水辺の傷病者の社会復帰を確実にするために、ライフセーバーの救助救命技術向上と公的救助機関との連携を確認する『シミュレーション審査会』を開催。
もしもの事故に対し、適切かつ迅速な救助救命により確実に生命(いのち)のバトンをつなぐ。水辺のファーストレスポンダーとしてのライフセーバーの活動意義を考える

公益財団法人日本ライフセービング協会(=JLA、東京都港区、理事長/入谷拓哉)は、2025年11月2日(日)に、海の公園(神奈川県横浜市)で第10回シミュレーション審査会を実施したしました。
シミュレーション審査会とは
早期発見から医療機関への引継ぎ連携まで
ライフセーバーの海水浴場における監視活動中に発生する、あらゆる水難事故・傷病を想定し、ライフセーバーの救助救命技術の向上やライフセーバー間の技術共有だけでなく、公的救助機関との高度な連携を図ることで、傷病者の社会復帰を確実にすることが、この審査会の実施目的です。また、実施者・審査員が共に学び、成長できる機会にするとともに、審査会を通じて、各地のライフセーバーと公的救助機関との連携促進をめざしています。
実施内容
海水浴場に想定された決められたエリア内で、あらかじめ想定された有事に対し、監視活動をしているライフセーバーとしてチームで対応する様子を審査します。チームは監視長1名と監視員5名の合計6名とし、制限時間は12分間。監視業務中、遊泳客がいる中で起こる有事に対し、その日の海のコンディションや環境に合わせて、リーダー(監視長)のもと、どのように適切に対応するのかが求められます。
審査員は日本ライフセービング協会のメディカルダイレクター、スーパーバイザー、役員、専門委員、選抜された有識者の他、ゲストとしてお迎えした海上保安官、消防隊員のみなさんも加わりました。
主な審査項目:①継続監視要領 ②的確な観察要領 ③監視員連携要領 ④救急隊への引継要領 ⑤観衆への対応要領 ⑥監視長の指揮要領 ⑦資器材の適正な取扱要領 ⑧周囲状況を考慮した対応要領 ⑨接遇要領 ⑩関係者の対応要領 ⑪観察・救護要領



2025年 主管 救助救命本部所管
第10回目の審査会実施に伴い、早い時期から準備して下さった係員をはじめとし、当日は各行政の皆様のご支援及び、審査員やエキストラの過分なご支援があって、大きな学びの場として成果を上げることができました。更には、多くの企業の皆様からご支援があるからこそ、継続できると深く感謝しております。この事業から得る技術の向上は、我々ライフセーバーのためではなく、多くの水辺利用者にとって安心安全な環境作りの一助になっていると確信しています。
審査会の狙いは、傷病者のいる現場からの情報が監視長に明瞭簡潔に伝達され、適切な観察・優先順位の選択が、早期119番通報や、早期CPR開始などの時間短縮にあります。この技術の向上は、有事対応時だけでなく、監視業務を含む、すべての行動時にもチームとして必要不可欠な連携能力です。
消防白書によると、救急車の到着時間の全国平均は約10.3分、医療機関までの到着時間の全国平均は、現場到着所要時間が約9.4分、病院収容所要時間は約45.6分 になります。
救急隊が現場に到着してから、通報者や目撃者から状況説明を受け、傷病者自体の病歴や、事故に至った経緯、傷病者自体の氏名などの個人情報、バイタルなどを聴取し始めたのでは、医療機関までの到着時間は長くなる一方です。
現場にいるライフセーバーからの早期の119番通報は言うまでもありませんが、救急隊到着前にライフセーバーができることを実施し、救急隊が到着後に現場を早期出発できるように、情報を聴取することや、救急車に同情するなどの関係者の確保、傷病者自身の荷物の確保、救急隊の誘導など、医療機関搬送までのリレーの一員として、挑戦することで、上記に示した「病院収容所要時間は約45.6分」が40分を切るなど時間短縮に大きな貢献があり、傷病の軽減や、社会復帰率向上に寄与できると考えます。
今後とも皆さんと共に、高い誇りを持って活動できるよう、邁進していきますので、どうかお力添えの程宜しくお願いいたします。
(救助救命本部 副本部長/菊地 太)

ライフセーバーの活動
海水浴場をはじめとする水辺の監視活動の一番の目的は、事故を未然に防ぎ、安全安心な水辺をマネージメントすることです。しかし、もしも事故が起こってしまった時、場合によっては生命(いのち)を失うかもしれない有事に対して、その生命(いのち)のバトンを医療機関まで確実につなぐ必要があります。そのため、ライフセーバーの監視活動において、日頃の知識・技術・体力の向上とともに、活動現場や地域での連携は不可欠です。
あらゆる想定に対してシミュレーションすることは、大切なトレーニングの一つとなります。さらに、他の地域やクラブで活動するライフセーバーと切磋琢磨することで、多くのパターンを学べます。また、この審査会のように、実際の公的機関の皆様にご協力いただくことで、リアルに近い緊迫感と、想像を超えた実地に近い訓練となっています。これからもこのような公的機関の連携とともに、地域に根付いたライフセーバーの活動にご注目ください。
開催概要
■主催■
公益財団法人 日本ライフセービング協会
■後援■
海上保安庁、消防庁、神奈川県、横浜市、公益財団法人横浜市緑の協会
■協賛■
味の素株式会社、ソニー生命保険株式会社
■協力■
第三管区海上保安本部・横浜海上保安部、横浜市消防局金沢消防署
株式会社櫻井興業、株式会社ピースフル、
神奈川県ライフセービング協会、横浜海の公園ライフセービングクラブ、
東京消防庁ライフセービング部会
■参加チーム■
勝浦ライフセービングクラブ(千葉県)
鎌倉ライフガード(神奈川県)
西浜サーフライフセービングクラブ(神奈川県)
大洗サーフライフセービングクラブ(茨城県)
銚子ライフセービングクラブ(千葉県)
南伊豆ライフセービングクラブ(静岡県)
大竹サーフライフセービングクラブ(茨城県)
逗子サーフライフセービングクラブ(神奈川県)
鹿嶋ライフガード(茨城県)
波崎サーフライフセービングクラブ(茨城県)
横浜海の公園ライフセービングクラブ(神奈川県)
*実施順

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