TSMCが生産拡張のため大規模投資を展開<ワイズ機械業界ジャーナル2021年11月第1週号発行>

〜台湾機械業界の最新動向と分析〜

ワイズコンサルティング グループ(本社:中華民国台北市、代表取締役:吉本康志)は台湾機械業界専門誌「ワイズ機械業界ジャーナル」の11月第1週号を発行しました。今週号では、鉄鋼製造業界、半導体設備業界、電源装置製造メーカーの新巨企業、紡織機械設備業界を紹介します。

<211104号の記事タイトル>
1 CPTTP加盟の台湾鉄鋼業および石油化学産業に対するメリット
2 TSMCが生産拡張のため大規模投資を展開
3 電源装置製造メーカー、新巨企業(ZIPPY TECHNOLOGY CORP)
4 台湾紡織機械産業、IoT技術応用と省エネ・低汚染機種の開発で競争力を向上

 

●今週号記事の一部を紹介します。​
  • TSMCが生産拡張のため大規模投資を展開
半導体市場の需要が世界的に拡大する中、中長期的には▽第5世代移動通信システム(5G)、▽人工知能(AI)、▽モノのインターネット(IoT)、▽車載用電子部品が需要の中心となるとみられる。半導体業界は、先端プロセスと成熟プロセスの需要逼迫(ひっぱく)は2022~23年まで続くとみており、ファウンドリー大手各社の投資計画に影響を及ぼした。国際半導体製造装置材料協会(SEMI)が発表した世界のファウンドリーの設備投資予測によると、20〜22年の投資額は3年連続で最高記録を更新し、22年には1,000億米ドルに達する見通しだ。

一、企業概要
台湾積体電路製造(TSMC)の技術力に追いつくため、インテルは21年9月に10年間にわたる投資計画を明らかにした。投資額は950億米ドルで、欧州にウエハー工場2カ所を建設するほか、アイルランドのウエハー工場を車載用電子部品の生産拠点にする。サムスン電子は今後3年間の投資計画を公表し、傘下の▽半導体、▽バイオテク、▽製薬、▽AI、▽産業用ロボット技術などの事業強化に2,060億米ドルを投入する。
 一方、TSMCは今後3年間の1,000億米ドル規模の投資計画を明らかにした。このうち米国アリゾナ州の12インチウエハー工場設置計画では、24年までに5ナノメートルの先端プロセスを導入して月産能力2万枚を目指す。将来的に投資規模を拡大し、月間生産能力を10〜12万枚に引き上げる可能性がある。
 また、TSMCは100億円を投じて、日本の茨城県に3次元(3D)ICパッケージング技術の研究開発センターを設置することを決定した。日本の半導体産業の材料と設備の強みを活かし、同社のパッケージング先端技術を強化して、サムスン電子やインテルとの技術力の差を広げることが目的だ。
 TSMCは海外生産拠点を増設する一方、台湾生産拠点の強化にも力を入れている。高雄市の超大型工場(ギガファブ)への投資のほか、先端プロセスと成熟プロセス両方の製品を提供する生産拠点の設置を計画している。

二、成熟プロセス製品の受託生産価格を引き上げ
TSMCは先頃、先端プロセス製品価格を平均10%前後、成熟プロセス製品価格を平均15〜20%引き上げた。TSMCが製品価格を全面的かつ段階的に引き上げたことについて、半導体業界は、TSMCの目的は▽市場主導権の掌握、▽粗利益率上昇による安定した営業利益の獲得、▽景気変動への準備とみている。
 半導体不足が続く中、川下メーカーの要求を受けて、TSMCは生産能力の拡張に力を入れた。投資支出の影響で生産コストが増加したため、今回の製品値上げによって粗利益率を引き上げることが狙いだろう。また、今後パソコンやスマートフォンなどの電子機器の販売が成長を維持できるかについて、電子産業の意見は分かれている。このほか、半導体不足が解消された後、半導体産業の景気は落ち込むと予測されているため、TSMCは製品値上げによって将来に備える必要があったといえる。


三、台湾の投資規模を拡大
新型コロナウイルス感染症の流行拡大は、世界経済と産業の経営モデルに大きな変化をもたらした。今後、産業の構造転換においてハイテク技術と半導体技術は不可欠となる。また、5Gと高性能計算(HPC)の応用分野が拡大し、今後数年間、半導体産業の需要は強い勢いが続く見通しだ。
このため、TSMCは24年までに合計1,000億米ドルを投資する複数の生産拡張計画を実施している。台湾の新竹科学園区(竹科)宝山用地(新竹県宝山郷)、南部科学園区(南科)、高雄市楠梓区のほか、▽米国のアリゾナ州、▽中国の南京市、▽日本の熊本県、▽ドイツのドレスデンなどで20工場の建設計画が進行している。
 台湾中油(中油、CPC)の高雄製油所跡地には、12インチウエハー2工場を建設する。第一期工事は月間生産能力4万枚の7ナノおよび6ナノプロセス工場で、24年に完工、25年から量産開始予定だ。第2期工事は月間生産能力2万枚の28ナノおよび22ナノプロセス工場で、25年以降に完工予定である。なお、第2期工事の環境影響評価報告はすでに環境保護署(環保署)の審査を通過した。

四、まとめ
半導体不足は自動車産業から電子産業(パソコンやスマートフォンの生産など)まで拡大しつつあり、22年末または23年まで続くと半導体業界は予測している。このため、TSMC以外のファウンドリーも生産拡張に力を入れており、半導体生産設備の需要が拡大する見込みだ。また、TSMCの生産拡張の一部計画は台湾で進められていることから、台湾機械設備産業の商機となるとみられる。
 
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業種
サービス業
本社所在地
中華民国台北市襄陽路9號8F 富邦銀行襄陽分行大樓
電話番号
-
代表者名
吉本康志
上場
未上場
資本金
7000万円
設立
1996年11月