地域を灯す“エンタメの必要性”――よねざわ戦国花火大会が残したものとは?――第二回よねざわ戦国花火大会アフターレポート

「華やかな光と音に包まれた一夜。参加者が語る笑顔の裏には、“地域にとってのエンタメの存在意義”という、より深いテーマがありました。」今回は実施後のお話を交えてレポートします。

株式会社PIF

対談参加者紹介

川野 敬太郎氏(よねざわ戦国花火大会部会部会長/公益社団法人米沢青年会議所 2025年度理事長)

横山 雄基氏(よねざわ戦国花火大会部会 副部会長/米沢商工会議所青年部2025度会長)

宮嶌 浩聡氏(よねざわ戦国花火部会PR担当/プラットヨネザワ株式会社 代表取締役)

髙橋 美帆子氏(PM・煙火店/株式会社イケブン副工場長)

山本 浩(PM/株式会社PIF 代表取締役)

※順不同

2025年10月11日(土)、雨の中でも多くの観客が傘をたたみ、カッパ姿で夜空を見上げた。
第2回となる「よねざわ戦国花火大会」のテーマは〈共闘〉。
その言葉どおり、関係者・来場者・地域の人々がひとつになり、悪天候をも乗り越えた一夜となった。

花火を「地域の力で創る」――。そんな挑戦を続けるこの大会を支えるメンバーに、今年の大会を振り返っていただいた。

今年のよねざわ戦国花火大会のテーマ「共闘」を終えてみて

山本
皆さん、この度はお疲れ様でした!まずは、今年のテーマ「共闘」を終えて、率直な感想を聞かせてもらえますか?

川野
今年はまさに“雨との闘い”でしたね(笑)準備段階から当日まで、関係団体の皆さんと本当に一丸となって動いた感じがします。その姿こそ、共闘の本質だったと思います。当日もトラブルは多かったですが、誰一人あきらめず、支え合って開催までこぎつけた。そのこと自体が、このテーマと私はとても重なりました。

横山
私は、第2回目の今年はより多くの方が関わってくれたと思っています。共催団体、協賛企業、そして有料席を購入してくださった来場者の皆様。米沢市外からも応援してくださる方が増え、「地域のイベント」から「地域を越えて愛される花火大会」に一歩近づいたと感じます。雨の中でも観客の方々が笑顔で応援してくれる姿は、何よりの励みでした。

宮嶌
僕は“雨降って地固まる”という言葉を、まさに体感しました。2回目の開催で少し慣れもあったのですが、「雨かもしれない」という状況になった瞬間、チームの熱が一気に上がったんです。会議を重ね、現場で膝を突き合わせて話し合う中で、本当のチームビルディングができた。結果的に、花火としても一段階“進化”できた大会でした。地域の可能性をもう一度感じましたね。

髙橋
正直、私は“やめた方がいい”と思っていました(笑)雨の中で強行すれば批判もあるし、去年より悪い印象を持たれるかもしれないと・・・でも当日、朝の朝礼で『雨に打ち勝つぞ!エイエイオー』勝鬨を

上げていて、衝撃を受けたんです。誰一人弱音を吐かず、本気で“雨に勝とう”としていた。あの熱量は本当にすごかったです!結局、雨があったからこそ米沢の魂や絆がより鮮やかに見えたと思います。

山本
僕は色んなイベントをする中でイベントの現場は、施工チーム・テクニカルチームと演者さんとの連携が難しいこともあるんです。でも今回は違いました。ぬかるむ会場を見て「全面にコンパネを敷こう」と即断し、みんなで黙々と作業する姿は本当に美しかった。フォークリフトを走らせる姿も、手渡しで資材を運ぶ動きも、一つのチームとして機能していたんですよね。あの瞬間、“共闘”という言葉が形になっていると感じました。さらに、観客の皆さんも雨の中でカッパを着て、傘を差さずに楽しんでくれた。「楽しませてもらう」ではなく「一緒に楽しもう」という空気があって、まさに地域の温かさを感じましたね。
この花火大会は、誰かが作る“イベント”ではなく、みんなで作る“物語”だと思っています。悪天候も含めて、それぞれが「自分の役割で米沢を輝かせよう」とする気持ちが集まった結果、〈共闘〉のテーマの意味がより深まったと感じました。

「地域×エンターテインメント」必要性とは

山本:
よねざわ戦国花火大会は、僕の知る限り米沢で最もエンターテインメント性の高いイベントだと思っています。最初にPMのお話をいただいた時「既存の花火大会の制作を請け負う」というよりも、「新しい花火大会を立ち上げる」という挑戦に共感しました。「立ち上げる」という言葉に、とてもワクワクしたんですよね。実は弊社株式会社PIFは、今年9月から文化庁「日本遺産」オフィシャルパートナーとして参画しています。イベント制作会社として唯一の参画なんですよ。理由を考えたとき、僕たちの強みは「文化×エンターテインメント」を掛け合わせる力にあると感じていて、米沢での花火大会も、まさにその象徴になりましたね。伝統的な文化としての花火を、現代的なエンターテインメントで再構築する試み。そこにこそ、今の時代に必要な地域の力があると思っています。

宮嶌:
私は普段、地域観光や文化資源の活用を通じて「地域に暮らす理由」をどう作るかを考えています。
都心で暮らしても、米沢で暮らしても、人の幸福の本質は変わらない。でも「ここにいる理由」が感じられなくなると、人はその土地を離れてしまうんです。かつて地域には、“ここで生きる理由”を感じさせる文化的価値がありました。しかし、人口減少や経済縮小の中で、そうした文化が少しずつ失われていますよね。だからこそ今、文化自体をエンターテインメントとして再構築することが必要で、花火大会はその象徴だと思います。子どもたちの原風景として、地域に生きる喜びを残すため、単に伝統を守るだけでなく、経済性を持った「現代の文化体験」として再構築していく。それが私たちが今やるべき「地域×エンタメ」の仕事だと思っています。

米沢だからこそ果たせる役割

高橋:
私はコロナ禍を経て、改めて「花火が人々に求められている」と感じました。あの時、「不要不急」という言葉があらゆる場所にあふれ、花火大会は全国的に中止になりました。“生きていくためには必要ないもの”とカテゴライズされてしまった。それは、私自身の仕事の存在意義を見失うような感覚でもありました。でも、ある時仲間と一緒にサプライズ花火を上げたんです。十数発だけの小さな花火でしたが、地元の方々から「元気をもらった」「ありがとう」という声がたくさん届きました。その時に感じましたね!「不要不急」と言われても、人の心に必要とされている光があるんだと。花火は、地域の夜空を照らすだけではなく、人と人、町と町を繋いでいく光でもあります。だからこそ、米沢のような地域でこそ、その意味を発信していきたいと思っています。

横山

全国的に見ても、地方ってどうしても「消滅可能性都市」とか、ネガティブに語られがちです。でも実際に暮らしてみると、楽しい事が沢山ある。美味しい食べ物や仲間、そしてお祭りや花火大会。そうした“地域の日常の豊かさ”を再発見するきっかけになるのが、この米沢だとも思います。米沢という歴史・地域に価値がある、この可能性をエンタメを通じ文化を知ってもらう事は米沢だからこそのものだと思いますね。

米沢という町が持つ「エンタメDNA」

横山:

今回の「よねざわ戦国花火大会」は、その象徴だと思います。「なせば成る」という上杉家ゆかりの言葉の通り、地方でも諦めずに挑戦すれば、人が集まり、熱が生まれ、経済が動く。実際、全国的には花火大会が縮小していく流れの中で、米沢は規模を保ちながら来場者を増やし、地域の誇りを取り戻しつつあります。そして何より、この2回目の開催自体が新しい歴史の始まりなんです。「歴史をつくる」のは有名人でも企業でもなく、地元の方々や子どもたち自身。この花火大会をきっかけに、「自分たちが米沢の歴史を紡いでいるんだ」という誇りを感じてもらえたら嬉しいですね。やっぱり米沢の歴史や花火大会は私が考える米沢のDNAかなと思います。

宮嶌:

私は、米沢は「民度が高い町」だと思います。“なせば成る”をスローガンに掲げるだけじゃなく、それを一人ひとりが日常で体現している。外で経験を積んだ人たちがまた戻ってきて、今度は自分たちが地域を動かしていく。その循環こそ、米沢のエンタメの根本にあるものだと感じますね。

山本:

まさに「地域の歴史を含めたDNA」として受け継がれているわけですね。では最後に――この花火大会を通じて、今後の米沢がどうなって行ってほしいですか?

次世代へつなぐ、米沢の未来

川野:
今は点が増えてきた段階。それを線にして、さらに立体にしていく。エンタメも経済も人の想いも全部が重なり合うような、そんな米沢を目指しています。

横山:

私は「自分たちの歴史を語れる町」になってほしいですね。歴史の授業ではなく、花火や祭りを通して、子どもたちが地元の物語を語れる。米沢は武将発祥の町ですし、今回の2回目よねざわ戦国花火大会も歴史じゃないですか。歴史を自分たちが紡いでるんだっていうような自覚を持ってくれるような、それが米沢に住む誇りになってくれるような、そんな文化的な誇りを持つ地域にしていきたいです。

宮嶌:

僕このテーマ5時間は話せますよ(笑)先ほども言ったのですが、まず米沢の魅力は「民度の高さ」にあります。この“民度”は、上杉鷹山公の「なせば成る」精神をルーツに持ちながらも、それを超え、市民レベルで共有されている点に特徴があります。特に米沢では「後継ぎ世代」が多く、外の世界を経験し、スキルを持って戻ってくる人が多い。これが地域の大きな力になっています。
今、世界的に“株主だけでなく、社会全体に責任を持つ”というマルチステークホルダー資本主義が注目されていますが、米沢の人たちはそれを意識せずとも、昔から体現しているんですよね。米沢では「自分のためだけに生きる」という感覚がなく、互いに支え合い、「米沢ファミリー」のように社会全体で生きている。社会性や公共性を自然と優先できる文化が根づいているんです。そして、この精神性をわかりやすく、楽しくエンターテインメントの場として伝えられるのが、花火大会だとも思います。誰もが参加できる気軽なエンターテイメントでありながら、そこに込められた想いや地域の歴史を知るほど「奥深さ」を感じられる場でもある。この大会は米沢の精神や民度を象徴し、外に発信できるプラットフォームになり得ると位置づけ出来ます。「より大きなまとまり」を作ることが重要で、地域とは行政区分ではなく、歴史・文化・価値観を共有する人々の繋がり、花火大会を中心に、東北全体、延いては日本中へと広がる“共感の輪”を生み出していくことが、果たすべき新たな役割でもあり未来に繋いでいくものだと感じています。僕は、米沢には“継ぐ町”であってほしい。誰かが作って、次の世代がまた挑戦していく。花火大会も、今年で終わりではなく続けていくことに意味がある。その積み重ねが、きっと未来の米沢を照らすと信じています。

山本:

本当に共感します。米沢というまちは、“継ぐ力”を持っている。花火大会がその象徴となって、地域の精神を次の世代へとつないでいく。それが“地域のエンターテインメント”の本当の意義なんだと思います。今日のこの話の続きは、ぜひ米沢で(笑)また次回もよろしくお願いします!今日はありがとうございました。

花火は一瞬で消えるけれど、その光が残す余韻は、人の心を照らし続ける--------

米沢の方々が大切にしてきた歴史や次の世代に継ぐという精神も、きっと同じだと思います。これからもその光を未来へと繋いでいく。よねざわ戦国花火大会は、夜空を照らすだけでなく、町の心もエンタメの力で照らしていたんだなとインタビューを通して感じました。米沢という地域に流れる歴史と情熱と人の絆――それが“地域エンタメ”の原点なのかもしれません。今後の米沢にもどうぞご期待ください!


イベント情報

【開催概要】
名称:よねざわ戦国花火大会2025
日時:2025年10月11日(土)18:30〜 打ち上げ開始
会場:米沢市営野球場
主催:米沢戦国花火大会実行委員会

全体運営:株式会社PIF
公式サイト:https://sengokuhanabi.com

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アート・カルチャー
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会社概要

株式会社PIF

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http://www.p-i-f.net/
業種
サービス業
本社所在地
大阪市西区阿波座, 2-1-1  CAMCO西本町ビル11F
電話番号
06-6626-9248
代表者名
山本浩
上場
未上場
資本金
1000万円
設立
2004年06月