TNRの動向と実情、今後の展望をまとめた「ノラネコ白書」を刊行
【刊行の目的】
発情期の鳴き声、糞尿や置き餌による衛生環境の悪化等、飼い主のいない猫に起因するさまざまなトラブルは、今も昔も大きな社会問題となっています。これまで、問題解決のために数多くの飼い主のいない猫が殺処分によって命を奪われてきましたが、長年続けてきた殺処分によってこれらの社会問題が解決することはなく、近年の動物愛護意識の高まりをうけ、殺処分ではなく繁殖を抑制して共存する「TNR(※1)」によって解決を目指す方向に変わりつつあります。
公益財団法人どうぶつ基金は、保健所等の行政による犬や猫の殺処分ゼロを目指し、不幸な命を減らすため、飼い主のいない猫に無料で不妊手術を行う「さくらねこ無料不妊手術事業(図1参照)」を行っています。全国の協力病院で使用できる無料不妊手術チケットを発行し、チケットを持って猫を協力病院に持ち込むと無料で不妊手術を受けることができるという仕組みで2005年に始まり、2023年度末にはこの事業によって不妊手術済みとなった「さくらねこ (※2)」は33万頭を超えました。
この事業には、数多くの動物病院の他、協働ボランティア(※3)として、自治体、ボランティア団体、個人ボランティアが参加しています。どうぶつ基金では、毎年すべての協働ボランティアにTNRに関するアンケートを実施しており、今回、このアンケート結果に基づいて「ノラネコ白書」を刊行しました。
TNRに関するデータや事例を広く紹介することで、本白書がTNRに対する理解を深めるものとなり、また、猫問題の対策に悩む自治体の一助となることを目的としています。
※1 Trap(猫を捕獲して)、Neuter(不妊手術を行い)、Return(元の場所に戻す)の略。
※2 不妊手術済みで耳先を桜の花びらのように V カット(さくら耳)した猫。
※3 「さくらねこ無料不妊手術事業」の趣旨に賛同して本事業に参加し、どうぶつ基金と連携して活動する自治体、ボランティア団体、個人ボランティアのこと。
【ノラネコ白書 目次】
「ノラネコ白書」の目的
調査概要
調査の目的
調査の概要
公益財団法人どうぶつ基金について
調査内容 一般枠
1.一般枠ボランティアの属性
2.アンケート対象者
3.アンケート結果
調査内容 団体枠
1.団体枠ボランティアの属性
2.アンケート対象団体
3.アンケート結果
調査内容 行政枠
1.行政枠ボランティアの属性
2.アンケート対象団体
3.アンケート結果
調査内容 多頭飼育救済枠
1.多頭飼育救済枠とは
2.アンケート対象者
3.アンケート結果
動向分析
現状の課題・将来の展望について
今後とるべきアクション
事例紹介
・三重県
・熊本市
・宮崎県
・沖縄県
・奈良市
飼い主のいない猫対策のこれまでの歩みと今後
参考資料
TNR活動への理解促進と積極的な取り組みを促すため、地方自治体(都道府県・指定都市・中核市)で動物愛護管理行政を担当する129組織に「ノラネコ白書」を進呈するとともに、日頃の活動の参考としていただくため、どうぶつ基金と連携して活動する自治体や事業に協力いただいている動物病院にお届けしました。また、公式サイトからもダウンロードいただけます。
「ノラネコ白書」ダウンロードはこちら
https://www.doubutukikin.or.jp/wp-content/uploads/2024/10/ea5464e54b400bfaaab1fe6348477c04.pdf
本白書がTNRに対する理解を深め、猫問題の対策に悩む自治体の一助になることを、ひいては一代限りの命を懸命に生きる「さくらねこ」や地域猫、そして不妊手術を待つ飼い主のいない猫に温かい眼差しが向けられる社会へ繋がるきっかけとなることを願っております。
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