平成最後の直木賞受賞作品!物語は“英雄喪失”から始まる?「彼が消えた謎」から始まる青春小説、沖縄という“宝島”で歴史と人間模様が鮮やかに交差する!
“いま”旬な本情報&著者インタビューをお届けします。by本TUBE
1億人の本と本屋の動画投稿サイト「本TUBE」では、真藤順丈さんの単行本『宝島』 (講談社)の著者インタビューを開催! 同時に、サイン本を2名様にプレゼントするインタビューキャンペーンを1/22よりスタートしました。(〆切は2/1)
真藤順丈さんの『宝島』 (講談社)が好評発売中である。第160回直木賞受賞を果たした本作品は、沖縄を舞台とした青春と革命の長編小説であり、第九回山田風太郎賞受賞作でもある。この作品は、“英雄の喪失”からはじまる。残された、固い絆で結ばれた三人の幼馴染み、グスク、レイ、ヤマコ。生きるとは走ること、抗うこと、そして想い続けることだった。少年少女は警官になり、教師になり、テロリストになり―同じ夢に向かう。英雄を失った島に、何が起こるのか?超弩級の才能が放つ、沖縄という“宝島”で青春を駆け抜ける少年少女たちの鮮やかな生き様を凝縮した一大叙事詩である。
本TUBE編集部×真藤順丈インタビュー
―――――――――――――――――――――
――本当に歴史としてあったことをベースに書かれてるんだって、気づいたときの衝撃が凄かったです。
基本的に史実に沿っています。
――真藤さんは沖縄出身ではない?
沖縄出身ではないです。ゆかりというゆかりも特にないですね(笑)。
――なぜこの重いテーマを選んだのですか?
これを書く前に『墓頭』っていう角川から出したものがありまして、戦後のアジア史をもとにした話だったんです。それを調べていく中で琉球警察っていう存在を知りまして、知っていくうちに自分も心震わされたというのを物語として書きたかった。歴史書で羅列されているようなことは、やはりメディア向けである部分があります。そういうところじゃない本当にむき出しの沖縄が辿ってきたものっていうのを追っていくと、今の生き方・価値観がひっくり返されると思うんです。
――何年くらい執筆に時間がかかったんですか?
企画書を出した構想から数えると7年です。自分の中で沖縄の歴史を昇華しきれなかった、覚悟が足りなかったっていうことだと思うんですけど、それをエンタメとして昇華していいのかっていうところでなかなか踏ん切りがつかなかった。つけたと思っていても、まだついてなかったっていう感じです。
――最初に紹介した3人、グスク、ヤマコ、レイと、もう一人キーになる人物、オンちゃん。どうしてこの3人(グスク、ヤマコ、レイ)を主人公にしようと思われたんですか?
英雄の物語であり、英雄喪失の物語。そういうのを経たときに、周りの人間がどういう風に化学反応を起こしていくかっていうところを青春小説という器でやりたかったんです。オンちゃんが、最初に主人公として出てきた人間がいきなりいなくなるというところから始まる。それがプロットの最初のスタート地点であって、そこからオンちゃんが消えた謎を追いつつも、オンちゃんを巡る3人のドラマっていうのを書きたかった。
――沖縄の言葉がこの作品の魅力を倍増させていると思うんですけど、ここまで言葉に精通するにはどんなことをされたんですか?
先人が書いてきた沖縄出自の小説を読み、沖縄の辞書、方言の辞書っていうのを通読して用例を覚えたりとかして……。
――英語を覚えるかのように、辞書を引きつつ?
そうそう、だからちょっと英単語を覚えるような感じはありました。最終的には全部辞書を引かなくても書けるようになりましたね。
――戦後の沖縄の人達が失ったものを追体験できる作品ですよね
追体験できた、体験することができたっていうのが、一番感想として嬉しかったです。小説が、他の人の生き方や人生を体験できるものであるっていうのは理想形だと思うし、僕も書いている間に、ギュッと短く圧縮した20年間を生きていたので。
――英語のタイトルが『HERO's ISLAND(ヒーローズアイランド)』タイトルに込めた想いは?
僕が最初に出したのは、英雄島っていうタイトルで、ヒーローズアイランドっていうのがそこに残ったんです。日本の宝島は沖縄だっていうことと。宝っていうのは沖縄を示す意味で一つ大きな言葉なんです。歴史的に起こったことを羅列していくときに、どうしても抜け落ちてしまうものがある。個人の顔であるとか、キャラクターの人生であるとか……。そういうものを物語として繋げていくというか届けるというのが小説の一番の強みだと思うので、物語として昇華できたことっていうのは、一つこの本で達成ではないかと自分では思っています。
――一気読み必至の一冊となっています。ぜひ皆さん手にとってください、ありがとうございました。
■真藤順丈
1977年東京都生まれ。2008年『地図男』で、第3回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞しデビュー。同年『庵堂三兄弟の聖職』で第15回日本ホラー小説大賞、『東京ヴァンパイア・ファイナンス』で第15回電撃小説大賞銀賞、『RANK』で第3回ポプラ社小説大賞特別賞をそれぞれ受賞。著書にはほかに『バイブルDX』『畦と銃』『墓頭』などがある。
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インタビュー完全版はこちら!
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本TUBE編集部×真藤順丈インタビュー
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――本当に歴史としてあったことをベースに書かれてるんだって、気づいたときの衝撃が凄かったです。
基本的に史実に沿っています。
――真藤さんは沖縄出身ではない?
沖縄出身ではないです。ゆかりというゆかりも特にないですね(笑)。
――なぜこの重いテーマを選んだのですか?
これを書く前に『墓頭』っていう角川から出したものがありまして、戦後のアジア史をもとにした話だったんです。それを調べていく中で琉球警察っていう存在を知りまして、知っていくうちに自分も心震わされたというのを物語として書きたかった。歴史書で羅列されているようなことは、やはりメディア向けである部分があります。そういうところじゃない本当にむき出しの沖縄が辿ってきたものっていうのを追っていくと、今の生き方・価値観がひっくり返されると思うんです。
――何年くらい執筆に時間がかかったんですか?
企画書を出した構想から数えると7年です。自分の中で沖縄の歴史を昇華しきれなかった、覚悟が足りなかったっていうことだと思うんですけど、それをエンタメとして昇華していいのかっていうところでなかなか踏ん切りがつかなかった。つけたと思っていても、まだついてなかったっていう感じです。
――最初に紹介した3人、グスク、ヤマコ、レイと、もう一人キーになる人物、オンちゃん。どうしてこの3人(グスク、ヤマコ、レイ)を主人公にしようと思われたんですか?
英雄の物語であり、英雄喪失の物語。そういうのを経たときに、周りの人間がどういう風に化学反応を起こしていくかっていうところを青春小説という器でやりたかったんです。オンちゃんが、最初に主人公として出てきた人間がいきなりいなくなるというところから始まる。それがプロットの最初のスタート地点であって、そこからオンちゃんが消えた謎を追いつつも、オンちゃんを巡る3人のドラマっていうのを書きたかった。
――沖縄の言葉がこの作品の魅力を倍増させていると思うんですけど、ここまで言葉に精通するにはどんなことをされたんですか?
先人が書いてきた沖縄出自の小説を読み、沖縄の辞書、方言の辞書っていうのを通読して用例を覚えたりとかして……。
――英語を覚えるかのように、辞書を引きつつ?
そうそう、だからちょっと英単語を覚えるような感じはありました。最終的には全部辞書を引かなくても書けるようになりましたね。
――戦後の沖縄の人達が失ったものを追体験できる作品ですよね
追体験できた、体験することができたっていうのが、一番感想として嬉しかったです。小説が、他の人の生き方や人生を体験できるものであるっていうのは理想形だと思うし、僕も書いている間に、ギュッと短く圧縮した20年間を生きていたので。
――英語のタイトルが『HERO's ISLAND(ヒーローズアイランド)』タイトルに込めた想いは?
僕が最初に出したのは、英雄島っていうタイトルで、ヒーローズアイランドっていうのがそこに残ったんです。日本の宝島は沖縄だっていうことと。宝っていうのは沖縄を示す意味で一つ大きな言葉なんです。歴史的に起こったことを羅列していくときに、どうしても抜け落ちてしまうものがある。個人の顔であるとか、キャラクターの人生であるとか……。そういうものを物語として繋げていくというか届けるというのが小説の一番の強みだと思うので、物語として昇華できたことっていうのは、一つこの本で達成ではないかと自分では思っています。
――一気読み必至の一冊となっています。ぜひ皆さん手にとってください、ありがとうございました。
■真藤順丈
1977年東京都生まれ。2008年『地図男』で、第3回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞しデビュー。同年『庵堂三兄弟の聖職』で第15回日本ホラー小説大賞、『東京ヴァンパイア・ファイナンス』で第15回電撃小説大賞銀賞、『RANK』で第3回ポプラ社小説大賞特別賞をそれぞれ受賞。著書にはほかに『バイブルDX』『畦と銃』『墓頭』などがある。
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