イエメンでの国境なき医師団の病院破壊 米国製爆弾使用
8月15日にイエメンで国境なき医師団の病院が空爆を受けた事件で、アムネスティが入手した爆弾の写真を武器専門家が分析した結果、米国製の誘導装置付爆弾であることが判明した。病院への故意の攻撃は、国際人道法違反である。イエメンの内戦に武器を供与している国々は、ただちに禁輸に踏み切るべきである。
これまでにも、サウジアラビア主導の連合軍は、病院や診療所に同様の空爆を行っている。国境なき医師団が活動する施設への攻撃はこれが今年4度目で、死者11人、負傷者19人を出した。同病院では昨年7月に同団体が支援を開始して以来、4,611人の治療にあたってきた。この空爆を受け、イエメン北部での活動を撤退せざるをえなくなった。
当時、病院周辺で攻撃対象と思われるのは、病院から1キロ東にある軍事基地だった。医師団によれば、サウジアラビア連合軍を含む紛争当事者には、病院の場所はGPS情報で何度も周知されてきた。
故意の病院攻撃は、国際人道法(戦時国際法)の重大な違反であり、正当化の余地はない。病院は国際人道法により特別な保護を受けており、治療と回復のための安全な場所でなければならない。
武器が医療施設の攻撃に使われ、その攻撃が重大な国際人道法違反であることを承知の上で、米国や英国などが武器を供与してきたことは、まったく言語道断である。
内戦で使われかねないあらゆる武器の包括的輸出禁止を直ちに実施し、国際社会は調査をして違法攻撃の責任を裁判で問うことが必要である。
9月21日、米国の上院は、オバマ政権によるサウジアラビアへの11億5千万ドル相当の武器取引を阻止する法案を否決した。この問題では、議員64人が大統領に書簡を出して、武器取引の延期を求めていた。
武器を供与する諸国、特に米国と英国は、その影響力を行使して連合軍の参加国に対し、国際的義務の遵守と、疑われる国際人道法違反の調査を行うように圧力をかけるべきだ。さらに、独立した国際機関による調査の実施に協力して取り組まなければならない。
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