ispace EUROPE、欧州宇宙機関支援の月探査ミッション「MAGPIE」においてMission Definition Review(MDR)を完了

欧州初、月の極域資源探査ローバーの開発が次フェーズへ

株式会社ispace

 株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)(証券コード9348)の欧州法人であるispace-EUROPE S.A.(以下ispace EUROPE)は、欧州宇宙機関(ESA)との間で締結しているThe Mission for Advanced Geophysics and Polar Ice Exploration(先端地球物理学および極域氷探査ミッション、以下MAGPIE)において、月面探査計画に関するミッション定義審査(Mission Definition Review、以下MDR)の完了をお知らせします。

 MAGPIEは、ESAが推進する「Small Missions for Exploration」イニシアティブの支援を受け、ispace EUROPEが主導する月面探査ミッションであり、欧州初の月極域における現地資源探査を実施するものです。最新鋭の探査機器と欧州のエンジニアリングに関する知見を結集した、複数の国際機関で構成されたコンソーシアムによって開発が進められています。

 今回のMDR完了は、2024年にispace EUROPEがESAと締結したプリフェーズA*¹が完了したことを示すものです。ispace EUROPEは、実績のあるローバープラットフォームに多様な科学機器を統合し、月の極域環境下での電力供給、熱制御、機動性などに適応させ、全てのマイルストーンを達成できることを確認しました。また、ESA専門家によるローバーおよびペイロードの技術設計、運用概念、科学目標、開発スケジュール、そして予算などの包括的評価の結果、次の契約フェーズに開発を移行することが承認されました。

*¹ミッションの概念設計および実現可能性を分析する前段階契約

 ルクセンブルクを拠点とするispace-EUROPEは、ミュンヘン工科大学(ドイツ)、オスロ大学宇宙センサー・システム・センター(CENSSS)(ノルウェー)、KP Labs(ポーランド)、チェコ工科大学 実験応用物理学研究所(IEAP)(チェコ共和国)、およびオープン・ユニバーシティ(英国)の研究機関からなるコンソーシアムと連携して開発を進めています。MAGPIEは、欧州の宇宙分野における伝統的プレイヤーと新興プレイヤーが協業することで、国際的かつ実践的な月面探査と科学のフロンティアへ貢献することを目指します。

欧州宇宙機関(ESA)Moon Exploration Scientist、Francesca McDonald氏コメント

 「MAGPIEには、水などの揮発性物質を分析する月面揮発性物質探査機(Lunar Volatile Scout:LVS)、水素を検出するHardPix中性子分光計、地層構造をマッピングする月面RIMFAX地中レーダー、および調査結果を管理・送信するデータ処理ユニットが搭載されます。これらの機器により、水資源が豊富な領域の位置特定と特性評価、その形成過程の解明、将来的な有人・無人ミッションでの利用可能性の評価を行います。」

ispace EUROPE CEO、Julien-Alexandre Lamamyコメント

 「MAGPIEは単なる科学プロジェクトにとどまりません。革新性、機動力、そして多様性に富んだ国際的なチームを融合させることで、欧州が世界をリードする月探査を実現する可能性を示す挑戦です。MDRの完了は本ミッションの実現可能性を証明し、次への道筋を確立しました。」

 MAGPIEは、ペイロード設計の成熟化、供試機製造、ローバーのインターフェース改良に焦点を当てた次の段階へ移行します。本ミッションの資金調達計画は2025年11月開催のESA閣僚級会議で承認される見込みとなり、欧州初の月極域科学探査の実現に向けた第一歩として、2028年の打ち上げを目標にしています。

 ■ ispace-EUROPE S.A.について

 ルクセンブルクに拠点を置く欧州法人であるispace EUROPEは、月面探査車の開発を重点的に取り組んでいます。欧州初となる独自設計および製造、組み立てを行い、マイクロローバー(小型月面探査車)の開発をしています。世界トップクラスの人材が集まり、ロボット工学技術やルクセンブルクのエコシステムとの強固なつながりを持つispace EUROPEは、欧州における月面産業の創出を加速させ、拡大する法人や個人顧客のニーズに応えます。

同社には、月面を模した月面ヤードや関連ミッションのシミュレーションを行うためのミッションコントロールルーム(管制室)を構え、月面探査車のナビゲーション技術の開発をサポートしています。

 

株式会社ispace ( https://ispace-inc.com/jpn/ )について

「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在約300名のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営した。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行う。2022年12月11日には SpaceXのFalcon 9を使用し、同社初となるミッション1のランダーの打ち上げを完了。続くミッション2も2025年1月15日に打上げを完了した。ミッション3(正式名称:Team Draper Commercial Mission 1)およびミッション4(旧ミッション6)は2027年に[i]打ち上げを行う予定。

ミッション1、2はR&D(研究開発)の位置づけで、ランダーの設計および技術の検証と、月面輸送サービスと月面データサービスの提供という事業モデルの検証および強化を目的としている。結果、月周回までの確かな輸送能力や、ランダーの姿勢制御、誘導制御機能を実証することが出来た。ミッション1、2で得られたデータやノウハウは後続するミッション3へフィードバックし、より精度を高めた月面輸送サービスの提供によって、NASAが行う「アルテミス計画」にも貢献する計画。

[i] 2025年9月時点の想定

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会社概要

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URL
https://ispace-inc.com/jpn/
業種
倉庫・運輸関連業
本社所在地
東京都中央区日本橋浜町3-42-3 住友不動産浜町ビル3F
電話番号
-
代表者名
袴田 武史
上場
東証グロース
資本金
-
設立
2010年09月