QNX、日本のロボティクス導入の現状と課題を浮き彫りにした新たな調査結果を公開

労働力不足対策としての導入が進む半面、コストの高さが最大の障壁に

BlackBerry Japan 株式会社

QNXは、BlackBerry Limited(NYSE: BB; TSX: BB)の事業部門として、日本を含む世界各国の医療、製造、自動車、重機産業の経営幹部1,000人(うち日本から100人)を対象に実施した、ロボットの導入に関する最新調査結果を公開しました。この調査結果を通じ、ロボット導入における日本に特有の傾向と課題が明らかになりました。

日本に関する主な調査結果:

  • 現在ロボットを導入している日本企業の54%がロボット導入の主な要因として「労働力不足」と回答(グローバル平均27%)

  • 日本企業の68%が「初期コストの高さ」を最大の課題と回答(グローバル平均47%)。その他の中長期的コストと合わせ、コスト面での負担が大きな導入障壁に

  • 導入率は製造業79%(グローバル平均71%)、自動車業界74%(グローバル平均65%)がグローバル平均を上回ることに対し、医療23%(グローバル平均40%)、物流16%(グローバル平均48%)と業界間で大きな格差が見られます

  • 「ロボット運用の準備ができている」と回答した日本企業は42%(グローバル平均69%)と低水準。また「ロボットを完全に信頼している」割合は10%(グローバル平均13%)、「全く信頼していない」は23%(グローバル平均15%)で、日本におけるロボット導入準備の遅れと信頼性の低さが明らかに

日本における特有の促進要因と課題
現在、ロボットを利用している日本企業の割合は41%(グローバル平均50%)、今後導入の予定がある企業は24%(グローバル平均47%)であり、グローバル平均と比較していずれも低いレベルにとどまっています。また、ロボット利用が最も進んでいる用途は自動化54%(グローバル平均50%)、生産51%(グローバル平均46%)、サポート32%(グローバル平均36%)、および高リスク業務27%(グローバル平均28%)でした。

図1:現在ロボットを利用している組織の割合(国別)

日本におけるロボット導入に「大きく影響を与える要因」として、既にロボットを導入している日本企業の54%が回答したのは「労働力不足」でした。これはグローバル平均27%の実に2倍に該当し、少子高齢化を背景に日本で深刻化する労働力不足がロボットの導入に直結していることを窺わせます。他の大きな要因として日本の企業から挙げられたのは、「安全性の向上」が49%(グローバル平均44%)、「労働力の規模拡大と柔軟性の向上」44%(グローバル平均39%)、「技術の進歩」41%(グローバル平均51%)でした。

コスト面が最大の導入障壁に

一方で日本における導入の最大の障壁は「初期コストの高さ」(日本68%、グローバル平均47%)となっており、日本の企業ではこの課題が特に突出しています。さらに「メンテナンスとダウンタイム」32%、「既存システムとの統合」32%など、中長期的なコストを含む総合的な経済的負担が、ロボット導入における大きな課題であることが明らかになりました。このコストに関する課題感は、大企業(従業員1000人以上)の導入率78%に対し小規模企業(従業員2-9人)では7%と、企業規模間での顕著な導入格差にも現れています。

 

準備・信頼性の不足も課題
コスト以外にも、具体的にロボットを導入し、運用する上で日本の企業が乗り越えるべき重要な課題が調査結果から浮かび上がっています。「ロボット運用の準備」の遅れ、そして「ロボットへの信頼性」の低さです。

「ロボット運用の準備ができている」と回答した日本企業は42%(グローバル平均69%)で、調査対象の国々の中で日本が最も低い数値となりました。特に94%が準備できていると回答した中国とは2倍以上の差となっています。

図2:「ロボット運用の準備ができている」と回答した組織の割合(国別)

この準備に関連しているのが、トレーニングとスキル開発に関する課題です。問題解決、監視、最適化など、ロボットとの連携方法に関する詳細な役割別トレーニングなどの高度なトレーニングプログラムを提供している日本の企業はわずか7%で、グローバル平均27%、また中国の52%に比べ極めて低い割合を示していました。

また、重要な業務に関する信頼度も低く、「ロボットを完全に信頼している」と回答した日本企業の割合は10%(グローバル平均13%)、「全く信頼していない」は23%(グローバル平均8%)であり、「信頼している(完全に/高/中程度)」とした回答の合計も63%(グローバル平均77%)と、世界的に低い割合にとどまりました。そうした考え方を反映するように、日本企業が今後10年間で従業員の19.7%が自動化される可能性があると予測しています。グローバル平均19.9%と同水準ですが、中国の32.1%と比較すると慎重な姿勢を示しています。また、「ロボットと共同作業することに抵抗が無い」と感じる割合は日本65%に対し、グローバル平均70%、中国89%でした。

図3:業界内での重要な業務においてロボットを「信頼している」と回答した組織の割合(国別)

業界間で二極化する導入状況
顕著な導入格差は、複数の業界間でも見られました。日本の製造業79%(グローバル平均71%)、自動車業界74%(グローバル平均65%)が世界的に高い導入率を示す半面、医療業界23%(グローバル平均40%)、物流業界16%(グローバル平均48%)と低い水準にとどまっていることが明らかになっています。

世界的にも、医療処置、カスタマーサービス、メンテナンスと修理など、人間とのインタラクションをより多く必要とするタスクを扱うロボティクスへの信頼は得られにくいという結果が出ています。しかし、日本の医療、物流業界での導入率の低さは突出しており、特に医療業界などの分野では、ロボティクスの安全性と信頼性を担保しながら導入を促進していくことが必要となります。

QNX Japan カントリーセールスディレクターのアガルワル サッチンは次のように述べています。

「日本社会で進む少子高齢化が、労働力不足という形でロボット導入に大きく影響した可能性があるという特有の状況が、本調査から明らかになりました。その一方で、業界や企業規模による導入格差も大きく、特に医療・物流業界や中小企業での遅れが顕著です。今後さらなる深刻化が予想される労働力不足に日本が対処していくためには、導入の遅れが目立つ業界・企業での導入促進が重要です。特に医療業界などのクリティカルなシステムでは、QNXのような信頼性のあるソフトウェアをベースに高精度、安全性、高度な操作性を実現し、ロボットの信頼性を高めることが、導入の促進に結びつきます」

グローバルでの主な調査結果:安全性に基づくロボットへの信頼
グローバルでは下記のような結果が明らかになりました。

  • 世界のテクノロジーリーダーの77%が、職場での重要な機能に対してロボティクスを信頼

  • ロボットへの信頼に影響を与える最大の要因は「安全性とリスクの軽減」42%、および「実績ある信頼性と性能」40%

  • 経営幹部は平均して、今後10年間で自社の従業員の約20%がロボティクスによって自動化されると予想

世界のロボティクス市場は大きな成長と変革の途上にあり、ABIリサーチによると、世界のロボティクス市場の価値は2024年の510億米ドルから、2030年には1639億ドルに増加する見込みです。AIと機械学習の進歩によりロボットの能力が向上し、採用が強化される中、ロボットが様々な産業にわたり、ますます多く業務に統合されていくという全体的な傾向が示されています。

QNXのEMEA・北米組み込み市場担当バイスプレジデントJim Hirschは次のように述べています。

「外科手術用の機器から自動運転フォークリフトまで、ロボットは世界中の様々な産業で受け入れられ、ロボットの新技術が果たす役割もより安心感を持って受け止められています。しかし、この調査データから明らかになった通り、その信頼は盤石とは言えません。もしロボットが、十分な性能、安全性、セキュリティ、信頼性を確保するために必要な基盤ソフトウェアを備えずに構築・展開された場合には、容易に信頼を失う可能性があります。人間の労働者とその環境の安全を優先してこそ、事業現場に導入されたロボットは真価を発揮できるのです」

QNXは、高性能オペレーティングシステム、ハイパーバイザー、ミドルウェア、ソリューション、および開発ツールを提供しています。QNXは、高性能エッジコンピューティング、標準ベースの仮想化技術、クラウド対応などの分野で組織が新たな可能性を活かせるよう支援します。QNXは世界で最もクリティカルなシステムで信頼され、医療機器メーカー上位10社のうち9社で導入されるなど医療分野を含む様々な業界をリードしています。

詳細は、QNX.comをご覧いただくとともに、@QNX Newsをフォローしてください。

調査概要
本オンライン調査は、医療/医療機器、製造、自動車、重機産業におけるロボティクスに関する意思決定者を対象とし、QNXによる委託のもと市場調査会社OnePollが市場調査協会の行動規範に則り実施しました。データ収集期間は2025年3月5〜14日です。全参加者は二段階でのオプトインによって調査に参加し、調査の長さおよび複雑さに応じた支払いを受けています。本調査はOnePollの調査チームが監督・編集しています。OnePollはMRSの企業パートナーであり、ESOMARの企業会員およびBritish Polling Councilのメンバーです。

BlackBerryについて
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QNXについて
QNXは、BlackBerry Limited(NYSE: BB; TSX: BB)の事業部門として、人々の体験を豊かにし、テクノロジー主導型の産業の可能性を広げ、ソフトウェア定義型企業が成長できる信頼できる基盤を提供しています。当事業部門は、安全かつセキュアなオペレーティングシステム、ハイパーバイザー、ミドルウェア、ソリューション、開発ツールの提供において業界をリードし、信頼される組み込みソフトウェアの専門家によるサポートとサービスを提供しています。QNXテクノロジーは、現在2億5500万台以上の自動車を含む、世界で最もクリティカルな組み込みシステムで採用されています。QNXソフトウェアは、自動車、医療機器、産業用制御装置、ロボット、商用車、鉄道、航空宇宙・防衛など幅広い業界で信頼を獲得しています。1980年に設立されたQNXは、カナダ・オタワに本社を置いています。詳細については、qnx.comをご覧ください。

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会社概要

BlackBerry Japan 株式会社

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URL
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業種
情報通信
本社所在地
東京都港区赤坂1-11-30
電話番号
-
代表者名
アガルワル サッチン
上場
未上場
資本金
-
設立
2001年05月