FromプラネットVol.163<図書館利用に関する意識調査>

プラネット

 国内1,400社超が利用する日用品流通の情報基盤を運営する株式会社プラネット (所在地:東京都港区、代表取締役社長:田上正勝)は消費財や暮らしにまつわるトピックスをお届けする 『Fromプラネット』 の第163号として、図書館利用に関する意識調査の結果をご紹介します。未掲載のデータもご提供できますのでお気軽にお問い合わせください。
  • 4分の3が“利用経験”あり、“社会人”になってからの利用が最多に
 身近にある公共の文化施設である図書館。子どもの頃に親と一緒に行った、学生時代に学校帰り友達と立ち寄った、などの思い出を持つ人もいるでしょう。本を借りたり読んだりする以外にも、講演会や映画上映会などのイベントが開催されるほか、最近はカフェなどの憩いの場が併設されている施設も増えています。コロナ禍で在宅時間が増えて久しぶりに近所の図書館へ行ってみた人もいるかもしれません。そこで今回は、公共の図書館(以下、図書館)について、利用状況など色々とたずねてみました。
 まず図書館の利用経験を聞いたところ(図表1)、4分の3の人が「利用したことがある」と回答。性年代別でみると、「利用したことがある」の割合は20代男性の59%を除き7割を超えており、特に50代と70代以上の女性では8割を超えています。男性では50代以上で70%台前半にとどまることから、“図書館ユーザーは壮年~高齢層の女性が中心”と言えそうです。どの年代の時に図書館を利用したかは(図表2)、「社会人」が約8割と最多、次いで「中学・高校生」が半数となりました。社会人になり、仕事の資料探しなどで利用する機会が増えることなども背景にありそうです。

  • 利用頻度の点では二極化傾向
 次に、図書館の利用頻度を聞いてみたところ(図表3)、最多は「年に1回未満」39.3%と、4割の人はスポット的な利用にとどまっています。一方で「週1回以上」9.1%、「~月に1回」25.7%と、比較的足しげく図書館に通っている人も3分の1強に。このことから、利用頻度の面では二極化しているようです。
 性年齢別にみると、「月に1回以上」(「週に1回以上」+「~月に1回」)の比率は60代以上で高く、特に70代以上では男性42.2%、女性44.6%と高い結果に。若年~壮年層では女性は比較的差が少ないのに対し、男性は20代の35.7%から年代が上がるほど低下し、50代では24.3%に。さらに、「週1回以上」と習慣的に利用している人の割合が高いのは20代男女と30代・70代以上の男性でした。大学生を含む20代とリタイア後の70代男性は納得できますが、30代男性は少し意外な気がしますね。

  • 図書館で一番本を借りている職業…!?
 本や雑誌を読む・借りる、資料を探す、勉強をする…図書館ではさまざまな使い方をしている人を目にします。そこで、図書館を利用する・利用したいと思う目的を聞いた結果が図表4です。最も多かったのが「本や雑誌を借りる・返却するため」73.5%で、これに「図書館所蔵の本を閲覧するため」41.8%、「図書館所蔵の雑誌を閲覧するため」22.4%が続きました。本を「閲覧」と「借りる」の差は30ポイント以上と、“借りる”目的の人が圧倒的多数となりました。
 これを職業別にみると、「借りる」の比率が最も多いのは“専業主婦/主夫”で、84.1%と突出して高値に。この一方で「本を閲覧」は35.1%と全職業で最も低く、「借りる」傾向が鮮明となりました。これと逆の結果となったのが“会社役員・経営者”。「借りる」は64.0%と職業別で最も低い一方で、「本を閲覧」は54.7%と最高と両者の差は小さく、本を借りる・読む両方の目的で図書館を利用しているようです。さらに“会社役員・経営者”は「雑誌を閲覧」「音声・映像メディアを借りる」など高値の項目が多く、図書館を有効利用していると言えそうです。また、学生は「閲覧室で勉強や仕事をする」、定年退職は「新聞を閲覧」が全職業のなかで最も高いのは納得できますね。

  • “借りる”と“読む”では傾向に違い
 図書館に多種多様な本や雑誌があるなか、どんな種類の本や雑誌を読み・借りしている人が多いのかも探ってみました(図表5)。まず“閲覧”をみると、32.9%と最も高いのが「趣味関連趣味・実用書」32.9%。以下、「新刊、ベストセラー本」26.7%、「旅行関連趣味・実用書」24.1%、「趣味の雑誌」23.3%、「その他趣味・実用書」21.6%と続きました。図書館で閲覧するのは、実用書や雑誌といった肩ひじ張らずに読めるものが主体になっています。
 一方で“借りる”をみると、1位「新刊・ベストセラー本」37.0%、2位「趣味関連趣味・実用書」29.7%と、“閲覧”とは順位が逆に。そして“閲覧”では8位だった「文学・評論の書籍」が3位にランクイン。小説や文学作品は「借りてじっくりと読みたい」という意向が強いのかもしれません。
 各項目で“閲覧”と“借りる”の差に着目して見てみると、“閲覧”が優勢なのは、館内閲覧に限定する施設がほとんどと思われる「新聞」のほか、「趣味の雑誌」「女性雑誌」「ビジネス雑誌」「写真集、図録」と、雑誌が多く顔を揃えます。一方で“借りる”が優勢なのは「新刊・ベストセラー本」と「文学・評論の書籍」の2つのみに。話題の新刊などは予約が“数百人待ち”というようなこともあるなか、“待ってでも読みたい”人はかなり多いのかもしれません。

 

  • “書店によく行く人”は、図書館もよく利用してい
 図書館を利用するのは“本好きな人”というイメージを持つ人は少なくないでしょう。そこで、「書店によく行く=本好き」とみなしてクロス集計したのが図表6です。まず“図書館に行く頻度”を見ると、書店に「週1回以上」行く人では、図書館を「週1回以上」「~月に1回」利用がともに34.8%に。これを合わせると、書店に週1回以上行く人の7割が月1回以上図書館を利用と、全体に比べて実に34.8ポイントもの高値という結果になりました。全体的に、“書店によく足を運ぶ人は図書館の利用頻度も高い”傾向を示すことがわかりました。
 在宅時間が増えたのをきっかけに図書館に足を運んだ、開館時間の変更などで思うように利用できなくなくなったなど、コロナ禍で図書館の利用には変化があった人もいるでしょう。コロナ前後での図書館利用頻度の変化については、「行く頻度が増えた」が、書店に行く回数が「週1回以上」15.4%、「月に2~3回」10.0%と、全体よりも高くなっています。「行く頻度が減った」も両者で全体より高値になっていますが、もともと図書館を平均以上に利用していたことから、水準としては高いと思われます。また、「以前と変わらない」は全体より低いことから、本好きな人ほどコロナによって図書館利用の頻度に影響が大きかった、と言えそうです。
 図書館を利用する・したい理由をみると、書店に行く頻度が多い人ほど各項目で全体よりも高率になっており、図書館を質・量ともに“使い倒している”と言えそうです。唯一、「本や雑誌を借りる・返却するため」が全体と同水準なのは、書店で本を買うことが多いことが背景にあるのかもしれませんね。

 

  • 女性は コロナ感染が心配、男性は 読みたい本がない ため利用しない
 ここまで図書館の利用状況についてみてきましたが、図表1で示したように、「図書館を利用したことがなく、今後も利用しない」とした人も16%います。そこで、これらの人に図書館を利用しない理由を聞いてみました(図表7)。その結果、1位「自宅や職場・学校の近くにない」33.6%、2位「読みたい本や雑誌がない」23.1%と、立地や蔵書を理由に挙げる人が多い結果に。最近のご時世を反映してか、3位「新型コロナウイルスの感染が心配」に加え、「人が触った本や雑誌を読みたくない」も6位にランクイン。コロナウイルスや衛生面に不安を感じている人は少なくないようです。また「読みたい本や雑誌は自分で買う」とした人も18%いました。一方で「どんな本や雑誌があるかわからない」「図書館の利用の仕方がわかない」人も一定数おり、概要の周知も必要なのかもしれません。
 男女別では、全体に女性の方が高い傾向がみられ、なかでも「コロナウイルスの感染が心配だ」が女性で2位に。男性は「読みたい本や雑誌がない」が高いのが興味深いところです。

  • 本との出会いの場での思い出も
 最後に、図書館の思い出や利用について思うことなどを自由に書いてもらいました。学生時代に勉強で通った思い出や、家族のエピソードが多く寄せられたほか、イベントに参加した体験談などもありました。図書館は思わぬ本に出会えるほか、さまざまな文化イベントなども開催される地域の「知の拠点」とも言えます。足が遠のいている人も、久しぶりに近くの図書館に立ち寄ると、思わぬ発見や出会いがあるかもしれませんよ。
  • 《 図書館利用について思うことなど 》
【こんなふうに利用しています・ここが好き】
● 欲しい本も、買ってみたら面白くなかったり読まなくなったりして、自宅の保管場所も無くなってくる。ネットで蔵書検索すると結構な確率で見つけることができるので、まずは図書館で借りてから読む習慣が身に付いてきた。(男性・50代)
● 基本的に本が好きな人が集う場所なので安心して過ごせる。少し静かすぎる位の感じのひんやりとした感覚が好き。(男性・40代)
● 子育て中なので自由になるお金も限られていますが、本はいろいろ読みたいので、図書館を利用しています。購入となると手堅く選びますが、図書館であれば様々なジャンルの本を読むことができます。(男性・40代)

【図書館の思い出】
● 高校は親元を離れ高校の寮にいました。夏休み、冬休みは諸事情で寮に残り、午前中は図書館で勉強をし、午後からはバイトに行って大学の学費をためていました。辛かったけれど、今思えば楽しかったです。(男性・50代)
● 終戦後、電力不足で夜間電灯がつかない日が続き、公共施設である図書館は点灯していたのでよく通った。それがきっかけで海外の名作にふれ、後の大学進学に至った。(男性・70代以上)
● 学生時代、講義がない時は大学内の図書館にいて、勉強したりレポートを書いたりしていました。携帯電話がまだ行き渡っていなかったので、私に用事がある友人は図書館に探しに来て話をしていました。(女性・40代)
● 学生時代、受験で毎日通っていた夏休み、大体いつも同じ席に座っていたのですが、私の前にもいつも同じ60歳くらいの方が座っていました。その方の真剣に法律関係の分厚い本を勉強している姿がとても励みになって、受験勉強ができました。一度も言葉を交わしたことはありませんが、感謝しています。(女性・50代)
● 小学生の頃いじめから学校に行かなくなり、毎日図書館に行って本を読んでいた。そんな時、何も聞かず毎日ただ話しかけてきてくれる女性の職員さんがいた。オススメの本を紹介してくれたり、ただ雑談をしたりと心安らぐ時で、もう一度頑張ろうと勇気をもらえた。(女性・30代)

【これは困る】
● 図書館から借りてきた本を読み進んでいったら、大きなシミがあったり、落書きがあると何だか寂しい気持ちになる。みんなのもの、大事に扱ってもらいたい。(男性・60代)
● 最近、本を図書館で借りて読むと作家にお金が入らないという意見を聞くようになり、図書館で新刊本を借りて読むことに少し罪悪感を覚えるようになった。(女性・20代)

調査機関:株式会社プラネットによる調査企画をもとに、株式会社ネオマーケティングにて「図書館利用」に関する意識調査を実施。

期間:2021年7月15日~7月20日、インターネットで4,000人から回答を得ています。

株式会社プラネットと https://www.planet-van.co.jp/ 
メーカー、卸売業、小売業がサプライチェーンとして連携し、生活者へのサービス向上を目指して進化を続ける日本の消費財流通を、情報インフラ運営で支えている上場企業(証券コード2391)です。

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E-mail : koho-pr@planet-van.co.jp

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業種
情報通信
本社所在地
東京都港区浜松町1丁目31番 文化放送メディアプラスビル3階
電話番号
03-5962-0811
代表者名
田上 正勝
上場
JASDAQスタンダード
資本金
4億3610万円
設立
1985年08月