「Cities Changing Diabetes (都市に蔓延する糖尿病の克服)」プログラムの日本で最初のプロジェクトとなる「郡山市における糖尿病対策についての共同研究」の第二弾 成果論文を発表
2型糖尿病のある人における治療不成功の将来転帰の認識と治療継続との関連性が示唆された
ノボ ノルディスク ファーマ株式会社 (代表取締役社長: キャスパー ブッカ マイルヴァン: 東京都千代田区) は、2型糖尿病のある人における治療不成功の将来転帰の認識と治療継続との関連性について、「Diabetes Therapy」誌 ( https://link.springer.com/article/10.1007/s13300-023-01433-1 ) に論文掲載したことをお知らせいたします。
2型糖尿病のある人の治療不成功の将来転帰の認識とは、「糖尿病を治療しなかったり、治療がうまくいかなかった場合に、将来的にどのような問題が起きると思っているか」という認識です。
今回の研究では、福島県郡山市に在住する2型糖尿病のある人106名に対する、大規模な対面式のインタビュー調査を行い、「一般的なこととして、糖尿病を治療しなかったり、治療がうまくいかなかった場合に、将来的にどのような問題が起きると思いますか?」という質問への回答内容をカテゴリ化し、そのカテゴリと「治療継続状況」との関連性を分析しました。
その結果、“透析”や“インスリン注射”など侵襲的な意味を持つ用語で構成される、『治療』カテゴリの語を挙げた被験者に治療継続が多かったことが示されました (p<0.05)。ここから下記のような考察および糖尿病対策を提示しています。
・2型糖尿病のある人は『治療』を病気と共存するための救済ではなく、将来的に発生しうる問題=脅威として認識している可能性がある (例:インスリン注射が必要になるほど悪化してしまうのが怖い)。
・将来の健康リスクを強調することで治療を促す戦略は一般に“fear-based strategies”と呼ばれるが、そのようなリスクの強調 (脅威を強調する) に基づく治療戦略は、患者の自己効力感を低下させる危険性も指摘されている。医療者はやむを得ずそのような戦略をとる場合でも、患者を恐怖に陥れるのではなく、ピアサポートによる成功体験の共有、看護師の適切な介入の促進、代替治療の幅広い選択肢の提示などの支援条件を整えることが重要である。
本論文は、ノボ ノルディスクがグローバルで展開する「Cities Changing Diabetes (都市に蔓延する糖尿病の克服)」 プログラムとして、2018年から福島県郡山市および公立大学法人福島県立医科大学 (医学部衛生学・予防医学講座) と産官学連携で取り組んでいる、「郡山市における糖尿病対策についての共同研究」の内容を論文化したものです。
本論文の責任著者である福島県立医科大学医学部衛生学・予防医学講座の日高友郎 講師は、次のように述べています。「治療を継続できている2型糖尿病のある人の中には、『治療を途中でやめた結果、糖尿病が進行して、侵襲性の高い治療を受けなければならなくなるのは嫌』、といった不安・恐怖が動機になっている方がいることに留意する必要があります。しかし、侵襲性の高い治療を避けたいという思いが強くなりすぎてしまうと、治療の選択肢が狭くなる懸念があります。早い時期にインスリンを導入することで、長い目で見た場合に、より健康的で充実した人生に繋がるという選択肢を取れるようにしておくことも大切です。「自分で自分の健康状態をコントロールできる」という自己効力感を高めることは、このような不安・恐怖をやわらげ、主体的に治療に参加するための入り口になります。患者の自己効力感を高めるためには、周囲の医療者や家族などからの応援や、小さな目標を立てて少しずつ達成していくこと、さらには他の患者の成功事例を見聞きすることなどが有効です。本研究の成果が、治療に主体的に取り組むための後押しとなり、全国の患者ならびに社会全体の健康増進に繋がることを願っています。」
「Cities Changing Diabetes (都市に蔓延する糖尿病の克服)」について
糖尿病とともに生きる人の3分の2が在住している都市環境における糖尿病の劇的な増加に対応するためのパートナーシッププログラムで、ノボ ノルディスクが世界の各都市で展開しています。市の指導者や省庁、学会、糖尿病協会、健康保険会社、コミュニティグループ、企業などを含む100以上のローカルパートナーが、分野を超えた新たな形の官民パートナーシップで協力し、課題を特定し、新しい健康行動とポリシーを提供し、健康に影響を与える他の課題に関連づけています。
日本においては、超高齢化が糖尿病増加のリスク因子の1つになっているという日本特有の糖尿病増加の要因を踏まえて、2018年から福島県郡山市および公立大学法人福島県立医科大学 (医学部衛生学・予防医学講座) と日本初となる「Cities Changing Diabetes」プログラムに取り組んでいるのに続き、2021年6月より、千葉県旭市および千葉大学医学部附属病院と2番目となる本プログラムに取り組んでいます 。( https://www.novonordisk.co.jp/content/dam/nncorp/jp/ja/news/media/2021/06/21-19.pdf )。
「郡山市における糖尿病対策についての共同研究」について
本共同研究は、「郡山市を日本一健康な都市にする」という理念の下に、郡山市民の健康増進を図ることを目的として、2018年2月13日に郡山市とノボ ノルディスク ファーマが締結した「糖尿病対策に関する包括連携協定」に基づき、2018年8月1日にデータ統計分析等に医学的助言や指導を得るため福島県立医科大学 (医学部衛生学・予防医学講座) と三者契約を締結し、同年10月より取り組みました。
本共同研究では、郡山市における糖尿病対策の実践的指針を見出すことを基本方針とし、糖尿病治療状況に影響を与える郡山市特有の社会、文化、環境要因を把握することが郡山市においてより効果的なアクションプランの作成につながり、ひいては糖尿病性腎症等の合併症の重症化予防に貢献するものと考え、糖尿病の治療中断に影響を及ぼす要因を探るとともに、15地区の特性を知るための調査 (インタビュー調査、アンケート調査、データベース解析) を実施しました。
ノボ ノルディスクについて
ノボ ノルディスクは、1923年創立のデンマークに本社を置く世界有数のヘルスケア企業です。私たちのパーパスは、変革を推進し、糖尿病および肥満症、希少血液疾患、希少内分泌疾患などのその他の深刻な慢性疾患を克服することです。その目的達成に向け、科学的革新を見出し、医薬品へのアクセスを拡大するとともに、病気の予防ならびに最終的には根治を目指して取り組んでいます。ノボ ノルディスクは現在80カ国に約57,100人の社員を擁し、製品は約170カ国で販売されています。日本法人のノボ ノルディスク ファーマ株式会社は1980年に設立されました。詳細はウェブサイトをご覧ください。( www.novonordisk.co.jp )
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