国民の56%が「原爆投下は正しかった」と答える米国を舞台に、高校生が「原爆の是非」を徹底討論。『ある晴れた夏の朝』に英語版が登場
小手鞠るいさん小説の英語版『On A Bright Summer Morning』を刊行
書籍詳細:https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784030191303
- 『ある晴れた夏の朝』とは
『ある晴れた夏の朝』は、米国在住の作家・小手鞠るいさんによる2018年7月刊行のYA小説です。2019年の小学館児童出版文化賞を受賞しました。また、第65回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書〈中学生部門〉にも選出され、現在累計7万部以上を発行しています。
アメリカの大手民間調査機関ピュー・リサーチ・センターが2015年に行った世論調査によると、アメリカ人の56%が現在も日本への原爆投下を正当化しています。本書は、原爆が先の戦争を終わらせたという意見が根強い米国を舞台に、8人の高校生が「原爆の是非」について行うディベートの様子を描く小説です。
肯定派、否定派、それぞれのメンバーは、日系アメリカ人のメイ(主人公)をはじめ、アイルランド系、中国系、ユダヤ系、アフリカ系と、そのルーツはさまざま。ディベートの議論の内容は、原爆のみならず、真珠湾攻撃、日中戦争、ナチズム、アメリカマイノリティなどにも話が及びます。一方が説得力のある主張をしても、もう一方も反論の余地のないほど鋭い切り込みを入れる。そのやりとりを追いながら、必然的に読み手もディベートの9人目のメンバーとして、深く考えさせられる構成になっています。
戦争を知らない若い世代に、対戦国であったアメリカのいまの若者たちの姿を通して、客観的に先の戦争について、人類がめざすべき平和について、考えるきっかけを与える小説です。
- 英語版の刊行について
本書の英訳の目的を小手鞠さんは、「原爆は悪であり、悲劇であるということ。そして、原爆が投下されるまでの過程を世界中の若者に知ってほしい」と語っています。
日本人作家による、アメリカ側の視点で描かれたこの稀有な物語を、英訳でさらに広く読んでいただけたらと思います。
- 著者紹介
1956年岡山県生まれ。同志社大学卒業。小説家。詩とメルヘン賞、海燕新人文学賞、島清恋愛文学賞、ボローニャ国際児童図書賞などを受賞。2019年には『ある晴れた夏の朝』(偕成社)で、子どもの本研究会第3回作品賞、小学館児童出版文化賞を受賞。主な作品に『エンキョリレンアイ』『きみの声を聞かせて』『アップルソング』『思春期』『初恋まねき猫』『放課後の文章教室』『空から森が降ってくる』など多数。1992年に渡米、ニューヨーク州ウッドストック在住。
グレン・サリバン
1962年アメリカ・ハワイ州生まれ。イェール大学哲学科卒業。 1984年に来日した後、『日本語ジャーナル』 の英文編集及び英訳監修を担当。1992年に帰米し、 コーネル大学大学院でアジア文学を履修。 主な著書に『英語で読む 源氏物語』(全2巻)、翻訳書に 『英語版 佐賀のがばいばあちゃん』など がある。
- 書籍詳細
『On A Bright Summer Morning』
作: 小手鞠るい
訳: グレン・サリバン
定価1,650円(本体価格1,500円)
判型: 20cm×14cm
ページ数:164ページ
対象:中学生から
初版:2021年8月4日
書籍詳細:https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784030191303
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