【神奈川県】年間1.3兆円に上る「疲労」による経済損失 〜「休養指数」総合偏差値54.7の強みを活かした、リカバリータウン分析を発表〜
~「リカバリー(休養・抗疲労)白書2026レポート」 Vol.7~
一般社団法人日本リカバリー協会(事務局:神奈川県厚木市、代表理事:片野秀樹)は、一般社団法人日本疲労学会および株式会社ベネクスと共同で実施している大規模調査「ココロの体力測定2026」のデータから、神奈川県におけるプレゼンティーイズムの実態と「休養指数」の総合偏差値を算出しました。神奈川県におけるプレゼンティーイズムの年間経済損失額は約3.2兆円に上り、そのうち「疲労」要因が約1.3兆円(約41.5%)を占めています。一方、神奈川県の休養指数は偏差値54.7と高く、「運動(62.5)」や「観光・娯楽資産(61.9)」に強みを持つ一方、「休息(45.5)」や「罪悪感なく休める意識(48.9)」に課題が見られました。地域経済の損失を防ぐためにも、リカバリータウン構想の基に、世代に応じた疲労ケアと「効率的に体を休ませるコンディショニング」の推進が急務となっています。
図表1:プレゼンティーイズムによる経済損失額と疲労による経済損失額(神奈川県 単位:兆円)

【参考】疲労による経済損失、年間15兆円規模に 全国10万人調査で企業の疲労コストを初めて可視化、一人当たり年間22.7万円の損失
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000081.000085299.html
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神奈川県のリカバリータウン調査分析サマリー
■神奈川県のプレゼンティーイズムによる経済損失額は年間約3.2兆円に上ります。
■そのうち「疲労」に起因する損失額は約1.3兆円と全体の約4割を占めています。
■年代別の疲労損失総額は50代が約3,603億円で最も高い結果となりました。
■1人当たりの疲労損失額は50代(33.1万円)と30代(32.0万円)で高水準です。
■休養の7タイプでは「運動(62.5)」が高い一方「栄養」「休息」が低水準です。
■観光・娯楽などの休養資産は豊富な一方で温泉や食文化の活用に課題があります。
■デジタルデトックス意識が高い反面「罪悪感なく休める意識」が不足しています。
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■神奈川県のプレゼンティーイズムによる経済損失額は約3.2兆円
〜そのうち「疲労」に起因する損失が4割超(約1.3兆円)を占めることが判明〜
神奈川県におけるプレゼンティーイズム(出勤しているものの、体調不良やメンタル不調により生産性が低下している状態)による経済損失額の推計結果は、3兆1,937億円に上り、そのうち「疲労」を要因とする損失額は1兆3,246億円と、全体の約41.5%を占めています。年代別の総額では50代(9,254億円)が最多となり、労働人口や責任の大きさが影響していると考えられます。疲労による損失額の総額は50代(3,603億円)が最多ですが、1人当たりの疲労損失額では50代(33.1万円)と30代(32.0万円)が特に高く、両世代の負担の重さが浮き彫りとなっています。さらに20代では、プレゼンティーイズム損害額の約半数(49.5%)を疲労が占めています。
図表2:プレゼンティーイズムによる経済損失額と疲労による経済損失額と一人当たりの損失額
(神奈川県 年代別 単位:億円、万円)

■神奈川県における休養指数の総合偏差値は54.7
神奈川県における休養指数の結果は、総合偏差値は54.7となり、指標別では「休養意識」が57.0と最も高く、県民の休養に対する関心の高さが窺えます。次いで「休養資産」が54.7となる一方、「休養の7タイプの実施度」は52.5にとどまりました。高い休養意識や豊かな地域資産を持ちながらも、実際の日常的な休養行動へ十分に落とし込めていない現状が浮き彫りとなっており、今後は具体的な休養実践を促す環境づくりや啓発が期待されます。
図表3:休養指数総合評価(神奈川県 単位:偏差値)

■神奈川県の「休養の7タイプ」実施度、最多は「運動タイプ(62.5)」
〜「親交」「娯楽」が続く一方、「栄養(43.7)」「休息(45.5)」に課題〜
神奈川県における「休養の7タイプ」の実施度偏差値が明らかになりました。最も高かったのは「運動タイプ(62.5)」で、次いで「親交タイプ(57.5)」「娯楽タイプ(56.0)」が上位となり、アクティブな休養や他者との交流を積極的に取り入れている傾向が窺えます。一方で、「栄養タイプ(43.7)」や「休息タイプ(45.5)」は偏差値50を下回る低い結果となりました。身体を動かす休養が実践されている一方で、十分な睡眠や食生活による根本的な「疲労回復・休息」が不足している実態が浮き彫りとなっています。
図表4:休養の7タイプ実施評価(神奈川県 単位:偏差値)

■「休養資産」偏差値、最高は「観光・娯楽空間(61.9)」
〜湘南のアクティビティやみなとみらいの娯楽領域が強みの一方、温泉資源の発信・活用に伸び代〜
神奈川県における「休養資産」の偏差値詳細(総合54.7)は、最も評価が高かったのは「自由時間を満喫できる観光・娯楽がある場所(61.9)」で、横浜・みなとみらいエリアの大型商業・エンターテインメント施設や、八景島シーパラダイスなどのテーマパークといった多様なレジャー空間の充実度が評価につながったと見られます。次いで「スポーツや運動ができる場所(58.4)」が高く、湘南海岸(マリンスポーツ・サイクリング)や丹沢大山エリア(ハイキング・トレッキング)など、アクティブに体を動かしてリフレッシュできる自然環境が地域固有の強みとして浮き彫りになりました。さらに「心身のリラックスができる場所(54.4)」(鎌倉の寺社仏閣めぐり等)や「交流や地域の雰囲気が良い場所(54.7)」も全国平均を上回る一方、箱根や湯河原といった屈指の名湯を擁しながらも「温泉・入浴が充実している場所(50.9)」や「食事・食文化(51.1)」(三崎のマグロや小田原の蒲鉾・海鮮等)は相対的に控えめな水準にとどまりました。多様な観光資源を、県内の方々に活用を促す「休養・リカバリー」の視点から再発見・訴求していくことが期待されます。
図表5:休養資産評価(神奈川県 単位:偏差値)

■「休養意識」偏差値は57.0と高水準
〜「デジタルデトックス(62.8)」や「社会との繋がり(61.8)」が突出する一方、「休める意識(48.9)」に心理的障壁〜
「県民の休養意識」に関する偏差値詳細(総合57.0)は、最高値となったのは「デジタルデトックス(62.8)」で、次いで「社会との繋がり満足度(61.8)」が高く、情報環境から離れる意識や良好なコミュニティ関係が休養の満足度を高めている様子が窺えます。「健康投資意識(55.9)」や「休憩時間(55.7)」も平均を上回る一方、唯一「休める意識(48.9)」が偏差値50を下回りました。休む重要性を理解し環境を整えつつも、「実際に罪悪感なく休むこと」への心理的ハードルが残る実態を示しています。
図表6:休養意識評価(神奈川県 単位:偏差値)

■休養学の知見に基づく「リカバリータウン構想」推進に向けたポイント
1、「攻めの休養(アクティブ・リカバリー)」と「守りの休養(パッシブ・リカバリー)」のバランス設計
神奈川県では「運動」などのアクティブな休養が実践されている一方、「休息」や「栄養」といったパッシブな休養が不足しています。単に体を動かすだけでなく、質の高い睡眠や適切な栄養摂取を促す環境(休養インフラ)を街全体で整えることが不可欠です。
2、休養7タイプの視点を取り入れた「地域資源の再定義」
県内には豊富な観光・娯楽資産があるものの、「温泉・入浴」や「食文化」などの活用度が相対的に伸び悩んでいます。地域の自然、食、温泉、文化空間を「休養の7タイプ(休息・運動・栄養・親交・娯楽・造形想像・転換)」に当てはめて再定義し、日常的にリカバリーできる場として県民に還元していくアプローチが必要です。
3、「休むこと」への罪悪感を払拭するソシオ・リカバリー(社会的休養)の醸成
県民意識において「休める意識(罪悪感なく休むこと)」が低い実態に対し、街や企業が一体となって「休養は怠惰ではなく、明日への投資である」という文化を醸成することが求められます。デジタルデトックスの推進や、職場で休養を取りやすくする啓発・仕組みづくりが課題解決の鍵となります。
神奈川県におけるリカバリータウン構想の真の目的は、年間約1.3兆円に及ぶ「疲労による経済損失」を解消し、住民一人ひとりの活力(ウェルビーイング)を高めることにあります。データが示す通り、神奈川県民は休養への意識や地域資源に恵まれているものの、それを「真の疲労回復」へと結びつける実践と心理的許容が不足しています。休養学の観点から「休息・栄養」という基本のリカバリーを担保しつつ、豊富な地域資産を活用した多様な休養スタイルを提示・推進することで、県民が健やかに働き、生活できる「持続可能なリカバリータウン」の実現が期待されます。
【神奈川県政策局 未病推進ディレクター 牧野 義之 コメント】
神奈川県では、超高齢社会において、新たな成長産業となる未病産業を創出・拡大していくことで、健康寿命の延伸と経済の活性化を目指し、未病産業研究会を運営しています。一般社団法人日本リカバリー協会は、10万人規模の継続的かつ大規模な調査「ココロの体力測定」を実施され、そうした調査結果や休養学の視点から、未病産業研究会内の休養分科会の活動を牽引いただいています。今回のレポートは、これまでの神奈川の未病の取組みや県内の「休養資産」の価値、そして健康経営での休養の取組の重要性を改めて認識する貴重な結果と認識しております。今後もこうしたレポート等も参考にしながら、未病産業の創出・拡大、健康経営等での未病改善の取組推進に向けて、産学公民連携に取り組んでまいります。
【一般社団法人日本リカバリー協会 代表理事 片野秀樹 コメント】
休養学の知見に基づく地域分析は、年間約1.3兆円に上る神奈川県の疲労損失を解消し、地域社会の活力を高める重要なアプローチです。当協会の拠点がある地元・神奈川県は、豊かな自然や温泉、娯楽など非常に優れた休養資産を有しています。これらを単なる観光資源ではなく、日常的な疲労回復のための『リカバリーする休養資産』として再定義することで、住む人・働く人にとっても単なるベッドタウンから“日常的に心身の活力をチャージできる街”へと新たな価値を高めることができます。本分析を皮切りに、地元・神奈川県をはじめ全国の都道府県や市区町村の皆様と幅広く連携し、エビデンスに基づいた持続可能な地域づくりを、共に推進してまいりたいと考えております。
【休養指標に基づく「地域実態分析」を本格始動】
〜全国の自治体を対象に共同研究・参画自治体の募集を開始〜
一般社団法人日本リカバリー協会では、各地域が抱える疲労課題の解決と持続可能な地域創生を目指し、独自の休養指標を用いた「地域分析プロジェクト」を本格始動いたします。これに伴い、本プロジェクトに参画し、地域住民の休養実態の可視化や共同研究に取り組んでいただける全国の自治体様(都道府県・市区町村)の募集を開始いたしました。
■ プロジェクト参画のメリット・目的
1、エビデンスに基づく疲労・経済損失データの可視化
地域のプレゼンティーイズムや「疲労」による経済損失額、住民の休養実態を独自の休養指標を用いて数値化・客観的に分析します。
2、地域の休養資産(温泉・自然・食・レジャー等)の再定義と活性化
休養学の視点(休養の7タイプ)を活用し、地域固有の資源を「疲労回復・リカバリー」の文脈で再ブランディングし、ヘルスツーリズムや産業振興へ繋げます。
3、住民のウェルビーイング向上と健康づくりの推進
「休める風土」の醸成や効率的なコンディショニング習慣の普及により、地域社会の活力維持と住民の健康増進・生産性向上を図ります。
■ 参画をご検討の自治体様へ
当協会が培ってきた分析手法をベースに、各地域の実情に合わせた休養実態の把握から、課題解決に向けた施策検討・共同研究をサポートいたします。地域データの可視化やパイロット分析のご相談など、下記事務局までお気軽にお問い合わせください。
【本件に関するお問い合わせ先】
一般社団法人日本リカバリー協会事務局
メール:info@recovery.or.jp
【ココロの体力測定 2026調査概要】
調査名: 「ココロの体力測定 2026」
期間: 2026年5~6月
SCR調査対象: 全国の20~79歳の10万人(男女各5万人)
方法: インターネット調査
SCR調査項目: 15問
※疲労度合項目:厚生労働省「ストレスチェック」B項目を基に独自加工して、点数化
※サンプル数は男女各5万人で、各都道府県500サンプル以上を確保し、その後人口比率(都道府県、年代、有職割合)でウエイト修正した。
【一般社団法人日本リカバリー協会 概要】
所在地:神奈川県厚木市中町4-4-13 浅岡ビル4階
会 長:渡辺恭良(神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科特命教授、理化学研究所名誉研究員、大阪公立大学健康科学イノベーションセンター顧問、大阪市立大学名誉教授、一般社団法人日本疲労学会 理事長、一般社団法人脳体力振興協会理事長、Integrated Health Science株式会社 代表取締役CEO)
副会長:水野敬(神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科 特命教授、大阪公立大学健康科学イノベーションセンター 特任教授/副所長、一般社団法人日本疲労学会 理事/事務局長)
顧 問:大谷泰夫(神奈川県立保健福祉大学 理事長、元内閣官房参与)
松木秀明(東海大学 名誉教授、健康評価施設査定機構 理事)
田爪正気(東海大学 健康科学部元教授)
代表理事:片野秀樹 博士(医学)(博慈会老人病研究所客員研究員、Genki Vital Academy 顧問)
提携:ゲンキ・バイタルアカデミー(ドイツ)
URL:https://www.recovery.or.jp/
【リカバリーの定義】
心身の活動能力の減退した機能を回復し、休養をもって生理的・心理的資本である活力を蓄えて次に備えることである。
<報道関係者お問い合わせ先>
一般社団法人日本リカバリー協会 広報事務局
メール:info@recovery.or.jp
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