EVを「走る蓄電池」として活用し、マンションでのBCP機能を実証。レジル独自のメカニズムで、停電時自動切り替えによる電力供給に成功!
〜災害時にも共用設備へ最大48時間の給電が可能に。レジリエンス向上に寄与〜
「脱炭素を、難問にしない」をミッションとして掲げるレジル株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:丹治保積、以下「当社」)は、この度、Moplus株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:柳瀬賢、同COO:中川和明 、以下「Moplus」)と連携し、EVとV2Xシステム(※1)を活用したマンションでのBCP機能としての有用性についての実証(以下「本実証」)と、データ計測実験(以下「本実験」)を行いました。本実証の結果、当社独自のメカニズムにより、停電時に電源供給を自動で切り替え、EVキャラバンからマンションに給電することに成功しましたので、本実験の結果と併せてお知らせします。

◾️本実証・本実験の内容と結果について
当社は2025年5月に、日産自動車と三菱商事の合弁会社であるMoplusと協業を開始し、「走る蓄電池」として機能するEVオンデマンドバスの社会実装に向けた実証運行を実施しています(※2)。
本実証は、オンデマンドバスとして使用しているEVキャラバン車両の、災害時を想定した非常用電源としての有用性を検証したものです。また、本実験は今後のサービス設計への活用を見据え、EVキャラバン車両及び使用設備の実環境における稼働範囲のデータ計測を目的として行いました。
<実証・実験内容>
・実証概要:EVキャラバン車両1台と三相のV2Xシステムを活用し、停電時にEVからマンションの特定負荷(※3)に対する給電が自動的に行われるか、当社独自メカニズムについて技術的に実証したもの。
・実験概要:EVキャラバン車両1台からの給電による、設備の稼働範囲として以下2点を計測したもの。
①災害時に住民の拠点となる集会室の電灯とコンセントを何時間継続使用できるか。(理論値の算出)
②出力10kWのV2Xシステムを介した場合、エレベーターをどの程度稼働させられるか。(設備要件の確認)
・実施場所:ルネ・アクシアム(千葉県船橋市、総戸数:723戸[含テナント]、階建:14階建)
・使用車両:日産「キャラバン」を改造したバッテリーEV。バッテリー容量は62kWh。
・使用システム:アイケイエス社製 三相V2Xシステム「I_DENCON」。出力は10kW。
・エレベーター仕様:定員9名、積載質量600kg、定格容量5kW。ロープ式。
<実証・実験結果>
・実証:停電時の電力供給の自動切り替えについて
当社が独自に設計したメカニズムを用い、停電を検知してから約60秒後に、EVから特定負荷(本実証においてはマンション集会室の電灯とコンセント)への電力供給を自動で行い、点灯させることに成功。停電が解消された後の復電についても自動で切り替わることを確認。
・実験①:集会室の継続利用について
EVのバッテリー残量が94%の状態でV2Xシステムを介してマンションに接続し、集会室に給電。30分間の使用の結果、バッテリー残量が1%減少。EVのバッテリーは満充電時96%に達するため、理論値で最大48時間にわたり集会室の電灯とコンセントを継続利用できることを確認(※4)。
・実験②:エレベーターの稼働について
V2Xシステムを介してEVとマンションを接続し、エレベーターに給電。エレベーター1基について、無人状態で実験し、1階〜4階の1往復稼働と1〜10階の片道稼働に成功。10kWの出力では高層階までの往復稼働には至らないものの、V2Xシステムの増設や出力増強により実現の可能性があることを確認。
◾️V2X活用の背景と今後の展望
気候変動の影響で災害が激甚化し、また大規模な地震も増加するなか、生活者が自ら災害に備える必要性が高まっています。避難所の不足も懸念される昨今、堅牢な構造物であるマンションにおいては災害時に自宅に留まる「在宅避難」が推奨されており、各世帯での食料等の備蓄に加え、マンション全体のBCP対策を想定した共用設備として蓄電池の有用性が注目されています。また蓄電池は、再生可能エネルギーの不安定な発電量に合わせて需要を調整し、電力供給網全体の安定性に寄与する重要な役割を担うものです。再生可能エネルギーのさらなる普及拡大に向けて、蓄電池の社会実装が求められています。
一方で、特に建築済みのマンションにおいては、蓄電池の設置スペースの確保が課題となるケースも一部で発生しています。こうしたことから当社は、平常時はモビリティとして機能するEVを「走る蓄電池」として防災対策にも活用する新たなサービスの開発に取り組んでおり、「EVオンデマンドバス」はその一環です。本実証は、当社が初めてマンションにV2Xシステムを設置してEVを接続したものであり、この結果を踏まえ、防災対策としての機能性をさらに向上させるべくサービスの改善に取り組みます。
なお、本実証の次のステップとして、2025年7月以降に、電力のピークカットやピークシフト(※5)などを通じて電気料金の低減を目指すエネルギーマネジメントとEVオンデマンドバスサービスの両立に関する実証を行う予定です。
当社は引き続き、様々なパートナーと連携し、生活者の利便性や安心感の向上に繋がるサービスを提供しながらエネルギーマネジメントに取り組み、脱炭素社会実現へのさらなる貢献を目指します。
※1:V2X(Vehicle to X)とは、車両と様々なものとの間の通信や連携を行う技術のこと。本実証で用いるシステムは、車両とマンションの建物とを繋ぎ、充放電を制御する。
※2:Moplus株式会社との協業及びEVオンデマンドバス運行の実証について
※3:特定負荷とは、停電時に蓄電池やEVのバッテリーから給電する対象として予め指定しておく回路のこと。給電対象を限定することで、非常時に長時間電力を維持することが可能となる。
※4:本実証における結果であり、特定負荷として指定する設備の消費電力によって給電可能時間は異なる。
※5:ピークカット、ピークシフトともに、電気料金の削減を目指す取り組み。ピークカットでは、電力需要が最も高くなる時間帯(ピーク時)の電力使用量を抑えることで契約電力を小さくし、基本料金の上昇を防ぐ。ピークシフトでは、電気料金が高いピーク時の使用を控え、その分を電気料金が安い時間帯に使用することで電力量料金の上昇を防ぐ。
■レジル株式会社について
レジルは「結束点として、社会課題に抗い続ける」をパーパスに掲げています。30年間の事業運営で培った電力に関する知見にテクノロジーを掛け合わせ、エネルギーの最適制御を通じて脱炭素社会の実現に貢献します。
「脱炭素を、難問にしない」というミッションのもと、分散型エネルギー事業、グリーンエネルギー事業、エネルギーDX事業の3事業を展開し、企業や生活者、さらには自治体にとって便利で安心な選択肢であると同時に、無意識に脱炭素に貢献できるサービスを提供しています。
■企業情報
会社名:レジル株式会社(証券コード:176A)
代表者名:代表取締役社長 丹治保積
本社所在地 :東京本社 東京都千代田区丸の内1-8-1 丸の内トラストタワーN館 14階
設立日:1994年11月21日
資本金:3.9億円(2024年12月末時点)
会社HP:https://rezil.co.jp
事業内容:
【分散型エネルギー事業】集合住宅への電力供給及び分散型電源の開発
【グリーンエネルギー事業】法人への再生可能エネルギーを主体とした電力供給
【エネルギーDX事業】エネルギー事業者へのBPO及びSaaSの提供を通じたDX支援
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