ザイリンクス、All Programmable SoC および MPSoC 向けSDSoC 開発環境を発表
組込みソフトウェアエンジニアが、「All Programmable」デバイスのハードウェアとソフトウェア両方を容易に設計できる開発環境を提供
ザイリンクス社 (本社 : 米国カリフォルニア州サンノゼ、NASDQ : XLNX) は 3 月 9 日 (米国時間)、All Programmable SoC および MPSoC 向けの「SDSoC™」開発環境を発表した。ザイリンクスのSDSoC 開発環境ファミリにおける 3 番目の製品となる SDSoC 開発環境により、より多くの組込みソフトウェアエンジニアが、「All Programmable」デバイスのハードウェアとソフトウェア両方の能力を活用することが可能となる。SDSoC 開発環境では、使いやすい Eclipse 統合設計環境 (IDE) とヘテロジニアスな Zynq® All Programmable SoC および MPSoC デプロイメント用の包括的な開発プラットフォームが含まれており、ASSP と同様の非常に簡単なプログラミング環境が提供される。SDSoC には、業界初となるSoCのシステム全体を最適化する C/C++ のコンパイラも含まれており、システム レベルのプロファイリング、自動化されたプログラマブル ロジックでのソフトウェア アクセラレータ化、システムコネクティビティの自動生成およびプログラミングを迅速に行うためのライブラリが提供される。また、エンド ユーザーおよびサード パーティーのプラットフォーム開発者は、システム レベルのソリューションを短時間で定義、統合、検証し、そして、彼らの顧客に向けてカスタマイズしたプログラミング環境を提供できるようになる。
■ASSP と同様のプログラミング環境
SDSoC は システムおよび 組込みソフトウェア エンジニアが Eclipse ベースの IDE を使って、ベアメタル または、Linux や FreeRTOS などのオペレーティング システム上で動作する C/C++ アプリケーションを開発できる開発環境である。SDSoC を使用すると、既存のHDL で作成された IP ブロックをCで呼び出し可能なライブラリとして再利用することができ、完全なヘテロジニアス マルチプロセッシング システムを構築することが可能となる。ハードウェア開発とソフトウェア開発のフローが分かれていた従来の開発フローでは開発に遅れが生じがちで、また、システムアーキテクチャとパフォーマンスの関係も明確に出来なかった。これに対して SDSoC は、組込みソフトウェアエンジニアが使い慣れたフレームワークを用いて短期間でシステム プロファイリングを実行し、ソフトウェア関数をプログラマブル ロジックでアクセラレータ化でき、システム アーキテクチャを最適化できるよう設計されている。
■システム全体を最適化するコンパイラ
SDSoC では、ARM ベースのプロセッシング システムとプログラマブル ロジックの両方をターゲットにしたフルシステム最適化コンパイラが用意されている。SDSoC は、システムアーキテクトやソフトウェア チームがマクロおよびマイクロ アーキテクチャを短期間で定義、生成でき、かつ、自動的に最適なシステムコネクティビティが得られるように設計されている。システムレベルの最適なコネクティビティとメモリ インターフェイスが自動生成されることで、アーキテクチャ検討のための設計の繰り返し時間を短縮しながら、短期間でシステムのパフォーマンス、スループット、レイテンシの最適なトレードオフを決定できる。このコンパイラは、すでに1,000人を超えるエンジニアによって活用されている高位合成コンパイラ テクノロジーも活用している。さらに、ザイリンクス製 ライブラリに加えて、アライアンス メンバーである Auviz Systems により開発されたハイパフォーマンスかつ低消費電力なプログラマブル ロジックでのアクセラレータ化に最適化されたライブラリも提供されている。
■システムレベルのプロファイリング
ザイリンクスのソフトウェア開発キット (SDK) は、Zynqプラットフォーム上で動作するデザインのソフトウェアとハードウェアのパフォーマンスを測定する高度なソフトウェア プロファイリング機能を提供している。SDSoC ではこれを拡張して、システム パフォーマンス全体を短時間に推定する機能を追加した。ユーザーがこのシステムレベル プロファイリング機能を使用して、どの関数をプログラマブル ロジックでアクセラレータ化したいかを指定すると、SDSoC は C/C++ コードを分析してソフトウェア サイクル数、データ転送量、そしてアプリケーション全体での速度向上率などをレポートする。これによって、システム全体の最適なパフォーマンスと消費電力を早期に短時間で推定できる。
■プラットフォーム開発者向けのエキスパートユーズモデル
SDSoC の提供するボード サポート パッケージ (BSP) は、ZC702、ZC706および Zedboard、MicroZed、ZYBO などのサードパーティー製や、ビデオ/画像処理向け開発キットなどの特定マーケット向けプラットフォームを含む Zynq All Programmable SoC ベースの開発ボードに対応している。BSP に含まれるメタデータを使用するとSDSoC上でプラットフォームを抽象化できるため、ソフトウェアエンジニアやシステム アーキテクトは、スマートなヘテロジニアス システムを簡単に作成、統合、検証できるようになる。ザイリンクスが提供する、または顧客が作成するプラットフォームを活用することで、SDSoC は真にソフトウェアだけで構成可能なスマートなシステムを実現する。
Xylon 社の創設者で CEO を務めるダヴォール コヴァチェツ (Davor Kovacec) 氏は、「ザイリンクスの新しい SDSoC 開発環境を、MicroZed ボードをベースとするビジョン プラットフォームと、エンベデッド グラフィック / ビデオ用の Xylon logicBRICKS™ のIPに組み合わせることで、FPGA に関する知識がない開発者でも、使い慣れた C/C++ ベースのワークフローを使用して、完全なスマート ビジョン システムの構成、プロトタイプ作成、開発を短時間で行えるようになりました。この組み合わせにより、All Programmable SoC および MPSoC の能力と可能性は、あらゆる設計チームに対して本当の意味で解放されるでしょう」と述べている。
■供給体制
SDSoC のアーリー アクセス版の入手については、ザイリンクスの販売代理店にお問い合わせいただきたい。詳しくは、japan.xilinx.com/sdsoc を参照されたい。
■「SDSoC」開発環境 引用資料 (Quote Sheet)
・Analog Devices (ADI) 社 : エンジニアリング マネージャー、ロビン ゲッツ (Robin Getz) 氏
「ザイリンクスと Analog Devices が共同で開発した Zynq SDR システム開発キットにより、Zynq プロセッシング システム上の Linux で実行される付属のソフトウェア スタックを抽象化して、ワイドバンド ラジオ アプリケーションのプロトタイプ作成を短時間で行えるようになりました。ADI は現在、このプラットフォーム用の新しい SDSoC 開発環境をサポートしており、これによって顧客はワイヤレス通信プロトコルのコミュニケーション層 (L2/L3) と物理層 (L1) の両方を、ソフトウェア中心の開発環境で迅速に構成、プロトタイプ作成、開発できるようになります」
・Van Gogh Imaging 社 : CEO、ケン リー (Ken Lee) 氏
「Van Gogh Imaging は、医薬品、無人航空機 (UAV)、ロボット、セキュリティ、自動車、マシン ビジョンなどの市場に向けたエンベデッド デバイス用に、3D コンピューター ビジョン技術をベースとするオブジェクト認識ソリューションを開発しています。我々は純粋なソフトウェア エンジニアですが、3D オブジェクト認識の処理をZynqのプログラマブルロジック上でアクセラレータ化したデザインを 1 カ月以内で開発し、当社の x86 ソリューションと比較して桁違いの高速化 (そして、より小さなフォーム ファクタ) を実現できました。われわれは、SDSoC が Zynq プログラミングの将来を担っていると確信しております」
・DAVE Embedded Systems 社: セールスおよびマーケティング マネージャー、マヌエレ パパイス (Manuele Papais) 氏
「DAVE Embedded Systems の BORA モジュールは、ザイリンクスの Zynq-7000 All Programmable SoC を採用しており、医療機器、高度な通信システム、クリティカルなリアルタイム運用、安全性アプリケーションなどのハイエンド アプリケーションに適しています。このプラットフォームをザイリンクスの新しい SDSoC と組み合わせることにより、ソフトウェア エンジニアは ASSP と同様の開発環境を使用しながらも、フルシステム最適化コンパイラを活用して、短期間でシステム レベルプロファイリングとプログラム アクセラレーションを行えるようになります。SDSoC を使用することで、ソフトウェア エンジニアはプログラマブル ロジックでのアクセラレータ化を十分に活用でき、使い慣れた C/C++ で作業を行うことができます」
・iVeia 社 : 創設者、CEO、マイク フォーセット (Mike Fawcett) 氏
「iVeia Atlas-I-Z7e は低電力で小さなフォーム ファクタのプロセッシング モジュールで、ザイリンクスの Zynq-7000 All Programmable SoC を搭載しています。このプラットフォームはビデオ アプリケーションに理想的です。複雑なビデオ信号の並列処理を行うために、同じデバイス上のプログラマブル ロジックと ARM プロセッサを組み合わせたプロセッシング機能を使用するからです。我々のソフトウェア エンジニアの 1 人は、SDSoC を利用して、1080p エンベデッド ビジョン システム用の複雑なキャニー エッジ検出システムの5 つのソフトウェア アクセラレータ処理を、わずか数日で、しかもハードウェアエンジニアの支援無しにハードウェア アクセラレータ化しました。この種の生産性は、他のベンダーから提供される現行のデザイン フローには見られないものです」
■SDx について
SDx は、システムおよびソフトウェア設計者のための開発環境の製品群である。SDx を使うと、FPGA の経験がほとんど、あるいはまったくない開発者でも、業界標準のプロセッサで高級プログラミング言語を使用してプログラマブル ハードウェアの性能を利用できる。詳細は、japan.xilinx.com/sdx を参照されたい。
■ザイリンクスについて
ザイリンクスは、All Programmable FPGA および SoC、3D IC の世界的なリーディング プロバイダーである。業界をリードするこれらデバイスを次世代設計環境および IP とともに提供することで、プログラマブル ロジックからプログラマブル システム インテグレーションまで、幅広いユーザー ニーズに応える。詳しい情報は、ウェブサイト japan.xilinx.com で公開している。
※ ザイリンクスの名称およびロゴ、Artix、ISE、Kintex、Spartan、Virtex、Vivado、Zynq、その他本プレスリリースに記載のブランド名は米国およびその他各国のザイリンクスの登録商標または商標です。その他すべての名称は、それぞれの所有者に帰属します。
下記のザイリンクス株式会社ウェブサイトもご参照ください。
・ トップページ : http://japan.xilinx.com/index.htm
・ プレスリリース (日本語) : http://japan.xilinx.com/japan/j_prs_rls/
・ このリリースの全文は次の URL を参照のこと :
http://japan.xilinx.com/japan/j_prs_rls/2015/tools/sdsoc-for-zynq-ap-soc-mpsoc.htm
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