早期アルツハイマー病治療装置の研究開発を手掛けるサウンドウェーブイノベーションへの出資および業務提携契約の締結

住友重機械工業株式会社

住友重機械工業株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:下村真司、以下「当社」)は、早期アルツハイマー病を対象とした治療機器の社会実装を目指す大学発DeepTechスタートアップ企業、サウンドウェーブイノベーション株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:下川宏明、以下「SWI社」)の第三者割当増資引き受けによる出資をしました。

同時に、早期アルツハイマー病患者を対象とした治療用医療機器「経頭蓋低出力パルス波超音波治療装置(LIPUS-Brain)」の製造・販売に関する戦略的な業務提携契約を締結しました。

【1. 出資および業務提携の背景と目的】

世界的な高齢化の進展により、アルツハイマー病をはじめとする認知症は、医療・福祉分野における社会課題の一つになっています。認知症は、患者様ご本人の負担に加え、ご家族や介護者の生活にも大きな影響を及ぼす疾患であり、QOL(Quality of Life、生活の質)の向上に貢献する新たな治療選択肢が強く求められています。

当社は、「中期経営計画2026」において、基本方針「強靭な事業体の構築」に向けた新事業探索機能の強化を重要課題の一つとして掲げています。その中でも本件は、経営資源を集中的に投入している4つの重点投資領域(※1)の一つである「先端医療機器分野」における新事業探索の一環です。長年にわたりがん診断装置・がん治療装置などの医療機器製造で培ってきた技術力と、DeepTechスタートアップ企業が保有する革新的な技術を組み合わせることで、スピーディーな製品の開発・提供に取り組んでいきます。

当社は本件のようにコア事業周辺領域における新事業探索を継続し、スタートアップ企業への出資・業務提携を通じて、新たな事業領域に進出し、社会課題解決および収益構造の強化を図って参ります。

今回実施するSWI社への出資および業務提携は、低出力パルス波超音波(Low-Intensity Pulsed Ultrasound、以下「LIPUS」(※2))を用いた認知症に対する低侵襲(※3)の治療に参画するものです。将来的には、SWI社が手がける重症狭心症、不整脈などの疾患に対する革新的な医療機器の研究開発への参画も目指します(※図1)。

今回提携した早期アルツハイマー病患者向けの「経頭蓋低出力パルス波超音波治療装置(LIPUS-Brain)」は、2022年に終了した下川宏明東北大学名誉教授グループが主導した探索的治験において安全性が確認され、有効性を示唆する結果が得られました。この成果を受け、同年9月には厚生労働省より「先駆的医療機器」第1号として指定され(※4)、2023年10月には検証的治験が開始され、2024年11月には目標登録症例数を達成し、計画通りに進められています。

今回の提携により、SWI社が有するLIPUS技術の社会実装に向けて、両社がそれぞれの強みを活かしながら製造・販売を共同で推進し、アルツハイマー病治療における新たな医療選択肢を社会に提供することで、患者様およびそのご家族のQOL向上に貢献することを目指してまいります。

【2. 出資および業務提携の概要・今後の展望】

SWI社は当該治療の検証的治験の推進や保有する機器に関する知的財産のライセンス使用許諾を行い、当社は当該機器の製造・販売を担います。

2026年末に検証的治験の完了を予定しており、その後、医療機器の製造販売承認の取得のための手続を速やかに行う予定です。承認取得後は、全国の医療機関での治療開始に向けて、販売開始できるよう段階的な展開を進めていきます。

(※1) 当社の成長を牽引する事業として「ロボティクス・自動化」「半導体」「先端医療機器」「環境・エネルギー」の4つを重点投資領域に位置づけ、新たな価値創造と企業価値向上を目指しています。

(※2) LIPUSは、疾患部位ごとに最適化された特殊な低出力パルス波超音波を体外から照射することで、超音波の物理的刺激が血管内皮細胞に作用し、血管拡張につながるeNOS(血管内皮型一酸化窒素合成酵素)や、血管新生につながるVEGF(血管内皮増殖因子)の発現を亢進させ、微小循環障害を改善する先端医療技術です。詳細は下記の論文をご参照ください。

Shindo T, and Shimokawa Ann Vasc Dis. 2020;13(2):116–125.

http://www.cardio.med.tohoku.ac.jp/pdf/13_ra.20-00010.pdf

(※3) 当該治療を受ける患者様は、低出力パルス波超音波発信機(認知症治療の場合はヘッドセット)を体に装着し、ベッドに寝ているだけで治療が終了します。LIPUS治療に用いる超音波の出力は心エコーなどの診断装置と同程度のため、刺激や痛みを感じることはなく、麻酔も必要もなく、身体への負担を最小限に抑えた治療となります。機器は小型で、医療機関の規模を問わず設置が可能です。当該治療は、認知症(早期アルツハイマー病およびMCI(軽度認知障害))に対して探索的治験において安全性が確認され、有効性が示唆されました。現在、検証的治験(治験実施計画書番号:LB1101、臨床研究実施計画番号:jRCT2032230125)が目標登録症例数(220例)に到達し実施されています。また、心疾患(HFpEF、心筋梗塞、重症狭心症など)においても有力な非臨床のエビデンスを有しており、今後、広範な適用拡大が期待できます。

(※4) 指定に関する詳細は下記をご参照ください。

SWI社「早期アルツハイマー病の治療用医療機器「LIPUS-Brain」が 厚生労働省の「先駆的医療機器」第1号に指定されました」(2022年10月14日)

https://sw-innovation.com/news/info/1175/

(※図1)

以上

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会社概要

住友重機械工業株式会社

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URL
https://www.shi.co.jp
業種
製造業
本社所在地
東京都品川区大崎2丁目1番1号 ThinkParkTower
電話番号
-
代表者名
下村 真司
上場
東証プライム
資本金
308億7165万円
設立
1934年11月