高糖度トマトを容易に栽培できるエッジAI型の萎れ灌水制御に成功
静岡大学情報学部の峰野博史教授らの研究成果が情報処理学会論文誌に掲載されました
国立大学法人静岡大学(所在地:静岡県浜松市、学長:日詰 一幸、以下、静岡大学)、株式会社Happy Quality(本社:静岡県浜松市、代表取締役社長:宮地 誠、以下、Happy Quality)は、萎れ定量化AI(人工知能)によるエッジAI型の自動灌水システムを研究開発し、高糖度トマトの容易な栽培に成功しました。
トマトなどの植物では、栽培過程で適度な水分ストレスを付与することで高糖度な果実を栽培できることが知られています。しかし、日々、温度や湿度といった環境条件の変化する中で、その時々の植物の状態に適したタイミングや量の灌水制御を行うためには、植物内水分量の把握が重要であり、新規就農者にとって大きな障壁となっていました。
静岡大学峰野研究室では、2017年頃からトマトの自動灌水システムに関する研究開発を行っており、2020年度に実施した株式会社Happy Qualityとの共同栽培実験では、クラウド型AIによる自動灌水システムによって、高糖度な中玉トマトを低負担かつ大量に安定生産できることを実証しました。
今回、葉の先端と付け根のKeypointを検出することで、その位置や角度の変化から萎れを定量化するエッジ型AIの研究開発に成功しました。
本システムでは、被写体への日の当たり方や影による大きな輝度変化にも頑健かつ、軽量な処理で萎れを定量化する新たな手法を研究開発し(図1)、現場に設置可能な小型コンピュータで動作するエッジAI型の萎れ灌水制御システムを構築しました。



2025年5月に実施した実証実験(図2)では、従来手法(日射比例による灌水制御、茎径変位量による灌水制御)との比較を行い、本エッジAI型萎れ灌水制御によって、収穫物の糖度が相対的に最も向上することを確認しました(図3)。
また、本手法では、日射比例による灌水制御と比べて灌水量を12.15% 削減できることも確認でき、カーボンニュートラルや持続可能な農業の観点からも有用であることが示されました。




(図3(a)(b)ともに 日射比例・茎径変位は従来手法、萎れAIは今回手法)
萎れ定量化手法の軽量化によってエッジAI型システムが実現可能となり、天候不順等による不慮の停電や、広域無線通信網の不具合といったクラウド型システムで懸念される特異な課題も解消されます。今後は、様々な栽培条件での実証実験を進めるとともに、他植物への展開だけでなく、長年の経験と勘に基づいて習得したノウハウの効率的な継承や、AIとの協働による負担軽減を目指していきます。
なお、本研究成果は、令和8年1月15日付で情報処理学会論文誌に掲載されました。
■論文情報(推薦論文)
論文タイトル:Keypoint検出を用いた萎れ定量化によるエッジ型自動灌水制御の提案
著者 :大沼 理巧、小池 誠、玉井 大悟、古田 祐樹、宮地 誠、峰野 博史
掲載誌 :情報処理学会 論文誌(ジャーナル)、Vol.67 (1)、2025-01-15
※本研究は、JST創発的研究支援事業の支援も受けて実施されました。
研究課題名 :マルチモーダルフェノタイピングによる適応型情報協働栽培手法の確立
研究代表者 :峰野博史
■株式会社Happy Qualityについて
農家の減少や高齢化により匠の農業技術が失われるといった農業における社会課題を、テクノロジーで解決するためデータドリブン農業の研究開発を行っています。
就農者の多くが抱える「所得が少ない」、「技術の未熟さ」というより具体的な課題に着目し、市場流通や農学、テクノロジーといった専門知識を持つメンバーによる研究開発を重ね、ビックデータやAI、光学センサ等を用いて、高品質・高単価なメロンやトマトの安定生産、FC農家からの全量買取および品質保証による高単価販売を実現しています。
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