アストロスケール、日本発・世界初の宇宙ごみ除去ミッションについて欧州のIsar Aerospaceと打上げ契約を締結
2027年度、Spectrumロケットにてノルウェーより打上げへ
持続可能な宇宙環境を目指し、スペースデブリ(宇宙ごみ、以下、デブリ)除去を含む軌道上サービスに取り組む株式会社アストロスケールはこの度、世界初※1の本格的デブリ除去ミッションとなるADRAS-J2ミッションに関して、欧州のロケット打上げ事業者であるIsar Aerospace SE(以下、Isar Aerospace)との打上げ契約を締結いたしました。ADRAS-J2はIsar Aerospace の打上げロケットSpectrumにより、ノルウェーのAndøya Space Centerの専用打上げ施設から2027年度に打ち上げられる予定です。
ADRAS-J2ミッションは、大型デブリ除去等の技術実証を目指す国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の商業デブリ除去実証(CRD2※2)のフェーズⅡとして開発・実施するもので、長期間軌道上に存在する大型デブリ(日本のロケット上段:全長約11m、直径約4m、重量約3トン)に対して接近、捕獲、そして軌道離脱を行うことでその除去を実証します。
ADRAS-J2を打ち上げるSpectrumは、Isar Aerospaceが独自に設計・製造する小型・中型衛星向けの軌道投入ロケットです。低軌道(LEO)への最大1トンのペイロード投入能力を備えるとともに、ミッション固有の軌道要件にも対応可能であり、柔軟な宇宙輸送手段を必要とする顧客向けに設計されています。こうした能力は、ミッション成功のために高精度な軌道投入が求められるADRAS-J2のような複雑かつ先進的なミッションにおいて特に有効です。また、同社は当社のADRAS-J2ミッションの打上げ前にも複数の打上げを予定しており、信頼性もますます高まることが期待されています。
アストロスケール代表取締役社長兼CEO 岡田光信のコメント
「ADRAS-J2は、世界初となる大型デブリ除去に挑む極めて重要なミッションです。半世紀以上にわたる人類の宇宙活動によって増加し続けてきたスペースデブリに対し、初めて本格的に『デブリの数を減らす』段階へと踏み出す挑戦であり、アストロスケールが創業当初から目指してきた、持続利用可能な宇宙環境の実現を体現するミッションでもあります。このミッションの成功は、デブリ除去技術の確立だけでなく、デブリ除去に関する国際的なルール形成や議論の進展にも大きく貢献するものと期待しています。打上げは、この重要なミッションの出発点です。Isar Aerospaceには、私たちのミッションに求められる打上げの柔軟性と高精度な軌道投入能力を期待しており、ADRAS-J2を宇宙へ送り出すパートナーとして契約を締結できたことを大変嬉しく思います。」
Isar Aerospace Chief Commercial OfficerのStella Guillen氏のコメント
「ADRAS-J2は、将来の宇宙運用の在り方を形づくる象徴的なミッションです。このミッションには、高い精度と柔軟性に加え、必要な軌道へ最適なタイミングで投入できる能力が求められます。Spectrumは、まさにそのようなニーズに応えるために開発されたロケットです。アストロスケールグループと再び革新的なミッションに取り組めることを大変光栄に思います。今回の打上げ契約は、当社のチームと技術に対して寄せられた信頼の証であり、次世代の宇宙ミッションの実現に向けた両社の協力関係をさらに強固なものにします。」
ADRAS-J2ミッションは、CRD2のフェーズⅠとしてアストロスケールが2024年に実施したADRAS-Jミッションの後続ミッションです。ADRAS-Jミッションでは世界で初めて、本物のデブリに対して、遠距離からの接近、近距離での撮影、デブリから50mの距離を維持しながらの周回観測、15mという極近傍までの接近、そして衝突回避機能の有効性の実証等に成功しています。「宇宙のロードサービス」とも呼べるデブリ除去などの軌道上サービスに必要不可欠な、「対象物体に安全、精密に接近する」技術の実証に成功したことで、軌道上サービスの実現に向けた大きな一歩となりました。そして今回、ADRAS-J2ミッションでは、世界で未だ実現されていない本物のデブリの本格的な除去に挑戦し、安全で持続可能な宇宙開発の実現に向けてさらに前進します。
また、ADRAS-J2ミッションでの捕獲・除去対象は、ADRAS-Jミッションで接近や撮影に成功したデブリです。ADRAS-Jミッションにおいて、ADRAS-J2ミッションで捕獲箇所として想定している衛星分離部(PAF※3)の撮影・状態把握にも成功しており、当該部分に大きな損傷が見られないことが確認できています。
ADRAS-J2では、このADRAS-Jのミッションでの知見を活かし接近技術を成熟させています。現在は打上げに向けて、衛星の組立製造を行っています。
本ミッションの最新情報については、随時お知らせしてまいります。
関連情報
ADRAS-J2ミッションページ https://www.astroscale.com/ja/missions/adras-j2
※1 2026年7月時点で、公開情報の範囲においてまだ実現されていない
※2 CRD2:Commercial Removal of Debris Demonstration の略称
※3 PAF:Payload Adapter Fittingの略称。ロケットと衛星をつなぐ台座
Isar Aerospaceについて
Isar Aerospaceは、小型・中型衛星および衛星コンステレーション向けの打上げサービスを提供する欧州の宇宙企業です。衛星を軌道へ輸送するロケットの開発、製造、試験をほぼすべて自社で一貫して行っています。2018年に設立され、ドイツ・ミュンヘン近郊に本社を置く同社は、現在では5カ国・拠点で400名を超える従業員を擁しています。国際的な投資家からの民間資金による力強い支援のもと、垂直統合型の事業モデルを通じてロケット生産の大規模化・産業化を推進し、宇宙輸送分野の革新に取り組んでいます。
商業デブリ除去実証について
アストロスケールは、大型デブリ除去等の技術実証を目指す宇宙航空研究開発機構(JAXA)の商業デブリ除去実証フェーズIIの契約相手方として選定、契約を受けて、ADRAS-J2を開発しています。商業デブリ除去実証は、深刻化するデブリ問題を改善するデブリ除去技術の獲得と、日本企業の商業的活躍の後押しの二つを目的とする JAXAの新しい取り組みです。この枠組みに基づき、ADRAS-J2のプロジェクトはJAXAから技術アドバイスや試験設備の供用、また研究成果知財の提供を受けて実施されています。
https://www.kenkai.jaxa.jp/crd2/project/
アストロスケール について
アストロスケールは、軌道上サービスの世界的リーダーとして、安全で持続可能な宇宙開発に取り組んでいます。当社は故障機や物体の観測・点検、衛星の寿命延長、修理・アップグレード、衛星運用終了時のデブリ化防止のための除去、既存デブリの除去など、多様で革新的な軌道上サービスソリューションを提供します。2021年3月以降、アストロスケールはELSA-dやADRAS-Jのミッションにおいて軌道上でRPO技術を実証し、軌道上サービスのリーダーとしての地位を確立してきました。アストロスケールの宇宙機は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や防衛省、米国宇宙軍、欧州宇宙機関(ESA)、英国宇宙庁(UKSA)、Eutelsat OneWeb等との先駆的なミッションに採用されており、循環型宇宙経済の可能性が広がり、より持続可能な宇宙の未来が開かれつつあります。本社・R&D拠点の日本をはじめ、英国、米国、フランス、イスラエルとグローバルに事業を展開しています。
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