心不全リスクを調べる「血液検査」の認知度、1割に満たず 何らかの危険因子があり、心臓に不安を感じていても、7割は医師への相談も受診もせず 【現役世代の心不全に関する意識実態調査】
「進行すると心機能は戻らない」5割超が認識していない~心不全発症前の段階からリスクの早期発見および発症予防が重要~
ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社(代表取締役社長 兼CEO: 小笠原信、以下「ロシュ」)は全国の30代~60代の男女2,104名を対象に、「現役世代*¹の心不全に対する意識実態調査」を実施し、結果をまとめました。
2025年は団塊の世代が全員75歳以上となります。日本人の死因第2位を占める心疾患患者も高齢化に伴って増加しており、なかでも心不全は心疾患で亡くなる方のうち4割を占めています*²。超高齢社会で医療ニーズが高まる一方、医療現場の人手不足が懸念され、とりわけ心疾患においては“心不全パンデミック”が起きるといわれています。
検体検査のリーディングカンパニーであるロシュは、心不全リスクを調べる検査薬の提供に長く携わっています。今回の調査結果を受け、私たちは、検査のさらなる普及と共に、疾患に関する正しい情報を広くお届けすることで、心不全の予防・重症化抑制・死亡率減少に寄与してまいります。
【調査結果 ハイライト】
1. 心不全リスクを調べる「血液検査」の認知度、1割に満たず
2. 心不全の何らかの危険因子があり心臓に不安を感じていても、約7割は医師への相談も受診も
せず
3. 約7割が心不全は「高齢者に多い病気」と認識、一方「進行すると心臓の機能は戻らない」
「糖尿病の人がなりやすい」ことを知っている人は半数未満。現役世代は自分事と捉えず心不全
への理解が低い
【調査概要】
■ 調査主体 :ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社
■ 調査実施機関:株式会社インテージ
■ 調査方法 :インターネット調査
■ 調査対象 :全国の30~60代個人、 2,104名
■ 調査期間 :2024年12月5日(木)~9日(月)
<奈良県西和医療センター 総長 斎藤 能彦先生のコメント>
心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です。初期段階では症状が乏しく、「かくれ心不全」の状態で進行してしまうこともあり、また、一度症状が出ると、再発・悪化する可能性が高くなります。心不全の原因は一つではなく、高血圧や糖尿病などの生活習慣病が長期間心臓に負担をかけた結果発症するケースも多く認められます。今回の調査では、半数以上の方が何らかのリスク因子を有しているにもかかわらず、多くが医師への相談も受診もしていないことが明らかになりました。また、「がん」「口・歯の病気」等と比べて、「心不全」を不安視している人が少なく、「高齢者の病気」と、先のことと捉えている方が多いこともわかりました。自身の心臓の状況を把握することは難しいですが、心不全のバイオマーカーを利用すると、比較的容易に把握できます。血液検査のバイオマーカーであるNT-proBNPが125pg/mL以上またはBNPが35pg/mL以上の場合は、かくれ心不全の可能性があることが日本心不全学会のステートメントでも謳われております。自覚症状がない発症前の段階から、自身の心臓の状態を知ることが、発症・重症化予防に繋がります。かくれ心不全をより早く見つけるために、リスクのある人は一度NT-proBNPまたはBNPの検査をして、高値であった場合はかかりつけ医に相談をしてください。
【調査結果 項目別概要】
1. 心不全リスクを調べる「血液検査」の認知度、1割に満たず
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心臓への負担度や心不全リスクを調べることができる血液検査「NT-proBNP」または「BNP」検査について知っているかを聞いたところ、知っていると回答した人は、1割未満の8.9%(受けたことがある1.7%、知っている7.2%)と、多くの方が、血液で心不全リスクを発見できることを知らない結果となりました(図表1-1)。
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また、心臓の検査ときいてイメージするものでは、「心電図関連」(81.7%)が最も多く、次いで「画像診断」(40.2%)、「超音波検査」(38.5%)となりました。「血液検査」と答えた人はわずか3%と、ほとんどの人が、血液で心臓の状況を検査できることを思い浮かばないことが分かりました(図表1-2)。
図表1-1

図表1-2

2. 心不全の何らかの危険因子があり心臓に不安を感じていても、約7割は医師への相談も受診もせず
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体調について普段の生活で当てはまるものを聞いたところ、心不全の何らかの危険因子を有している人(以下設問で該当の項目を選択した人)は全体で60.9%でした。年代別では、30代が54.2%、40代が59.0と、30-40代でも5割以上の人が心不全の危険因子を有していることが読み取れます(図表2-1)。
図表2-1

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項目別では、「手足が冷たい」(25.0%)が最も多く、次いで「高血圧である」(19.5%)、「カラダがだるい」(17.0%)、「坂道、階段で息切れするようになった」(14.6%)となりました(図表2-2)
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なお、60代の約3人に1人(33.1%)が「高血圧である」と回答しました。
図表2-2

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心不全の何らかの危険因子を有している人のうち、約5割が「心臓の健康状態に不安を感じる」(52.6%)と回答(図表2-3)。そのうち、「かかりつけ医に相談もしくは病院を受診した」人は25.7%にとどまりました(図表2-4)。身体の不調や心臓に不安を感じていても、多くの人がそのままにしてしまっていることが伺えます。
図表2-3

図表2-4

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また、将来不安な病気について聞いたところ、1位は「がん」(32.1%)、次いで「口・歯の疾患」(30.1%)、「脳の疾患」(24.8%)、「心臓の疾患」(24.4%)となりました。日本人の死因としては「心臓の疾患」が2番目に多いですが、「口・歯の疾患」よりも意識が向いていないことが読み取れます(図表2-5)。
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30代・40代では「当てはまるものがない」(30代42.7%、40代38.7%)が約4割と最も多く、働き盛りの世代は疾病への意識が低い結果となりました(図表2-5)。
図表2-5

3. 約7割が心不全は「高齢者に多い病気」と認識。一方「進行すると心臓の機能が戻らない」「糖尿病の人がなりやすい」ことを知っている人は半数未満。特に30-40代は心不全への理解が低い
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心不全について知っていることを聞いたところ、「高齢者に多い病気」(73.3%)が最も多く、次いで「日本人に多い死因のひとつ」(68.2%)、「高血圧の人がなりやすい」(64.2%)「早期発見で重症化を防げる」(60.8%)となりました(図表3-1)。
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一方で、「糖尿病の人がなりやすい」(42.2%)、「進行すると心臓の機能が戻らない」(48.8%)については、半数を超える人が知らないという結果となりました(図表3-1)。
図表3-1

世代別では、「早期発見で重症化を防げる」(全体60.8%、30代54.6%、40代55.8%、50代65.0%、60代67.6%)、「進行すると心臓の機能が戻らない」(全体48.8%、30代39.2%、40代43.5%、50代53.6%、60代58.8%)、「心不全はがんと同じくらい生命を縮める」(全体57.3%、30代46.7%、40代49.7%、50代64.6%、60代67.8%)の項目では若い世代ほど認知度が低く、30-40代は心不全への関心が低いことが伺えます(図表3-2)。
図表3-2

*1:本リリースにおける「現役世代」は30~60代です
*2:厚生労働省「令和5年(2023)人口動態統計(確定数)の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei23/dl/15_all.pdf
ロシュの検査情報サイト「けんさナビ https://kensanavi.jp/symptoms/cardiology/ 」では、心不全や検査について詳細を記載しています。
ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社について
ロシュは、1896年にスイスのバーゼルで創業した、150以上の国や地域に拠点を持つ世界最大級のヘルスケアカンパニーです。医薬品と診断薬を併せ持ち、医療従事者や患者さんの最適な治療選択や意思決定をサポートしています。
ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社は、ロシュ診断薬事業部門の日本法人です。検査を通じて自分自身の今を知ることで、人生において自分らしい決断ができる、という信念のもと、革新的な診断ソリューションの提供を通して、予防・診断・治療・予後のすべてのステージで人々に寄り添い続けています。2025年3月現在で全国8都市にオフィスを有し、体外診断用医薬品・医療機器事業、研究用試薬・機器事業などを幅広い疾患領域で展開しています。
詳細はホームページ http://www.roche-diagnostics.jp をご覧ください。
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