オリンパス、全都道府県別に男女計18,800人を対象とした「胃・大腸がん検診と内視鏡検査に関する意識調査白書2021」発行
~がん検診に対する認識不足や受診経験の差が受診率の低さに影響か~
1981年以来、がんは長年にわたり日本人の死因第1位である状況を受け、2006年に「がん対策基本法」が制定され、その翌年に「がん対策推進基本計画」が策定されました。この基本計画において、国と地方公共団体はがん検診受診率を50%以上にすることを目標としています。しかし、厚生労働省が定期的に検診の受診を推奨している五つのがん※2においても、その受診率は50%に及ばない状況にあります。
消化器内視鏡のリーディングカンパニーであるオリンパスは、以前より企業市民活動の一環として、自治体とがん対策に関する協定を締結するなど、胃がん・大腸がんの検診・精密検査の受診率向上に向けた取り組みを行っています。今回、がん検診や内視鏡検査に関する意識調査の結果をまとめた白書を発行することで、一般市民の皆さまにがんおよびがん検診についての理解を深めていただくきっかけになることを願っています。また、全国の医療行政や医療従事者の方々にもこの白書を活用していただくことで、胃がん・大腸がんの検診・精密検査の受診率向上や、胃がん・大腸がんの早期発見・早期治療によるがん死亡率の低減に貢献してまいります。※1 胃の内視鏡検査(上部消化管内視鏡検査)は、口や鼻から内視鏡を挿入し、食道、胃、十二指腸の検査を行うものです。大腸内視鏡検査は、肛門から内視鏡を挿入し、大腸の検査を行います。
※2 胃がん・肺がん・大腸がん・乳がん・子宮頸(けい)がん。この五つのがんは、検診によるがんの予防効果や、死亡率低下が科学的に立証されており、定期的にがん検診を受けることが推奨されています。
- 「胃・大腸がん検診と内視鏡検査に関する意識調査白書2021」の主な内容
▶ コロナ禍でも「がん検診を受診する」は45.2%(40~60代では48.7%)
▶ 61.8%が「コロナ禍で医療機関を受診しないことで、病気の早期発見を見逃すことが不安」
2.がんに関する意識と知識
▶ 4人に3人(74.1%)が「がんにかかることが不安」
▶ 女性の死亡原因で一番多いがんを「大腸がん」であると認識している人は20.9%にとどまる
▶ 胃がん・大腸がんの早期発見・早期治療による5年生存率は90%以上だが、その認知度は20~30%にとどまる。早期発見・早期治療の重要性についての正しい認識が不足していることが明らかに
3.胃がん検診と胃内視鏡検査に対する意識(40~60代)
▶ 胃がん検診において、毎年または2年に1回の頻度でX線(バリウム)検査を受診している人は31.4%、胃内視鏡検査は21.4%
▶ 胃の内視鏡検査は、勤務先の費用負担がある場合に受診機会を得ている人が多い
▶ 胃の内視鏡検査について、80.8%が「つらいイメージ」。「つらくないイメージ」を持つ人の45.1%が「実際に受けたら、想像していたよりも楽だったから」と回答
4.大腸がん検診と大腸内視鏡検査に対する意識(40~60代)
▶ 大腸がん検診(便潜血検査)を毎年受診している人は42.7%。男性50代(52.0%)が多く、女性40代(35.2%)が少ない
▶ 便潜血検査実施者のうち21.4%に陽性経験あり。陽性経験ありでも14.4%が「精密検査を受けていない」と 回答し、「痔の出血かも」「自覚症状がないから」など、自己判断による理由が多い
▶ 大腸の内視鏡検査について86.5%が「つらいイメージ」。また77.3%が「検査前の準備が大変」というイメージ
5. 内視鏡や内視鏡検査に関する意識
▶ 内視鏡でできる治療について3人に1人(33.7%)が「知らない」。早期発見の場合、開腹をすることなく内視鏡で病変を切除する治療が可能であるなど、患者さんの負担を減らせることについて認知向上が必要
- 監修医師 河合 隆 先生 「がんとがん検診に対する正しい認知を広げ、定期的な検診受診を」
東京医科大学
消化器内視鏡学主任教授・健診予防医学センター部長兼任
今回の調査結果から、がんに関する正しい知識が一般の方々にあまり浸透していないという現状がわかりました。 「胃がん・大腸がんは、早期発見・早期治療であれば治る確率が90%以上」と高いことなど、多くの方に正しい知識をもっていただき、がん検診を定期的に受診し、必要に応じて精密検査をしっかり受けて頂きたいと思います。胃内視鏡検査への「つらいイメージ」は、受診経験の有無が影響しているようです。「実際に受診したら、思っていたよりも楽だった」との回答も多くみられました。今後、経鼻や経口の挿入法の選択も受診される方の負荷低減に貢献すると言えそうです。
また早期の大腸がんは、ほとんど自覚症状がありません。大腸がん検診で陽性(要精密検査)となった場合でも受診しない人が14.4%いたことは、早期発見を逃すリスクがあり心配です。自己判断はせず、必ず医療機関を受診してください。
内視鏡の技術は、日々向上しています。がんとがん検診について正しく認知し、定期的に検診を受診しましょう。
- 「胃・大腸がん検診と内視鏡検査に関する意識調査」(2021年度)調査概要
・調査手法:インターネット調査
・調査対象:30~60代男女18,800人(各都道府県 男女性年代別各50人)
※30代が対象年齢とならないがん検診についてなど、設問によっては30代を除く40~60代の結果を表示しています。
※ スコアの構成比(%)は小数点第2位以下を四捨五入しているため、必ずしも合計が100%にならない場合があります。
本リリースに掲載されている社名及び製品名は各社の商標または登録商標です。
- オリンパスについて
1.コロナ禍での健康意識や医療機関受診に対する考え
・ コロナ禍で、56.5%が「以前より自分の健康状態を意識」
・ コロナ禍でも「がん検診を受診する」は45.2%(40~60代では48.7%)
・ 61.8%が「コロナ禍で医療機関を受診しないことで、病気の早期発見を見逃すことが不安」
① コロナ禍で56.5%が「以前より健康状態を意識」
新型コロナウイルス感染拡大により、さまざまな生活変化を余儀なくされるなか、「以前より自分自身の健康状態を意識するようになった」人は全体の24.8%、「やや意識するようになった」が31.7%。合わせて56.5%がコロナ禍以前より自身の健康状態を意識するようになっています。
② コロナ禍でも「がん検診を受診する」は45.2%。がん検診対象の40~60代では48.7%のみ
健康診断・人間ドックを「受診する」とした人は全体の 58.8%でした。
がん検診については、「受診する」と回答した人は全体の 45.2%で、がん検診の対象となる 40~60 代でも 48.7%と、いずれも 50%に届いていません。また、「感染の不安を感じるが受診する」は全体の 34.2%(40~60 代で 37.1%)となっています。
健康診断・人間ドック、がん検診の受診控えは、生活習慣病やがんなどの早期発見を阻むことが心配されますが、コロナ禍で受診をためらったり、悩んでいる人が一定数いることが浮き彫りになりました。
③ 61.8%が「コロナ禍で医療機関を受診しないことで、病気の早期発見を見逃すことが不安」
外出にも不安を感じる日々が続いているコロナ禍で、「新型コロナウイルスを理由に医療機関を受診しないことで、病気の早期発見を見逃すことに不安を感じている」人は61.8%(「とても不安」「やや不安」合計)となりました。
2.がんに関する意識と知識
・ 4人に3人(74.1%)が、「がんにかかることが不安」
・ 女性の死亡原因で一番多いがんを「大腸がん」であると認識している人は20.9%にとどまる
・ 「胃がん・大腸がん」早期発見・早期治療による5年生存率は90%以上だが、その認知度は20~30%にとどまる
① 4人に3人(74.1%)が「がんにかかることが不安」
日本人の2人に1人が生涯でがんになるといわれる現代ですが、74.1%(40~60代:74.2%)が、「がんにかかることに不安を感じている」(「とても不安」「少し不安」合計)と回答しました。
② 日本人の死亡原因で一番多いがん、女性の「大腸がん」の死亡数が最も多いことに対する認識が低い
日本人の「死亡原因として一番多いと思うがん」について聞いたところ、男性のがんでは、「肺がん」(30.6%)が最も多く、以下、「胃がん」(28.2%)、「大腸がん」(18.0%)となりました。2019年の実際の統計と同様の結果となっており、順位に、イメージと現実との乖離(かいり)はないようです。一方、女性のがんについては、「乳がん」(47.1%)が多いと思っている人が圧倒的に多くなっています。実際には、「大腸がん」での死亡数が最も多いため、女性の死亡原因で多いがんについては、イメージと現実との間に乖離が見られました。
※3 参照:国立がん研究センター「がん情報サービス『最新がん統計』」 https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
③「胃がん」・「大腸がん」早期発見・早期治療時の5年生存率は90%以上だが、もっと低いと誤認
「胃がん」が 早期に発見されて治療を受けた場合、治る割合は「60%~90%」と回答した人が50.9%で最も多く、「90%以上」と正しく回答した人は30.0%にとどまりました。大腸がんも「60%~90%」が50.5%で多く、「90%以上」と正しく回答した人は24.0%でした。胃がん・大腸がんは早期発見・早期治療されれば、治癒率は90%以上※4と高いことが正しく認識されていないことが明らかになりました。
※4 出典:「全国がんセンター協議会の生存率共同調査(2021年7月集計)」による
3.胃がん検診と胃内視鏡検査に対する意識(40~60代)
・ 胃がん検診において、毎年または2年に1回の頻度※5でX線(バリウム)検査を受診している人は31.4%、胃内視鏡検査は21.4%
・ 胃の内視鏡検査は、勤務先の費用負担がある場合に受診機会を得ている人が多い
・ 胃の内視鏡検査について、80.8%が「つらいイメージ」。「つらくないイメージ」を持つ人の45.1%が「実際に受けたら、想像していたよりも楽だったから」と回答
■胃がん検診の実態
① 「X線(バリウム)検査」による胃がん検診を毎年または2年に1回の受診率は31.4%
「X線(バリウム)検査」での胃がん検診の受診頻度は、「毎年受診」(23.1%)、「2年に1回受診」(8.3%)の合計が31.4%となりました。
② 「内視鏡検査」による胃がん検診の毎年または2年に1回の受診率は21.4%
内視鏡検査による胃がん検診の受診頻度は、「毎年受診」(12.2%)、「2年に1回受診」(9.2%)の合計は21.4%のみで、「X線(バリウム)検査」に比べ低くなっています。
「X線(バリウム)検査」、「内視鏡検査」共に、毎年受けている人は女性より男性の方が多く、「X線(バリウム)検査を毎年受けている」人は、男性40代、50代では30%以上と多くなっています。「内視鏡検査を毎年受けている」人は、男女とも年代の上昇とともに多くなり、男性60代で17.2%、女性60代で13.2%となっています。
※5 「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」では、「検診間隔は2年に1度。ただし、当分の間、胃部エックス線検査に関しては逐年実施としても差し支えない」としています。
③ 胃の内視鏡検査は、勤務先の費用負担がある場合に受診機会を得ている人が多い
内視鏡検査による胃がん検診を毎年または2年に1回受診している人の直近の受診機会は「人間ドック(勤務先の費用負担あり)」が29.8%、「職場の健康診断」が20.9%で多く、職場による動機付けが多いことがわかりました。また、「市区町村の胃がん検診」を利用して胃の内視鏡検査を受けた人は15.4%でした。
■胃内視鏡検査のイメージ
① 80.8%が胃の内視鏡検査は「つらいイメージ」
胃の内視鏡検査に対するイメージを聞いたところ、80.8%と大多数が「つらいイメージ」と回答しました。年代が上がるにつれて「つらくないイメージ」と回答する人が増え、60代では4人に1人(25.9%)が「つらくないイメージ」と回答しています。
② 胃の内視鏡検査、「つらくないイメージ」の理由は、「実際に受けてみたら想像よりも楽だったから」が最多
胃の内視鏡検査に「つらいイメージ」を持つと回答した11,388人にその理由を聞いたところ、「口から入れる内視鏡は、のどを通る時がつらい・つらそう」(84.0%)と回答した人が最も多く、次いで、「鼻から入れる内視鏡は、鼻を通る時がつらい・つらそう」(47.7%)となりました。一方、胃の内視鏡検査を「つらくないイメージ」と回答した2,712人の理由は、「実際に内視鏡検査を受け、想像していたよりも楽だったから」(45.1%)が最も多い結果となりました。
4.大腸がん検診と大腸内視鏡検査に対する意識(40~60代)
・ 大腸がん検診(便潜血検査)毎年受診者は42.7%。男性50代(52.0%)が多く、女性40代(35.2%)が少ない
・ 便潜血検査実施者のうち21.4%に陽性経験あり。陽性経験ありでも14.4%が「精密検査を受けていない」と回答し、「痔の出血かも」「自覚症状がないから」など、自己判断による理由が多い
・ 大腸の内視鏡検査に86.5%が「つらいイメージ」。 77.3%が「検査前の準備が大変」と回答
▪大腸がん検診の実態
① 大腸がん検診(便潜血検査)※6 の毎年受診は 42.7%。女性40代(35.2%)が最も少ない
40歳以上の男女に毎年受診が推奨されている大腸がん検診(便潜血検査)の受診経験は71.1%でした。そのうち「毎年受けている」人は42.7%にとどまっています。
毎年受診している割合が最も高いのは男性50代(52.0%)で、最も少ないのは女性40代(35.2%)でした。「大腸がん」は女性の死亡原因となるがんで最も多い一方、女性は男性に比べ、全年代で受診率が低いことが明らかになりました。
※6 便潜血検査は、便に血液が含まれているか調べるため、専用の検査キットで2日分の便の表面をこすって採り、提出します。
② 21.4%が大腸がん検診で陽性経験あり
大腸がん検診(便潜血検査)を受けたことがある人に、陽性(要精密検査)になった経験を聞いたところ、5人に1人の割合(21.4%)で、陽性経験があると回答しています。
③ 大腸がん検診で陽性になっても、14.4%が大腸内視鏡による精密検査を受けなかった
大腸がん検診(便潜血検査)で陽性(要精密検査)になった際、大腸内視鏡による精密検査を受けた人は85.6%。「受けなかった」(14.4%)人の理由は、「痔の出血で陽性となったかもしれないから」(39.6%)、「自覚症状がなかったから」(30.5%)など、自己判断で精密検査を受けていないことが明らかになりました。
▪大腸内視鏡検査のイメージ
① 86.5%が大腸の内視鏡検査に「つらいイメージ」を持ち、77.3%が「検査前の準備が大変」と回答
大腸の内視鏡検査に対するイメージを聞いたところ、86.5%が「つらいイメージ」と回答し、胃の内視鏡検査を「つらいイメージ」と回答した人より5.7ポイント高い結果となりました。
また、「検査前の準備が大変だ」とした人は77.3%(「大変」「どちらかといえば大変」合計)となりました。
大腸の内視鏡検査に対し、「つらいイメージ」や「準備が大変」だという印象を持っている人が多くなっています。
② 大腸の内視鏡検査を「つらくない」と感じる理由も、「実際に受けてみたら想像よりも楽だったから」が1位
大腸の内視鏡検査に「つらいイメージ」を持つと回答した12,201人にその理由を聞いたところ、「お尻から内視鏡を挿入するのがつらい・つらそう」(68.8%)、「前処置で下剤を飲むのがつらい・つらそう」(64.0%)と回答した人が多く、挿入時や検査前の準備に対してつらいイメージを持つ人が多いようです。一方、「つらくないイメージ」と回答した1,899人の理由では、「実際に内視鏡検査を受け、想像していたよりも楽だったから」(35.4%)が最も多く、胃の内視鏡検査と同様に、実際に受診してみるとイメージよりも楽だと感じる人が多くなっています。
5.内視鏡検査や内視鏡に関する意識
・ 組織採取や病変切除ができることなど、内視鏡でできる治療について「知らない」人が33.7%。開腹をすることなく内視鏡で病変を切除する治療が可能であることなど、患者さんの負担を減らせることについての認知向上が必要
・ これからの内視鏡、「検査時のつらさの軽減」に最も期待が集まる
① 内視鏡でできる治療について33.7%が「知らない」が、60代では24.8%が「詳しく知っている」
内視鏡では、身体の内部を観察する以外に、より正確な検査をするための組織採取や、開腹手術をすることなく病変を切除するなどの治療ができますが、その内容を「知らない」人は33.7%でした。「詳しく知っている」人は15.5%にとどまり、「ある程度は知っている」(50.8%)と合わせると66.3%でした。「詳しく知っている」人は30代では6.8%にとどまっていますが、認知率は年代とともに上がり、60代では24.8%でした。年代が上がるにつれて、内視鏡でできる治療への認知率が上昇しています。
② 内視鏡に寄せられる期待は、「検査時の負担(つらさ)の軽減」が1位
これからの内視鏡、および内視鏡検査について期待することを聞いたところ、1位は「検査時の負担(つらさ)の軽減」(68.3%)でした。特に女性は76.3%がつらさの軽減に期待を寄せています。
「検査精度の向上」(57.8%)、「内視鏡機器の技術の向上」(48.3%)、「内視鏡治療手法の進歩」(38.9%)と、技術面や治療手法の進歩にも多くの期待が集まりました。
調査結果の詳細については、オリンパスサイト内の「胃・大腸がん検診と内視鏡検査に関する意識調査白書2021」(https://www.olympus.co.jp/csr/social/whitepaper/index.html)でご覧いただけます。また、都道府県別のデータもご覧いただけます。
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