われた報道各社の世論調査では反対の声が多かったことを踏まえると、多くの人は五輪に対する複雑な思いを抱えながらも、実際に競技が始まるとアスリートたちの活躍に熱狂し、ツイッター上でもその思いを発信していたと考えられます。
“United by Emotion”
8月24日に開幕する東京パラリンピックとあわせ、東京大会のモットーに ”United by Emotion” (感動で、私たちは一つになる)が掲げられています。Twitter上の日本語での反応を見る限り、世界中のアスリートたちが東京に集って競う様子に感動したり心躍ったりした人も多かったようです。
一方、開閉会式をめぐる週刊誌報道や新型コロナウイルスの感染拡大の状況下における開催の是非、観客の有無など、国内外でさまざまな議論を呼んだこともまた事実です。東京五輪の熱狂は、日本社会にいったい何を残したのでしょうか。
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