宇宙ごみへの接近・撮影に成功し日本から世界初を成し遂げた人工衛星、運用終了へ

約1500日間の開発、293日間のミッションを経て、軌道降下開始

アストロスケール

持続可能な宇宙環境を目指し、スペースデブリ(宇宙ごみ、以下、デブリ)除去を含む軌道上サービスに取り組む株式会社アストロスケールはこの度、世界で初めて※1本物のデブリへの接近や近距離での撮影等に成功した商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J」に関して、軌道上での運用終了に向け、軌道降下の運用を開始しました。ADRAS-Jは現在、5年以内に自然落下し再突入できる軌道まで高度を下げており、今後さらに軌道降下運用を継続し、最終的には大気圏に再突入し、燃え尽きる予定です。

ADRAS-Jは、「宇宙のロードサービス」とも呼べるデブリ除去などの軌道上サービスに必要不可欠な、「対象物体に安全、精密に接近する」RPO(ランデブ・近傍運用)※2技術の確立を目指して開発・運用した衛星です。大型デブリ除去等の技術実証を目指す国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の商業デブリ除去実証(CRD2※3)のフェーズⅠとして実施しました。

2024年2月の打上げ以降、ADRAS-Jは対象デブリである大型デブリ(日本のロケット上段:全長約11m、直径約4m、重量約3トン)に対して、遠距離からの接近、近距離での撮影、デブリから50mの距離を維持しながらの周回観測、15mという極近傍までの接近、そして衝突回避機能の有効性の実証等に成功しました。

また、本ミッションによる観測の結果、CRD2フェーズIIとして2027年度に予定し、デブリ除去としてその捕獲や軌道離脱も行う「ADRAS-J2」のミッションで捕獲箇所として想定している衛星分離部(PAF※4)の状態把握にも成功しており、対象物体に安全、精密に接近するというコア技術の実証を通じて軌道上サービスの実現に向けて大きく前進しただけでなく、日本発・世界初※5のデブリ除去に繋がる着実な一歩になっています。

地球と一緒に撮影したデブリ
周回観測時に撮影したデブリ

アストロスケール ADRAS-Jプロジェクトマネージャー 新栄次朗のコメント

「存在しない技術を一から生み出し、非協力物体※6へのフルレンジRPOに挑むという前例のない取り組みは想像を超える困難を伴いましたが、すべての航法は期待を上回る性能を示しました。また、接近途中でアボート※7を経験しましたが、チームの冷静な判断と確かな設計に支えられ、軌道上における安全なRPOを実証し、複数回のアプローチを実現しました。この冒険の機会に心から感謝するとともに、試行錯誤の積み重ねを通じて、軌道上で非協力物体に接近する衛星のあるべきシステム像と運用の本質を深く理解できたことは、何よりの財産です。今回の実績を礎に、今後のミッションはより良いものになると確信しています。」

アストロスケール代表取締役社長 岡田光信のコメント

「ADRAS-JミッションにおいてRPO技術の実証に成功したことで、アストロスケールは軌道上サービスの市場において大きな優位性を得ることができました。本ミッションの実現にあたっては、パートナーシップ型契約を締結いただいたJAXA様をはじめ、パートナー各社、投資家の皆様、サプライヤーの皆様、そしてミッションを支えた当社社員など、これまでADRAS-Jミッションおよび弊社をご支援くださったすべての皆様に、改めて感謝申し上げます。また、ヒューリック株式会社、郵船ロジスティクス株式会社、株式会社みずほ銀行、株式会社アイネット、株式会社三技協イオス、株式会社セック、株式会社キッズステーションの7社とマーケティングパートナーシップを締結し、宇宙の持続可能性(スペースサステナビリティ)の実現を共に目指す中でご支援をいただきました。今後のミッションにおきましても、引き続きご注目いただければ幸いです。」

ADRAS-Jミッションの主な成果

  • 軌道計画および航法の確立

    -遠方域の絶対航法

    -近傍域の相対航法

    -複数回の近傍域到達

    -最適な軌道計画の立案

  • 近傍作業の成功

    -対象デブリから50mの距離での定点観測

    -対象デブリから50mの距離での周回観測

    -PAFから約15mへの接近

  • Payloadの性能確認

    -複数のセンサ・カメラ

  • 安全設計の実証

    -FDIR※8による自律アボート

今後の展開

ADRAS-Jで接近・観測したデブリの除去も行うADRAS-J2のミッションは2027年度の打上げを予定し、現在機体の開発や試験を進めています。本ミッションの最新情報については、随時お知らせしてまいります。

関連情報

ADRAS-Jミッションページ https://www.astroscale.com/ja/missions/adras-j

ADRAS-Jによるデブリの周回観測のタイムラプス https://www.youtube.com/@astroscale/shorts

ADRAS-Jまとめ動画 https://www.youtube.com/watch?v=zA2EclkvMKc

ADRAS-J2ミッションページ https://www.astroscale.com/ja/missions/adras-j2

※1 過去に同様のミッションが実施されたか否かを自社で調査(2024年12月)

※2 RPO:Rendezvous and Proximity Operations Technologiesの略称。ランデブ・近傍運用

※3 CRD2:Commercial Removal of Debris Demonstration の略称

※4 PAF:Payload Adapter Fittingの略称。ロケットと衛星をつなぐ台座

※5 2026年1月時点で、公開情報の範囲においてまだ実現されていない

※6 非協力物体:接近や捕獲・ドッキング等を実施されるための能力・機器を有さない物体のこと

※7アボート:クライアントに対する衝突を回避するためマヌーバを実施し安全な距離まで待避すること

※8 FDIR:Failure Detection Isolation and Recoveryの略称。衛星が自身の内部の異常や対象物体との相対距離や姿勢の異常を検知し、対策を施すシステム

商業デブリ除去実証について

アストロスケールは、大型デブリ除去等の技術実証を目指す宇宙航空研究開発機構(JAXA)の商業デブリ除去実証フェーズIの契約相手方として選定、契約を受けて、ADRAS-Jを開発しました。商業デブリ除去実証は、深刻化するデブリ問題を改善するデブリ除去技術の獲得と、日本企業の商業的活躍の後押しの二つを目的とする JAXAの新しい取り組みです。この枠組みに基づき、本事業はJAXAから技術アドバイス・試験設備供用・研究成果知財提供を受けて実施されています。

商業デブリ除去実証ウェブサイト:https://www.kenkai.jaxa.jp/crd2/project/

アストロスケール について

アストロスケールは、軌道上サービスの世界的リーダーとして、安全で持続可能な宇宙開発に取り組んでいます。当社は故障機や物体の観測・点検、衛星の寿命延長、修理、アップグレード、衛星運用終了時のデブリ化防止のための除去、既存デブリの除去など、多様で革新的な軌道上サービスソリューションを提供します。2021年3月以降、アストロスケールはELSA-dやADRAS-Jのミッションにおいて軌道上でRPO技術を実証し、軌道上サービスのリーダーとしての地位を確立してきました。アストロスケールの宇宙機は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や防衛省、米国宇宙軍、欧州宇宙機関(ESA)、英国宇宙庁(UKSA)、Eutelsatとの先駆的なミッションに採用されています。宇宙機の定期的な点検、移動、除去、寿命延長のためにより多くの衛星運用者が軌道上サービスを導入し、循環型宇宙経済の可能性が広がり、より持続可能な宇宙の未来が開かれつつあります。本社・R&D拠点の日本をはじめ、英国、米国、フランス、イスラエルとグローバルに事業を展開しています。株式会社アストロスケールは、株式会社アストロスケールホールディングスの日本子会社です。

アストロスケールウェブサイト:https://astroscale.com/ja/

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


会社概要

URL
https://astroscale.com/
業種
製造業
本社所在地
東京都墨田区錦糸4-17-1 ヒューリック錦糸町コラボツリー
電話番号
-
代表者名
岡田光信
上場
東証グロース
資本金
-
設立
2013年05月