キャップジェミニの2019年版『World Energy Markets Observatory』レポートが警鐘- 世界のエネルギー需要の高まりが、気候目標達成の脅威に

  • 2050年の気候変動のグローバル目標が脅威にさらされている
  • 地政的緊張関係とエネルギーの問題の強い相関関係
  • 再生可能エネルギーは依然として最速で成長しているセグメント - 2040年までに、技術とデジタルの組み合わせによる重大・重要なトランスフォーメーションが予測される
  • 中国とインドは、いずれも巨大なエネルギー消費国かつCO2排出国であり、石炭火力に依存しているが、エネルギー市場では対照的な立場を経験

 


【2019年11月5日:パリ発】
キャップジェミニは、『World Energy Markets Observatory (WEMO)』レポート(世界エネルギー市場展望2019)第21版をリリースしました。このレポートは、De Pardieu Brocas Maffei、Vaasa ETTの協力を得て、キャップジェミニが作成したものです。本レポートは、「2018年、増え続ける世界のエネルギー需要と温室効果ガス(GHG)排出量が、気候変動に関する目標の達成を脅かしている」と指摘しています。


再生可能なエネルギー源の増加と低コスト化にもかかわらず、増え続けるエネルギー消費は依然として石炭、石油、ガスに支えられています。エネルギー転換もまた、地政的または商業的緊張関係やクリーンエネルギーへの投資の減少によって脅かされています。既存のエネルギー転換政策を超える大胆な方策・手段をとらなければ、世界はパリ協定の目標を達成できない可能性が極めて高いと言わざるを得ません。

2019年版『World Energy Markets Observatory』レポートの主なポイントは、以下のとおり:

温室効果ガスは増え続け、気候変動の目標は脅威にされされている
2018年、温室効果ガス(GHG)排出量は2%増加しました。2017年の増加が1.6%であること、2014~16年の欧州における増加がゼロであることを考えると、GHG排出量削減の取り組みが2018年に失速したのは明らかです。GHG排出量は中国で2.3%、アメリカで3.4%、インドで6.4%増加しました。これはエネルギー消費の急増によるものです。2018年の世界のエネルギー消費量は2.3%増えており、2010年以降、平均年間増加率はほぼ2倍となりました。かかる増加の約75%が石油、ガス、石炭の消費によるもので、これは2013年以来最大の割合となりました。世界規模では石炭消費量が4%の増加、これは石炭による火力発電の著しい増加によるものです。

再生可能エネルギーは、低コスト化を実現する技術により、最速の成長を維持
2018年の再生可能エネルギーの成長率は14.5%で、世界で最も急成長するエネルギー源としてのステータスを維持しています。再生可能エネルギー源は、太陽光発電ならびに陸上風力発電のコストが13%、洋上風力発電のコストが1%減少して、引続き低コスト化が進んでいます。
ただし、クリーンエネルギーへの投資は減少傾向にあります。2019年前半の投資総額は2,176億ドル、これは前年同期比14%の減少です。特に中国での投資が激減(39%減)しています。また、アメリカ(6%)、欧州(4%)でも緩やかに減少しています。これとは対照的に、インドでは10%増の59億ドルとなりました。

2040年までに、技術とデジタルの組み合わせによる大きなディスラプションが可能になる
再生可能エネルギーのコストは減少し続けていますが、現時点では、ソフトコスト(受入)や出力の不安定さ、配電を理由に、スケジュール可能な発電源に勝る競争力を持てずにいます。
エネルギーに関する技術的ブレークスルーについては、2040年までに工業化が期待されるものはありません。しかしながら、既存の技術の改善により、再生可能エネルギーや電気電池、電気自動車、モジュラー式小型原子炉などの低コスト化が引続き実現するでしょう。さらに、本レポートでは、水素は、貯蔵、可動性、超伝導性の面で、工業化の段階に進む必要があると述べています。また、ハイブリッドな再生可能エネルギー会社も拡大するでしょう。
キャップジェミニのエネルギー&ユーティリティ・シニア・アドバイザー、Colette Lewinerは、「大規模に、需要に応じて展開されたセンサーやコネクテッドオブジェクト、データ収集、人工知能、スマートグリッドなどのデジタル化の手段により、予測ならびにオペレーション効率が改善され、さまざまな再生可能エネルギーによる発電のシェアが増えるだろう」と述べています。
また、キャップジェミニのエネルギー&ユーティリティ分野グローバルヘッド、Philippe Viéは、「デジタル技術とセクター技術を組み合わせることにより、プレーヤー間の境界は曖昧になりつつあり、新たな参入企業が毎月業界に進出している。これが、既存企業によるエコシステムを通じた自己改革の実践や、新たなビジネスモデルの提案につながっている」と述べています。

ヨーロッパがCO2削減をリード
一方、欧州は、気候変動との戦いとエネルギー転換において、今に至るまで最も成功している地域であることが証明されました。欧州のエネルギー需要の伸びは世界の他の地域よりも著しく低く、2018年はわずか0.2%にとどまりました(世界平均は2.3%)。これは、ドイツにおけるエネルギー需要の低下(2.2%)によるものです。
欧州は、EUが定めた2020年の気候に関する3つの中核的目標のうちの2つ - 「GHG排出量を2020年までに1990年比で20%削減する」、「エネルギー消費量の最低20%を再生可能エネルギーでまかなう」 - の達成に向けて順調に進んでいます。欧州の各国政府は最近、CO2削減プランを確認しています。たとえば、フランスは2022年までに石炭火力発電を停止し、2035年までに電力の50%を原子力発電でまかなうことを計画しています。また、ドイツは昨年の全発電量の37%を占める石炭火力発電所を2038年までにすべて停止する予定です。しかし、2030年以降の課題に対処するのは依然として困難です。

地政的緊張関係とエネルギーに関する懸念の相関が高まる
アメリカと中国はいずれも、成長を続ける自国のエネルギー市場の優位性を活用して、地政学的優位性を確保しています。アメリカは、シェールオイルの生産の増加により、中東への依存を克服することができました。2025年までには、石油およびガス生産の世界成長率の半分以上(石油:75%、ガス:40%)を占めることが予想されます。この新たな石油自給体制は、アメリカ政府によるイラン、ベネズエラ等OPEC諸国に対する強硬な対応を可能にしました。中国はエネルギー変換の加速に必要なレアアースとレアメタルの95%を生産しています。これは戦略的アドバンテージです。

巨大なエネルギー消費国かつCO2排出国である中国とインドは、エネルギー市場で非常に異なる立場を経験
中国は、すべての住民にエネルギーを供給し、世界市場の70%にあたる石炭火力発電所の開発、同じく世界市場の61%にあたる車載バッテリー生産量を誇る、成熟した巨大市場としてのリーダーシップを確立しました。中国は、ほぼすべての関連技術の供給においてリードしています(たとえば、化石燃料、再生可能エネルギー、蓄電など。 また、世界最大規模の機器サプライヤー企業10社のうちの7社は中国企業です)。中国の低価格ソーラーパネルが普及しつつある一方で、近い将来、中国は原子力技術においてもリードするだろうと本レポートでは強調しています。実際、2機のEPR(*1)がすでに送電網につながっています。また中国は、ハイテクの応用に使用されるレアアースメタルの世界需要の95%を供給する役目もあります。
インドでは、全住民への電力供給の実現への強い取り組み(「24/7 Power for all」プログラム)を課題としています。
両国とも高まり続ける国内のエネルギー需要に対応するために、少なくとも今後20年間は石炭火力発電所に大きく依存し続け、巨大なCO2排出国として存在し続けていくことでしょう。

気候目標達成のために、さらにやらなければならないこと
本レポートは、現在の消費動向を前提に考慮した場合、既存の気候変動の目標は非現実的だと指摘しています。ただし、各国政府がすでに実施しているエネルギー変換の手段や方策以上のことを実施することにより、有意義な影響を生み出すことができるとして、以下の「さらにやるべきこと」を提示しています。
  • カーボン価格を、カーボンフリーへの投資を促進するレベルまで引き上げる
  • 再生可能エネルギーの使用と再生可能エネルギーへの依存を高める
  • 電気自動車の充電インフラストラクチャを成長させる
  • 二酸化炭素の回収、使用および貯留のためのRD&Dプログラムに対する資金調達の強化
  • 発電所でのクリーンな石炭燃焼技術の促進
  • 環境税収入の100%をエネルギー移行プロジェクトに充当する(現在のレベルは50%未満)
  • 改修工事を促進して、エネルギー効率を高める
  • 電力会社および金融機関に取り組みへの参加を頼む
  • 各個人の行動の変化を達成するためのプログラムを開始する

Philippe Vié(キャップジェミニのエネルギー&ユーティリティ分野グローバルヘッド)は、「レポートが示した数字は、世界に対する警鐘です」とし、「世界のエネルギー需要が増加し、そのほとんどが化石燃料消費によってまかなわれているため、パリ協定の目標はこれまで以上に遠くなりつつあります。再生可能エネルギー源がさらに普及して手頃な価格になったとしても、これらの気がかりな動向があることは注目に値します。排出量を削減し、パリ協定からのさらなる逸脱を避けるために、まず環境税の税収すべてをエネルギー変換プロジェクトに投入するというコミットメントからスタートする、より大胆な短期的措置と政策が必要です。」と述べています。

 『World Energy Markets Observatory』は、キャップジェミニが発行する年次報告書で、北米、ヨーロッパ、オーストラリア、東南アジア、そして今回からは新たに中国とインドも対象に加え、電力およびガス市場の主要指標を監視し、これらのセクターにおける開発やトランスフォーメーションについてレポートします。第21版は、公表されているデータを基にキャップジェミニのエネルギー分野の専門知識を組み合わせて作成されたもので、2018年から2019年初頭にかけてのデータを参照しています。規制ならびに顧客行動に関する特別な専門知識は、Pardieu Brocas MaffeiならびにVaasaETTから提供を受けました。
詳細情報、レポート完全版ダウンロードをご希望の方は、www.capgemini.com/wemoにアクセスしてください。
 
  1.  EPR:Evolutionary Power Reactor(革新型加圧水型原子炉)
 


キャップジェミニについて

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キャップジェミニは、世界40ケ国以上、20万人以上に及ぶチームメンバーで構成される多文化企業です。キャップジェミニ・グループ全体の2018年度売上は、132億ユーロです。

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