住友ファーマ創出の新規TLR7ワクチンアジュバント(DSP-0546)を用いた新規ユニバーサルインフルエンザワクチン候補製剤の欧州フェーズ1試験結果に関する学会発表について
住友ファーマ株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:木村 徹、以下「住友ファーマ」)および国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(大阪府茨木市、理事長:中村 祐輔、以下「NIBN」)プレシジョン免疫プロジェクトは、住友ファーマ創出の新規TLR7ワクチンアジュバント(DSP-0546)を用い、幅広いインフルエンザウイルスに対する予防効果を持つ「ユニバーサルインフルエンザワクチン」の開発に取り組んでいます。2024年5月14日に開始をお知らせした住友ファーマによるユニバーサルインフルエンザワクチン候補製剤「fH1/DSP-0546LP」(以下「本剤」)の欧州フェーズ1試験(以下「本試験」)につきまして、NIBNが中間解析結果を第29回日本ワクチン学会 第66回日本臨床ウイルス学会 合同学術集会(2025年9月27日~28日開催)にて、非臨床薬理試験の成績とともに発表しましたので、お知らせします。
本試験は、本剤の安全性、忍容性および免疫原性の評価を目的とする18歳から45歳の健康成人144例を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験です。本剤(fH1(2μg、8μg)/DSP-0546LP(2.5μg、5μg、10μg)、fH1(2μg、8μg、アジュバント非添加抗原製剤)、DSP-0546LP(2.5μg、5μg、10μg、アジュバント単剤)またはプラセボを、3週間間隔(Day1、Day22)で2回筋肉内に投与しました。中間解析は、あらかじめ本試験の臨床試験実施計画書に規定された方法で、投与終了4週間後(Day50)までの事後観察結果として実施されました。
接種後の特定副反応※が多くの被験者で認められましたが、安全性の重大な懸念は認められず、概ね良好な忍容性が確認されました。最も多くみられた副反応は注射部位の疼痛と頭痛でした。
免疫原性の評価においては、本剤のいずれの用量でも、Day50の抗LAH抗体価の幾何平均値は、プラセボ群と比較して高値を示しました。また、本剤の1回目接種前(Day1)に対するDay50の抗LAH抗体価の幾何平均増加倍率は、プラセボ群と比較して高値を示しました。さらに、各抗原単剤群と比較し、それぞれにDSP-0546LPアジュバントを添加した本剤群における抗LAH抗体価の幾何平均値は高値を示しました。
本試験は、投与1年後のフォローアップ観察まで継続します。また、探索的評価指標である交差反応性や抗体依存性細胞障害活性等につきましても評価中です。「ユニバーサルインフルエンザワクチン」の早期実用化のために、引き続き研究開発を進めます。
※接種日から接種7 日後までの期間に発現した以下の副反応:
全身性副反応(発熱、悪寒、筋肉痛、疲労、頭痛、吐き気、関節痛、倦怠感)
局所性副反応(注射部位の疼痛、紅斑、発赤、硬結、腫脹、熱感、掻痒感)
本剤の特徴について
従来のインフルエンザワクチンは、ウイルスの抗原変異により効力を失うため、毎年流行株に合ったワクチン株の選定・製造・接種が必要であり、新型インフルエンザに迅速に対応することは困難です。
本剤は、種類の異なるインフルエンザウイルスへの幅広い防御効果が非臨床研究で確認されています。住友ファーマおよびNIBNは、共同研究の成果である本剤について、季節性インフルエンザウイルスだけではなく、パンデミックに発展する可能性のある新型インフルエンザウイルスにも効果を示す画期的な次世代ワクチンとしての実用化を目指しています。
*住友ファーマおよびNIBNは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)に係る研究開発課題において共同研究を実施しています。
*本件に関連するプレスリリースとして、以下を開示しています。
新規ユニバーサルインフルエンザワクチン候補製剤の臨床試験(フェーズ1試験)開始について
https://www.sumitomo-pharma.co.jp/news/20240514-2.html
住友ファーマ創出の新規TLR7ワクチンアジュバント(DSP-0546)を用いた新規ユニバーサルインフルエンザワクチン候補製剤の臨床試験(フェーズ1試験)の中間解析について
https://www.sumitomo-pharma.co.jp/news/20250731-3.html
ご参考
TLR7アジュバント (DSP-0546LP)
ウイルス由来のRNAを感知して自然免疫応答を引き起こすToll様受容体の一つであるTLR7を特異的に活性化させる物質を含む製剤です。アジュバントとして抗原に添加することによって免疫応答の量、質および持続性を高める免疫増強作用を有します。
LAH(Long Alpha Helix)
幅広いインフルエンザウイルスに共通する隠れた抗原領域の一つです。本剤は、通常のヘマグルチニン抗原を構造変化させることでLAHを露出させた改変型ヘマグルチニン抗原を含んでいます。
医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)について
産学官連携により、我が国の力を結集し、医療現場ニーズに的確に対応する研究開発や創薬等の加速化等が抜本的に革新される基盤(人材を含む)の形成および医療研究開発分野でのオープンイノベーション・ベンチャー育成が促進される環境の創出を推進することを目的とする国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の事業です。詳細は、https://www.amed.go.jp/program/list/index07.htmlをご覧ください。
住友ファーマとNIBNの共同研究「万能インフルエンザワクチンの研究開発」(代表機関:住友ファーマ)は、2019年にCiCLEの第4回公募の研究開発課題に採択されました。

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