セゾンテクノロジー、目黒区・地方公共団体情報システム機構と自治体保有データと生成AIを活用して政策企画の評価実証
~生成AI分析によりわずか数分程度でインサイトを取得し自治体の根拠に基づく政策立案(EBPM)を推進~
株式会社セゾンテクノロジー(本社:東京都港区、代表取締役 社長執行役員:葉山 誠、以下セゾンテクノロジー)は、目黒区の全面協力と地方公共団体情報システム機構(以下J-LIS)の支援の下、地方自治体が保有するさまざまなデータを連携し、生成AIを活用して政策の企画を評価・分析する実証実験を共同で実施したことを発表します。
本実証実験により、自治体データと生成AIを活用した政策企画に関するインサイト(示唆)をプロンプトの指示からわずか数分程度で得ることができ、これまでの人手に依存したデータの分析と評価に代わり、今後、地方自治体において根拠に基づく政策立案(EBPM)*1が推進できることが実証されました。

背景
地方自治体において、地域住民の意思や地域の課題解決、住民生活の向上を目的とした公共サービスを提供・管理運営するためには、各々の自治体が保有するデータを活用した、根拠(エビデンス)に基づく施策の評価が重要です。しかし、多くの地方自治体では、日々の多忙な業務や専任担当者の不在、また、限られた予算執行の中で保有する膨大なデータを活用した政策企画の評価がしきれていないのが現状です。
このような課題を解決するため、セゾンテクノロジーは、目黒区の全面協力とJ-LISの支援の下、自治体が保有するさまざまなデータを連携し、それらを生成AIに取り込んで分析、傾向の抽出などのインサイトから施策の評価を行う実証実験を実施しました。
自治体保有データと生成AIを活用した評価実証の概要
本実証実験では、目黒区が保有するオープンデータを中心とした施設に関する利用状況やコストなどのデータ提供を受け、「区有資産の有効活用」をテーマに、生成AIを用いて区の施設が有効活用されているかどうかや、「事業の大幅な見直しが必要である」という前提を設定した上で、生成AIによるデータ分析でそれらが棄却できるかなどを検証しました。
セゾンテクノロジーは、複数のデータソースの連携にiPaaSである「HULFT Square」を活用し、自治体のデータを分析目的に沿って動的に抽出・集計した上でクローズド環境の生成AIと連携し、データから読み取れる変動や関連性を言語化する仕組みを開発・構築しました。また、今後本番データを利用することも想定し、個人情報を含むさまざまな自治体が保有するデータを安全に連携、活用するための知見の提供もJ-LISから受けています。
目黒区は、日々の業務で培った幅広い知見を生かし、生成AIがアウトプットする施策評価の妥当性や有効性のフィードバックを行うことで、データ処理およびインサイトレポートの改善、並びに自治体業務に合った表現の見直し向上を行いました。
この実証実験を通じ、自治体で保有しているさまざまなデータの連携と生成AIの活用により、自治体における施策評価の業務において次の点が有用であることが確認できました。
1.自治体データの集計および傾向の可視化をわずか数分程度でアウトプット
施策評価業務では、関連するさまざまなデータを収集・加工・集計し、データ分析ツールによる多角的な分析からインサイトを得ることが必要です。実証実験における高齢者施設と会議室に関する評価分析を例にとると、生成AIへのプロンプト指示からわずか3~5分程度でコストや財務、また人的リソースの観点から分析結果を得ることができています。従来、自治体の担当者によって行われていた煩雑かつ専門的な作業を、データ連携と生成AIによって効率的に行えるようになります。
2.担当者では不可能な数多くのパターン比較を生成AIで検証
データから解像度の高い示唆を得るには、データ同士や都市同士の比較など、特定の観点での比較が重要視されます。生成AIが有効な比較パターンを精査し、担当者では対応しきれない数多くのパターンを検証することで、さまざまな角度の分析から導かれる示唆が得られるようになります。
次のインサイトレポートの例では、「高齢者施設」をテーマに、大幅な施設再編が必要との仮説をもとにして、データに基づいた定量的な分析と必要な施策の提案、およびその提案に対する反証(反論)を含めて分析するよう生成AIに対しプロンプト指示を行っています。
利用状況や施設の状態、また維持コストなどの定量分析のほか、「多世代交流拠点として再整備」「子育て支援機能や地域コミュニティ機能の付加」などの中長期的施策の提案や、「健康増進や介護予防に関する専門スタッフの配置」など人員配置に関するインサイト、提案の反論に対し「施設の全面廃止でなく効果的・効率的なサービス提供を目指すもの」「施設の多機能化によりサービスの質と多様性は向上」などの反証も得られています。


なお、本実証実験は目黒区および複数の他自治体とも実施しており、同様の評価が実証されています。今回はセゾンテクノロジー環境下での検証となりましたが、今後、セゾンテクノロジーは、自治体が共同で利用するセキュアなデータベース*2とデータ連携プラットフォーム(iPaaS)「HULFT Square」等と組み合わせることで、複数の自治体が共同利用可能な生成AIソリューションの構築を目指してまいります。
また、本実証実験について目黒区よりコメントを頂戴しております。
目黒区 企画経営課 武山 大輔 氏からのコメント
目黒区では、EBPM推進を重要なテーマと認識しておりますが、日々の業務の中で膨大なデータを十分に活用しきれていない状況がありました。今回の実証実験を通じ、オープンデータと生成AIを組み合わせることで、多角的な分析や迅速なインサイト抽出という新たな気付きを得ることができました。この気付きを踏まえ、今後、データとテクノロジーを活かしたEBPMのあり方の参考にしてまいります。
*1 EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング:証拠に基づく政策立案):政策の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠(エビデンス)に基づくものとすること(「内閣府におけるEBPMへの取組」より)
*2 例:J-LISの「自治体基盤クラウドシステム」など
セゾンテクノロジーについて
データインテグレーターであるセゾンテクノロジーは、 「世界中のデータをつなぎ、誰もがデータを活用できる社会を作る」をミッションに、安全・安心の基盤となるデータ連携製品や ITサービスをグローバルに展開し、金融や流通業をはじめとする多種多様な業種向けのシステム開発・運用を提供しています。長年にわたり環境の変化に即応してきた強みを活かし、現在はクラウド型データ連携プラットフォーム(iPaaS)「HULFT Square」の拡大に注力するほか、未来を切り拓くテクノロジーの実装に向けた取り組みを強化しています。
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セゾンテクノロジー:https://www.saison-technology.com/
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HULFT製品サイト:https://www.hulft.com/
商標関連
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「HULFT」は、セゾンテクノロジーの商標または登録商標です。
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その他の会社名、製品名、サービス名等は、各社の商標または登録商標です。
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