日本へのエキゾチックペット密輸の実態を分析した初の報告書発表

新型コロナウイルスに代表される動物由来の感染症リスクも

公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(東京都港区 会長:末吉竹二郎 以下、WWFジャパン)は、このほど日本税関の輸入差止記録や国内外のメディア報道をもとに、日本におけるエキゾチックペット取引の動向を分析し、報告書『CROSSING THE RED LINE:日本のエキゾチックペット取引』(野生生物取引監視組織TRAFFIC 2020)にまとめました。

世界中から日本に様々なエキゾチックペットが密輸されてきており、税関での差止は2007年~2018年に78件、1,161匹ありました。爬虫類が最多で71%、続いて哺乳類19%、鳥類6%の順でした。

感染症法で輸入が禁止されているサル目185匹、コウモリ10匹も東南アジアからの輸入差止が報告されていることがわかりました。

水際での摘発率は低く、起訴も少ない上に、刑罰も軽いために、再犯が後を絶ちません。密輸に成功し、いったん国内市場に入り込むと合法に販売ができるため、密輸個体のロンダリングを許してしまっています。法執行と制度の強化で抑止力の大幅な引き上げが必要であることから、報告書内でいくつもの提言を示しています。
2020年6月11日

日本へのエキゾチックペット密輸の実態を分析した初の報告書発表
~新型コロナウイルスに代表される動物由来の感染症リスクも~


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1)世界中から日本に様々なエキゾチックペットが密輸。税関での差止は2007年~2018年に78件、1,161匹。爬虫類が最多で71%、続いて哺乳類19%、鳥類6%。
2)感染症法で輸入が禁止されているサル目185匹、コウモリ10匹も東南アジアからの輸入差止が報告されている。
3)水際での摘発率は低く、起訴も少ない。刑罰も軽いため、再犯が後を絶たない。密輸に成功し、いったん国内市場に入り込むと合法に販売ができるため、密輸個体のロンダリングを許す。法執行と制度の強化で抑止力の大幅な引き上げが必要。
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公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(東京都港区 会長:末吉竹二郎 以下、WWFジャパン)は、このほど日本税関の輸入差止記録や国内外のメディア報道をもとに、日本におけるエキゾチックペット取引の動向を分析し、報告書『CROSSING THE RED LINE:日本のエキゾチックペット取引』(野生生物取引監視組織TRAFFIC 2020)にまとめた。

日本は長くエキゾチックペットの大量消費国とされ、スローロリス、フクロウ、ニシキヘビをはじめとする何百もの絶滅のおそれのある野生動物が国内で売買され、一般家庭で飼育されている。この市場の存在は、国際的なエキゾチックペットの違法取引の誘引となっており、海外からも、その動向が注視されてきた。

先行調査では、カワウソや爬虫類など特定の種や分類群について、日本に向けた違法取引に警鐘を鳴らしてきたが、今回は、全体像を明らかにするため、2007年~2018年の税関の「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(以下、ワシントン条約)掲載種の輸入差止実績を主な情報源として、法執状況を含めた包括的な分析を実施し、その結果を問題解決に向けた提言とともに公表した。

<輸入差止記録から(2007年~2018年)>
ワシントン条約対象種となっているエキゾチックペットの差し止めは78件、1,161匹。ただし、2008年以降は年間10匹以下と摘発率の低さがうかがえる。

1件あたりの推定市場価格は150~360万円と高額で、2014年~2018年までの合計推定価格は5,410万円~1億2,560万円にもなる。ただし、これは日本向けエキゾチックペット密輸による犯罪収益のごく一部と考えられる。

附属書II掲載種が91%で、生物分類群では爬虫類が71%、哺乳類19%、鳥類6%。感染症法で輸入が禁止されるサル185匹、コウモリ10匹の東南アジアからの輸入差止も含まれた。

輸出国として特定されたのは13の国・地域で、東南アジアが55%(43件)、東アジアが36%(28件)を占めた。

<日本の司法の対応>
2007年以降の密輸事件12件で、少なくとも18人の被告人が起訴された。
8件は税関の摘発、4件は警察の捜査によるもの。被告人は全員日本人で、密輸・販売に関与していた。
18名中4名は、国内外で別の野生生物犯罪にも関わっていた。

有罪率は高く、結果が分かった10件、14名の被告人はすべて有罪判決を受けた。
しかし、実刑判決を受けたのは3名にとどまり、刑も比較的軽い。

<海外で報道された日本向けの密輸事件、および日本からの違法輸出-メディア報道の分析から>
海外での報道では、少なくとも28件、1,207匹の日本向け密輸事件が確認された。
日本の税関では特定されていない地域(豪州、南ア、アルゼンチン、ベネズエラなど)で日本人が密輸に関与。
豪州の爬虫類、南米の昆虫などワシントン条約非掲載種500匹が押収されていた。

日本からの違法輸出については、報道から特定できたのは8件だけであったが、2015年以降、最大461匹の南西諸島などの希少な爬虫類・両生類の密輸が確認された。


★国際的なエキゾチックペットの違法取引において、日本は特にアジア地域からの密輸目的地となっている実態が明確に示された。

海外での報道を含めれば、違法取引ルートは地理的に広範囲に及び、抑止には地域および国際レベルでの一層の協力が必要であることがわかった。

また、日本における法執行が十分な抑止力を持ち得ていないほか、現行法では税関をすり抜ければ、密輸個体を合法市場でロンダリングできてしまうことも密輸の促進要因となっている。

報告書では、問題解決のために必要な取り組みとして、法体制の整備をはじめ、野生生物密輸の摘発、立件、処罰の一連の法執行を強化するための政府の強いリーダーシップや関係機関の連携を提言しているほか、ペット関連業界や輸送業界、NGOなど市民セクターが積極的に取り組むべき施策を提示している。

<提言の一部抜粋>
*日本政府ならびに政策決定者
ワシントン条約に関する国内法や関連する法律について、罰則などのレビューを行い、抑止力を高める対策を検討すること
「種の保存法」および「動物愛護管理法」を含む国内取引規制のレビューを行い、違法に取得した個体の国内市場へのロンダリングを防止するための効果的な対策を検討すること
動物由来感染症のリスクを軽減するため、生きた動物の輸出入、国内販売の管理に関わる規制のレビューと強化を検討すること
*市民社会(国際NGOおよび日本のNGO)
研修、技術、情報共有を通じた専門的な支援を行なったり、 野生生物の違法取引のモニタリングと通報をするなどして、効果的な法執行を支援すること
*日本のエキゾチックペット業界や関連するステークホルダー(獣医師やエキゾチックペット用品や保険を扱う企業等)
売買される動物のトレーサビリティと入手経路の合法性を証明するための仕組みを確立すること。

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(ファクトシート)
「感染症パンデミックを防ぐために、緊急に見直すべき野生生物取引の規制と管理」

新型コロナウイルスは野生生物取引市場との関連性が疑われる「動物由来感染症」である。

感染症拡大のリスクが高いと考えられるアジアの市場から日本へのエキゾチックペットの密輸が後を絶たない現実が憂慮される。

特に、サルやコウモリなど、感染症法で輸入が禁止されている野生動物が密輸されてきている実態が今回明らかになった。知らぬ間に、人間にも感染しうる病原体が日本国内に持ち込まれる危険性は否定できない。

国内での飼育や販売等を規制する動物愛護管理法と種の保存法は、ともに輸入の合法性を問うことがないため、密輸された個体もひとたび国内に入り込むと、合法に入手した個体と偽って販売することが可能となる。

そのため、適切な衛生手続きを経ていない個体が店頭に並ぶことになる。

これを野生生物のロンダリング(洗浄)という。

こうした法の不備のために、輸送や水際の監視に携わる人々が不意に病原体に接触する危険性があり、感染症拡大のリスクを高めている。

今回、日本への密輸の輸入元はタイ、インドネシア、中国など、東アジア、東南アジア諸国が91%を占めることが分かった。

これらの国々には、ペットや食肉、薬利用を目的とした野生生物取引市場があり、違法取引の存在も指摘されている。

生きた動物や食肉が不衛生かつ過密な環境で保管、輸送、販売されることで未知の感染症の温床となっている。

逆に言えば、日本にエキゾチックペット市場があることで、こうした問題ある市場の取引を活発化させているおそれがあり、日本もまた国内市場を適切に制御する責任を負う。

こうした事態を受けて、WWFは消費者やペット業界、水際・輸送業界、国会議員、関係省庁などに対し、エキゾチックペットと感染症の問題を認識し、その付き合い方の見直しや密輸防止のための規制強化、連携の必要性を提言している。

【報告書およびファクトシート】

https://www.wwf.or.jp/activities/activity/4334.html

 

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上場
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資本金
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設立
1971年09月