「カイロ」EC市場規模は昨年比1.28倍 意外な夏需要を調査

Nint ECommerceで楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングの市場を分析・調査

株式会社Nint

「データの価値、人の可能性が輝く世界」をビジョンに、国内大手ECモールの市場動向データ分析ツール「Nint ECommerce」(https://www.nint.jp/ec/)を提供する株式会社Nint(本社:東京都新宿区、代表取締役:吉野順子 以下、「Nint」)は、ECモールのカイロ市場について調査いたしましたのでお知らせいたします。


本調査のポイント

1:夏場でも市場は数千万円規模

2:春先に一度需要が増加。行楽需要などが影響か

3:用途・ニーズの多様化により進化するカイロの特徴を売れ筋TOP100商品の変遷からチェック


主な調査結果

例年最も売上の高い月・低い月で推計売上高に10倍以上の差があるカイロ市場ですが、例年最も売上の低くなる夏(6月~8月)の間も一定の需要が継続していることが明らかになりました。2023年6月~8月の期間では、合計で1.5億円以上の市場規模でした。使い捨てカイロと電気・充電式カイロの両市場は2023年に大きく成長しています。特に使い捨てカイロは、春先に小さな需要のヤマができることも特徴です。


<商品タイプ別の特徴>

・使い捨てタイプは「貼る」タイプが主流で、近年では「足元」に特化したカイロ、通常よりも温度が高いカイロ、長時間使用可能なカイロなど、様々な変化が見られます。

・電気カイロは、モバイルバッテリーとしての充電機能や、保温調整機能など機能性の強化に加え、デザイン性を高めることで、何かがあった際の「備え」の一つとして1台複数役の機能を果たすものへ変わってきています。


1:3大ECモールにおける「カイロ市場」の推移

カイロには大きく「使い捨てカイロ」「電気・充電式カイロ」の2種類があります。

2023年の使い捨てカイロ市場は、前年比136%と非常に好調に推移し、過去最大の売上となりました。後ほど詳しく触れますが、月別での前年差ではほぼ全ての月で上回っており、特に11月・12月・2月の好調差が売上の上昇に影響しました。

平均単価は2019年が1,135円に対し、1,672円まで上昇、値上げ率は32%です。上昇額だけを見ると、この5年で3割上昇しています。

図1:3大ECモール 使い捨てカイロ市場動向(売上・数量・平均単価)

電気・充電式カイロは電気アンカなども含まれる市場です。2023年の電気・充電式カイロ市場は、前年比117%で推移し、調査を行った2019年からの期間中、最も高い売上となっています。月別で見ると、1月・11月・12月で昨年度を大きく上回る売上でした。

平均単価は2019年が2,390円に対し、2023年は3,359円で、上昇率は28%でした。

図2:3大ECモール 電気・充電式カイロ市場動向


2:月単位の推移で見えるカイロ市場の特徴

使い捨てカイロ市場を月別推移でみていくと、いくつかの特徴が見えてきます。

一つ目は、例年売上が低い夏場(6月~8月)でも一定の需要がある点です。

暑い夏場は需要が相当減少するのではないかと予想する中、2023年の6月~8月の市場規模を確認すると、その市場規模は1.5億円以上で存在します。


二つ目は、「春先」で売上が一度上昇するタイミングがあることです。

使い捨てカイロ市場では2020年4月、2022年5月、2023年5月に前月よりも売上が高くなっています。次第に暑くなるこの時期に売上が上昇する要因はいくつか考えられ、「行楽時期の5月」はレジャーとして「登山」や「釣り」などを楽しむ方が多くいます。標高の低い場所では気温が高まる4月・5月でも、標高が高い場所や、あまり動かずに外にいるには寒い日もあります。それらの対策として購入意欲が高まる傾向があるのかもしれません。このことは購入者の商品レビューにも記載されており、急な冷えや、登山時の足先・手先の冷え対策として、常備される方がいるようです。

図3:3大ECモール使い捨てカイロ市場動向(月次売上動向)

購入者の商品レビューを確認してみると、別の理由としては、職場などでエアコンが使用されるため、「冷え対策」の購買や、5月は激甚災害指定までされる「集中豪雨」が増える時期でもあるので、防災意識の高まりによる購入した方、季節商品として店頭の在庫が薄い時期に、まだカイロが欲しい方がEC市場で買い求めている方などが購入していることが伺えます。更には、年間を通して腰痛対策として購入されている方もいるようです。

図4:3大ECモール 使い捨てカイロ市場動向(1月~12月年度単位)

電気・充電式カイロの月次動向は非常に分かりやすく、売上規模は変化していますが、売上曲線には変化が見られません。売上のピークは各年12月です。12月のみ売上が高い理由として、電気・充電式カイロが年末セールなどで取り扱われることが多い季節商品の位置づけであることが大きく影響していると考えられます。

使い捨てカイロは3月〜5月にも売上の小さいヤマができやすく、電気・充電式カイロではそれは見られない。どちらも12月がその年最大の売上月となりやすい傾向が確認できました。

図5:3大ECモール電気・充電式カイロ市場動向(月次売上動向)
図6:3大ECモール電気・充電式カイロ市場動向(1月~12月年度単位)

3:年間売上最小月・最大月での商品の違いと商品変遷

年間を通して夏場と冬場で売上規模に大きな違いのあるカイロジャンルにおいて、閑散期と需要期の消費者の動向を探ります。年間で最も売上の低い月・高い月でのTOP10商品に違いがあるのか、また、各年度のTOP100商品にはどのような特徴があり、変遷してきているのか確認しました。

図7:使い捨てカイロ、電気・充電式カイロ 売上最小・最大月


【年間売上最小月・最大月TOP10比較】

◆使い捨てカイロ(売上最大月・最小月で売れ筋商品に違いあり)
 ・売上最小月

   利便性や快適性にフォーカスし、リラックスや軽量などの商品名を入れた商品が

   目立つ

 ・売上最大月
   耐久性、機能性、特定用途に対する高い適応性を持ち、アウトドアや長時間使用

   に特化した商品が目立つ。


◆電気・充電式カイロ(売上最大月・最小月で売れ筋商品に違いあり)

 ・売上最小月

  単にバッテリーの持ち時間だけでなく、温度調節やモバイルバッテリー機能、デジタル表示といった「使いやすさ」や「利便性」を向上させる追加機能が強調されています。

 ・売上最大月
  主にバッテリーの容量や使用時間の長さに焦点を当てており、「どれだけ長く使え

   るか」という実用面を重視しています。

【年間売上TOP100商品からみる変遷】

 ◆使い捨てカイロ

  1. 多様化する用途と機能性
    使い捨てカイロは、単なる貼るタイプから「足先用」「靴用」「肩用」「腰用」など、部位や用途に特化した製品が急増。冬の寒さ対策がより個別ニーズに対応した形でプロモーションされています。

  2. 高温・長時間持続の進化
    従来の標準温度帯を超える商品が近年人気を高めています。寒冷地や厳しい寒さ対策への需要商品として、消費者ニーズに応えています。持続時間が14時間を超える製品も登場し、アウトドアや長時間の外出にも適した商品ラインナップが充実しています。

  3. 蒸気を使ったリラックスタイプの人気
    リラックス効果を持つホットアイマスクや電子レンジで温めるアイマスクなどなど、温熱効果を楽しみながらリラックスできる商品が多数見られます。これらの商品は、デスクワークや家庭でのリフレッシュアイテムとしての利用も想定されます。

  4. デザイン性と付加価値の向上
    近年ではカイロ自体のデザインがカラフルなものや、絵柄があるもの、カイロ用の袋など、シンプルな見た目からファッショナブルなカイロへと変化しています。また、下着に貼ることで、下半身の冷えを予防するなど健康を意識した商品も増加し、ただの防寒具ではなく、生活の質を向上させる付加価値を持つ製品へと進化しています。

  5. エコ・繰り返し使えるカイロの台頭
    繰り返し使える特定メーカーのカイロが、近年のエコ・環境に配慮した製品として評価され、使い捨てカイロ以外の選択肢として広がっています。

  6. 用途別・場所別のカイロの浸透
    靴下用やインソール型など、使い方に応じたカイロが普及。特に「足元専用」「靴の中に入れるタイプ」など、多様な形状の商品が人気です。

 ◆電気・充電式カイロ

  1. 進化したデザインと機能性
     
    年々、製品の小型化・軽量化が進み、持ち運びやすくなっています。
     デザイン性も向上し、キャラクターやギフト向けの商品も増加しました。

  2. 多機能化の傾向
    モバイルバッテリー機能付きのカイロや、急速発熱、長時間連続使用(14時間以上)が可能な商品が増えています。一部の製品にはLEDライトや懐中電灯機能も搭載され、アウトドアや緊急時の使用にも対応しています。

  3. 温度調節と表示機能の強化
    2段階から4段階の温度調節が可能な商品や、温度をデジタル表示する機能付きの商品が増えました。

  4. 分離式・マグネット式の普及
    分離式やマグネット式のカイロが登場。1台で複数人が同時に使用できるなど柔軟な使い方が可能になっています。

  5. 需要の変化
    プレゼント需要が増加し、季節限定モデルやクリスマス限定のデザインが人気。
    利便性とデザインを兼ね備えた製品が、日常使いからアウトドアまで幅広いシーンでの使用が想定されています。

作成者: マーケティングセールスDiv アナリスト 山本 真大(Masahiro Yamamoto)
編集者: マーケティングセールスDiv エディター 村上 咲(Saki Murakami)

Nint ECommerceに関して

日本国内のEC市場の約7割を占める3大ECモール(楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング)の売上・販売数量をモール別、ジャンル別、ショップ別、商品別に分析できる画期的なツールです。Nint ECommerceを活用いただくことで、以下のイベント対策を効率的にサポートしています。
 
活用例
 ・商品在庫(SKU単位)の拡充
 ・競合価格を見ながら自社の販売価格を設定
 ・競合のポイント倍率を見ながら自社のポイント倍率を設定
 ・商品名(商品情報)での差別化
 ・検索露出(RPPなど)の強化

Nint ECommerceを活用することで、ECビジネスチャンス創出に役立ちます。ご興味のある方は、ぜひ下記リンクよりNint ECommerceの詳細をご確認ください。

Nint ECommerceはこちら:https://www.nint.jp/ec/

■調査概要・免責事項

・本調査は、Nint ECommerceを用い、国内の3大ECモールである楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングの以下ジャンルを対象として、EC市場のカイロ市場を調査しました。

・今回調査にあたり抽出したジャンルは以下の通りです。

Amazon ホーム&キッチン>家電>空調・季節家電(201709)

ドラッグストア>衛生用品・ヘルスケア>温熱用品>使い捨てカイロ

Rakutenダイエット・健康>健康グッズ>カイロ

家電>季節・空調家電>電気あんか・カイロ


Yahoo ダイエット、健康>冷え対策、保温グッズ>充電式カイロ

ダイエット、健康>冷え対策、保温グッズ>使い捨てカイロ


 ※詳細ジャンルに関しては株式会社Nint へお問い合わせください。

 
・レポートを利用することにより生じたいかなるトラブル、損失、損害等について、当社は一切の責任を負いません。


■調査期間
データ抽出期間

2020 年 1 ⽉〜2024 年 7 ⽉

※本稿における Nint 推計データは 2024 年 8 ⽉時点のものを使⽤

■調査機関(調査主体)
株式会社Nint

■調査対象
Nint推計データ(期間:2023年4月~2023年6月・2024年4月~2024年6月)


Nint推計データは、AIやクローリングなどの技術により⽇本国内の3⼤ECモールで販売される商品の売上⾦額・販売数量を⾼精度に推計したデータに、サイト内でのプロモーションデータ等を加えた、EC市場の総合的な分析を可能にするビッグデータです。


■転載・引用について
本レポート・ブログの著作権は株式会社Nintまたは執筆者が所属する企業が所有します。 下記の禁止事項・注意点を確認の上、転載・引用の際は出典を明記してください。
 【出典:「夏でも需要あり!カイロ市場規模と3大ECモールの売上推移を徹底分析」(2024年8月30日公開)】


■禁止事項
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過去の調査レポートはこちら

Nintでは、国内大手EC市場や越境ECに関する情報を週2回ブログで発信しています。

ぜひご一読ください。

https://www.nint.jp/blog/



株式会社Nint 会社概要

代表者: 吉野順子

所在地:東京都新宿区西新宿八丁目17番1号 住友不動産新宿グランドタワー37F

URL:https://www.nint.jp/corp/

設立:2019年2月

事業内容:ECデータ分析サービスの提供


株式会社Nintについて

Nintグループは「データで世界を自由にする」というミッションのもと、急拡⼤するEC市場において、誰もが最適なマーケティング施策を可能とするECデータ分析プラットフォームを実現します。中国・⽇本のEC市場で10年以上にわたり、EC市場動向に関する推計データを独⾃に蓄積・提供し、中国で約4000社、⽇本で約1300社のサービス導⼊実績があります。

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業種
情報通信
本社所在地
東京都新宿区西新宿8-17-1 住友不動産新宿グランドタワー37階
電話番号
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代表者名
吉野順子
上場
未上場
資本金
-
設立
2018年04月