【岐阜県飛騨市】イノシシやサルなどの被害に「飛騨市鳥獣被害対策サポートセンター」がワンストップで相談から解決まで。地域と連携し、野生動物被害に立ち向かう
森と生きるまち・岐阜県飛騨市では飛騨市鳥獣被害対策サポートセンターの運営を強化。深刻化する鳥獣被害に専門性と地域密着で挑んでいます。
岐阜県飛騨市(市長:都竹淳也)では、クマの目撃が増加、イノシシやサル、シカなど野生動物による農作物や生活環境への被害が深刻化しています。そうした課題に対応するため、「飛騨市鳥獣被害対策サポートセンター」を運営強化。被害の現場に寄り添いながら、地域と行政が連携して対策を進めています。

飛騨市鳥獣被害対策サポートセンターの必要性
岐阜県北部に位置する飛騨市は、総面積の約93%を森林が占める自然豊かな地域です。
古くから人々は、豊かな自然の恵みを受けながら、森林を手入れし、里山と共に生きる暮らしを営んできました。一方で、野生動物との共生という課題も浮き彫りになっています。かつて人と動物の生活圏を分けていた「緩衝帯」は、手入れ不足により荒廃。境界があいまいになることで、クマの目撃情報は増加。イノシシやサル、シカといった野生動物の出没が相次ぎ、農作物や生活環境への被害が拡大しています。2023(令和5)年度には、神岡町内や周辺自治体でもクマによる人身事故が発生しており、市民生活の脅威となっています。
有害鳥獣による深刻な農業被害や家屋侵入等の生活被害の発生に伴い、 有害鳥獣対策の重要性は年々高まっています。そうした被害に対する総合的な相談体制の整備ときめ細やかな支援が必要です。
有識者の指導の下、 知見やデータを活かしながら、集落に合った具体的な防除の手法等に関する助言・提案と、きめ細やかな支援を行っています。あわせて、被害の未然防止として有効な有害鳥獣を誘引する果樹の伐採などの集落環境の整備や集落等が行う野生獣の追い払い活動に対する新たな支援を行うことで、有害鳥獣による被害抑制を図ります。

イノシシ被害が顕著、クマ・サルの目撃増加
特にイノシシによる農地や水路の掘り起こし、農産物の食害は市内全域で発生。また、サルによる果樹や野菜の被害、さらには住民への接触リスクも高まりつつあります。
近年ではシカの目撃や捕獲件数も急増し、対応が急務となっています。

イノシシ、サル、シカ…拡がる被害、ワンストップできめ細やかな支援
市では、飛騨市鳥獣被害対策サポートセンターの運営強化を行い、ワンストップで相談から解決までを目指します。

古川町に住む小林さん一家は、イノシシによる自宅敷地内の掘り起こし被害を受け、初めてセンターへ相談しました。連絡後すぐに鳥獣管理士の原田大輔氏が現地を訪問。光と音で動物を追い払う撃退器の貸出から始まり、必要に応じて電気柵の設置や今後の対策提案など、実情に即した丁寧な支援が行われました。
「被害を完全に防ぐのは難しいけれど、相談できる場所があるだけでも心強い」「話を聞いてもらえただけで気持ちが楽になった」と小林さんは語ります。鳥獣害対策は単なる技術対応ではなく、精神的なケアや地域全体の意識共有も重要です。
原田氏も「個人の孤立した対応では限界がある。情報を共有し、地域で連携してこそ効果が出る」と話します。
サポートセンターへの年間相談件数は令和5年度は50件、令和6年度は98件と増加傾向です。センターでは、イノシシやシカ、サルなどの生態に合わせた多様な対策提案のほか、補助制度や機材貸与の案内、集落単位での相談支援まで幅広く対応しています。
飛騨市鳥獣被害対策サポートセンター
飛騨市鳥獣被害対策サポートセンターでは、集落・個人からの鳥獣対策の相談に対し、加害獣の特定や被害地の調査、具体的な防除方法の助言・提案などを行い、皆さんが行う鳥獣対策を支援します。
お気軽にお問い合わせください。
まずはお電話でご相談ください。
【対象相談】
・鳥獣による被害を受けたけど、どんな対策をしたらいいの?
・農地や家の周りに鳥獣が来ているけど、何の動物か分からない…
・農地に電気柵を設置したいけど、補助金はあるの?
・集落全体で対策を行いたいけど、何から対策をしたらいいの?
飛騨市鳥獣被害対策サポートセンター:詳細ページ


地域一丸で立ち向かう鳥獣被害対策~専門性と地域密着で挑む

飛騨市神岡町で広がる市民主体の取り組み
近年、飛騨市神岡町下小萱地区では、サルの目撃件数が増加し、果樹や農作物への被害が深刻化しています。こうした状況を受けて、地域の有志住民たちが立ち上がり、鳥獣害対策に本格的に取り組み始めました。
住民グループは、専門家を招いた勉強会や現地での野外調査を実施し、野生動物の行動や生態を学びながら、被害防止に向けた知見を共有。さらに、飛騨猟友会神岡支部とも連携し、地域全体への啓発と協力体制の構築を進めています。
「被害を減らすだけでなく、地域の絆を深めるきっかけにもなっている」と話す住民もおり、単なる防除にとどまらず、地域力の再生にもつながる取り組みとして注目が集まっています。

被害を“見過ごさない”という決意
飛騨市神岡町下小萱地区では、7〜8年前からイノシシによる農作物被害が顕著になり、地域では電気柵の設置など対策に取り組んできました。しかし、一昨年には高校生がサルに襲われる事件も発生。お年寄りが丹精込めて育てた野菜を奪われる姿を目の当たりにし、「このままではいけない」と住民の有志8人が立ち上がりました。
彼らは昨年11月、専門家を招いて勉強会を開催。野外を歩きながら、地域内の植生や荒れ地の位置、野生動物の目撃情報を地図にまとめ、状況を可視化しました。その情報をもとに、土地や木の所有者に収穫時期の調整や草木の伐採をお願いし、放置された耕作地の環境整備にも着手。高齢化や過疎により田畑の維持が困難な場所では、補助事業を活用して除草・伐採作業を実施しています。
メンバーの多くは日中仕事を持つ会社員。限られた時間のなかでの活動は簡単ではありませんが、市や飛騨猟友会の協力を得ながら、地道な取り組みを続けています。
「被害のある場所・ない場所、関心の温度差はどうしてもある。だからこそ地域全体で連携しなければ意味がない」と語るメンバー。個人の力では限界がありますが、地域で情報を共有し、連携して対応することで初めて効果が見えてきます。
こうした「水際で被害を食い止めている現場」があることを知ってもらい、持続可能な共生と暮らしを守るために、これからも地域ぐるみでの対策を呼びかけていきます。

飛騨猟友会神岡支部の挑戦と現場からの呼びかけ
「飛騨猟友会神岡支部」は現在35名の隊員が所属し、市や地域住民からの依頼を受けて野生動物の捕獲・対策に取り組んでいます。イノシシやシカ、そして近年急増するサルなどへの対応が求められる中、同支部は日々わなを仕掛け、山間地に足を運んで活動を続けています。
しかし現実は厳しく、隊員の多くが本業を持つ中で、毎日のわなの見回りや急な依頼に対応できるのは、ごく限られたメンバーにとどまっています。さらに、猟銃の所持や使用に関する法的な制限が年々厳しくなっており、運用の難しさも増しています。
特に最近問題となっているのがサルによる被害です。かつてこの地域には見られなかったサルが、個体数の増加により群れを分散し、神岡町周辺にも出没するようになりました。繁殖力が非常に高く、豊かな自然環境の中で食べ物に困らず、もはや人間を恐れずに行動する個体も多く見られます。
サルの捕獲には、行動パターンの把握が不可欠です。そのため、目撃した時間や場所、侵入経路など、地域住民からのリアルタイムの情報が極めて重要です。猟友会では、昨年10月にサル専用の捕獲檻を設置し、本格的な対策に乗り出しました。
また、周囲の草木を刈り、動物が隠れられない環境を整えることも効果的です。さらに、軒先に食べ物を干さない、爆竹などによる一斉追い払いの実施など、住民一人ひとりの協力が被害軽減につながります。
飛騨猟友会神岡支部は、単なる駆除だけではなく、地域ぐるみでの“鳥獣害と向き合う体制づくり”を目指しています。

問い合わせ先
飛騨市役所 林業振興課
TEL 0577-62-8905
岐阜県飛騨市
飛騨市は、人口約21,500人の小さな市で、周囲を北アルプスなどの山々に囲まれ、総面積の約93%を森林が占めるなど豊かな自然に恵まれたまちです。また、豊富な自然資源のほか、ユネスコ無形文化遺産である古川祭・起し太鼓、ノーベル物理学賞の受賞に寄与した「スーパーカミオカンデ」を始めとする宇宙物理学研究施設、大ヒットアニメ映画「君の名は。」のモデル地となった田舎町の風景など、多彩で個性豊かな地域資源の宝庫です。
飛騨市公式サイト https://www.city.hida.gifu.jp/
飛騨市公式観光サイト https://www.hida-kankou.jp/
PRTIMES飛騨市ページ https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/120394
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