デジタルアイデンティティと生体認証を活用し、ホテルや会員制施設のDXを推進
新型コロナウイルスの陰性証明、ワクチン接種証明や会員証など、各種証明の提示を一括で行う、手ぶらチェックインの実証実験を都内ホテルで実施
株式会社日立製作所(以下、日立)は、ホテルや会員制施設のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に向け、デジタルアイデンティティ*1と生体認証を活用した実証実験を実施しました。具体的には、2月14日~2月28日に都内ホテルにて、実証への協力に同意した日立および日立グループの従業員延べ50名を対象に、チェックイン時に、新型コロナウイルスの陰性証明やワクチン接種証明、会員証、予約情報といった、複数の提示・確認プロセスを、生体認証でまとめて行うことによる効果検証を行いました。実証の結果、通常のチェックイン時間と比較して一人当たりのチェックイン時間を40秒以上短縮できるなど、書類やカード、スマートフォンなどを提示せずに手ぶらで各種証明書の提出を可能にするUX(ユーザーエクスペリエンス)の向上と、業務効率化の両方を実現できることを確認しました。
今後、デジタルアイデンティティと生体認証を組み合わせた新たなサービスの事業化に向けて検討を進めるとともに、ホテルや会員制施設をはじめとする幅広い業種との実証を重ねながら、顧客体験価値の向上をめざす、さまざまな業界のDXを加速します。*1デジタルアイデンティティ:個人の証明書情報や、属性情報などのアイデンティティ情報が電子化されたもの。本文中では、システム上に登録されている、デジタル化された個人に関する情報を総称してデジタルアイデンティティと表記。
■本取り組みの背景
新型コロナウイルスの影響で、利用者が減少しているホテル業界や会員制施設では、利用者が安心して施設を利用できるように、PCR陰性者プランやワクチン接種者プランなど、利用者の安全に配慮したプランを提供するサービスが増えています。一方、チェックイン時には、通常の会員情報や予約情報の確認もあるため、複数の確認事項やプロセスが発生し、ホスピタリティの観点で手間や対応時間の増加が課題となっています。
そこで日立は、デジタルアイデンティティと生体認証を用いて、会員証、PCR陰性証明、ワクチン接種証明などのさまざまな証明書をまとめて表示することで、利用者は証明書を持ち歩かなくとも手ぶらでチェックインでき、スタッフ側も確認の手間がなくなり、両者にとってメリットがあると考えました。また、証明書自体をデジタル化し生体情報に紐づけることで、書類やカード自体の発行が不要になるため、ペーパーレスや脱プラスチックなど、SDGsを意識した施策を推進する企業にとってもニーズがあると考えています。
■本取り組みの概要・特徴(事前登録からチェックインまでの流れ)
今回、チェックイン時に提示する各種情報と生体情報を予め登録し、チェックイン時は指をかざすだけで手ぶらで本人確認と各種証明書の提示が可能になることの効果検証を行いました。
ワクチン接種証明や会員証など、チェックイン時に表示したい各種証明書情報と、生体情報(本実証では指静脈を採用)を事前登録し、日立が開発中のデジタルアイデンティティプラットフォーム*2上で証明書情報と生体情報を紐づけ、チェックイン時には、フロントの認証装置*3に指をかざすだけで本人確認ができ、生体情報に紐づけられたデジタルアイデンティティの情報がまとめて表示されます。
*2デジタルアイデンティティプラットフォーム:日立にて実証中の、デジタルアイデンティティの自己主権型管理を可能にするプラットフォーム。各種デジタルアイデンティティの登録、提示を行う機能を持つ。商用サービス化に向けて、現在検討中。
*3 本実証では、非接触で指静脈認証が可能な「日立指静脈認証装置 C-1」を利用。
<登録時>
<チェックイン時>
デジタルアイデンティティプラットフォームでは、3回目以降のワクチン接種登録や、最終接種やPCR検査からの有効期限の設定を行うことができ、システムを利用したい企業のポリシーや、国ごとの基準の違いに対応することが可能です。また、デジタルアイデンティティを生体情報と紐づけることで、書類やカードなどのリアルな媒体を介したやり取りをなくすことができ、コロナ禍での安心・安全な証明書提示を実現します。
また、生体情報の登録時に、各種証明書を本人確認書類とともに確認するため、ホテル側では表示された情報の真正性の確認をする必要がなく、信頼された情報として閲覧が可能です。さらに、日立独自の公開型生体認証基盤PBI*4を活用しているため、生体情報そのものを保管せず、復元できない形に暗号化することで、利用者は安心して生体認証を利用することができます。
なお、今回の実証では、指静脈を利用したチェックインだけでなく、デジタルアイデンティティの分散型管理をめざした標準化団体であるAccountable Digital Identity Association(以下ADIA) *5の仕様に準拠した、スマートフォンアプリを利用したチェックインも行っており、同様のチェックイン時間の短縮効果が確認できました。
*4 PBI(Public Biometric Infrastructure):指静脈や顔、虹彩などの生体情報を安全に扱うことを可能にする日立独自の認証技術。認証装置で読み取った生体情報そのものを保管するのではなく、暗号化して復元できない形に変換するため、万が一、システム上のデータが漏えいしたとしても、生体情報を悪用することは不可能で、プライバシーの保護と高度なセキュリティの両立を実現。本実証では、PBIを用いた生体認証統合基盤サービスを利用。
*5 ADIA(Accountable Digital Identity Association):日立がボードメンバーとして参画している分散型アイデンティティ管理の標準化団体。ブロックチェーンに基づくグローバルADIAプラットフォームを用いて、信頼のおけるアイデンティティ証明を誰もが容易に所有できるようにし、福祉、健康保険、教育や経済インフラといった各種団体の提供するサービスに確実にアクセスする手段を提供。
■今後の展望
今後、日立は、協力企業を幅広く募り、レストラン、スパ、フィットネス、プール、宴会場など、ホテルや各種会員制施設のさまざまなシーンへの活用を進めながら、デジタルアイデンティティプラットフォームのサービス化をめざします。また、証明書や会員証だけでなく、アレルギー食材や苦手な食材の表示、ポイントカードや決済との連携なども推進し、飲食、小売、アミューズメント、交通など、幅広い業種において、デジタルアイデンティティと生体認証を活用したDXを推進します。
■本実証に関連した日立のこれまでの取り組み
デジタル化が一層進む社会では、本人確認手法として、生体認証の活用が進んでいます。その一方、生体認証は破棄や変更ができない生体情報を利用するため、その活用には高い信頼性の確保が必要です。
こうした生体認証の課題を解決すべく、日立は、長年、生体情報をセキュアに集中管理し、安全かつ確実な本人認証を可能にするPBIを中核技術とし、生体認証の普及に向けた技術開発やサービス提供に取り組んでいます。PBIを用いた生体認証を導入することで、テーマパークやスポーツジムといった会員施設内での受付から、ロッカーの使用、飲食や買い物の精算まで全てを安全に手ぶらで行うことができ、さまざまな場面での利用が可能となります。PBIはすでに飲食店での決済やゴルフ場の受付、ワクチン接種証明の本人確認、地域商品券の利用・決済など、幅広い領域や用途で活用が進められています。
■日立製作所について
日立は、データとテクノロジーで社会インフラを革新する社会イノベーション事業を通じて、人々が幸せで豊かに暮らすことができる持続可能な社会の実現に貢献します。「環境(地球環境の保全)」 「レジリエンス(企業の事業継続性や社会インフラの強靭さ)」 「安心・安全(一人ひとりの健康で快適な生活)」に注力しています。IT・エネルギー・インダストリー・モビリティ・ライフ・オートモティブシステムの6分野で、OT、ITおよびプロダクトを活用するLumadaソリューションを提供し、お客さまや社会の課題を解決します。2020年度(2021年3月期)の連結売上収益は8兆7,291億円、2021年3月末時点で連結子会社は871社、全世界で約35万人の従業員を擁しています。
詳しくは、日立のウェブサイト(https://www.hitachi.co.jp/ )をご覧ください。
■お問い合わせ先
株式会社日立製作所 セキュリティイノベーション本部 認証ソリューション部
https://www.hitachi.co.jp/products/it/veinid/inquiry
以上
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