ベラルーシ当局が反体制派の抑え込みに電話通話網を利用

ベラルーシ当局は、表現の自由と反対意見を抑え込むため、大手通信会社数社の電話網を利用している。同国で事業を展開する企業は、当局が求めれば、データを提出しなければならない。例えば、KGB(ベラルーシ国家保安委員会)が密かに監視したいと思えば、捜査令状も、企業の承諾も必要ない。抗議行動や大統領批判で捕まってしまう国で通話が筒抜けということは、こうした活動がほぼ不可能になることを意味する。通信会社にも大きな責任がある。科学技術は、通常、言論の自由に力を与える。しかし、この国では、通信技術の普及で自由への抑圧が拡大するばかりだ。インターネットの未来は、通信会社が、自由を踏みにじる国に抵抗するか、自らの利益のために国の言いなりになるか、にかかっている。
アムネスティ・インター・ナショナルは昨年8月から今年5月にかけて、人権活動家、ジャーナリスト、弁護士、野党の政治家、技術者ら50人以上に聞き取りを行った。国外に脱出している人も含む。その調査結果を報告書にまとめた。聞き取りで、監視がいかに、プライバシーや言論の自由、平和的な集会の自由、結社の自由に脅威を与えてきたかがわかる。

当局が、事実上24時間、自由に通信内容を監視することができるため、NGO関係者らは、電話での打ち合わせややりとりなどの日常業務に大きな弊害を受けている。活動家らは寄付を求めたり、電話をかけたり、打ち合わせを準備するなどの日常作業の中で扱う個人情報や財務情報が、起訴や疑惑、脅迫に当局に利用されることを恐れていると語った。

ベラルーシの人権活動家にとって、通信情報の暗号化は、国の抑圧と強引な監視に対抗する最後の砦である。暗号化をゆるくし、監視網を強化すればするほど、人権はなくなることを十分認識するべきだ。

ベラルーシの大手携帯電話会社3社は、いずれも外国の資本が入っている。ベルコムはテレコム・オーストリアの100%子会社、ライフ(ベラルーシ・テレコミュニケーション・ネットワーク)にはトルコの大手携帯会社トルコセルが80%出資している。そのトルコセルの株式の38%は、スウェーデン政府が大株主である通信事業者テリアソネラが保有している。MTSはロシアの携帯大手とベラルーシの国営通信会社との合弁会社だ。

アムネスティは、この3社が、企業活動と人権に関する国際基準に違反していると考える。国連の「ビジネスと人権の指導原則」によれば、企業が事業を展開する国の国内法を、人権侵害の正当化に利用することはできない。

強引な監視は、ベラルーシでは今に始まったことではない。しかし、科学技術の進歩で、監視のレベルが大きく変容した。今や当局は、個人生活に無制限に介入ができる巨大な監視装置を持つようになった。KGBは、電話の位置情報から、話者がいた場所、一緒にいた人物を特定することができる。活動家の携帯電話が、警察官のポケットに入っているようなものである。

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代表者名
阿部 理恵子
上場
未上場
資本金
-
設立
1970年04月