【看護師のDX事情】約7割の方がDXが進んでいないと回答。記録業務への不満を抱えている人が多く「書類を紙で管理しているため無くす・汚すなど記録物に無駄がとても多い。」という声も。

〜「看護師のDX事情」〜

株式会社SOKKIN

2025年2月28日 21時00分

記事URL

https://kango-navi-kyujin.com/base/survey/2408/

調査サマリー

・9割弱が「人手不足を感じる」と回答

・7割弱が業務を「多すぎる」と回答

・記録業務に無駄が生じていると感じる方が最多

・記録業務への不満が多く、手書きではなく電子カルテを望む声も

・DX（デジタルトランスフォーメーション）に期待を寄せる人が半数以上

・DXが進んでいない職場が多数

・「記録管理」の面でDXが進行

・DXが進んでいないことへの不満が非常に多く集まり、DXを進めることによって業務の負担を減らすことを望む人が多数

・「記録業務の効率化」を望む人が最多

・6割以上の方がDXの進んでいる職場を希望

調査の背景

看護師の皆さんは今、多くの無駄な業務に追われています。紙の記録や効率の悪い情報共有、同じ作業の繰り返しなど、本来の患者さんのケアに集中できない状況が続いています。

特にコロナ禍で看護師不足が深刻化する中、DX（デジタル化）による業務改善は急務となっています。これは単に仕事を早くするだけでなく、医療の質を高め、看護師の働き方を根本から変える重要な取り組みです。

この記事では、現役看護師の生の声をもとに現場におけるDXの状況などのアンケート調査結果をお伝えします。

調査の詳細

「（看護師限定）看護師の仕事内容に関する簡単アンケート」
看護師の仕事内容について調査する。

・調査日：2025年2月10日〜2025年2月14日
・調査方法：株式会社クラウドワークスのパネル利用によるインターネット調査
・対象者：現在看護師の方
・回収サンプル数：78票

調査結果

■9割弱が「人手不足を感じる」と回答

「Q1. あなたは職場で人手不足を感じますか？」という問いに対して、「やや感じる」という方が45％、ついで「とても感じる」という方が43％という結果になりました。回答した方の9割弱の方が人手不足を感じるということがわかりました。

■7割弱が業務を「多すぎる」と回答

「Q2. 現在の職場の1人当たりの業務量は適切ですか？」という問いに対して、「多すぎる」と回答した方が68％と最多であり、次いで「適切な量」と回答した方が30％という結果になりました。

■記録業務に無駄が生じていると感じる方が最多

「Q3. 普段の仕事の中でどんなことに無駄が生じていると感じますか？」という問いに対して、「転記する必要のある記録業務」という回答が29票、次いで「1人当たりの業務過多による負担」という回答が25票という結果になりました。また「無駄と感じるものはない」という回答も11票集まりました。

■記録業務への不満が多く、手書きではなく電子カルテを望む声も

「Q3-2. 上記の質問で挙げた無駄に感じることについて、具体的なエピソードを教えて下さい。（自由記述）」という問いに対しては、以下のような声が上がりました。

【記録業務について（以下一部抜粋）】

・タブレットを使用しているにもかかわらず、手書きで記録をしている。（20代女性）

・同じ内容の書類を何種類もの用紙に記載しなければならない。（30代女性）

・医師とは別に看護師も同様の記録を入力する。（30代女性）

・電子カルテを導入しておらず、書類を紙で管理しているため無くす・汚すであったり、誰かが使用していた場合情報収集ができないなど、記録物に無駄がとても多い。（40代女性）

【業務過多による負担について（以下一部抜粋）】

・勤務している看護師が不足しているため、一人当たりの負担が大きい。（20代女性）

・一つの業務に複数の看護師が従事している。（20代女性）

・時間外の委員会や係、無駄に増えていく記録。（30代女性）

【無駄と感じるものはない（以下一部抜粋）】

小さな病院なので無駄はない。（40代女性）

すべて必要なことをしているので、無駄はないと感じる。（30代男性）

無駄な業務はその都度みんなで話し合って見直すなどしている。（30代女性）

■DX（デジタルトランスフォーメーション）に期待を寄せる人が半数以上

「Q4.デジタルトランスフォーメーション（DX）が進むことで、業務改善が期待できると思いますか？」という問いに対して「はい」と回答した方が最も多く60%、また「わからない」という回答が32％という結果になりました。認知していない方もまだ3割ほどいらっしゃるため、認知度の促進が求められます。

■DXが進んでいない職場が圧倒的

「Q5. あなたの職場は業務のDX・デジタル化が進んでいると思いますか？」という問いに対して、「あまり進んでいない」という回答が42％、ついで「全く進んでいない」という回答が31％という結果になりました。DXが進んでいない職場が70％強であるため、一層の促進が求められます。

■「記録管理」の面でDXが進行

「Q6. あなたの職場において、どの部分でDX・デジタル化が進んでいると感じますか？」という問いに対して、半数の人が「記録管理」に回答し、ついで「シフト作成」に11名の方が回答する結果になりました。電子カルテやタブレットを活用しDXを進めています。

■DXが進んでいないことへの不満が非常の多く集まり、DXを進めることによって業務の負担を減らすことを望む人が多数

「Q6-2. DXが進んでいない部分について、感じたことを具体的に教えてください（自由記述）」という問いに対しては、以下のような声が上がりました。

【進んでいないことへの不満（以下一部抜粋）】

・シフト作成は、自動化したほうがミスが出ない上に批判が集まらないと感じる。（40代男性）

教育や指導面はまだまだアナログです。（30代男性）

・自治体・近隣の施設間で利用者のリアルタイムな情報共有ができない。利用予約が電話と予約簿という紙ベースでしかできない。（30代男性）

・電子カルテと紙の記録が併用されていることで、同じ内容を二重に記録しなければならず、時間がかかると感じています。また、医師の指示も口頭や手書きで伝えられることがあり、情報の共有ミスが起こる可能性があると不安に思います。（20代男性）

【その他の声（以下一部抜粋）】

・職場スタッフの年齢層が高くパソコン入力に不慣れな世代がどうしてもいるので、電子カルテやパソコンを使って何か業務改善を、と思っても難しいときがあります。（20代男性）

・現在AIを使用しながら他職種で統一したケアを行えるように検討していく予定のため、進んでいるかと思います。（20代女性）

■「記録業務の効率化」を望む人が最多

「Q7.DXを使いどのように業務を改善したいと考えていますか？」という問いに対して、「記録業務の効率化」が最多となり53票、ついで「一人当たりの負担の軽減」が43票という結果になりました。全体を見ても各選択肢に多くの票が集まっているため、DXを用いて業務内容を改善したいと思う方が多いことがわかります。

■6割以上の方がDXの進んでいる職場を希望

「Q8.あなたはDXが進んでいる職場に転職したいと考えますか？」という問いに対して、「はい」という回答が64％、ついで「わからない」という回答が27％という結果になりました。全体として6割強の方がDXの進んでいる職場を望んでいることがわかりました。

■今回の調査を通じて

調査の結果、看護師の9割が人手不足を感じ、7割が業務を「多すぎる」と回答しており、特に記録業務の非効率さ（二重入力や重複記録）に最も無駄を感じています。DXによる業務改善に60%が期待する一方、73%の職場ではDXが進んでいない状況です。注目すべきは64%が「DXが進んでいる職場に転職したい」と考えていることにあります。患者ケアに集中できる環境のためにも、記録の一元管理や情報共有のデジタル化など、医療現場のDX化は急務といえます。

株式会社SOKKINは、今後も看護師の皆さんがより良い職場環境で働けることを願いながら、現場の声にしっかりと耳を傾け、更なるサービス向上に努めてまいります。