【調査発表会レポート】「2020年度 フリマアプリ利用者と非利用者の消費行動」の意識調査発表会

コロナ禍が消費やライフスタイルを見直す機会に 「自分がよいと思うモノを買いたい」など、自らの嗜好に合うモノを選好する消費意向が拡大

株式会社メルカリ

2020年7月に経済産業省が発表した「電子商取引に関する市場調査」によると、CtoC取引市場の規模は約1兆7,407億円(前年比+9.5%)と推計されており、この市場規模拡大にはフリマアプリの成長が寄与していると述べられています(※1)。一方、2020年は新型コロナウイルス感染症拡大を受け、緊急事態宣言の発出や「新しい生活様式」の実践例が公表されるなど、消費者の意識・行動に多大な変化をもたらしうる事象が発生しています。
メルカリ総合研究所(運営:株式会社メルカリ)では、二次流通市場の興隆や新型コロナウイルス感染症拡大にともなう様々な経験が、消費者意識や行動にどのような変化をもたらしたかを明らかにすべく、フリマアプリ利用者500名、非利用者500名、緊急事態宣言中にフリマアプリ利用を始めた方463名を対象に、2020年度の「フリマアプリ利用者と非利用者の消費行動」に関する意識調査を実施しました(※2)。その結果、不要品を「売る」意向が、フリマアプリ利用者は昨対比で4.2%増加、非利用者は4.0%増加。また「中古品の購入・使用への抵抗感」が昨対比で8.4%増加しているなど、コロナ禍において、人々の消費やモノに対する意識に変化が生じていることが明らかとなりました。

本調査結果をもとに、このたびメルカリでは報道関係者さまを対象とした調査結果発表会を9月28日(月)に開催しました。

(左より:三菱総合研究所 政策・経済研究センター長 チーフエコノミスト 武田洋子氏、株式会社メルカリ 取締役President(会長)小泉文明)

当日の調査発表会では、第1部としてメルカリ総合研究所 研究員の志和あかねが、「2020年度 フリマアプリ利用者と非利用者の消費行動の意識調査」のポイント解説を行いました。昨年の調査結果と比較して「自分にとってよいと思う、いいモノを持ちたい」といった意向が高まっていることについて、志和は「先行きが見えないコロナ禍においてエッセンシャルなモノを選んでいくという消費意識が表れているのではないか」とメルカリ総研としての見解を述べました。また、緊急事態宣言中にフリマアプリの利用を開始した人々の意識変化として、「節約意識が高まった」「身の回りの売れそうなモノを探すようになった」「リサイクルを意識するようになった」が多く挙げられていることから、フリマアプリ利用がエコ意識の向上に寄与していることを紹介しました。

第2部では「ポストコロナの消費意識」「ポストコロナの経済・社会と、二次流通・フリマアプリの役割」の2つをテーマとして、三菱総合研究所 政策・経済研究センター長 チーフエコノミストの武田洋子氏、株式会社メルカリ 取締役President(会長)の小泉文明、同 Branding team manager ESG leadの田原純香がパネルディスカッションを行いました。

小泉は「まだ使えるが不要になったモノは売る」という行動に「“やや”当てはまる」と回答した人々が昨年よりも増えている点に触れ、「『消費』が変化する中で、フリマアプリがライト層に広がっていることがわかる。今後どのように社会に受け入れられていくのか、この推移を注視していきたい」とコメント。武田氏は、緊急事態宣言中にフリマアプリを始めた人々が利用を通じて「経験」したことについて、「フリマアプリの利用メリットが明確に表れている」と指摘。「まず、ゴミとして捨てるのではなくて、『売ることでモノを捨てる罪悪感が軽減』する。『新品購入時にリセールバリューを考える』『フリマアプリで売れるため失敗を気にせず買い物をする』という2つの経験は、ショッピングの選択肢拡大に繋がっている。『フリマアプリで稼げるようになりバイトの時間が減らせた』という経験は、フリマアプリが収入を補う手段として使えることを表している。最後に『フリマアプリで売れるから試着せずに買う』『多忙で服の買い物に行けないためフリマアプリで服を買う』という2つの経験からは、フリマアプリが時間の節約に役立てられることがわかる」と解説しました。

※1 出典:経済産業省「令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」(2020年7月)
URL:https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/ie_outlook.html
※2 「2020年度フリマアプリ利用者と非利用者の消費行動」に関する意識調査
URL:https://about.mercari.com/press/news/articles/20200928_consumersurvey/
 
  • 調査発表会内容
【第1部:「2020年度フリマアプリ利用者と非利用者の消費行動に関する意識調査」結果報告】

■不要品を「売る」意向や「中古品の購入・使用への抵抗感」が昨年から増加、一方で中古品の購入機会は減少
「商品購入時に重視すること」について、昨年調査から増加した項目は、1位「買い物しやすい場所であること」(+20.4%)、2位「接客態度」(+14.0%)、3位「新品であること」(+12.1%)となりました。「中古品の購入・使用への抵抗感」は昨年調査から8.4%増加、「中古品の購入機会」は5.5%減少。まだ使える不要品を「売る」意向は、フリマアプリ利用者は4.2%増加、非利用者は4.0%増加。自分がよいと思うモノを買う意向は9.8%増加し、良質なモノだけを持ちたい意向は8.8%増加しました。 緊急事態宣言中にフリマアプリの利用を始めた理由については、1位「不要品処分のため」、2位「家の中の整理整頓のため」、3位「掘り出し物を購入するため」。フリマアプリ利用を始めた54.0%が「売る時のことを考えて、モノを大切に扱うようになった」と回答。また、フリマアプリ利用を始めた20代の31.0%が「フリマアプリで定期的に稼げるようになって、バイト(パート)の時間を減らすことができた」と回答しました。フリマアプリ利用を始めた方の意識変化として多く挙げられた項目は、1位「節約意識が高まった」、2位「身の回りの売れそうなモノを探すようになった」、3位「リサイクルを意識するようになった」。フリマアプリ利用を始めた方の79.9%が「利用を継続したい」との意向を示しました。

 


【第2部:「ポストコロナの消費意識」「ポストコロナの経済・社会と、二次流通・フリマアプリの役割」パネルディスカッション】

■コロナ禍が作用したモノや消費に対する意識の変化
田原:昨年の調査と比較して最も差が表れたのが、モノや消費に対する意識。「他人からどう思われても、自分がよいと思うモノを買いたい」(前年比+9.8%)、「良質なモノだけを持ちたい」(前年比+8.8%)という意識が高まっています。

小泉:私自身の経験も踏まえ、多くの人々にとって、コロナ禍が自分のライフスタイルや消費行動を振り返るきっかけになったのではないでしょうか。リモートワークなどで自宅にいる時間が増え、「こんなにモノを持っている必要があるのか?」と疑問に感じた方も多いと思います。傍にあって心地よいと感じるもの、大きな価値を感じているものは手元に残し、ほとんど使わないもの、なんとなく持っていたものは整理していきたい、といった考え方が内包されていると感じます。

■今後、より一層「不確実性」と向き合う社会に
武田氏:我々、三菱総合研究所では、ポストコロナ社会を3つの軸「従来のトレンドが加速する要素」「新たに出現した潮流」「“従来の当たり前”の価値を再評価するもの」で考察しました。その結果として集約したのが、「持続可能性の優先順位の上昇」「集中から分散・多極へ」「デジタルの加速とリアルの融合」という3点です。

小泉:特に「持続可能性の優先順位の上昇」「集中から分散・多極へ」を見ると、環境や気候の変化をはじめとした“不確実性”に向き合う人類、という大きなテーマがあると感じます。ポストコロナにおいて、今後大きく変動する可能性の高い不確実な要素に備えていく行動が、多く表れているように見て取れます。そこは、個人がネットワークやプラットフォームにアクセスできるスマートフォンアプリをはじめ、テクノロジーが後押ししていける部分です。

■ポストコロナ時代の二次流通やフリマアプリの役割
小泉:私たちは生活の中でモノを消費し、その時々で必要なものを売買しています。その中でライフスタイルは多様化・変化しており、必要なものやその価値も不変ではありません。その流通の仕組みをよりスムーズにすることで社会全体が最適化され、過剰生産が抑えられて環境にも優しい仕組みが構築できるのではないでしょうか。当社では、スマホ決済サービスも含めてフリマアプリを提供しており、そこで得たデータ活かして一次流通と二次流通を繋げていきたいと思っています。フリマアプリだけで完結するのではなく、より多くの事業者様のマーケティングや生産量を最適化することによって、社会全体がより健全な状態にリニューアルされると考えています。

武田氏:「素材を提供する人」や「加工技術を提供する人」などが二次流通のプラットフォーム上で協業できれば、消費の最適化を図る過程で、供給の最適化も果たせるのではないかと思います。その結果、多様多品種なモノが生まれ、時代と個人によって異なる多様な好みに対応できるようになり、財やサービスが循環していく社会が生まれる。その結果として、持続可能な世界を構築できるのではないかと考えています。

■登壇者のご紹介


三菱総合研究所 政策・経済研究センター長 チーフエコノミスト 武田洋子氏
米国ジョージタウン大学公共政策大学院修士課程修了。1994年日本銀行入行。2009年三菱総合研究所入社。財政制度等審議会財政制度分科会委員(2015年~)、産業構造審議会委員(2017年~)、労働政策審議会臨時委員(2017年~)、行政改革推進会議構成員(2019年~)、税制調査会委員(2020年~)等に就任。

 

株式会社メルカリ 取締役President(会長)小泉文明
1980年生まれ。早稲田大学商学部卒業後、大和証券SMBCにてミクシィやDeNAなどのネット企業のIPOを担当。2007年よりミクシィにて取締役執行役員CFOとしてコーポレート部門全体を統轄。2012年に退任後、複数のスタートアップを支援し、2013年12月メルカリに参画。2014年3月取締役就任、2017年4月に取締役社長兼COO就任、2019年8月に取締役President (会長)就任。

 


株式会社メルカリ Branding team manager ESG lead 田原純香
慶應義塾大学卒業後、Accenture、A.T. kerneyにて経営戦略コンサルタントとして勤めたのち、Interbrandにてブランド戦略コンサルタントとして従事。2018年10月にメルカリに入社。社長室にてリスク管理プロジェクトやESG立ち上げプロジェクトなどに従事した後、現在に至る。


■メルカリ総合研究所について
メルカリ総合研究所は、外部有識者と共に、フリマアプリの社会的影響から二次流通市場の可能性、その先にある循環型社会が未来にどのような影響をもたらすかを研究する組織です。社会・次世代消費・生活など、様々な視点から研究を行い、生活者の意識や行動の変化、次世代の「豊かさ」について新たな視点を見出していくための活動を行っています。
Webサイト:https://pj.mercari.com/souken/

【メルカリ 概要】
会社名:株式会社メルカリ
所在地:〒106-6118 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー
事業内容:スマートフォン向けフリマアプリ「メルカリ」の企画・開発・運営
代表者名:山田進太郎
Webサイト:https://about.mercari.com/

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会社概要

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業種
情報通信
本社所在地
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー
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代表者名
山田進太郎
上場
マザーズ
資本金
125億5020万円
設立
2013年02月