【2026年以降の業種別倒産発生予測ランキングを発表】製造・建設・一次産業の業種で倒産リスクが高止まり
~14,143社・255,755件のネット情報等から、倒産危険度の高い業種を分析~
・電子部品・デバイス・電子回路製造業が2期連続1位
・建設関連2業種と道路貨物運送業が上位に。人手不足等の構造的な負荷が顕在化
・農業・漁業など一次産業で倒産リスクが顕在化。気候変動や飼料肥料高による影響か
AI与信管理サービスを提供するアラームボックス株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:武田浩和、以下「当社」)は、この度、2024年12月1日~2025年11月30日の期間に収集された14,143社・255,755件のネット情報等から1年以内に倒産する危険性がある“要警戒企業”を分析・抽出し、「倒産危険度の高い上位10業種」を予測しましたので発表します。
◆倒産可能性の高い業種ランキング

◆調査背景
昨今は円安による輸入コストの高騰や原油高の影響、さらには人手不足による人件費の高騰から、企業の生産コストが上昇しています。これにより収益の確保が難しい多くの企業が値上げに踏み切り、消費者の生活が圧迫される現状となっています。
また日本銀行の発表によれば、2025年度10月の国内企業物価指数は前年比2.7%増で、2020年平均を100としたときの同月指数は127.5となっており、企業間取引の価格動向が高く上昇し続けています。※6
このような先行き不透明な状況のなか、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金といった支援策の新規受付が終了し、反対にゼロゼロ融資の返済が本格的に始まったことで多くの企業は財務基盤が以前よりぜい弱となっています。このため、取引先倒産によって引き起こされる代金未回収が資金繰りに与える影響は大きくなっています。これらの経営リスクを回避するべく、企業には取引先の業種動向や倒産リスクを常に把握することが求められます。
当社はこれまで企業の連鎖倒産を防ぐ取り組みとして、AI与信管理クラウドサービス「アラームボックス」の提供を通じて倒産の事由や前兆と見られる情報を「アラームボックス」上で収集・解析してきました。
以上を踏まえ、“1年以内に倒産する危険性がある要警戒企業”を業界ごとに集計し、内容の分析を行うことで、取引先の与信管理におけるタイムリーな情報収集の重要性と活用法を啓発すべく、本調査の実施と発表に至りました。
※6日本銀行 企業物価指数(2025年10月速報)
https://www.boj.or.jp/statistics/pi/cgpi_release/cgpi2510.pdf
◆主な調査結果
今回の調査では、倒産リスクが最も高い業種として電子部品・デバイス・電子回路製造業が前回の分析時に続き1位となりました。この業種では、得意先業界の不振や半導体関連需要の変動により、赤字や債務超過が継続する企業が確認されています。
また、総合工事業・職別工事業の建設関連2業種に加えて道路貨物運送業が上位に入りました。これらの業種では、人手不足やコスト増といった構造的な負荷が経営を圧迫しています。また、安全管理の問題や支払い遅延、連鎖倒産の事例も見られ、資金繰りの脆弱性が浮き彫りとなりました。
さらに、農業・漁業など一次産業が上位に入りました。飼料・肥料・燃料価格の高騰や市場変動の影響を受け、債務超過に陥る企業が散見されるなど、倒産リスクが顕在化しています。
その他、前回も10位以内に入っていた宿泊業や、パルプ・紙・紙加工品製造業、各種商品卸売業でも、事業停止や債務超過、従業員減少など運営面の不安が確認され、信用リスクが高止まりしています。
◆調査結果詳細
1位 電子部品・デバイス・電子回路製造業:32社に1社が倒産する危険性あり
主な事業:スマートフォン、自動車、医療機器、産業機器などの電子部品・デバイス・回路の製造
電子部品・デバイス・電子回路製造業では、大幅赤字が改善されていない企業や、資本金が大きく減少したメーカーが見られ、財務面の不安定さが続いています。また、半導体不足を背景に生産遅延と納品遅れが発生し、売上不振から倒産に至った事例も確認されました。さらに、車載部品や医療機器向けなど特定用途に依存する企業では、需要変動や供給制約の影響を受けやすく、資金繰り悪化のリスクが高まりやすい構造が浮き彫りとなっています。
半導体商社の再編も進むなか、調達環境の変化が中小企業の収益を左右する場面も増えており、この業種の倒産リスクは前回の分析時に続き1位となりました。
2位 総合工事業:35社に1社が倒産する危険性あり
主な事業: 土木工事業、建築工事業、建築リフォーム工事業など
総合工事業では、工事内容や請負代金のやり取りをめぐる係争が散見され、これらのトラブルが取引先への信用不安につながる懸念がうかがわれました。また、完工高や受注は増加しているにもかかわらず、工事量の増加に伴う運転資金負担の拡大や採算性の低さに、資材価格・人件費の上昇が重なることで資金繰りが悪化し、事業継続を断念せざるを得ない企業も散見されます。
また一部企業では、ホームページの閉鎖や従業員数の減少といった事業縮小や撤退をうかがわせる兆候も見られます。給与や家賃の支払い遅延など要注意情報も多く、総合工事業の倒産リスクは高止まりしている状況です。
3位 職別工事業(設備工事を除く):38社に1社が倒産する危険性あり
主な事業:とび工事、内装工事、塗装工事、鉄骨工事など
主に下請けとして内装工事や塗装工事を行う事業者に、債権譲渡登記の多発やノンバンクからの資金調達がみられ、運転資金不足が慢性化している企業が散見されました。支払遅延や訴訟、書類送検の情報もみられ、信用力の低下が取引先からの警戒感を強めている状況です。また、ホームページ閉鎖や営業実態が不明な企業等、一部ではすでに破産手続きに移行した事例も確認されています。
こうした企業では、自己資本の毀損や営業キャッシュフローの悪化など、財務指標の脆弱さが目立つケースも多く、収益力・財務基盤ともに不安定な構造が浮き彫りになっています。資材・人件費の上昇が続くなか、下請型のビジネスモデルにより価格交渉力も弱く、支払遅延に関する要注意情報が多いことからも、職別工事業の倒産リスクは高い水準にあると言えます。
4位 農業:39社に1社が倒産する危険性あり
主な事業: 耕種農業、畜産農業、園芸サービス業など
畜産農業では、複数期にわたる赤字や債務超過に陥っている事業者が目立ち、財務基盤の脆弱化が進行しています。飼料やエネルギーコストの高騰に加え、豚肉や鶏卵などの市況変動や感染症の発生が重なり、販売価格への転嫁が追いつかず大幅な欠損や連続赤字となるケースが散見されます。大型牧場や新ブランド商品の開発など、成長を見込んだ投資が想定どおり収益化せず再生手続きに至る事例も散見され、事業拡大に伴う投資・借入負担が経営リスクとして顕在化しています。
一方、耕種農業では、気候変動による生産性の低下を背景に、物流費や資材費の上昇で収益性が圧迫され、赤字や債務超過に陥る企業が確認されています。資金繰りの悪化を背景に、債権譲渡登記が複数回確認されるなど、短期的な資金調達に頼る動きも発生しています。また、ホームページが閲覧できない、経営体制の急な変更など、事業実態がつかみにくいケースもあり、取引先からの信用不安につながりやすい状況です。
5位 パルプ・紙・紙加工品製造業:39社に1社が倒産する危険性あり
主な事業:パルプの製造、製紙業、紙製品の製造など
パルプ・紙・紙加工品製造業では、需要縮小とコスト高騰が重なる構造不況下で、財務基盤の弱い企業を中心に信用リスクが高まっています。印刷・情報用の紙を主力とする一部の製紙会社では、デジタル化による需要減やパルプチップ・燃料費の上昇で採算が悪化し、事業撤退や法的整理に至る事例がみられます。紙加工分野でも、封筒・文具メーカーの事業譲渡後の解散や梱包資材メーカーの再編が進み、段ボール・紙袋メーカーでは複数社で債務超過が判明しています。
6位 宿泊業:40社に1社が倒産する危険性あり
主な事業:旅館、ホテルなど
宿泊業では、地方旅館から都市型ホテルまで幅広く財務悪化が目立ち、信用リスクが高まっています。複数の旅館・ホテルで債務超過が判明しているほか、従業員数の減少が確認される事例や、運営会社の事業分割・再編も発生しています。また、シティホテル運営会社では赤字が継続し、一部大規模ホテルでも最終損失が膨らむなど、収益改善の遅れが課題です。需要回復基調にあるものの、設備投資負担や人件費高騰を吸収しきれない企業を中心に、倒産リスクが高止まりしています。
7位 各種商品卸売業:41社に1社が倒産する危険性あり
主な事業:分野をまたいで複数の品目を取り扱う商社や卸売業者(食品・衣服・建築材料など)
各種商品卸売業では、企業の財務悪化や内部管理面の懸念が散見されるなど、信用リスクが高まっています。輸入食品や農産品、雑貨などを扱う卸売企業で債務超過や倒産に至った事例がみられ、競合激化やメーカーから小売への直販拡大の影響がうかがえます。また、従業員数の減少や事業規模の縮小が懸念される企業も散見されました。多様な業種と取引する特性上、こうした問題が取引先に波及する可能性もあり、引き続き慎重な与信管理が求められます。
8位 道路貨物運送業:42社に1社が倒産する危険性あり
主な事業:宅配便、トラック運送、引っ越し業など
道路貨物運送業では、財務面・運営面の双方で不安定化がみられ、信用リスクが高まっています。複数の運送会社で債権譲渡登記が続くほか、支払い遅延が発生した事例も確認され、資金繰りの逼迫が懸念されます。自己破産準備に入った企業や、関連会社の倒産に連鎖して法的整理に至ったケースもあり、経営基盤の弱さが浮き彫りとなっています。また、公的情報の公表前にウェブ上で閉業表示が確認される事例も見られます。さらに、点呼管理の不備が疑われる事故も発生しており、安全管理体制にも課題を抱えています。人手不足とコスト増が続く中、財務・運営両面でのリスク点検が求められます。
9位 漁業・水産養殖業:43社に1社が倒産する危険性あり
主な事業:水産動植物の採取や養殖など
漁業・水産養殖業では、財務面の弱さがうかがえる事例が見られます。事業継続が難しくなった企業では、海産物を活用した関連事業の譲渡など、事業構造の見直しが進む動きも確認されます。魚などの養殖業者では、債務超過や資本金減少が確認されており、収益環境の不安定さが懸念されます。特に養殖事業者では、前回の調査で、コロナ禍の飲食店向け需要急減に加え、飼料費や加工にかかる人件費の上昇で採算が大きく崩れている様子も示されており、今後も注意が必要といえます。
10位 洗濯・理容・美容・浴場業:44社に1社が倒産する危険性あり
主な事業:脱毛サロン、エステ、美容院、クリーニング、銭湯など
洗濯・理容・美容・浴場業では、個人向けサービスを中心に事業継続や財務面の不安が強まっています。大手の脱毛サロンや痩身エステ、美容整体チェーンでは、突然の店舗閉鎖や従業員への給与遅配、債務超過の情報がみられました。また、一部のエステサロンでは、閉店やホームページへのアクセス不能により、予約できない、回数券の残りが利用できない、解約後も返金されないといった具体的な声が寄せられており、こうした利用者トラブルが与信リスクとして表面化しつつあります。温浴施設運営会社でも設備故障を契機とした長期休業や債権譲渡登記が確認されており、資金繰り難や先行き不透明感が懸念されます。
◆考察
今回の調査では、製造・建設・運送・農業・漁業といった業種を中心に、コスト上昇局面での資金繰り耐性の差が倒産リスクに直結している実態が浮き彫りとなりました。原材料・燃料・人件費などの高騰が長期化する中、価格転嫁が遅れやすい業種では、手元資金の厚みや支払サイト、販路の多様性といったキャッシュフロー構造の強さが企業間格差を生み、同じ業種内でも財務状況が二極化しています。
また、電子部品、建設、運送、農業など、今回上位となった業種はいずれも固定費比率が高く、需要変動に弱い構造を抱えています。設備維持費や人件費、燃料費、外注費などの固定的支出が重い業態では、売上の減少や仕入価格の高騰が即座に損益を圧迫し、債務超過や赤字の長期化につながるケースが散見されました。こうした業種の信用リスクの高止まりは、今後も続く可能性があります。
さらに、ホームページの閉鎖や従業員数の減少、返金トラブルに関する口コミ、債権譲渡登記の増加、支払い遅延といった、倒産に先立って現れる前兆が、複数の業種で共通して確認されました。このような財務諸表だけでは把握しきれない前兆は早期に表面化する傾向があるため、ネット上の情報を含む外部の定性情報は貴重な情報源となります。特に、企業の資金繰りが不安定化しやすい市況下では、こうした定性情報を早期検知に生かすことが、取引の安全性を確保する上で重要となります。
本調査で上位にランキングされた業種の企業の中にも、財務状況や企業体質が健全な企業は存在します。そのため、あくまで適切な個社ごとの判断をすることが重要であり、動向や倒産リスクをタイムリーに把握できる与信管理体制や仕組みを整えた上で取引することが推奨されます。
◆調査概要
調査期間:2024年12月1日〜2025年11月30日
対象企業:アラームボックスでモニタリングしていた企業のうち、14,143社
対象データ:アラームボックスで配信されたアラーム情報255,755件
◆アラームボックスについて
AI与信管理クラウドサービス「アラームボックス」( https://alarmbox.jp )は、スマートフォンやPCから取引先を登録しておくだけで、取引先のリスクや状況変化を自動で知らせてくれるクラウドサービスです。収集・判断の難しいネット上の情報を、与信への影響度を診断したうえでお届けするため、インターネット上の情報を活用した「高精度」な与信管理を、「カンタン」に、「低価格」で導入できます。それにより、取引先の情報収集に関わる業務負荷を大幅に削減し、信用状況の変化をいち早くキャッチして、リスクに迅速に対応できます。

◆会社概要
会社名:アラームボックス株式会社
代表者:代表取締役社長 武田 浩和
所在地:東京都新宿区市谷本村町3-22
設立 :2016年6月
資本金:340,200千円
企業サイト: https://alarmbox.co.jp
サービスサイト: https://alarmbox.jp
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