いつもありがとう作文コンクール「あんこのきずな」が最優秀賞
宮城県松島町の小学1年生、佐々木 高翔さん
家族への感謝の気持ちをつづる第12回「いつもありがとう作文コンクール」(朝日学生新聞社主催、シナネンホールディングスグループ共催)の入賞作品が決まりました。最優秀賞には、「あんこのきずな」を書いた宮城県松島町の小学1年生、佐々木 高翔(ささき・たかと)さんが選ばれ、表彰式が11月24日に行われました。
朝日小学生新聞を発行する朝日学生新聞社では、全国の小学生を対象に、「いつもありがとう」作文コンクールを主催しています(シナネンホールディングスグループ共催、文部科学省、朝日新聞社後援)。このコンクールは、日ごろはなかなか面と向かって言えない家族への感謝の気持ちや、家族への思いを綴ってもらうことで、子どもたちの優しい気持ちを育み、健やかな成長を促すことを目的としています。
応募総数3万8086点の中から最優秀賞、シナネン賞、ミライフ賞、朝日小学生新聞賞の特選4点をはじめ、優秀賞6名、入選14名、佳作20名、団体賞6校の各賞が決定し、表彰式を11月24日に東京・築地の浜離宮朝日小ホールで行いました。
受賞作品からは、子どもたちの考え方や、やさしい気持ち、思いが伝わってきます。
≪最優秀賞 全文≫
「あんこのきずな」
宮城県 松島町
1年 佐々木 高翔
ぼくのだいすきなおやつ、あんこだんご。このあんこだんごをいつもかってくれるひとがいる。すぐちかくにすんでいる、ぼくのおじいちゃんだ。いつもぼくは、じいじとよぶけれど、まえに
「ほんとうはじいちゃんてよんでほしいな。」
といっていたのを、ぼくはこっそりきいていた。だからここではじいちゃんとよぶ。
じいちゃんは、むかしはからだがおおきくてちからもつよくて、うんどうもとくいだったそうだ。ぼくがあかちゃんのときも、おかあさんがごはんをつくったり、いそがしいときに、ぼくをずっとだっこしてうたをうたってくれていたみたいだ。じてんしゃでさんぽにつれていってくれたこともある。でもさいきん、としをとったしびょうきもして、まえよりちからがなくなってしまった。ぼくはおおきくなってきたのに、じいちゃんはちいさくなっているきがする。
だけど、こころはまだまだおおきい。ぼくがしっぱいをしたり、かなしいきもちになったりしたときにはいつも、やさしくしずかなこえでなぐさめてくれる。そして、ぼくがだいすきなものをわかってくれていて、いつもあんこだんごをよういしてくれる。それだけじゃない。ぼくがだいすきなこんちゅうやきょうりゅう、むかしのできごとやがいこくのこと、なんでもしっていて、なにをきいてもすぐにおしえてくれる。あたまのなかにたくさんおはなしがつまっていて、ぼくよりずっとずっとすごい。
でも、ぼくとかわらないところもある。それは、あんこがだいすきということだ。じいちゃんは、だんごだけでなく、もちもおはぎもだいすきだ。じいちゃんのいえにいけば、おしょうがつでもないのにあんこもちがたべられる。たべたこともないあんこのおかしをたべさせてくれたりもする。ぼくがよろこんでたべるから、うれしくていろいろなあんこのおかしをさがしてくる、とおかあさんはいっていた。ぼくはとてもうれしかった。
ぼくはまだ、ひとりでかいものをしたり、おいしいあんこのおかしをみつけることはできないけど、おとなになったらおいしいあんこのおかしをたくさんたべさせたい。だから、それまでげんきで、いろいろなおはなしをきかせてほしいな。そしていっしょにたくさんあんこをたべたいな。
ぼくのだいすきなおやつ、あんこだんご。それよりももっともっとだいすきなじいちゃんが、いつもそばにいてくれてうれしいよ。ありがとう。
≪シナネン賞 全文≫
「わらい声、六倍」
千葉県 佐倉市
2年 大隅 光一朗
ぼくのうちはいつもうるさい。大わらいしてころげ回ることは毎日だし、大声でおこられることもしょっちゅうだ。
ぼくにはお父さんお母さん、そして弟が三人いる。お母さんいがい、みんな男だ。うちはパワフル六人かぞくだ。
みんな同時にしゃべり出すから、お母さんは、
「一人ずつしゃべって!」
とよく言う。そんなお母さんの声も大きい。
弟たちとおふろに入っている声は、三百メートル先のさかの上まで聞こえているらしい。お父さんがしごとからかえってきた時に、大わらいしながらそう言っていた。
ぼくは四人兄弟の一ばん上だから、大へんだ。たとえば、しゅくだいをしていると、一さいの弟がハイハイでよってきて、ぼくの足をなめる。とても気がちる。けんかをした時は、弟が先になき出すから、ぼくはがまんが多い。それなのに、一ばんおこられる。朝、弟をトイレにつれて行くのも、ぼくのしごとだ。ほんとうは、すごくめんどくさい。
よく、お父さんとお母さんが、
「かぞくはチームだ!」
と言う。かぞくみんなで心ぱいし、みんなでかなしみ、みんなでたすけ合い、みんなでよろこび、みんなでわらう。そうやって、のりこえていくんだって。よくわからないけど、かぞくが多いのもわるくはないなって、少し思った。
兄弟が多いと、たくさん話せて、いっしょにあそべてうれしい。気に入っていたふくは、弟がきてくれるからうれしい。弟をあやすと、ケラケラわらってくれるからうれしい。やっぱりぼくは、かわいい弟がいて、うれしい。
お父さんお母さん、六人チームを作ってくれて、ありがとう。お父さん、おしごとをがんばってくれてありがとう。あせだくになってあそんでくれるお父さんが、大すき。お母さん、いつもたくさんのごはんと、せんたくをありがとう。夜ねる前に、ぎゅってしてくれるお母さんが大すき。弟たち、いつもわらわせてくれてありがとう。かわいくておもしろい弟たちが大すき。
ぼくのうちはいつもうるさい。だけど、わらい声も六倍! こんなにぎやかなチームが、ぼくは大すき。
≪ミライフ賞 全文≫
「じゅもん」
大阪府
1年 田中 聖蘭
「パパ、きらーい。あっちいって。」
「パパ、いやー。こっちこないで。」
「なんだとー。」
と、いいながらパパはガハガハわらって、わたしをだっこして、ほっぺたにひげをじょりじょりあててきます。わたしは、かおがいたいし、パパのちからもつよいので、
「ぎゃー。たすけてー。」
といって、にげます。すると、こんどはひょいっとわたしをくうちゅうにほうりなげて、ガシッとつかまえるのです。これがたのしくてしかたがありません。
だから、わたしはパパにあそんでほしいとき、このじゅもんをとなえます。
パパは、はやおきがとくいです。かいぎやしごとでよるどんなにおそくなっても、ぜったいにねぼうしません。さっきまで、パンツいっちょうであるいて、ママにおこられていたのに、いつのまにか、きりっときがえて、かいしゃにでかけます。わたしは、かっこいいなあとおもいながら、いってらっしゃいをします。
パパには、よなかにでんわがかかってくることもあります。たいていは、しごとのとうちゃくじかんのかくにんやしじをするやくそくをしていたもので、すぐにおわります。だけど、でんわがながいときは、なにかたいへんなことがおきたときです。メモをとったり、かんがえこんだり、ほかにでんわをかけたり、どうじにいろんなことをすごいはやさでします。そのときのかおは、ちょっとおこっているようにみえます。でも、ほんとうにおこったときのかおはもっとこわいので、しんけんなかおなんだとおもいます。たいへんなことがかいけつすると、パパはいつものパパにもどります。
ゆうごはんをたべたあと、いっしょにテレビをみているとき、ぐうぐうといびきがきこえることがあります。さっきまでおきていたのに・・・
むてきにみえるパパだけど、つかれることもあるんだなとおもいました。
おふろのじかんになると、パパはげんきにふっかつして、おにいちゃんとわたしをりょうてにかかえておふろばまでつれていってくれます。わたしは、パパのおおきなせなかをごしごしとちからをこめてあらいます。
バスタオルでガシガシふかれているとき、ちょっぴりいたいけど、たのしいきぶんです。
そして、ねるまえにもあのじゅもんをとなえます。
「ぎゃははははは。」
わたしたちはおおわらいします。わたしはなんどもなんどもじゅもんをとなえます。
じゅもんではそういってないけれど、ほんとうは、パパのことがだいすきです。
いつもありがとう。
≪朝日小学生新聞賞 全文≫
「私をわかってくれる母」
神奈川県 横浜市
6年 廣江 紗楽
私は、母ととても仲が良い。でも、仲が良すぎるのは、はずかしいことなのだろうか。
そんなことを考えている時に、母が北村薫の「月の砂漠をさばさばと」という本をすすめてくれた。好奇心旺盛な女の子を見守る、小説家のお母さんとの仲良し親子の、楽しくほのぼのとした日常会話が描かれた物語だ。母が結婚したころ、将来娘がほしいと思い、もし娘が生まれたら、この本のような親子関係をつくりたいと思っていたらしい。
私も小さいころから好奇心旺盛であり、何にでも興味を持って質問をしたり、おしゃべりや絵本が大好きだった。今でも、母とは一日の出来事を話したり、一緒に過ごす時間が多い。
けれど、最近の私は、いつも母と一緒にいることが、はずかしいことなのかと、疑問に思う時がある。それは、友達と比べて自立心が少ない気がしていたり、友達のさそいよりも、母との時間を優先してしまう時があるからだ。母と一緒にいるのは、何よりも安心するけれど、そのことを友達に知られるのははずかしい。そして、はずかしいと思っていることを、母に気付かれたくもない。
そんな時、この本をすすめてきた母は、やはり私の心のモヤモヤに気付いていたのかもしれない。母は、いつも私のちょっとした声の違いや、話し方で変化を感じ「何かあったの?」と聞いてくる。言葉にしなくても、私のことを分かってくれる。いつも全力で応援してくれる母に、見守ってもらっていると感じた瞬間、胸がキュッとした。
時に叱ってくれたり、背中を押してくれたり、相談相手になってくれるそんな母は、何より私と仲が良いことをとてもうれしく思い、毎日の会話を楽しんでいる。そして、すすめてくれた本は「親子の縦のつながりが、友達の横のつながりにより近づく」ということも教えてくれた。親といい関係を築けていたら、友達とのいい関係を築くことが得意になる。つまり、親子の縦のつながりは、生まれてから心と体の成長の基礎を作り、言葉やコミュニケーション能力を自然と学べるので、友達との横のつながりの関係性に役立つということだ。
私は、友達よりも心の成長がスローペースなのかもしれない。でも、今まで築いてきた母との関係は、これから築いていくたくさんの人との関係を良いものにしてくれると信じ、これからも安心して母と一緒に過ごす。
どんな時でも、笑顔でいる母と一緒にいると、私も笑顔になり、明るく元気でいられる。母と仲が良いことは、決してはずかしいことではない。今回のことで、母への感謝がより深まった。お母さん、ありがとう。
他の入賞作は特設サイト ( http://www.sinanengroup.co.jp/sakubun/ )へ
応募総数3万8086点の中から最優秀賞、シナネン賞、ミライフ賞、朝日小学生新聞賞の特選4点をはじめ、優秀賞6名、入選14名、佳作20名、団体賞6校の各賞が決定し、表彰式を11月24日に東京・築地の浜離宮朝日小ホールで行いました。
受賞作品からは、子どもたちの考え方や、やさしい気持ち、思いが伝わってきます。
≪最優秀賞 全文≫
「あんこのきずな」
宮城県 松島町
1年 佐々木 高翔
ぼくのだいすきなおやつ、あんこだんご。このあんこだんごをいつもかってくれるひとがいる。すぐちかくにすんでいる、ぼくのおじいちゃんだ。いつもぼくは、じいじとよぶけれど、まえに
「ほんとうはじいちゃんてよんでほしいな。」
といっていたのを、ぼくはこっそりきいていた。だからここではじいちゃんとよぶ。
じいちゃんは、むかしはからだがおおきくてちからもつよくて、うんどうもとくいだったそうだ。ぼくがあかちゃんのときも、おかあさんがごはんをつくったり、いそがしいときに、ぼくをずっとだっこしてうたをうたってくれていたみたいだ。じてんしゃでさんぽにつれていってくれたこともある。でもさいきん、としをとったしびょうきもして、まえよりちからがなくなってしまった。ぼくはおおきくなってきたのに、じいちゃんはちいさくなっているきがする。
だけど、こころはまだまだおおきい。ぼくがしっぱいをしたり、かなしいきもちになったりしたときにはいつも、やさしくしずかなこえでなぐさめてくれる。そして、ぼくがだいすきなものをわかってくれていて、いつもあんこだんごをよういしてくれる。それだけじゃない。ぼくがだいすきなこんちゅうやきょうりゅう、むかしのできごとやがいこくのこと、なんでもしっていて、なにをきいてもすぐにおしえてくれる。あたまのなかにたくさんおはなしがつまっていて、ぼくよりずっとずっとすごい。
でも、ぼくとかわらないところもある。それは、あんこがだいすきということだ。じいちゃんは、だんごだけでなく、もちもおはぎもだいすきだ。じいちゃんのいえにいけば、おしょうがつでもないのにあんこもちがたべられる。たべたこともないあんこのおかしをたべさせてくれたりもする。ぼくがよろこんでたべるから、うれしくていろいろなあんこのおかしをさがしてくる、とおかあさんはいっていた。ぼくはとてもうれしかった。
ぼくはまだ、ひとりでかいものをしたり、おいしいあんこのおかしをみつけることはできないけど、おとなになったらおいしいあんこのおかしをたくさんたべさせたい。だから、それまでげんきで、いろいろなおはなしをきかせてほしいな。そしていっしょにたくさんあんこをたべたいな。
ぼくのだいすきなおやつ、あんこだんご。それよりももっともっとだいすきなじいちゃんが、いつもそばにいてくれてうれしいよ。ありがとう。
≪シナネン賞 全文≫
「わらい声、六倍」
千葉県 佐倉市
2年 大隅 光一朗
ぼくのうちはいつもうるさい。大わらいしてころげ回ることは毎日だし、大声でおこられることもしょっちゅうだ。
ぼくにはお父さんお母さん、そして弟が三人いる。お母さんいがい、みんな男だ。うちはパワフル六人かぞくだ。
みんな同時にしゃべり出すから、お母さんは、
「一人ずつしゃべって!」
とよく言う。そんなお母さんの声も大きい。
弟たちとおふろに入っている声は、三百メートル先のさかの上まで聞こえているらしい。お父さんがしごとからかえってきた時に、大わらいしながらそう言っていた。
ぼくは四人兄弟の一ばん上だから、大へんだ。たとえば、しゅくだいをしていると、一さいの弟がハイハイでよってきて、ぼくの足をなめる。とても気がちる。けんかをした時は、弟が先になき出すから、ぼくはがまんが多い。それなのに、一ばんおこられる。朝、弟をトイレにつれて行くのも、ぼくのしごとだ。ほんとうは、すごくめんどくさい。
よく、お父さんとお母さんが、
「かぞくはチームだ!」
と言う。かぞくみんなで心ぱいし、みんなでかなしみ、みんなでたすけ合い、みんなでよろこび、みんなでわらう。そうやって、のりこえていくんだって。よくわからないけど、かぞくが多いのもわるくはないなって、少し思った。
兄弟が多いと、たくさん話せて、いっしょにあそべてうれしい。気に入っていたふくは、弟がきてくれるからうれしい。弟をあやすと、ケラケラわらってくれるからうれしい。やっぱりぼくは、かわいい弟がいて、うれしい。
お父さんお母さん、六人チームを作ってくれて、ありがとう。お父さん、おしごとをがんばってくれてありがとう。あせだくになってあそんでくれるお父さんが、大すき。お母さん、いつもたくさんのごはんと、せんたくをありがとう。夜ねる前に、ぎゅってしてくれるお母さんが大すき。弟たち、いつもわらわせてくれてありがとう。かわいくておもしろい弟たちが大すき。
ぼくのうちはいつもうるさい。だけど、わらい声も六倍! こんなにぎやかなチームが、ぼくは大すき。
≪ミライフ賞 全文≫
「じゅもん」
大阪府
1年 田中 聖蘭
「パパ、きらーい。あっちいって。」
「パパ、いやー。こっちこないで。」
「なんだとー。」
と、いいながらパパはガハガハわらって、わたしをだっこして、ほっぺたにひげをじょりじょりあててきます。わたしは、かおがいたいし、パパのちからもつよいので、
「ぎゃー。たすけてー。」
といって、にげます。すると、こんどはひょいっとわたしをくうちゅうにほうりなげて、ガシッとつかまえるのです。これがたのしくてしかたがありません。
だから、わたしはパパにあそんでほしいとき、このじゅもんをとなえます。
パパは、はやおきがとくいです。かいぎやしごとでよるどんなにおそくなっても、ぜったいにねぼうしません。さっきまで、パンツいっちょうであるいて、ママにおこられていたのに、いつのまにか、きりっときがえて、かいしゃにでかけます。わたしは、かっこいいなあとおもいながら、いってらっしゃいをします。
パパには、よなかにでんわがかかってくることもあります。たいていは、しごとのとうちゃくじかんのかくにんやしじをするやくそくをしていたもので、すぐにおわります。だけど、でんわがながいときは、なにかたいへんなことがおきたときです。メモをとったり、かんがえこんだり、ほかにでんわをかけたり、どうじにいろんなことをすごいはやさでします。そのときのかおは、ちょっとおこっているようにみえます。でも、ほんとうにおこったときのかおはもっとこわいので、しんけんなかおなんだとおもいます。たいへんなことがかいけつすると、パパはいつものパパにもどります。
ゆうごはんをたべたあと、いっしょにテレビをみているとき、ぐうぐうといびきがきこえることがあります。さっきまでおきていたのに・・・
むてきにみえるパパだけど、つかれることもあるんだなとおもいました。
おふろのじかんになると、パパはげんきにふっかつして、おにいちゃんとわたしをりょうてにかかえておふろばまでつれていってくれます。わたしは、パパのおおきなせなかをごしごしとちからをこめてあらいます。
バスタオルでガシガシふかれているとき、ちょっぴりいたいけど、たのしいきぶんです。
そして、ねるまえにもあのじゅもんをとなえます。
「ぎゃははははは。」
わたしたちはおおわらいします。わたしはなんどもなんどもじゅもんをとなえます。
じゅもんではそういってないけれど、ほんとうは、パパのことがだいすきです。
いつもありがとう。
≪朝日小学生新聞賞 全文≫
「私をわかってくれる母」
神奈川県 横浜市
6年 廣江 紗楽
私は、母ととても仲が良い。でも、仲が良すぎるのは、はずかしいことなのだろうか。
そんなことを考えている時に、母が北村薫の「月の砂漠をさばさばと」という本をすすめてくれた。好奇心旺盛な女の子を見守る、小説家のお母さんとの仲良し親子の、楽しくほのぼのとした日常会話が描かれた物語だ。母が結婚したころ、将来娘がほしいと思い、もし娘が生まれたら、この本のような親子関係をつくりたいと思っていたらしい。
私も小さいころから好奇心旺盛であり、何にでも興味を持って質問をしたり、おしゃべりや絵本が大好きだった。今でも、母とは一日の出来事を話したり、一緒に過ごす時間が多い。
けれど、最近の私は、いつも母と一緒にいることが、はずかしいことなのかと、疑問に思う時がある。それは、友達と比べて自立心が少ない気がしていたり、友達のさそいよりも、母との時間を優先してしまう時があるからだ。母と一緒にいるのは、何よりも安心するけれど、そのことを友達に知られるのははずかしい。そして、はずかしいと思っていることを、母に気付かれたくもない。
そんな時、この本をすすめてきた母は、やはり私の心のモヤモヤに気付いていたのかもしれない。母は、いつも私のちょっとした声の違いや、話し方で変化を感じ「何かあったの?」と聞いてくる。言葉にしなくても、私のことを分かってくれる。いつも全力で応援してくれる母に、見守ってもらっていると感じた瞬間、胸がキュッとした。
時に叱ってくれたり、背中を押してくれたり、相談相手になってくれるそんな母は、何より私と仲が良いことをとてもうれしく思い、毎日の会話を楽しんでいる。そして、すすめてくれた本は「親子の縦のつながりが、友達の横のつながりにより近づく」ということも教えてくれた。親といい関係を築けていたら、友達とのいい関係を築くことが得意になる。つまり、親子の縦のつながりは、生まれてから心と体の成長の基礎を作り、言葉やコミュニケーション能力を自然と学べるので、友達との横のつながりの関係性に役立つということだ。
私は、友達よりも心の成長がスローペースなのかもしれない。でも、今まで築いてきた母との関係は、これから築いていくたくさんの人との関係を良いものにしてくれると信じ、これからも安心して母と一緒に過ごす。
どんな時でも、笑顔でいる母と一緒にいると、私も笑顔になり、明るく元気でいられる。母と仲が良いことは、決してはずかしいことではない。今回のことで、母への感謝がより深まった。お母さん、ありがとう。
他の入賞作は特設サイト ( http://www.sinanengroup.co.jp/sakubun/ )へ
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。