「現代版イソップ童話」30巻突破ー問いかける童話は、なぜ30巻を超えたのか─ 「現代版イソップ」が続く理由
「教訓を教える童話」ではなく、「問いを残す童話」を書いてみたい。その思いから始まった『現代版イソップ童話』は、気がつけば30巻を超えるシリーズになりました。

最初は、古典の再話でした。
けれど、物語を書き進めるうちに、少しずつ方向が定まっていきました。
正解を示すのではなく、読んだ人の中に問いが残る形にすること。
大人にも子どもにも、同じ物語が違って響く構造にすること。
読者から寄せられた感想の中には、
「子どもと話す時間が増えた」
「答えを急がなくていいと気づいた」
といった声がありました。
巻数が増えたこと自体がニュースなのではありません。
問いを重ね続けられたことが、30巻という形になったのだと思っています。


シリーズは、古典イソップだけでなく、日本神話へと広がりました。
『ヤマタノオロチ』をはじめとする神話編では、
“善悪”を単純に分けるのではなく、立場や背景から物語を見直す試みを行っています。
現代版イソップは、日本語版と同時に、英語版の刊行も行っています。
翻訳ではなく、文化や読者背景を踏まえて再構築することで、
「問い」は国境を越えてどう響くのかを探っています。
30巻を超えたいま、あらためて思うのは、
童話は「教えるための道具」ではなく、
「考える時間をつくる装置」になり得るということです。
物語の中で提示された問いを、
それぞれの家庭や教室、あるいはひとりの時間の中で持ち帰ってもらえたなら、
それがこのシリーズの存在意義だと感じています。
『現代版イソップ童話』は現在も継続刊行中です。
問いを止めないかぎり、物語もまた、止まらないのかもしれません。
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