本格的な暑さを迎える前に早めの熱中症対策を 2024年「熱中症ゼロへ 暑熱順化前線(第1回)」を公開
~4月から真夏日の可能性 熱中症のリスクに注意を~
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:渡邊 一洋、以下「日本気象協会」)が推進する「熱中症ゼロへ」プロジェクト(以下、本プロジェクト)は、本格的な暑さを迎える前に、事前に体を暑さに慣れさせること(暑熱順化:しょねつじゅんか※1)の大切さについて広く知ってもらうことを目的に、各地域で暑熱順化が必要なタイミングの目安となる「熱中症ゼロヘ 暑熱順化前線(第 1 回)」(https://www.netsuzero.jp/le15-zensen)を、本プロジェクト公式サイトで 2024年 4 月 9 日(火)に公開します。
※1:暑熱順化について https://www.netsuzero.jp/learning/le15
「熱中症ゼロへ 暑熱順化前線」は、軽い運動や湯船につかる入浴などで意識して汗をかくことで、体を暑さに慣れさせる暑熱順化を始めるタイミングの目安を示しています。暑熱順化ができていないと、体の熱をうまく外に逃がすことができず、熱中症になる危険性が高まります。暑熱順化には個人差もありますが、数日から2週間程度かかるといわれています。
昨年(2023年)は1898年の統計開始以降最も暑かった夏で、2023年6月から8月の平均気温は最も高くなりました。東京でも記録的な暑さとなり、64日連続の真夏日(7月6日から9月7日まで)は過去最長でした。今年も春まで続くエルニーニョ現象の影響などにより日本付近は暖かい空気に覆われやすく、夏の気温は全国的に平年より高い見込みです。4月から最高気温が30℃以上となる真夏日が出る可能性もあり、早めの熱中症対策が求められます。
多くの人が暑熱順化をできていない、4月のタイミングでの急な暑さにはますます注意が必要で、熱中症の予防・対策が必要な時期も年々早まっています。暑熱順化をするには無理のない範囲で汗をかくことが大切です。軽い運動や湯船につかる入浴など、意識して汗をかくことが対策につながります。また暑熱順化と併せて、本格的な夏を迎える前からエアコンの点検や試運転を行う、暑さ対策アイテムをそろえるなど、熱中症は気象災害であることを意識し「備える」ことも重要です。
本プロジェクトでは、暑熱順化開始の目安となるタイミングとあわせて、暑熱順化の具体的な方法を公式サイトやX(旧Twitter)の公式アカウント(@netsuzero2013)で随時発信していきます。
なお、6月上旬ごろ、今後盛夏の暑さを迎える前に「熱中症ゼロへ 暑熱順化前線(第 2 回)」を発表予定です。
【熱中症ゼロへ 暑熱順化前線】https://www.netsuzero.jp/le15-zensen
【熱中症ゼロへ 暑さへの備え】https://www.netsuzero.jp/learning/le20
■暑熱順化とは
暑くなる前からできる熱中症の対策には、暑さに強い体づくりがあります。暑さに強い体を作るためには、バランスの良い食事や十分な睡眠以外に、「暑熱順化」をすることも大切です。暑熱順化とは、体が暑さに慣れることです。暑熱順化ができていないと、体の熱をうまく外に逃がすことができず、熱中症になる危険性が高まります。暑熱順化には個人差もありますが、数日から 2 週間程度かかります。暑くなる前から余裕をもって体を暑さに慣れさせましょう。
■暑熱順化ポイントマニュアル
「熱中症ゼロへ」プロジェクトの「暑熱順化」コンテンツページでは、印刷して暑熱順化の知識を深めることができる「暑熱順化ポイントマニュアル」も掲載しています。
以下のページより、ポイントマニュアルを利用することができます。
コンテンツダウンロードページ
https://www.netsuzero.jp/images/learning/le15/download_pdf01_2024.pdf
【この先の気象傾向】
日本気象協会所属 気象予報士/防災士/熱中症予防指導員 久保智子
今年の3月は、寒の戻りで桜の開花は平年より遅い所が多くなりました。
ただ、4月から5月は、暖かい空気に覆われやすいため、気温は東日本や西日本、沖縄・奄美で平年より高く、北日本で平年並みか高いでしょう。東日本や西日本を中心に、4月後半から最高気温が30℃以上の真夏日を観測し、季節外れの暑さとなる所がありそうです。まだ体が暑さに慣れていない時期は、急な暑さで熱中症になることがあります。バランスの良い食事や十分な睡眠をとり、適度な運動で暑熱順化を進めるなど、熱中症を予防しましょう。
今年の夏は、太平洋高気圧の西への張り出しが強まり、暖かい空気に覆われやすいため、気温は全国的に平年より高い見込みです。梅雨時期の降水量は、西日本の太平洋側と沖縄・奄美で平年並みか多いでしょう。昨年は観測史上最も暑い夏となりましたが、今年の夏も昨年並みの猛暑になる可能性があります。早い時期から熱中症対策を行いましょう。
参考資料 昨年の夏の振り返り
2023年の夏の平均気温は平年※2と比べて+1.76℃高く、1898年の統計開始以降、2010年を上回り最も高い値となりました。特に、7月後半から8月にかけて北日本を中心に記録的な暑さに見舞われ、8月5日に福島県伊達市梁川、10日に石川県小松市でともに最高気温40.0℃と、昨年の国内最高気温を観測しました。年間の猛暑日(日最高気温が35℃以上)日数は、群馬県桐生市で46日と国内の歴代最多記録を更新し、埼玉県熊谷市で45日、京都市で43日など、過去最多を記録した地点が多くなりました。また、年間の真夏日(日最高気温が30℃以上)日数も、岐阜県多治見市で101日など過去最多となった所が多くなりました。
5月から9月の全国の熱中症による救急搬送者数は91,467人(2022年より20,438人増加)で前年(2022年)の約1.3倍でした。記録的な暑さとなった北海道と東北は前年の約2倍、8月は北海道と秋田県で前年の約10倍と大幅に増加しました。
※2:平年とは1991~2020年の30年平均値
■「熱中症ゼロへ」プロジェクトとは
熱中症にかかる方を減らし、亡くなってしまう方をゼロにすることを目指して、一般財団法人 日本気象協会が推進するプロジェクトです。2013年夏のプロジェクト発足以来、熱中症の発生に大きな影響を与える気象情報の発信を核に、熱中症に関する正しい知識と対策をより多くの方に知ってもらう活動を展開してきました。活動12年目となる2024年は「地球沸騰化時代の熱中症対策」をテーマに、熱中症の予防啓発活動を実践します。気象災害のひとつである熱中症への防災意識を高め、暑さに備えるための情報発信を強化します。
■一般財団法人 日本気象協会について
日本気象協会は、民間気象コンサルティング企業の先駆けとして1950年に誕生しました。防災・減災や洋上風力発電の分野以外でも、気象データを活用した商品需要予測や電力需要予測、気候変動対策などのコンサルティングを通じ、気象データのビジネスでの利活用を提案しつづけています。所属する気象予報士の数は350人を超え、日本最大級の規模を誇る気象の専門家集団として企業のESG投資やSDGs活動への支援も積極的に展開中です。
・「熱中症ゼロへ」は日本気象協会の登録商標です。
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