HUAWEI CONNECT2021 ファーウェイ輪番会長 徐直軍(エリック・シュー)による国際メディアとの記者会見議事録 

時間:2021年9月24日 16:00~17:00

1.読売新聞:2030年には6G製品が登場すると言われていますが、5Gと比べ6Gの規格はどれくらい高くなりますか。どのような製品で6Gを使えるようになるのでしょうか。ファーウェイは6Gをどのように考えていますか。6Gの研究開発を強化しますか。

徐直軍:当社の童文(トン・ウェン)博士のチームが『6G The Next Horizon』という本の執筆を企画し、依頼を受けてその中国語版の序文を私が執筆しました。それをご覧になった方もいるかもしれません。実際何度もお話しているとおり、私たちは6Gを想定していますが、必ずしも6Gがなくてはならないということはありません。少し前に6Gの研究チームと話をして、彼らに挑戦的な目標を与えました。

私が「6Gは想定しているが必ずしもなくてはならないということはない」と言うと、彼らは自分たちをサポートしてくれないのかと怒りました。私は6Gを実現できるかどうかは、君たちの努力次第だと言いました。そして、彼らが6Gを実現し、さらに6Gで業界をリードできるよう十分な投資を確保することを約束しました。

「6Gを共に構想し定義する」が私の序文のタイトルです。つまり、今はまだ6Gが何であるか私たちはわかっていないということです。ですから、今の全てのご質問は、私たち産業界が協力して答えていかなければならないものです。産業界でともに10年近い時間をかけて、6Gを定義していければと思います。最終的に、6Gと5Gの違いは何か、6Gは5Gに比べどのくらい高速なのか、6Gのアプリケーションは5Gと何が異なるのかといった質問に、我々産業界から答えられるようになるかもしれません。

また、序文では、ともに6Gを定義し研究する過程において直面する4つの主要な課題についても触れています。現在、5Gが政治的に取り上げられ、世界の政府や産業界、メディアが過度に5Gに注目しており、6Gにとって良い環境になっていません。実際、6Gは現段階では、科学者がしっかりとした研究を行い、その需要を分析し、定義すべき時期であり、メディアや多くの場で議論されような時ではありません。しかし残念なことに、5Gがこれほど大々的に騒がれてしまったため、6Gも最初から注目を集めすぎており、政治まで絡んでくる可能性もあります。

だからこそ、メディアの皆さんが6Gの科学者たちに研究に没頭し、新しい技術を発明し、6Gを定義できるよう静かな環境を与えてくれることを期待し希望しています。そして2030年頃までに6Gが私たちの前に登場することを待ちたいと思います。

2.サウスチャイナ・モーニング・ポスト:昨日、米国商務長官が、必要に応じてファーウェイに対し新たな制限措置を取る可能性があると述べたことについて、ファーウェイはさらなる貿易制裁や半導体関連の規制にどのように対応していくつもりでしょうか。周知のとおり、ファーウェイは自動車や自動運転の事業へ進出していますが、こうした新規事業でどのように半導体の安定供給を確保していますか。

徐直軍:2019年5月16日から、米国の制裁が増えようが減ろうが、その制裁下にあることに慣れています。何度も申し上げますが、ファーウェイの社員は、エンティティ・リストのもとで仕事をし生活することに慣れています。社員全員がこの働き方や生活を楽しんでいると思います。今仰った新規事業への拡大ですが、もちろん半導体供給の算段はついていました。解決できなければ、新事業へ進出することはできなかったでしょう。中国には「捨てる神あれば拾う神あり」という諺があります。

3.スペインEFE通信:昨日のスピーチで徐会長は、ファーウェイが現在注力しているのは、技術革新を通じてすべての産業の低炭素化実現を支援することだとお話されていましたが、なぜ過去ではなく、今この時期にこのような戦略を打ち出したのでしょうか。第二に、ファーウェイや中国全体の半導体製造技術は、現在どの程度のレベルに達しているのでしょうか。中国が半導体の自給自足を実現するのはいつ頃と予想していますか。

徐直軍:技術革新による産業界のエネルギー消費削減については、たった今提案したことではなく、ファーウェイは長年この方向性で取り組んできました。私はスピーチの中で、2030年までに各産業がICT技術の恩恵を受けて121億トンの炭素排出量を削減できると述べましたが、これはICT産業自体の排出量の10倍に相当します。

現在、ファーウェイのICTインフラへの貢献度は30%以上とされており、世界で最も大きいサプライヤーになっています。ファーウェイの最大の価値は、持続的イノベーションにより、さまざまな産業のエネルギー消費量削減を支援し、低炭素社会の実現に貢献することだと考えてきました。これは、私たちが過去にコミットしていた戦略であり、将来においても継続して実行していく戦略です。

もちろん、今年はもうひとつ、「デジタルパワー」分野の強化にも力を入れています。   デジタル技術とパワーエレクトロニクスを組み合わせて、電力をデジタル管理し、最終的にデータセンターやICTインフラなどあらゆる分野でエネルギー消費を大幅に削減したいと考えています。すべての建築物、すべてのキャンパス、すべての都市、すべての村、すべてのICTインフラは、エネルギー消費量の削減という課題に直面しています。ファーウェイはデジタル技術とパワーエレクトロニクス技術を組み合わせることで、エネルギー消費量を大幅に削減することができます。もちろん、これは中国の「カーボンピークアウトとカーボンニュートラル」という2大戦略と、世界のカーボンニュートラルの実現という目標にも対応するものです。このためにファーウェイデジタルパワーを設立しました。

なぜデジタルパワーの設立が必要だったのか。ポイントは、デジタルパワーの主要技術はパワーエレクトロニクスですが、この業界もパワーエレクトロニクス産業であり、我々のICT技術とはかなり異なっているということです。私たちはデジタルパワーをよりプロフェッショナルな集団にして、この分野でより大きく発展したいと考えています。

中国の半導体産業の発展についてのご質問ですが、一言で答えられるものではありません。中国の半導体産業は、長年にわたって多くの努力を重ね、大方の人々の予想を上回る、以非常に素晴らしい実績を上げてきました。ファーウェイが供給の問題を完全に解決した時がこの問題が解決された時でしょう。しかし、先はまだまだ長いと思います。

4.ブルームバーグ:中国政府が最近、「国資クラウド」プロジェクトを立ち上げましたが、ファーウェイはこの「国資クラウド」や、同様のクラウド領域の国内プロジェクトによって、自社のクラウド事業にどのような影響が出ると考えていますか。また、昨日の講演では、クラウド関連事業について多くの時間を割いて紹介していましたが、中国国外でのファーウェイのクラウド事業について米国など海外の政治家が規制するよう働きかける可能性があります。海外でのクラウド事業についてどのように予測しているか、そして西側諸国のこうした規制の可能性についてどのように考えていますか。

徐直軍: まず、ファーウェイのクラウド事業に対する規制の可能性についてですが、このような議論は現時点では憶測であり、憶測に対して私たちはコメントしません。

いわゆる「国資クラウド」については、これは中国政府でも天津市政府の決定でもなく、天津市国資委(天津市国有資産監督管理委員会)の決定です。天津市国資委は天津市政府を代表しているのか、それは天津市政府に聞いてみないとわかりません。

中国政府や各地方政府は、開かれた市場を作るために努力してくれると信じています。この「国資クラウド」という概念の出現については、クラウドサービスの事業者として、自らを見直すきっかけとなりました。この問題に対する張平安(ジャン・ピンアン)の考え方は正しいと思います。関係部門や企業がこのような考えを持つには理由があるはずです。我々クラウドサービス・プロバイダーのサービスが行き届かず、我々の努力が足らずに、安心して自社のアプリケーションやデータを我々が提供するクラウド・サービスに載せられないという理由で、いわゆる「国資クラウド」を自ら構築したのかもしれません。

中国だけでなく世界でも、企業、政府などの組織は基幹アプリケーションをパブリック・クラウドに置くことについて実際やはり懸念するものです。我々クラウドサービス事業者は、セキュリティの継続的な技術革新によってこうしたお客様に信頼されてこそ、「このクラウドにアプリケーションやデータを置いて事業を展開しよう」と決意してもらえ、安心安全だと感じてもうらうことができます。

HUAWEI CLOUDのチームは、お客様が安心してHUAWEI CLOUDに基幹アプリケーションやデータを移行できるよう、技術革新によって安心安全なクラウドを努力して構築してきました。それでこそ自分たちも安心して夜眠りにつくことができるのですから。

5.日経アジア:最近、任CEOは、海外や世界各国から優秀な人材を大量に採用し、外国人のスペシャリストに適した環境を整備したいとお話されていますが、ファーウェイは今後2年間でどれぐらいの人材を採用するつもりですか。こうした優秀人材がファーウェイのどのような問題を解決してくれるのでしょうか。また、今のところ、HiSiliconには具体的な収益をもたらす方法がありませんが、任CEOは彼らを「ヒマラヤの頂上にいる人たち」と表現しています。今後も採用や投資を続ける必要があるのでしょうか。あるとすればどのような投資ですか。

徐直軍:任CEOのスピーチを丁寧に研究してくださりありがとうございます。ファーウェイの今の戦略目標は生き残ること、そして少しでもより良く生き残ることです。私たちが今いる生き残りをかけたこのプロセスでは、企業によって選択が異なります。多くの企業はリストラを選択するでしょう。しかしファーウェイは逆のアプローチを選択しました。

ファーウェイが生き残るためには、多くの技術的な問題を解決し、多くの仕事に取り組む必要があります。そのためにはトップクラスの人材が必要であり、彼らでないとこうした困難を乗り越えられません。だからこそ、私たちは今、世界のトップレベルの人材を積極的に迎え入れ、生き残りをかけて難問や技術的な問題に取り組んでもらっています。私たちのアプローチは、世界中から才能ある人材を迎え入れることであり、これを継続していけばきっと生き残れると信じています。

HiSiliconについては、4月のアナリストサミットでも申し上げましたが、HiSiliconは単なる半導体設計部門であり、ファーウェイに収益をもたらす部門ではありません。そこに利益は求めていません。私たちが存在する限り彼らを存続させますし、未来の礎を築くために人材も採用します。危機に対処するために我々が選んだ道は他社とは異なりますが、この道が成功につながることを願っています。

AP通信:ファーウェイの事業の将来について、現在米国の制裁措置の影響でファーウェイの携帯電話ブランドは非常に大きな打撃を受けていますが、この減収を補うために今後どのような新技術、産業、市場への参入を計画していますか。5~10年後のファーウェイはどうなっていると思いますか。将来の展望についてお聞かせください。

徐直軍:5年後、10年後のファーウェイがどのようになっているのかはわかりませんが、5年後、10年後にもファーウェイが生きている姿を見てほしいと思います。生き残り、存在し、今のようにこうして交流できていること。これこそが今後5~10年間でファーウェイが一番望むことです。

どの事業を増やし、減らし、売却するか生き残りをかけた選択になります。もちろん、半導体のサプライチェーンと関係のないビジネスへの投資もひとつの選択の方向性です。

4月のアナリストサミットでお話した5つの戦略的イニシアチブによって、生き残りをかけたいと思います。

7.ロイター通信:今年2月、任CEOに、5G炭鉱や5G空港などの新事業がいつ携帯電話事業の減収を補えるようになるか質問したところ、任CEOは1年くらいかかるとお答えになりました。2月から約半年が経過しましたが、この質問について徐会長はどのように考えますか。この期間に生じた新たな課題とは何でしょうか。

徐直軍:その時、任CEOがあなたのご質問を正確に理解していたかどうかわかりませんが、炭鉱や空港、税関など、さまざまな産業に5Gを活用することで得られる売上では、1年どころか10年でも補うことはできないと思います。任CEOは携帯電話の売上を具体的には知らない可能性もあります。昨年の携帯電話事業の売上は500億ドル近くありましたが、今年は少なくとも300〜400億ドルは減ります。さまざまな産業に5Gソリューションを提供して得られる売上が300~400億ドルに達するには、相当長い時間がかかるでしょう。

では、なぜファーウェイは5GやAIをさまざまな産業に活用し、各業界が直面する問題や課題を解決しようとしているのでしょうか。まず、当然のことながら、ファーウェイにとって確実に売上拡大につながります。第2に、5Gを定義した時、我々は5Gがすべての産業に価値をもたらすものであってほしいと考え、それを実践してきました。5GとAIを炭鉱や港湾、空港などさまざまな産業に活用し、各業界の問題を真に解決し、効率と体験を向上させることについて、中国がフロントランナーであることは間違いありません。私は、ファーウェイと中国産業界の共同の取り組みを通じて、数年後にはあらゆる産業で全く異なる風景が表れ、5GとAIの生み出す価値がはっきりとわかるようになると信じています。

数年後には、さまざまな産業のデジタル化が、モバイル決済や電子商取引のように、中国が世界の最先端を行くことがはっきりするでしょう。ファーウェイは、このプロセスを加速させるために全力で取り組んでいきます。いつかその日を迎えることができると信じています。ここにおられる皆さんは、深セン空港や大興空港ですでに感じられたことがあるのではないでしょうか。

8.バンコクポスト:タイおよびアジア太平洋地域におけるクラウド開発の進捗状況と今後の計画、そして中小企業がデジタル経済のチャンスをつかむためにどのように支援されるのか教えてください。

徐直軍:ファーウェイは、アジア太平洋市場で最も成長が速いクラウドサービスプロバイダーになるはずです。アジア太平洋地域は、HUAWEI CLOUDの投資と開発の重点市場であり、HUAWEI CLOUDチームでは、短期的にはアジア太平洋地域で少なくともトップ3の事業者になりたいと考えています。私はこれはそれほど難しい目標ではないと思います。

さらに、アジア太平洋地域の中小企業を支援し、HUAWEI CLOUDを中心としたエコシステムを構築するために、Sparkプロジェクトを立ち上げました。今後3年間でアジア太平洋地域の中小企業がHUAWEI CLOUDを利用し、かつHUAWEI CLOUDとともに発展できるよう1億ドルを投資し、HUAWEI CLOUDエコシステム全体を構築する計画です。HUAWEI CLOUDがアジア太平洋地域のすべての政府機関や企業のお客様にとって最も良い選択肢となることを期待し、またそうなると信じています。

9.スペインABC紙:ファーウェイとバイデン政権との関係の今後をどう考えますか。関係は改善するのか悪化するのか。5Gの販売を含め半導体の供給に関して、トランプ政権時代と比べ見通しは良いのか悪いのか、どのように考えますか。

徐直軍:それについてはコメントできません。ファーウェイは単なる一企業に過ぎず、中米間の競争の中で予測や推測は困難です。我々にできることは、お客様へのサービスをさらに充実させ、その上で生き残りに必要な問題に努力して取り組んでいくことだけです。誰もが状況が好転することを期待していますが、幻想を抱いていてはなりません。ですから最悪の事態を想定して準備するしかないのです。ありがとうございました。

会社概要

華為技術日本株式会社

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URL
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業種
情報通信
本社所在地
東京都千代田区大手町1-5-1 大手町ファーストスクエアウエストタワー12F
電話番号
03-6266-8008
代表者名
侯涛
上場
未上場
資本金
-
設立
2005年11月