水素燃料船向けのポンプユニットを受注/ 船舶と水素の技術を融合、2026年に川崎重工へ納入
日機装株式会社(以下、「日機装」)は、川崎重工業株式会社(以下、「川崎重工」)から水素を燃料として航行する水素燃料船向けのポンプユニット(以下、本ポンプユニット)を受注しました。本ポンプユニットは、LNG燃料船と水素ステーション向け製品の技術を融合して新たに設計・製造し、2026年に納入予定です。
本ポンプユニットが搭載される水素燃料船(以下、本船)は、大型低速2ストローク水素燃料エンジンを主機関としており、同型エンジンを主機関とする船舶としては世界で初めての基本設計承認(AiP)を、一般財団法人日本海事協会から取得しています。この世界初の水素燃料船の開発プロジェクトは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)から公募された「グリーンイノベーション基金事業※1/次世代船舶の開発プロジェクト」に「舶用水素エンジンおよび MHFS※2の開発」(以下、本事業)を提案し、採択された事業の一環です。
※1 日本の「2050 年カーボンニュートラル」に向けた経営課題に取り組む企業等に対して、最長10 年間、研究開発・実証から社会実装までを支援する事業。水素・燃料アンモニア産業を含む、エネルギー関連産業、輸送・製造関連産業、家庭・オフィス関連産業の 14 の分野が対象。
※2 MHFS(Marine Hydrogen Fuel System):舶用水素燃料タンク及び燃料供給システム
本事業の概要
海上輸送の温室効果ガス(GHG)排出削減が求められる中、川崎重工など3社は本事業をNEDOのGI基金事業に提案し、2021年10月に採択されました。
本事業では、出力範囲と用途の異なる舶用水素エンジンを提案3社が同時並行で開発し、川崎重工が本事業の中でMHFSの開発も担っています。このうち、本船は2028年から実証運航を行う予定です。
受注したポンプユニットについて
今回、川崎重工から受注したのは、大型低速2ストローク水素燃料エンジンに高圧水素を供給するMHFSにおいて重要な構成機器となるポンプユニットです。複数種のポンプを組み合わせた本ポンプユニットは、液化水素を水素燃料タンクから供給し、ガス化する蒸発器へ送液する途中でエンジンの要求圧力に昇圧するために使用されます。
設計・製造は、連結子会社グループであるClean Energy & Industrial Gasesグループ (本社:米カリフォルニア州 テメキュラ、以下「CE&IGグループ」)が担います。CE&IGグループは、LNG燃料船の燃料高圧供給システムと水素ステーション向け製品、いずれにも強みがある世界でも数少ないメーカーです。
CE&IGグループは、燃料供給ステーション分野で、LNGから技術転用を図り、水素ステーション用製品を開発した実績があります。今回も、LNG燃料船向け燃料高圧供給システムでの技術を応用して、水素燃料船向けポンプユニットを設計・製造いたします。
日機装は、水素燃料船向けポンプユニットの提供を通じて、国際海運におけるカーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。
<Appendix:海上輸送の脱炭素を巡る国内外の動き>
国際海運全体からのCO2排出量は、世界全体の排出量の約2.1%(2018年時点)を占めています。何も対策を講じなくては今後さらに増加することが見込まれるため、日本政府は2021年に「国際海運2050年カーボンニュートラル」を目指すことを発表。国際海事機関(IMO)は2023年、国際海運の温室効果ガスの排出削減目標を2050年頃までに実質ゼロにすると「2023 IMO GHG削減戦略」を採択しました。これらの実現に向けて、既存燃料の重油から水素・アンモニアといった、燃焼時にCO2を排出しない燃料への転換が必須とされています。
<日機装 会社概要>
会社名: 日機装株式会社
本社所在地: 東京都渋谷区恵比寿4丁目20番3号恵比寿ガーデンプレイスタワー22階
創業: 1953年12月26日
代表者: 代表取締役 社長執行役員 加藤 孝一
事業内容: 産業用特殊ポンプ・システム、医療機器、航空機部品等の製造・販売
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