東京都で実証検証。日本初、救急隊業務に生成AIを用いた救急医療情報システム 東京消防庁INNOVATION PROJECTにて
TXP Medicalと東京消防庁は、TXP Medicalが保有するデジタル先進技術(救急搬送に係わる音声認識及びAI技術)と、「東京消防庁 INNOVATION PROJECT」事業において「救急活動における情報管理の効率化」の検証に関して協定を締結しました。
本実証検証では、救急隊と医療機関間でのデジタルでの情報共有を行う「NSER mobile」に、救急隊が現場の傷病者情報を音声入力すると、生成AIによる構造化された救急活動記録が作成される機能を日本で初めて搭載します。救急隊員は、入力方法やデータフォーマットを意識することなく、音声による情報入力により効率的かつ詳細に傷病者の状態を記録し、医療機関等と情報共有することが可能となります。本実証検証により、救急活動における情報管理の効率化観点での効果を検証します。
東京消防庁INNOCATION PROJECT 2024は『消防・救急活動等にデジタル先端技術等を実装し、「消防・救急活動等の安全性・確実制・迅速性の向上」、「消防行政における業務の効率化」』の実現により、都政のQOS向上を目的としている
プロジェクトです。
【背景】
東京都の救急出動件数は令和2年720,965件であったのに対し、令和5年では918,311件*1と令和3年以降急増の一途を辿っております。これは1日平均にするつと2516件、つまり34秒に1度の割合で出場したことになります。あわせて東京都の人口は増加傾向*2にあります。
東京消防庁では2021年よりDX推進に向けて「東京消防庁改革本部」および「DX推進検部会」を設置、DXによる構造改革、業務改善等に関する検討をスタート*3、2023年には「デジタル先端技術等の実装に向けた技術検証等の実施に係る協力企業の募集」を開始し「東京消防庁INNOVATION PROJECT」として公募を実施しました。*4
出典*1 東京消防庁 令和6年2月6日 プレスリリースよりhttps://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-kouhouka/pdf/060206.pdf
出典*2 東京都の統計「総人口の動き」 https://www.toukei.metro.tokyo.lg.jp/jugoki/2022/ju22qf0001.pdf
出典*3 東京消防庁DX推進ロードマップ2023 https://digi-acad.metro.tokyo.lg.jp/img/c15043c7303a276473136fc84fb05a9a2b7cf072.pdf
出典*4. 東京消防庁INNOVATION PROJECTホームページ:過去の取り組みhttps://tfd-innovation-project2024-home.studio.site/12
【日本初※生成AIを使った救急医療情報システム】※当社調べ
救急隊と医療機関をデジタルで情報共有する「NSER mobile」の入力支援に生成AIを利用し、タブレットに音声入力すると、生成AI技術により自動的に重要な情報を抽出・構造化し、救急活動記録形式に成型します。
本技術を用いることで、救急隊が傷病者に対する処置や観察をしながら記録も同時に行うことができます。OCR機能や、画像添付と組み合わせることで、キーボードを使った手動での文字入力をほとんど使うことなく、救急活動記録が作成され、医療機関等と共有できます。
これまで、救急隊員は両手がふさがった状況での情報入力を求められることや、音声入力においても特定の項目にカーソルを合わせてから音声入力を開始する必要があるなど、操作性に制約がありました。また、医療用語の誤入力や表記揺れが頻発するケースも見られ、システムを使用する側にもインターフェイスに対する学習や慣れが求められていました。
新システムでは、生成AIが救急隊員の音声をリアルタイムで解析し、入力すべき項目ごとに適切に構造化されたデータとして自動処理することで、従来の問題を解決。たとえ「えー」や「あー」などの曖昧な言葉や、医療記録に無関係な会話が含まれても、AIは文脈を把握し、最適な形式で情報を整理することが可能です。
さらに、TXP Medicalオリジナルの専門医が監修した救急医療専用の辞書が組み込まれているため、専門的な医療用語にも高い精度で対応し、誤入力を最小限に抑えることができます。
【実証検証内容】
・救急医療情報システムへの音声入力において生成AIを利用することでの入力支援検証
・OA連携検証
・導入による効果の定量測定(時間測定)
【今回の実証検証の期待効果】
・傷病者データ共有による、搬送受け入れ先病院が決定するまでの時間短縮
・口頭での説明事項の減少による、救急隊と病院間の平均通話時間の短縮
・傷病者データ共有による相互マッチングでの傷病者搬送の適正化
・救急活動報告書の作成補助機能による、救急隊員の書類作成業務にかかる負荷の軽減
・搬送事例のデータ解析による救急搬送体制の可視化と搬送プロセスの効率化
【実証検証の概要】
期間:2024年11月~2025年4月
・2024年11月・12月:シナリオによるデモンストレーション
・2025年 1月以降 :都内救急実搬送にて利用(予定)
【実証検証の内容】
1.想定された救急搬送のシナリオをデモンストレーション。その中でOCRの精度や音声入力の正確さ・構造化の処理速度などを実証します。
2.シナリオデモ完了後、実搬送の場面で実機能を実証します。
【今後の展望】
実証検証を通じ、救急現場に必要とされるシステム・AIやその機能、あり方について検証を行うとともに、「NSER mobile」の有効性を発表します。
【東京都報道発表資料】
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/content/000064283.pdf
【「NSER mobile」の特徴】
「NSER mobile」は、救急現場と搬送先医療機関間のコミュニケーションを円滑にし、救急対応の効率化を図るシステムです。救急車に配備されたタブレットでAIを活用し効率的に収集した傷病者情報を迅速に搬送先病院に送信し、病院の受け入れ準備を効率化します。従来の電話と紙の帳票によるコミュニケーションをデジタル化することで、救急医療の見える化を実現し、搬送業務や情報共有が大幅に改善されます。
事案情報入力に加え、病歴やバイタルサイン、静止画、動画情報の共有、一斉照会機能、診療科ごとの応需可否情報、応需履歴の共有、事後検証機能、OA機能など、救急医療におけるデータプラットフォームとしての機能を実装。これにより、傷病者の救急搬送から治療・検査・転院までの一連業務をデジタルプラットフォームで管理し、EBPM(Evidence-based Policy Making:エビデンスに基づく政策立案)を促進します。
TXP Medical株式会社
TXP Medicalは「医療データで命を救う」をミッションに、救急集中治療医が立ち上げた次世代医療インフラを提供するスタートアップです。主要システムであるNEXT Stage ERは大病院79箇所(大学病院・救命救急センターでのシェア約40%)で稼働し、救急隊向けのNSER mobileは主要都市を含む42地域、1000万人以上の人口をカバーしています。
NEXT Stageシリーズのデータウェアハウス(DWH)を活用したRWDサービスは、電子カルテ記載テキストや900項目を超える検査値/バイタルサイン/DPCデータを蓄積しており、これまで不可能であった深い分析を可能にします。疾患の実態や治療方針の違い、治験候補施設の選定など、医療現場を高解像度で分析できます。実務経験豊富な医師やRWD専門家が、製薬会社や医療機器メーカー向けに治験プランニング・研究デザイン立案、マーケティング、メディカルアフェアーズ、マーケットアクセスなど一貫したサービスを提供します
代表取締役:園生智弘(救急科専門医)
設立: 2017年8月28日
HP:https://txpmedical.jp/
・医療機関・自治体向け急性期医療データプラットフォーム「NEXT Stageシリーズ」の開発と提供
・急性期医療AI技術の開発と提供、臨床研究支援事業
・多くの臨床研究に応えられる900項目以上の各種検査データ等を利用したRWDサービス
・大学病院9病院を含む、データ利用契約22施設、データウェアハウス(DWH)35施設による、強固な医療機関とのネットワーク(2024年9月現在)
・構造化カルテ情報+検査値+DPCデータを用いた解析により、製薬企業・医療機器メーカーの臨床開発・メディカルアフェアーズ・マーケティングを支援
・医療AI技術の開発と提供、臨床研究支援事業
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