「LGBTQ+当事者の仕事や職場に関する意識調査」を実施
「職場で生きづらさを感じる」LGBTQ+当事者は非当事者の約1.5倍、3割以上は「当事者であることで、やりたい仕事に就くことを諦めた」経験ありなど職場や仕事探しにおける障壁の存在が明らかに
その結果、LGBTQ+当事者の約4割が「職場で生きづらさを感じる」と回答し、非当事者の約1.5倍に当たることがわかりました。またLGBTQ+当事者の3割以上が「性自認や性的指向がきっかけで、やりたい仕事に就くことを諦めたことがある」と回答し、そのうち約8割が仕事に応募する前に諦めた経験があることが分かりました。これらの結果から職場においても、仕事を探す段階でも、LGBTQ+当事者は障壁に直面しやすい状況であることが推測されます。
<調査結果要約>
1.仕事探しや職場における現状や課題
「職場で生きづらさを感じる」LGBTQ+当事者が約4割(39.1%)、非当事者(26.8%)の約1.5倍
LGBTQ+当事者の3人に1人が「仕事探しや職場において、不安やストレス、嫌な思いを経験したことがある」。それに対し行ったことは、「誰にも言わず/何もしなかった」が35.5%。一方で5人に1人が「退職もしくは転職(活動の開始を含む)」を選択した経験がある
働くLGBTQ+当事者の7割以上が「職場でカミングアウトしていない」
2.やりたい仕事に就くことを諦めた経験
LGBTQ+当事者の3割以上が「当事者であることで、やりたい仕事に就くことを諦めたことがある」
「やりたい仕事に就くことを諦めたことのある」LGBTQ+当事者のうち約8割が「応募前」に諦めた経験有り
「やりたい仕事に就くことを諦めた」理由1位は「男性らしさ・女性らしさの決めつけなど、多様な性のあり方について理解のない発言」
3.やりたい仕事を続けることを諦めた経験
LGBTQ+当事者の4人に1人が「当事者であることで、やりたい仕事を続けることを諦めたことがある」
「やりたい仕事を続けることを諦めた」理由の1位は「見た目の性別で決めつけた発言や扱い」
4. 企業や職場に求めること
「やりたい仕事に就く・やりたい仕事を辞めずに続けられるようにするために企業や職場に求めること」の1位は「差別的な発言・行動をする上司・同僚がいない」
「違和感や生きづらさを感じず安心して働くために企業や職場に求めること」の1位は「特定のジェンダー観に縛られずに働ける職場」
「We help people get jobs.」をミッションに掲げるIndeedでは、あらゆる人々が公正に自分にあった仕事を見つけられるような社会の実現を目指しています。本調査結果から分かったことを元に、「Indeed Rainbow Voice 2023」の取り組みを展開することで、ダイバーシティのある働き方を推進する職場が広がるきっかけをつくり、誰もが自分らしく生き生きと働ける仕事や働き方を見つける手助けをしていきたいと考えています。
<「LGBTQ+当事者の仕事や職場に関する意識調査」結果詳細>
1. 仕事探しや職場における現状や課題
「職場で生きづらさを感じる」LGBTQ+当事者が約4割(39.1%)。非当事者(26.8%)の約1.5倍
全国の20~50代の人々を対象に、現在または直近の職場について尋ねたところ、LGBTQ+当事者の約4割(39.1%)、非当事者(シスジェンダーかつヘテロセクシュアル)の26.8%が「職場で生きづらさを感じる」と回答し、LGBTQ+当事者が非当事者の約1.5倍の結果となりました。LGBTQ+当事者は非当事者よりも、職場において困難を抱えている可能性が高いことが示されました。
LGBTQ+当事者の3人に1人が「仕事探しや職場において、不安やストレス、嫌な思いを経験したことがある」。それに対し行ったことは、「誰にも言わず/何もしなかった」が35.5%、一方で5人に1人が「退職もしくは転職(活動の開始を含む)」を選択した経験がある
「LGBTQ+当事者であることがきっかけで、仕事探しや職場において不安やストレス、嫌な思いをした経験」について尋ねたところ、3人に1人以上(33.5%)が経験したことがあると回答しました。
また、仕事探しや職場において感じた不安やストレスなどに対し、どのような対策をしたかという問いに対しては、35.5%が「誰にも言わず/何もしなかった(自分の心のなかにとどめた)」と回答しました。64.5%は何らかの対策をしており、最も多かったのは「公的・民間の窓口など社外の人や組織に相談した」12.5%で、他にもLGBTQ+コミュニティや友人などへの相談も上位となりました。一方で、全体の約5人に1人(21.5%)が「転職/退職(転職活動の開始を含む)」を選択した経験があることも明らかとなりました。
働くLGBTQ+当事者の7割以上が「職場でカミングアウト」していない
現在の職場において、同僚や上司に対してカミングアウト(自身の性自認や性的指向を誰かに打ち明けること)をしているかを尋ねたところ、LGBTQ+当事者の7割以上(75.8%)が「カミングアウトをしていない」と回答しました。
この結果より、企業(職場)からは、LGBTQ+当事者の存在が「見えづらい」状況が考えられます。そのため、企業(職場)においてLGBTQ+当事者がいる前提での環境づくりやコミュニケーションが進みにくいことで、LGBTQ+当事者が職場で感じる不安や生きづらさにつながっているという可能性も考えられます。
2.やりたい仕事に就くことを諦めた経験
LGBTQ+当事者の3割以上が「当事者であることで、やりたい仕事に就くことを諦めたことがある」
LGBTQ+当事者の3割以上(31.5%)が「当事者であることで、やりたい仕事に就くことを諦めたことがある」と回答しました。
「やりたい仕事に就くことを諦めたことのある」LGBTQ+当事者のうち、約8割が「応募前」に諦めた経験
LGBTQ+当事者であることで、仕事に就くことを諦めた経験のある人のうち、約8割(78.1%)が仕事に応募する前に諦めたと回答しました。
やりたい仕事に就くことを諦めたLGBTQ+当事者は、仕事に応募する前の段階で何らかの障壁に直面している可能性があることが明らかになりました。
「やりたい仕事に就くことを諦めた」理由1位は「男性らしさ・女性らしさの決めつけなど、多様な性のあり方について理解のない発言」
「LGBTQ+当事者であることで、やりたい仕事に就くことを諦めた理由」は1位が「男性らしさ・女性らしさの決めつけなど、多様な性のあり方について理解のない発言をされた」17.1%、次いで「求人を調べているとき、採用企業にLGBTQ+に対する制度があるかわからなかった」「勤務中の髪型、化粧、服装(制服着用など)などの要件が希望と合わなかった」が共に13.1%という結果でした。
企業における多様な性に対する理解が低いことや、LGBTQ+当事者に向けた制度の有無がわからないこと、働く上での要件などが、LGBTQ+当事者がやりたい仕事に就くことの妨げになっている可能性が明らかになりました。
3.やりたい仕事を続けることを諦めた経験
LGBTQ+当事者の4人に1人が「当事者であることで、やりたい仕事を続けることを諦めたことがある」
さらに「LGBTQ+当事者であることで、やりたい仕事を続けることを諦めた経験」について尋ねたところ、約4人に1人(24.4%)が、経験があると回答しました。
「やりたい仕事を続けることを諦めた」理由1位は「見た目の性別で決めつけた発言や扱い」
「LGBTQ+当事者であることで、やりたい仕事を続けることを諦めた理由」は、1位「見た目の性別決めつけた発言や扱いをされた」(15.7%)、2位「差別的な発言・行動をする上司・同僚がいた」(14.2%)、3位「LGBTQ+当事者の社員/事例がなく、制度や環境について会社に希望・意見を伝えづらい」(13.1%)という結果でした。
4.企業や職場に求めること
「やりたい仕事に就く・やりたい仕事を辞めずに続けられるようにするために企業や職場に求めること」1位は「差別的な発言・行動をする上司・同僚がいない」
LGBTQ+当事者がやりたい仕事を諦めないために、企業や職場に求めることを尋ねたところ、1位「差別的な発言・行動をする上司・同僚がいない」(24.7%)、2位「カミングアウトしない人も、職場の居心地がよい」(23.8%)、3位「カミングアウトしない人も、職場での人間関係を深められる」(20.1%)でした。
「違和感や生きづらさを感じず安心して働くために企業や職場に求めること」1位は「特定のジェンダー観に縛られずに働ける職場」
また、今よりもっと違和感や生きづらさを感じず安心して働くために、企業や職場に求めることを尋ねたところ、1位「誰もが自由な服装や髪型・言葉遣いなど、特定のジェンダー観に縛られずに働ける職場」(21.1%)、2位「カミングアウトしなくても不利がないような制度や従業員の意識がある職場」(19.9%)、3位「自分を理解してくれ、今後の仕事・キャリアの相談に乗ってくれる人(LGBTQ+かを問わず)がいる職場」(15.4%)でした。
LGBTQ+当事者が、やりたい仕事を諦めず、また生きづらさを感じずに働くために企業や職場に求めることは、多様な性のあり方に対する理解や意識の浸透、そしてカミングアウトの有無に関わらず働きやすい制度や環境であることが分かりました。
<調査での自由回答(抜粋)>
■仕事探しまたは仕事をしているときに感じた不安やストレス、嫌な思い
面接でカミングアウトしたところはすべて不採用。カミングアウトしなかったところはすぐに採用された。差別されているんだなと思った。
就活で面接のお願いのために電話をしたときに、こちらからカミングアウトした途端「うちの会社はそういうのはいらないから」と笑って言われて電話を切られた。その後は、そのことがトラウマになって就活できなくなった。
面接で髪を丸坊主の手前まで短くしないと採用しないと言われた。
女性の制服が強制されるところでは、自分自身の違和感を感じて、働きづらいと感じた。
異性の恋人を前提として、恋人の有無を聞かれたり、社内のバーベキューパーティーに恋人を呼ぶように言われる。
「店員さん」や「○○さん」って呼ばず、「お姉さん」と声をかけられたのが思いのほか苦しかった。
■企業(職場)への意見や求めること
企業としてだけではなく、社会貢献として、勤務している社員やその家族、取引先の関係者が勤務時間外であっても、多様性における配慮に欠けた言動をしないように、定期的に社内外で講習などを行なってほしい。
「LGBTQ+という特別な人たちがいる」のではなく、「人には人の数だけ性がある」ということを理解する。会社を挙げてSNSなど一般の人からも目につくところでLGBTQ+コミュニティを支援していることを発信してほしい。
LGBTQ+の人たちが世の中に沢山いること自体が当たり前の事だと、全ての人が思える社会づくり。自分の価値観も、他人の価値観も、受け入れられるべきものだと、企業や会社の人ひとりひとりが何度も発信していってほしい。
<調査概要>
・調査主体:Indeed Japan株式会社
・調査対象:全国の20~50代 30,643名、うちLGBTQ+当事者※1,000名
※総人口から無職(専業主婦・主夫や学生を含む)かつ(今後の)就労の意志のない人を除いた人
※シスジェンダーかつ非ヘテロセクシャル(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、パンセクシャル、アロマンティック・アセクシャルなど、性的指向においてクエスチョニングのいずれか)、トランスジェンダー、エックスジェンダー、クエスチョニングにて均等割付を実施
・調査方法:インターネット調査
・調査期間:2023年3月17日~3月27日
■「Indeed Rainbow Voice」プロジェクトとは
Indeedは、LGBTQ+コミュニティの人たちの仕事探しや職場におけるさまざまな想いや意見、違和感などの「声」を集め、その「声」から雇用における障壁や課題を知るとともに、世の中の働く人々がそれを理解する機会をつくるため「Indeed Rainbow Voice」プロジェクトを2021年に開始しました。2022年には、LGBTQ+当事者の人たちから集まったさまざまな声をもとに、ライフマガジン「BE」を発刊しました。
『Indeed Rainbow Voice 2023』ではLGBTQ+当事者の人たちだけではなく、雇用側の企業や、職場内のアライ(LGBTQ+当事者を支援したいと考えている人)の人たちなど、LGBTQ+当事者が働く上で関係するさまざまな人の「声」を集めます。そして、集まった声をもとにライフマガジン『BE』第2弾を制作し、社会に広く届けてまいります。
『BE』を通じて、仕事探しや職場において障壁や偏見に直面している割合が高いLGBTQ+コミュニティの人たちが、新たな仕事や働き方と出会ったり、その可能性を知るきっかけとなることを目指すとともに、職場となる企業や、同僚・上司など一緒に働く人たちが、LGBTQ+当事者を含むあらゆる人たちが働きやすい職場を実現するための新たな取り組みに向けたヒントを得たり、最初の一歩を踏み出すきっかけとしていただけることを目指します。
・特設サイトURL:https://jp.indeed.com/cm/be-magazine-2023
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