被災地の子どもの心のケア。「元気そうに見える子」も悩みを抱えている?学校配布端末から直接アクセスできるチャット相談窓口「ブリッジ」を開設

能登半島地震から1年、開設から1ヶ月で60件超。子どものチャット相談窓口が石川県珠洲市・能登町で開設

認定特定非営利活動法人カタリバ(本部:東京都中野区、代表理事:今村久美、以下カタリバ)は、学校から配布されたタブレット・PCから子どもが直接相談ができるチャット相談窓口「ブリッジ」を運営しています。

この度、能登半島地震の被害を受けた石川県珠洲市、能登町と連携し、自治体内の全小中学校の子どもが利用できるようになった他、教員や保護者向けのチャット相談窓口も同時に開設しました。

度重なる災害による子ども・大人の心のケアや、重大事案の早期発見に役立てられます。

災害からもうすぐ1年、PTSDの症状が現れはじめる時期に「子どもの心にどう寄り添ったら…」と先生の声も

災害時の子どもたちの心のケアは、子どもの健全な成長において重要といわれています。

文部科学省の調査によれば、東日本大震災の際、被災地の子どもの約1割が心的外傷後ストレス障害(PTSD)の疑いがある症状を示したと報告されました。(*1)

また能登半島地震から約1年が経とうとする現在は、復興や被災状況の格差などを背景にPTSD等の症状が起こりやすい時期といわれています。(*2)

文部科学省は本災害において、これまでに150名を超えるスクールカウンセラーを各自治体の学校に派遣し、子どもの心のケアに取り組んでいます。

しかしながら、スクールカウンセラーは期間が限定された派遣であることや各校を巡回して相談にあたるため常駐はできません。

そのため、日常的な相談は先生が担うことになりますが、通常の教育活動に加え、被災した子どもの心のケアを担うことへの負担は大きくなっています。また先生自身も被災者である場合が多く、先生がケアの対象となることも少なくありません。

先生方からは「一見すると元気そうにみえる児童・生徒が多く、悩みを抱えているか分からない」「子どもの心にどう寄り添えばいいか分からない」等の声が寄せられています。

見えなかった課題を可視化。オンラインで被災した子どもの心をケアするチャット相談窓口を開設

カタリバでは、2023年から、子どもが学校から1人1台配布されるタブレット・PCを通じて利用できるチャット相談窓口「ブリッジ」を開始。

2023年から石川県加賀市と連携し、導入から半年間に約1100人から相談が寄せられ、そのなかで要配慮・緊急通報につながる事案は130件報告されました。

その半数の約70件が学校で把握していない事案だったことから、対面とオンライン相談を組み合わせることによって、子どもを取り巻く課題の早期発見が期待されています。

また地方が抱える人材不足の課題を解消し、子どもの悩みに素早く寄り添い、適切な解決を目指しています。

■新たに能登半島地震・奥能登豪雨の被害があった2自治体と連携を開始

この度、能登半島地震や奥能登豪雨の被害を受けた石川県珠洲市・能登町と連携し、自治体内の全小中学校に所属する子どもが「ブリッジ」を利用できるようになりました。

利用開始から間もないなか、児童生徒から64件の相談が寄せられています。

■実際に相談を行った子どもの声

※一部個人が特定されないよう配慮しています。

・部活に前向きに取り組むにはどうしたらいいですか?

・友達がいない。

・いじめをする人がいます。先生に言うと自分がいじめられるかもと思いましたが、ブリッジさんに相談して、悩みはすっきりしました。ありがとうございます!!

加えて、子ども向けの相談窓口の他、保護者を対象とした「災害時こそだてサポート」の窓口も開設。被災した地域で、子どもと関わる大人の心のケアにも取り組んでいきます。

被災した地域での子ども向けチャット相談の導入。連携自治体とカタリバの思い

■珠洲市 担当者より

令和6年能登半島地震により、珠洲市の子どもたちの生活環境は激変しました。教育委員会は、スクールカウンセラーの派遣をはじめとする国や県の支援を活用し、早期から児童生徒、そして教職員の心のケアに努めてきました。学校には、子どもが安心できる環境づくりが求められ、また、心のケアが欠かせません。周りの大人も含め自分自身でも気付かないうちに心の傷を負っていることがあります。少しでも早く子どもの変化に気付くためにも、引き続き息の長い支援体制を築いていきます。

■NPOカタリバ 相談チャット 事業責任者 藤井より

ブリッジの運営開始から1年が経過し、わかってきていることは子ども達が周囲の大人に自分の気持ちを話すことはとてもハードルが高いということです。ブリッジを利用してくれている子ども達が自分の悩みを話し始めるまで、利用開始から平均で28日かかります。子ども達は周囲の人には心配をかけたくない、自分が心配な子だとは思われたくないという思いを抱えていることが少なくありません。だからこそ、大人に対面で悩みを話すほどではない、まだもやもやとした霧のような状態の気持ちや感情の揺れ動き、なんとなく人にかまって欲しい、そんな行き場の無い思いに私たちはブリッジさんというキャラクターを通じて寄り添っていきたいと思います。

■能登町 担当者より子どもたちへ

皆さん、震災から1年が経とうとしています。

毎日生活していると、いろんなことがあると思いますが、心配なことや不安なことを、自分の中にため込んでいませんか。ちょっとしたことでも、だれかに聞いてもらうだけで、気持ちが楽になるかもしれません。そんなお手伝いをブリッジさんはしてくれます。ひとりひとりの状況はさまざまですが、ゆっくり進んでいきましょう。どんなことでも気軽に、ブリッジさんに相談してみてください。

子ども向けチャット相談「ブリッジ」とは

子どもが学校から1人1台配布されるタブレット・PCを通じて、直接相談ができるチャット相談窓口。

「ブリッジさん」と呼ばれるキャラクターが、子どもからの相談に応答するため、子どもはキャラクターと会話をしている感覚で継続的に会話できることが特徴です。

寄せられた相談には、心理士や精神保健福祉士などの有資格者や元教員、元児童養護施設職員など、子ども対応への経験が豊富な相談員がコミュニケーションを取っています。

子どもからは日常の些細な相談から雑談まで、さまざまな話題が寄せられています。学校が把握していない、いじめや虐待を訴える深刻な事案は相談開始から平均28日かかることがわかりました。

「ブリッジさん」との自然な会話や、日々の雑談を通じて、子どもが相談しやすい環境を整えています。

認定特定非営利活動法人カタリバとは

どんな環境に生まれ育った10代も、未来を自らつくりだす意欲と創造性を育める社会を目指し、2001年から活動する教育NPOです。高校への出張授業プログラムから始まり、2011年の東日本大震災以降は子どもたちに学びの場と居場所を提供するなど、社会の変化に応じてさまざまな教育活動に取り組んでいます。

<団体概要>
設立 : 2001年11月1日
代表 : 代表理事 今村久美
本部所在地 :東京都中野区中野5丁目15番2号
事業内容 :高校生へのキャリア学習・プロジェクト学習プログラム提供(全国)/被災地の放課後学校の運営(岩手県大槌町・福島県広野町)/災害緊急支援(全国)/地域に密着した教育支援(東京都文京区)/困窮世帯の子どもに対する支援(東京都足立区・全国)/外国ルーツの高校生支援(東京都)/不登校児童・生徒に対する支援(島根県雲南市・全国)/子どもの居場所立ち上げ支援(全国)
URL: https://www.katariba.or.jp

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https://www.katariba.or.jp/report/(担当:カタリバ広報 阿部)

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学校・大学出産・育児
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会社概要

URL
https://www.katariba.or.jp/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
高円寺南3-66-3 高円寺コモンズ203
電話番号
03-5327-5667
代表者名
今村久美
上場
未上場
資本金
-
設立
2001年11月