3年目に突入! 哲学対話で探る“海の可能性”「ざわザワ高校~海の未来をつなぐ哲学~」第1回授業を開催しました!
2025年6月29日(日) 【場所】越廼サテライトオフィス(福井市)
(一社)福井環境研究開発は6月29日(日)、「ざわザワ高校 ~海の未来をつなぐ哲学~」の第1回授業を開催しました。「ざわザワ高校」として3年目を迎えた今年度は、福井県内から17人の高校生が参加。ジャーナリストの堀潤さん、哲学者の岩内章太郎さんと共に、年間テーマである「海の新しい可能性」を探る旅の第一歩を踏み出しました。この海洋教育プログラムは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環で行っています。

イベント概要
・開催概要:「ざわザワ高校 ~海の未来を変える哲学~」第1回授業
・日程:2025年6月29日(日)
・開催場所:越廼サテライトオフィス(福井市)
・参加者:ジャーナリスト・堀潤さん、哲学講師・岩内章太郎さん、高校生13人、地域ゲスト4人
・番組:「ざわザワ高校 ~海の未来を変える哲学~#1,2」
〇放送 福井テレビ ①7/26(土) ➁8/30(土) 各10:55~11:25 ※予定
〇配信 YouTube(福井テレビチャンネル - YouTube)、TVer(TVer - 無料で動画見放題)
正解のない問いに向き合う“哲学対話” 第1部のテーマは「嫉妬の本質とは?」
「ざわザワ高校」の最大の特徴は、答えのない問いについて、多様な立場の人がフラットに対話し、物事の本質を探る「哲学対話」にあります。初回の授業は、あえて「海」というテーマから少し離れ、生徒たちが自分自身の心と向き合うことから始まりました。
初対面の緊張感が漂う中、生徒たちは自らの経験を頼りに、「嫉妬」という誰しもが抱く感情について、率直な言葉で語り合いました。「あの人みたいになりたいという憧れ」「自分にないものを持つ人への悔しさ」「努力ではどうにもならないことへのモヤモヤ」。一人ひとりの具体的なエピソードが共有されるたびに、他の生徒たちから共感や新たな疑問が生まれます。
ファシリテーターの堀潤さんが巧みに会話を促し、岩内先生が対話を深める問いを投げかけることで、生徒たちは安心して本音を話せる心理的安全性を確保。「嫉妬」というネガティブに捉えられがちな感情の裏にある、向上心や自己認識といった側面が浮かび上がってきました。これは、多様な意見の中から本質を見出していく「本質観取」という哲学的なアプローチの実践であり、生徒たちが思考を解放していく貴重な時間となりました。

第2部は地域ゲストも参加! 越前海岸のリアルに触れる
第2部では、授業の舞台を越前海岸のリアルな現場へと展開。海と共に生きる4名のプロフェッショナルがゲストとして参加しました。まずは、地域の「今」への理解を深めるため、事前に高校生たちが「くにみクラゲ公民館」と「鷹巣定置」を取材したVTRを上映。生き生きと働くゲストの姿や、生徒たちの素直な驚きや発見が共有され、場の空気を温めました。

第2部でも哲学対話を実践! テーマは「不安の本質とは?」
漁の未来や事業の継続といったゲストたちのリアルな「不安」。そして、勉強や進路、人間関係など、高校生が抱える等身大の「不安」。それぞれの立場から語られる言葉が交差し、対話は一気に深まります。生徒たちは、大人の本音に触れると同時に、自らの悩みも共有することで、世代や立場を超えて「不安」という感情の裏にある「期待」や「安心」について、共に思考を巡らせました。
授業の最後には、福井市が新たに始める観光企画「海めぐりガチャ」も紹介され、対話の中から生まれた「可能性」を具体的なアクションに繋げていくヒントが示されました。

参加者からの声
学級委員長・堀潤さん
ジャーナリストとして、いろんなテーマを取材しているとき、いろんな難局に直面する。哲学対話は、それを打開するヒントになる言葉にいっぱい出会える。今日は「競争心」という言葉が響いた。世の中をよくするため、皆がそれぞれ勝手にやっていても変化しない。何かと何かを競争させることでエンジンをかけていく。つまり「嫉妬」のコントロールはものすごくエネルギーを生むカギだと気付いた。
哲学講師・岩内章太郎さん
一人で考えるときより良いことがあったか。それがあれば哲学対話の意味がある。その反面、皆で考えると一つに落とし込むのが難しくなる。今回の問い「嫉妬の本質とは?」は、社会的な問題にもつながってくる良いテーマだった。対話を通じて、もちろん人それぞれのところはあるけれど、構造としては普遍的な共通するものがあると分かってくる。これが哲学対話。
越前海岸のゲストの皆さん
・「不安」から生まれる前向きな状況もある。みんなと話し合うことができて楽しい時間だった。
・人によって「不安」の尺度が違う。今回の対話を通して他者に寄り添う対応ができそうだ。
高校生の皆さん
・哲学対話は、自分にはなかった考え方や価値観が出てきておもしろかった。
・一人で考えるより意見が柔軟になり、自分の見識を広げられた。
・年齢差など関係なく、フラットに意見を言い合えてよかった。
「海の可能性」を探る旅は始まったばかり
「ざわザワ高校」が目指すのは、課題解決ではなく、海や沿岸地域の「新しい可能性」の発見。今回の授業は、まず自分を知り、他者を知り、地域を知ることから、その探求が始まることを示してくれました。
生徒たちが自ら問いを立て、多様な人々と対話しながら本質を探っていくこのプロセスは、互いの違いを認め合い、新しい価値を共に創造していくための貴重な経験となるでしょう。これから一年間、彼らがどのような「海の可能性」を見つけ出し、社会に発信していくのか。今後の活動から目が離せません。

<団体概要>
団体名称:一般社団法人福井環境研究開発
活動内容:北は東尋坊にみる奇岩断崖が続く越前海岸、南は優美なリアス式海岸の若狭湾と変化に富んだ福井県の海は、北前船などの海上交通の要衝として古くから栄えてきました。また、寒流と暖流が交わる福井県沖は越前がにや若狭ガレイなど海産物の宝庫。(一社)福井環境研究開発では、海に親しみ、大切にする心を育む運動を進めています。

日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
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