『AIフレンドリー統合報告書ランキング TOP50』を公開
ESG時代の新たなIR基準──機械可読性で読み解く統合報告書の質
企業のESG情報開示を支援するプラットフォーム「TERRAST for Enterprise」や財務・非財務データ分析支援等を提供するサステナブル・ラボ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:平瀬 錬司、以下「当社」)は、日本企業のIRの質向上と株式市場での評価向上に資するべく、企業の統合報告書を対象に、その「機械可読性」を診断し、ランキングとして発表したことをお知らせいたします。

背景
ESG経営の質の高まりに伴い、企業のIR(投資家向け情報開示)は年々高度化・多様化しており、報告書の情報量も増加の一途をたどっています。しかし、それらを受け取る側——投資家・アナリスト・評価機関などの処理能力には限界があります。このような背景から、すでにAIやクローラーなどによる「機械によるIR情報の収集・評価」が始まっており、この潮流は今後さらに加速すると見られます。
すなわち、企業の統合報告書は「人間だけでなく機械(AIを含む)も読者となる」ことを前提に設計する必要がある時代に入りつつあるのです。しかしながら、日本企業のIRにおいて「機械可読性」を意識した開示は、依然として十分に認識されていないのが現状です。そこで当社は、日本企業のIRの質向上と、ひいては株式市場での評価向上に資するべく、企業の統合報告書を対象に、その「機械可読性」を独自に診断・ランキング化しました。
診断対象
【対象企業】東証に上場しており統合報告書を発行している企業のうち、時価総額上位885社(時価総額は2025年4月末時点のもの)
【対象資料】2024年度 統合報告書(PDF)
※有価証券報告書はフォーマットが統一されており、比較の意義が乏しいため対象外
診断手法
機械可読性に関する以下の5項目について、100点満点で評価を実施しました。
1. 表データが構造化されているか
2. テキスト情報が抽出可能か(画像埋め込みがないか)
3. 見出しや段落の論理構造が明確か
4. 目次にハイパーリンクが付与されているか
5. PDFがタグ付け・メタデータ化されているか
診断には、事前学習を施した生成AIを用い、プロンプト設計を最適化することで、評価のばらつきを抑えています。
「機械可読性の高い」統合報告書を発表している企業ランキング
本リリースでは、上位50社を公開します。


分析の結果、時価総額や報告書ページ数と、AI可読性の間に明確な相関は見られませんでした。
一方で、エネルギー資源や不動産業界においては、PBR(株価純資産倍率)と機械可読性スコアに有意な正の相関が確認されました。これらの業界には、海外の資源ファンドやREIT、再エネ系インフラファンドなどAIによる文書解析・ESG評価を活用する海外投資家が多く存在しており、機械可読性の低い報告書は、そもそも「読まれない」「評価されない」リスクをはらんでいると言えるのかもしれません。
今後は国内投資家においても、同様の傾向が強まる可能性が高いと考えられます。
まとめ
AIフレンドリーな統合報告書は、単に技術的な要素の改善にとどまりません。
それは、
-
情報の構造化力
-
メッセージの明快さ
-
財務・非財務の統合的説明
-
開示の姿勢・ガバナンスの質
といった企業の開示姿勢そのものを映し出すものです。
そして何より、「機械が読みやすい資料」は、人間にとっても読みやすい資料となります。
AI読者を前提とした開示への転換は、企業が投資対象として選ばれる確率を高め、結果としてPBRや企業価値の向上に寄与する可能性があります。
当社は今後も、企業のIR高度化を後押しすべく、透明性と実効性ある分析・評価を提供してまいります。
・AI可読性の高い統合報告書作成支援に興味のある企業さまはこちらよりお問い合わせください。
<お問い合わせページ> https://www.terrast.biz/contact
・無料ホワイトペーパー「AIは統合報告書をどう読むのか?ーAIが読みやすい開示は、人間にもわかりやすいー」はこちら。
サステナブル・ラボ株式会社 ( https://suslab.net )
定性的に語られやすい企業の環境・社会貢献度をビッグデータとAIを用いて定量化する、国内最大級のESGデータプラットフォーム「TERRAST」やESGデータの開示・分析支援ツール「TERRAST for Enterprise」を開発・提供、サステナブル企業名鑑「テラスTV」を運営。非財務指標と財務指標の因果分析、相関分析も行い、データサイエンス × サステナビリティ × 金融工学領域の出身者による、ESGに特化した非財務ビッグデータ集団として、社会・環境貢献と経済をシームレスに接続することを目指しています。
ESGデータの集計・分析支援ツール「TERRAST for Enterprise」

【 特長 】https://www.terrast.biz/
➢ ESG知見がなくても利用可能なインターフェース
➢ ESG関連情報を約40項目入力するだけで診断結果を自動生成
➢ ESGスコアレポートにより、定量的な現状把握や目標管理が可能
➢ SDSC(サステナビリティデータ標準化機構)のガイドラインに準拠
➢ CSRD/SSBJ等、グローバル連結ベースでの開示対応から、金融機関のポートフォリオ管理
➢ 連結会計に対応
-
会社名:サステナブル・ラボ株式会社
-
代表取締役:平瀬錬司
-
所在地:東京都千代田区大手町1丁目6-1 大手町ビル 4 階 FINOLAB内
-
事業内容:ESG/SDGsに特化した非財務データプラットフォームの提供および非財務情報を含めた企業価値に係る研究開発
-
設立年月:2019年1月
-
公式HP:https://suslab.net
提供サービス
-
金融機関・コンサルティングファーム・経営企画向け、日本最大級のESGデータプラットフォーム「TERRAST」
-
事業会社向け、非財務・ESGデータの開示・分析支援ツール「TERRAST for Enterprise」
-
サステナブル企業名鑑「テラスTV」
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像
- 種類
- 調査レポート
- ビジネスカテゴリ
- 証券・FX・投資信託経営・コンサルティング
- ダウンロード