2020年、コロナ禍で東京の人口はどのように変化したか?~外国人の転出超過が目立ち、女性は男性の2倍以上の転入超過数~

グローバル都市不動産研究所 第9弾(都市政策の専門家 市川宏雄氏監修)

 投資用不動産を扱う株式会社グローバル・リンク・マネジメント(本社:東京都渋谷区、以下GLM)は、(1)東京という都市を分析しその魅力を世界に向けて発信すること、(2)不動産を核とした新しいサービスの開発、等を目的に、明治大学名誉教授 市川宏雄 氏を所長に迎え、「グローバル都市不動産研究所(以下、同研究所)」を2019年1月1日に設立しました。(研究所URL:https://www.global-link-m.com/company/institute/
 同研究所では、第6弾「コロナによって東京一極集中の流れは変わったのか?」で、2020年8月までのデータをもとに東京の人口動向、転入・転出動向の分析を報告しました。今回の第9弾はその「続編」として、2020年の1年間(1~12月)を通じて東京の人口がどのように変化したか、長期化する新型コロナウイルス感染拡大が転入・転出状況にどのような影響を与えているのかを分析いたしました。

===分析結果ダイジェスト===

  • ​​TOPICS① 【2020年の東京の人口動向】外国人が大幅減、12月には日本人の減少も拡大
・新型コロナの影響で東京都の人口は急速に減少するのではないかと言われながらも、2020年は年間8600人の人口増となった。ただし、2019年の年間9万4193人増と比べると、その数は大幅に低下している。
・年間増加数を日本人・外国人別でみると、日本人は3万9493人増、外国人は3万893人減であり、外国人の減少がより大きく影響を与えたことが分かった。
  • TOPICS② 【東京の転入・転出の動向】30~40歳が転出超過、女性が男性よりも転入超過
・2020年3~4月の時点では外国人の転出超過が目立ったが、8月以降は日本人の転出超過が大半を占めた。
・前年は転入超過であった30歳代、40歳代が、2020年には大きく転出超過に転じた。
・2020年の転入超過数の総計は女性2万1493人、男性9633人と、女性の方が男性よりも2.23倍多くなった。コロナ禍においても、女性は男性よりも東京都を志向し、また東京都に住み続ける傾向も強いことを示している。
・東京都からの転出は、北海道や沖縄県のような地方ではなく、東京圏内の近隣3県に分散したことが分かった。
  • TOPICS③ 【東京23区の詳細分析】減少区は外国人の影響大、都心区では一貫して増加
・人口増減の総数でみると、2020年は東京都区部全体で2154人増と、2019年の8万3991人増と比べて増加数は大幅に低下し、区別には13区で減少となっている。
日本人の人口でみれば21区で増加しており、減少しているのは江戸川区と葛飾区の2区のみに過ぎず、外国人を含む総数で大きく減少をみせた新宿区、豊島区は、外国人の減少が人口総数の減少につながったといえる。
・一方、千代田区、中央区、台東区といった東京都心区では、すべての期で一貫して日本人の人口が増加し続けている。
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  • TOPICS① 2020年の東京の人口動向
・外国人が大幅減、12月には日本人の減少も拡大
 東京都の人口推計(2015年国勢調査人口を基準に住民基本台帳人口の増減分を加減して算出した推計値)によると、2020年5月1日に総人口が1400万人を突破した後、感染拡大の第2波の影響で8月に1万1939人減、9月に1万673人減と大幅な人口減少を記録しました。その後、減少幅は徐々に落ち着き、2021年1月時点での総人口は1396万236人となりました。新型コロナの影響で東京都の人口は急速に減少するのではないか、と言われながらも、2020年は年間8600人の人口増となりました。ただし、2019年の年間9万4193人増と比べると、その数は大幅に低下しています【図1】。

図1図1

 年間増加数を日本人・外国人別でみると、日本人は3万9493人増、外国人は3万893人減であり、外国人の減少がより大きく影響を与えたことが分かります。
 しかしながら、3月以降に毎月3~7000人規模で減少していた外国人も11月に4558人増、12月に5561人増と増加に転じた一方で、日本人は、8月以降、毎月4~5000人規模で減少を続け、感染拡大の第3波が訪れた12月には8050人減と減少幅が拡大してしまいました【表1】。新型コロナの感染拡大の長期化が、日本人の減少にも影響しはじめたことが気になるところです。

表1表1

  • TOPICS② 東京の転入・転出の動向
 TOPICS①の分析は、東京都に住んでいる人口の増減数(出生・死亡の自然増減を含む)になるので、東京都への集中が進んでいるのか、分散に転じているのかまでは正確には分かりません。そこで、総務省住民基本台帳人口移動報告を用いて、2020年の東京都の人口の集中・分散の状況を詳しくみていきましょう。

・コロナ禍でも東京都は転入超過を維持
 2020年の東京都の国内他道府県との転入・転出状況【図2、表2】をみると、年間の転入者数は43万2930人、転出者数は40万1805人であり、3万1125人の転入超過(日本人3万8374人の転入超過、外国人7249人の転出超過)となっています。コロナ禍が吹き荒れた2020年においても東京都は転入超過を維持することとなりました。
 ただし、2019年の転入超過数8万2982人と比べると、その数は4割弱に低下しています。

図2図2

 

表2表2

 月別にみると、3月に転入・転出者数ともに前年同月を大きく上回りましたが、緊急事態宣言発出によって4月には転入超過数4532人と前年同月と比べて大幅減、5月には初めて1069人の転出超過となりました。感染拡大の第2波が訪れた7月には再び2522人の転出超過となり、8月以降、前年同月比で転入者数の減少と転出者数の増加がともに拡大し、3~4000人台の規模で転出超過が続きました。
 3~4月の時点では外国人の転出超過が目立っていましたが、8月以降は日本人の転出超過が大半を占めています。

・30~40歳代が大きく転出超過。女性が男性よりも2.23倍転入超過
 続いて、この東京都の転入・転出状況を年齢5歳階級別・男女別にみてみましょう【図3、表3】。
 これまでは、東京都には進学や就職などを要因として、15~19歳、20~24歳、25~29歳の年齢階級が多く転入し、転入超過数に大きく寄与してきました。2020年は、これら3つの年齢階級(若年層)の転入者数が減少し、転入超過数は前年と比べて2割程度減少することとなりました(15~29歳の転入超過数:2019年9万3036人、2020年7万3855人)。
 また、前年は転入超過であった30歳代、40歳代が、2020年には大きく転出超過に転じており、これら青壮年層に多く転入減、転出増があったことが分かります(30歳代:2019年3797人の転入超過、2020年1万855人の転出超過。40歳代:2019年1047人の転入超過、2020年6172人の転出超過)。
 これらの状況を男女別にみてみると、2020年の15~19歳、20~24歳の転入超過数は、男性よりも女性の方が前年と同様に上回っています。一方、30歳代、40歳代の転出超過数は、男性よりも女性の方が低くとどまっています。

 

表3表3

 これらの要因は、コロナ禍のなかでも女性若年層が進学や就職などで東京に転入した、他道府県に単身赴任していた男性青壮年層が東京勤務への異動を中断した、テレワークの普及などでフットワークの軽い男性単身者層が他道府県に多く転出した、などさまざま推測されますが、結果的に2020年の転入超過数の総計は女性2万1493人、男性9633人と、女性の方が男性よりも2.23倍多くなっています。コロナ禍においても、女性は男性よりも東京都に住み続ける傾向が強いことが分かりました。

図3図3

・多くは隣接3県に移動。都心回帰とドーナツ化が同時進行
 新型コロナの感染拡大が生じた4月以降における東京都と他道府県との移動状況を四半期ごとにみると、東京都からの転出超過は、7~9月期、10~12月期とも埼玉県、千葉県、神奈川県の隣接3県でその多くを占めています(東京都から隣接3県への転出超過数は4~12月で2万4766人)。
 茨城県、群馬県、栃木県などの関東近県、北海道、長野県、沖縄県などへの移動も一部みられますが、7~9月期、10~12月期を通して少数にとどまっています【図4】。この1年の移動状況でみれば、東京都からの転出は、北海道や沖縄県のような地方ではなく、東京圏内の近隣3県に分散していったことが分かります。

図4図4

 ここで、東京圏(1都3県)の転入・転出状況をみると、年間の転入者数は49万2631人、転出者数は39万3388人であり、9万9243人の転入超過(2019年は14万9783人の転入超過)となっています。年間の転入超過数は前年と比べて3割ほど減少しましたが、月別にみると5月以降ほぼ横ばいの状況であり、1都3県から人口が大きく流出しているという傾向はみられません【図5】。
 

図5図5

 さらに1都3県の各市区町村の人口が、2020年の1年間でどのように増減したかを地図上に表してみたのが【図6】です。東京都区部の周辺区(新宿区、豊島区、江戸川区など)で人口が減少しているなかで、その外周の東京都多摩地区の市、隣県3県の市では人口が増加していることが分かります。

図6図6

 とくに、東京都小金井市、国分寺市、三鷹市、武蔵野市、埼玉県さいたま市、朝霞市、富士見市、千葉県千葉市中央区・美浜区、流山市、印西市、八千代市、柏市、習志野市、神奈川県横浜市中区・港北区、川崎市多摩区・宮前区、海老名市など、東京近郊で主要交通網の結節点にある市でその増加が高まっています。その一方で、東京都心区(千代田区、中央区、品川区、江東区など)で人口が増加している状況もみてとれます。
 これらの人口動向をまとめると、東京都区部の周辺区からの転出先として、隣接3県に移るパターンと、東京都心区へ移るパターンの2つが現れていることが推測されます。つまり、新型コロナの影響によって、人口の都心回帰と郊外へのドーナツ化の2つの現象が同時に起こっていることを物語っています。
 
  • TOPICS③ 東京23区の詳細分析
・日本人の減少区は江戸川区、葛飾区の2区のみ

 次に、東京23区内のそれぞれの区別に、2020年の人口増減の状況について分析していきましょう【図7、表4】。人口増減の総数でみると、2020年は東京都区部全体で2154人増と、2019年の8万3991人増と比べて増加数は大幅に低下しています。区別には、江戸川区3956人減、新宿区3221人減、豊島区2946人減をはじめ、13区で減少となっています。

図7図7

表4表4

 しかし、2020年の人口増減を日本人・外国人別にみると、外国人の減少が大きく影響を与えていることが分かります。日本人の人口でみれば、東京都区部全体で3万1248人増と、2019年の増加数と比べて約5割の減少にとどまっています。区別には、品川区5258人増、江東区5095人増、世田谷区3756人増など、21区で増加しており、減少しているのは江戸川区と葛飾区の2区のみに過ぎません。総数で大きく減少をみせた新宿区、豊島区は、外国人の減少が人口総数の減少につながったといえます。

・7~9月期以降、周辺区で日本人の減少が拡大。都心区では一貫して増加
 さらに、2020年の動向を四半期ごとにみていくと、日本人の人口も、感染拡大の第2波が訪れた7月以降は減少に転じている区が多くみられます。7~9月期には18区が減少に転じ、10~12月期になると20区が減少となっています。
 とくに、江戸川区、大田区、世田谷区、杉並区、板橋区などの区部周辺区では、日本人の人口の減少幅が拡大している状況がみられます。一方で、千代田区、中央区、台東区といった東京都心区では、すべての期で一貫して日本人の人口が増加し続けています【表5】

表5表5



ここまでの分析をまとめると、

① コロナ禍が吹き荒れた2020年でも東京都の人口は年間8600人(日本人は3万9493人)増加し、3万1125人の転入超過を維持した。
② 年齢階級別にみると、若年層の転入超過数が減少、30~40歳代では転出超過に転じたが、女性の方が男性よりも転入超過数が2.23倍多かった。
③ 東京都からの転出は、東京圏内の隣接3県に分散しており、人口の都心回帰と郊外へのドーナツ化の2つの現象が同時に起こっている。

ということができます。

 2020年の東京都は人口増、転入超過を維持しましたが、昨年冬から感染拡大第3波が猛威を振るい、1月に東京(1都3県)に発出された緊急事態宣言も延長、再延長を繰り返す結果となってしまいました。2021年の東京の人口動向がどのようになるかは、この春の進学、就職などによる東京への転入状況、そして新型コロナの感染の波がいつまで続くかがカギを握ることになりそうです。

<参考文献>
・総務省統計局統計調査部国勢統計課調査官 永井 恵子「統計Today No.168 新型コロナウイルス感染症の流行と東京都の国内移動者数の状況-住民基本台帳人口移動報告2020年の結果から-」2021年2月5日
・ニッセイ基礎研究所生活研究部人口動態シニアリサーチャー 天野 馨南子「新型コロナ人口動態解説(1)-対男性223%増、強まる東京都の女性偏在」2021年2月1日
 
  • 都市政策の専門家 市川 宏雄 所長による分析結果統括 ~働き方が変わっても東京圏を離れずに住まうことを選ぶ~
 新型コロナの発生によって、東京への人口集中が止まり、一極集中がこれで終わるのだという話がまことしやかに広がりました。3密を避けるためには東京を脱出し、地方への移住が増えるだろうと、マスコミでの報道が続きました。確かに、伊豆や房総の別荘地が活況を呈し始めたのはこの頃です。これが2020年の前半での人々の受け止め方だったとも言えます。ところが、東京都では5月に初めて人口が1400万人を超したのです。人口増加から漸減に向かうのは緊急事態宣言が終了した6月以降です。そして一年が終わってみると、それまでの年間8~9万人増加のペースではないものの、実は1万人弱の人口増加だったのです。

 それでは、それまでの年間8~9万人増加のペースだった人々はどこへ行ったのでしょうか。もちろん、地方に移った人もいますがその数は多くなく、大半は東京23区の外側、すなわち都下の多摩地域と隣接する神奈川、埼玉、千葉の郊外部に移ったのです。確かに、都心から50キロ圏を越す厚木などでの住宅購入や賃貸の問い合わせが増えたことは事実ですが、実際は小金井市、国分寺市、さいたま市、富士見市、千葉市中央区・美浜区、流山市、習志野市、横浜市中区・港北区、川崎市多摩区・宮前区など、東京近郊で主要交通網の結節点にあたるおおむね30キロ圏内への人口移動が起きました。東京23区への一極集中は一服したが、東京圏への一極集中状況は変わらなかったのです。

 だからといって、23区の人口が減少したわけではありません。都心区を中心に10区で人口が増加しました。都心区で人口が減少したのは、外国人の多い、新宿区、豊島区、港区でしたが、日本人の増加で見れば、21区で人口は増加しています。すなわち、コロナの感染を恐れることで人口の都心回帰現象が終わったわけではなく、新たに郊外へ人口移動が増えるという2つの現象が同時に起こっているのです。東京都への転入人口を年齢階層でみると、若年層(15~29歳)は転入が2割減ったものの依然として大半を占め、これに対して30~40歳代では転出超過に転じました。そして、女性の方が男性よりも転入超過数が2.23倍と多く、女性が男性よりも東京都に住み続ける傾向が強いことが改めて分かりました。

 コロナ禍でテレワークも普及し、この先、人々のライフスタイルと住まう場所の嗜好に変化が生まれることが予想されます。より柔軟な勤務体系で通勤の形態が変わる、サテライトオフィスやコワーキングスペースでの仕事が増える、もちろん在宅勤務も増えるなど、それぞれが新たな施設の整備を必要とします。しかし、それでも東京(圏)を住まいに選んだ人は、コロナ禍が去ったあとも、都心であっても郊外であっても、ほとんどの人が東京を離れずに住まうことを選ぶであろうことを、昨年一年間の人口動態が教えてくれています。
 
  • 取材可能事項
本件に関して、下記2名へのインタビューが可能です。
 

・氏名    :市川 宏雄(いちかわ ひろお)
・生年月日:1947年 東京生まれ(73歳)
・略歴   :早稲田大学理工学部建築学科、同大学院修士課程、博士課程(都市計画)を経て、カナダ政府留学生として、カナダ都市計画の権威であるウォータールー大学大学院博士課程(都市地域計画)を修了(Ph.D.)。一級建築士。現在、明治大学名誉教授、日本危機管理防災学会・会長、日本テレワーク学会・会長、大都市政策研究機構・理事長など要職多数。
 


・氏名    :金 大仲(きむ てじゅん)
・役職    :株式会社グローバル・リンク・マネジメント 代表取締役社長
・生年月日:1974年6月2日(46歳)
・略歴   :神奈川大学法学部法律学科卒業。新卒で金融機関に入社。30歳の時に独立し、グローバル・リンク・マネジメントを設立。



※ご取材をご希望の際は、グローバル・リンク・マネジメントの経営企画課までお問い合わせください。
 
  • 株式会社グローバル・リンク・マネジメント 会社概要
・会社名:株式会社グローバル・リンク・マネジメント
・所在地:東京都渋谷区道玄坂1丁目12番1号渋谷マークシティウエスト21階
・代表者:代表取締役社長 金 大仲
・設立年月日:2005年3月
・資本金:516百万円(2020年12月末現在)
・業務内容:投資用不動産開発、分譲、賃貸管理、マンション管理、仲介
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