マーサー『2022年 世界生計費調査‐都市ランキング』を発表
- 海外派遣者にとって最も物価が高い都市は香港、アジアの4都市がトップ10入り
- アジア圏で物価が高い都市トップ10のうち中国が6都市を占める
- アジア圏で海外派遣者にとって最も物価が安い都市はビシュケク
組織・人事、福利厚生・ウェルビーイング、資産運用のグローバルリーダー、マーサーは『2022年世界生計費調査(Cost of Living Survey)– 都市ランキング』( https://www.mercer.co.jp/newsroom/cost-of-living.html )の結果を発表した。
マーサーの『2022年世界生計費調査 – 都市ランキング』では、アジアが世界で最も物価の高い都市ランキングのほぼ半数を占め、香港が海外派遣者にとって最も物価の高い都市となった。トップ10には、香港(1位)、シンガポール(8位)、東京(9位)、北京(10位)とアジアの4都市が入った。チューリッヒ(1位)、ジュネーブ(3位)、バーゼル(4位)、ベルン(5位)とスイスの4都市が5位以内にランクインし、テルアビブ(6位)、ニューヨーク(7位)がトップ10入りした。今回のランキングは2022年3月に五大陸の227都市を対象として、各地域で200品目以上の価格を調査し比較したものである。海外派遣者の最新の購買パターンを反映させるため、マーサーでは今年から生計費指数の算出方法を一部見直し、スマートウォッチ、タブレットPC、スマートフォンなどの新しい品目をバスケット品目に加え、音楽CDやビデオレンタルなどの品目を除外した。
アジア太平洋地域のリージョナルモビリティリーダーであるTracey Maは、次のように述べている。
「世界中の他の地域と比較するとアジアの物価上昇は低いものの、日本と韓国を除いた各国の物価上昇と通貨高により、海外派遣者にとってアジアが最も物価が高い地域のひとつとなっています。過去数ヶ月、中国人民元の高騰により中国本土の物価も上昇しており、北京、上海、深圳、広州、青島、南京の主要6都市はアジアで最も物価の高い都市のトップ10に入りました。一方、日本や韓国の都市は、日本円や韓国ウォンの通貨安により相対的に物価が安くなりました」
ここ数年、物価変動よりも為替変動が生計費指数の変動に影響を及ぼしていた。しかし、先進国の物価上昇により、2022年はこのような状況ではなくなった。海外出張や海外派遣が再開される中、企業は今、海外派遣者の購買力を補償することの難しさに直面している。生計費データに加え、マーサーによる海外派遣者処遇に関する調査やお客様とのやりとりを通じ、COVID-19やウクライナ危機、為替変動、世界中での物価上昇が、海外派遣者の給与や貯蓄に重大な影響を与えていることをマーサーは理解している。これはグローバルな人材獲得競争において、企業にとっては深刻な結果をもたらす可能性がある。
アジア ハイライト
物価の上昇にタイバーツ高も相まって、バンコク(106位)の物価はシンガポールに次いで東南アジアで2番目に高いものとなった。ASEAN地域の他の都市では、マニラ(122位)、プノンペン(134位)、ビエンチャン(157位)、ホーチミンシティ(163位)、バンダルスリブガワン(179位)、クアラルンプール(181位)となり、東南アジアで最も物価が安いのはヤンゴン(198位)であった。インドでは物価上昇や為替変動は小さかったものの、ムンバイ(127位)が依然としてインド国内では最も物価が高く、次いでニューデリー(155位)、チェンナイ(177位)、ベンガルール(178位)、ハイデラバード(192位)、プネ(201位)と続き、最も物価が安かったのはコルカタ(203位)であった。今年の調査対象となったアジア圏の49都市のうち、226位にランクインしたキルギスのビシュケクは、アジア圏で海外派遣者にとって最も物価が安い都市となった。
COVID-19とウクライナ危機をきっかけとした海外派遣への長期的な影響について、Tracey Maは以下のように指摘する。
「経済と政治の不確実性は物価を押し上げ、アジア全域の成熟・安定市場においてさえ生活コストの大幅な上昇を引き起こしました。企業には重要な人材を引きつけ維持するために迅速に行動することが求められますが、不確実な時代に海外派遣者処遇のかじを取るには信頼できるデータと明確な戦略が必要です。これは、海外派遣者の経済的な豊かさだけでなく、ビジネスの効率と公平性を確保することにもつながります」
APPENDIX: 他地域のランキング
ヨーロッパ
最も物価の高い都市ランキングのトップ10に、ヨーロッパから4都市がランクインしている。この4都市はすべてスイスで、チューリッヒは世界ランキングの2位とヨーロッパの都市の中で最も物価が高く、ジュネーブ(3位)、バーゼル(4位)が僅差で続いた。他の都市では、コペンハーゲン(11位)、ロンドン(15位)、ウィーン(21位)、アムステルダム(25位)となった。東欧で最も物価が高い都市は、227都市中60位のプラハであった。以下、リガ(79位)、ブラチスラバ(105位)、タリン(140位)と続いた。東欧で最も物価の安い都市は、209位のサラエボであった。
中東・アフリカ
テルアビブは中東で最も物価の高い都市であり、世界ランキングでは6位にランクインした。次いで、アラブ首長国連邦のドバイ(31位)、アブダビ(61位)となっている。サウジアラビアのリヤド(103位)、ジェッダ(111位)などは中位圏に位置しアンマン(115位)、マナーマ(117位)が続いた。アフリカでは、バンギ(23位)、リーブルビル(24位)、ビクトリア(38位)が最も物価の高い3都市となった。また、ジブチ(41位)、キンシャサ(53位)、ラゴス(55位)も上位にランクインした。アフリカで最も物価の安い都市はチュニスであり、220 位であった。
南北アメリカ
前回に引き続き、ニューヨーク(7位)が最も物価が高い都市となり、次いでナッソー(16位)が続いた。米国の他の都市は、ロサンゼルス(17位)、サンフランシスコ(19位)、ホノルル(20位)、ワシントン(29位)、シカゴ(36位)、クリーブランド(112位)であった。カナダで最も物価が高いのはトロント(89位)、次いでバンクーバー(108位)、モントリオール(125位)、オタワ(132位)、最も物価が低いのはカルガリー(141位)であった。南米ではブエノスアイレス(114位)が最も物価の高い都市となり、モンテビデオ(123位)、サンチアゴ(130位)、キト(156位)、サンパウロ(168位)と続いた。ベロホリゾンテ(210位)は南米で最も物価が安く、ニカラグアの首都マナグア(212位)はアメリカ大陸で最も物価の安い都市となった。
太平洋
太平洋地域で最も物価が高い都市はヌメア(54位)で、シドニー(58位)が僅差で続いた。オークランド(95位)はニュージーランドで最も物価の高い都市であり、ウェリントン(120位)は太平洋地域で最も物価の安い都市となった。
マーサーの世界生計費調査について
マーサーの世界生計費調査は、多国籍企業や政府機関が海外派遣者の報酬・手当を設定する際に役立つよう、世界で最も包括的なランキングとして広く認知されています。マーサーの世界生計費調査は、世界で最も包括的な生計費調査の一つであり、本調査データは、政府機関や多国籍な企業が従業員を海外に派遣する際に、海外派遣者の購買力を補償するために利用されています。また住居費に関するデータは、海外派遣者の派遣先における住居手当を決定する際に利用されています。
今回発表のランキングは五大陸227都市を対象としています。調査対象都市は、企業や政府機関からの要望により選択されたものです。掲載されている生計費および住居費は、すべて2022年3月にマーサーが実施した世界生計費調査に基づいています。調査対象品目はマーサーの国際人用バスケットをベースとしており、住宅、交通、食品、衣料、家庭用品、娯楽など、200以上の品目が含まれています。通常海外派遣者の給与を算出する際には、「海外赴任することで発生するエキストラなコストは別途支給する」という考えから住居費は別途手当で支給すべきと判断し、生計費指数の算出対象品目には含めておりません。なお、今回発表のランキングでは外国人派遣者が一般的に利用する住宅の家賃を含めたものとなっている点は十分ご留意ください。また、ランキング作成にあたってはニューヨークを基準に100として、各都市の指数を比較しています。比較の際には米ドルを基軸通貨として2022年2月の平均レートを使用しています。
都市ランキングの詳細や個別都市のレポートご購入に関しては、マーサーHP( https://www.mercer.co.jp/what-we-do/workforce-and-careers/mobility.html )をご覧いただくか、プロダクト・ソリューションズまでご連絡ください(TEL: 03-6775-6521、Email: mobility.japan@mercer.com)。派遣元の都市および派遣先の都市を選択いただいた上で、派遣元を100 とする生計費指数をご提供いたします。今回発表のランキングは、国籍を問わない一般的な国際ビジネスパーソンモデルの購買パターンを前提とした生計費を調査し指数を算出しているものです。このデータをベースに、日本人独特の品目(米、味噌、日本語の新聞など)を追加し、特に日本人用にカスタマイズした「日本人用」世界生計費レポートもございます。
・マーサー:日本人世界生計費レポートについて
( https://www.mercer.co.jp/what-we-do/workforce-and-careers/mobility/cost-of-living.html )
・よくある質問集:世界生計費レポート
( https://www.mercer.co.jp/what-we-do/workforce-and-careers/mobility/cost-of-living/question-and-answer.html )
・サービス概要:海外派遣者処遇関連( https://www.mercer.co.jp/what-we-do/workforce-and-careers/mobility.html )
マーサーについて
マーサー( https://www.mercer.co.jp/ )はより輝かしい未来は築くことができるものと信じています。私たちはクライアントと共に、仕事そのものを再定義し必要な改革に導き、退職制度や年金の投資成果を再構築します。そして、真の健康とウェルビーイングへと導くビジョンを掲げています。全世界約25,000名のスタッフが43ヵ国をベースに、130ヵ国でクライアント企業と共に多様な課題に取り組み、最適なソリューションを総合的に提供しています。マーシュ・マクレナン(NYSE:MMC)の一員として、日本においては40年以上の豊富な実績とグローバル・ネットワークを活かし、あらゆる業種の企業・公共団体に対するサービス支援を行っています。
マーシュ・マクレナンについて
マーシュ・マクレナン( https://www.marshmclennan.com/ )(NYSE:MMC)は、グローバルプロフェッショナルサービスを提供する企業グループとして、顧客企業にリスク、戦略、人材分野の助言とソリューションを提供しています。マーシュ( https://www.marsh.com/jp/ja/home.html )(保険仲介とリスクマネジメント)、ガイ・カーペンター( http://www.guycarp.com/ )(再保険仲介・コンサルティング)、マーサー( https://www.mercer.co.jp/ )
(組織・人事マネジメント・コンサルティング)、そしてオリバー・ワイマン( https://www.oliverwyman.com/jp.html )
(戦略コンサルティング)から構成されており、年間総収入200億米ドル、全世界に83,000名の従業員を擁し、世界各地の顧客に分析・アドバイスを提供しています。
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